(新興)新サンダイヤル科学系入試長文 C530O
■ヒトの臓器
▶右図のように,体の中には重要な臓器が詰まっ ている。心臓と肺は横隔膜や肋骨に囲まれた胸 腔という部屋にある。横隔膜で仕切られた下部
(腹腔)には,肝臓,胃,胆のう,すい臓,脾臓, 小腸,大腸などがある。体の外側は両手と両脚 があるなど左右対称になっているが,体の内側 の多くは左右対称になっていない。
主な臓器の働き
〇心臓→一定のリズムで拍動を繰り返し,全身 に血液を送り出すポンプのような働きをする。
〇肺→呼吸により体内に酸素をとり入れ,体内 で不要となった二酸化炭素を排出する。 右の肺は3つの肺葉(上葉・中葉・下葉),
左の肺は2つの肺葉(上葉・下葉)という部分 に分かれ,肺葉の中で気管支が枝分かれして いる。
〇肝臓→横隔膜の直下で腹腔の右上部にある。
肝臓の働きは500種類に及ぶといわれる。主な働きは胆汁の合成,タンパク質の合成,物質の貯 蔵,解毒作用,赤血球の処理など。
〇脾臓→胃の後ろ側にある。主に古くなった赤血球の破壊などを行う。
■血液の循環
▶右図は,ヒトの血液循環を表している。心臓か ら出た血液は体内を循環して戻る。心臓から送 り出される血液が通る血管が動脈,心臓に戻る 血液が通る血管が静脈である。血管系は閉じた 回路をつくり,血液は常に血管内を循環してい る。このような血管系を閉鎖血管系という。 〇肺循環と体循環
心臓と肺の間での血液循環を肺循環,心臓 から出た血液が全身に送られて再び心臓に戻 る血液循環を体循環という。
L e s s o n 1
●体の中の様子
4
:酸素を多 く含む動脈血が 流れる。
脳
肺 肺
心臓
腎臓
肝臓 小腸
大動脈
大静脈
体全体 :二酸化炭
素を多く含む静 脈血が流れる。
気管 食道
肺 肺
肝臓 肝臓
すい臓 すい臓 胆のう 胆のう
胃 胃
大腸 大腸 小腸 小腸
心臓
脾臓 脾臓
●体をめぐる 血液
■心臓のつくりと働き
▶心臓は左右の肺の間で,体の中心より少し左側にある。握りこぶしほどの大きさで,重さは200 〜 300gである。
〇心房と心室
心臓は図1のようなつくりをしている。全身や肺から静脈を流れて心臓に戻ってきた血液が運 ばれる部屋を心房,全身または肺へ動脈を通じて血液を送り出す部屋を心室という。
心臓の壁は心筋繊維からなる筋組織でできている。心房の壁はあまり厚くないが,心室の壁は 圧力をかけて血液を送り出すため,厚い筋肉になっている。
心臓は図2のように拍動を繰り返し,体中に血液を送り出している。
〇脊椎動物の心臓
脊椎動物は種類によって,心臓の つくりに違いがある。図3のように, 魚類の心臓は1心房1心室,両生類 の心臓は2心房1心室,爬虫類の心 臓は両生類と同様に2心房1心室だ が,心室に不完全な壁がある。鳥類・ 哺乳類は2心房2心室で,心室が区 切られているので左右の心室の血液 が混じり合わずに,酸素をとり込ん だ血液が全身に送り出される。
図1 心臓のつくり 図2 心臓の拍動
全身から 心房が広がり,静脈から 心房に血液が流れ込む。
肺から
全身から
全身へ 肺へ
心室が収縮し,心室から 動脈に血液が流れ出る。
心房が収縮し, 心室が広がって, 心房から心室に 血液が流れ込む。 上大静脈
洞房結節 肺動脈
肺静脈 右心房
下大静脈右心室
大動脈 肺動脈
肺静脈 左心房 左心室の壁の厚 左心室
さは,右心室の 壁の厚さの 倍 になっている。
肺から
図 3 脊椎動物の心臓
5
魚類 心房 心室
心室
心室の壁は 不完全であ る。
全身から
全身へ
全身へ
肺へ
肺へ 全身へ 肺へ
混じってしまう 心房
えらへ
心房 心室
心房 心室 心房 心室
両生類
爬虫類 鳥類・哺乳類
両生類の心臓の心室には区切りがないので,
動脈血と静脈血が混じって全身に送られる。
L e s s o n 1
(新興)新サンダイヤル科学系入試長文 C530O
■ヒトの臓器
▶右図のように,体の中には重要な臓器が詰まっ ている。心臓と肺は横隔膜や肋骨に囲まれた胸 腔という部屋にある。横隔膜で仕切られた下部
(腹腔)には,肝臓,胃,胆のう,すい臓,脾臓, 小腸,大腸などがある。体の外側は両手と両脚 があるなど左右対称になっているが,体の内側 の多くは左右対称になっていない。
主な臓器の働き
〇心臓→一定のリズムで拍動を繰り返し,全身 に血液を送り出すポンプのような働きをする。
〇肺→呼吸により体内に酸素をとり入れ,体内 で不要となった二酸化炭素を排出する。 右の肺は3つの肺葉(上葉・中葉・下葉),
左の肺は2つの肺葉(上葉・下葉)という部分 に分かれ,肺葉の中で気管支が枝分かれして いる。
〇肝臓→横隔膜の直下で腹腔の右上部にある。
肝臓の働きは500種類に及ぶといわれる。主な働きは胆汁の合成,タンパク質の合成,物質の貯 蔵,解毒作用,赤血球の処理など。
〇脾臓→胃の後ろ側にある。主に古くなった赤血球の破壊などを行う。
■血液の循環
▶右図は,ヒトの血液循環を表している。心臓か ら出た血液は体内を循環して戻る。心臓から送 り出される血液が通る血管が動脈,心臓に戻る 血液が通る血管が静脈である。血管系は閉じた 回路をつくり,血液は常に血管内を循環してい る。このような血管系を閉鎖血管系という。 〇肺循環と体循環
心臓と肺の間での血液循環を肺循環,心臓 から出た血液が全身に送られて再び心臓に戻 る血液循環を体循環という。
L e s s o n 1
●体の中の様子
4
:酸素を多 く含む動脈血が 流れる。
脳
肺 肺
心臓
腎臓
肝臓 小腸
大動脈
大静脈
体全体 :二酸化炭
素を多く含む静 脈血が流れる。
気管 食道
肺 肺
肝臓 肝臓
すい臓 すい臓 胆のう 胆のう
胃 胃
大腸 大腸 小腸 小腸
心臓
脾臓 脾臓
●体をめぐる 血液
■心臓のつくりと働き
▶心臓は左右の肺の間で,体の中心より少し左側にある。握りこぶしほどの大きさで,重さは200 〜 300gである。
〇心房と心室
心臓は図1のようなつくりをしている。全身や肺から静脈を流れて心臓に戻ってきた血液が運 ばれる部屋を心房,全身または肺へ動脈を通じて血液を送り出す部屋を心室という。
心臓の壁は心筋繊維からなる筋組織でできている。心房の壁はあまり厚くないが,心室の壁は 圧力をかけて血液を送り出すため,厚い筋肉になっている。
心臓は図2のように拍動を繰り返し,体中に血液を送り出している。
〇脊椎動物の心臓
脊椎動物は種類によって,心臓の つくりに違いがある。図3のように, 魚類の心臓は1心房1心室,両生類 の心臓は2心房1心室,爬虫類の心 臓は両生類と同様に2心房1心室だ が,心室に不完全な壁がある。鳥類・ 哺乳類は2心房2心室で,心室が区 切られているので左右の心室の血液 が混じり合わずに,酸素をとり込ん だ血液が全身に送り出される。
図1 心臓のつくり 図2 心臓の拍動
全身から 心房が広がり,静脈から 心房に血液が流れ込む。
肺から
全身から
全身へ 肺へ
心室が収縮し,心室から 動脈に血液が流れ出る。
心房が収縮し,
心室が広がって,
心房から心室に 血液が流れ込む。
上大静脈 洞房結節 肺動脈
肺静脈 右心房
下大静脈右心室
大動脈 肺動脈
肺静脈 左心房 左心室の壁の厚 左心室
さは,右心室の 壁の厚さの 倍 になっている。
肺から
図 3 脊椎動物の心臓
5
魚類 心房 心室
心室
心室の壁は 不完全であ る。
全身から
全身へ
全身へ
肺へ
肺へ 全身へ 肺へ
混じってしまう 心房
えらへ
心房 心室
心房 心室 心房 心室
両生類
爬虫類 鳥類・哺乳類
両生類の心臓の心室には区切りがないので,
動脈血と静脈血が混じって全身に送られる。