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「つかむ場面のUD」

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Academic year: 2024

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第 6 回 「つかむ場面のUD」

問題解決の流れをふむ社会科の授業は一般的に,「つかむ」「調べる」「まとめる」という 段階で学習過程が構成されることが多い。

単元の学習過程例

つかむ 1時間目 社会的事象に出合い,「なぜ」「どうして」という問題意識から,「学 習問題」を設定し,学習の見通しをもつ。

調べる

2時間目 「本時の問い」をもとにAについて調べ,その意味を考える。

3時間目 「本時の問い」をもとにBについて調べ,その意味を考える。

4時間目 「本時の問い」をもとにCについて調べ,その意味を考える。

5時間目 「本時の問い」をもとにDについて調べ,その意味を考える。

まとめる 6時間目 調べてきたこと(A・B・C・D)をもとに,「学習問題」に立ち返 り,その解決を図り,学習をまとめる。

単元計画だけでなく「調べる」段階の授業(45 分)の中にもやはり「つかむ」「調べる」

「まとめる」がある。つかむ場面では「本時の問い」を確認し,まとめる場面では調べた ことや考えたことを整理させたい。「本時の問い」をもとに,調べ・考え・まとめ,解決を 図ることの積み重ねが,単元全体の学習問題の解決につがなる。

1時間の授業の構成例 つかむ場面 問 い を つ

くる

今日の学習対象となる社会的事象と出合い,「本時の問い」をつ くる。

追究する場面

予想する 問いに対する予想を立てる。

調べる 問いの解決を図るために,資料を活用して調べる。

話し合う 調べてわかったことを発表し,話し合う。

深める 調べてわかったことの共通点を見つけたり,関連付けたりして問 いの解決を図る。

まとめる場面 まとめる 問いに対する答えや自分の考えをまとめる。

本稿から3回にわたり,「問いをつくる」活動=【つかむ場面】,「予想する」「調べる」「話 し合う」「深める」活動=【追究する場面】,「まとめる」活動=【まとめる場面】と,それ ぞれの場面における授業の

UD

の役割について考えていく。

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◆【つかむ場面】での3つの視点

■視覚化と焦点化

【つかむ場面】の役割は,「社会的事象に出合うこと」「授業を方向づけていくこと」「『本 時の問い』をつかみ,『調べてみないとわからない』という意識を高めること」である。

まずはインパクトのある「社会的事象との出合い」を大切にしたい。そのために,写真,

グラフ,絵図,実物などを資料として提示することが多い。【つかむ場面】は視覚化によっ て成り立っていると言っても過言ではない。

また資料には,社会的事象との出合いだけでなく,本時で何を学ぶのか方向づけていく 役割もある。視覚化と焦点化が切り離されている関係ではなく,授業を焦点化するために 視覚化を用いるというようなイメージである。したがってここでは,視覚化と焦点化を分 けて書くのではなく,併せた形で述べていきたい。

効果的に資料に出合わせるためには,そのまま資料を提示するのではなく,少し手を加 えて提示したい。ブラインドをかける,アップにする,ルーズにするなど「見せ方」を工 夫すると,資料を見ようとする子どものモチベーションが高まる。ここで気をつけたいの は,資料の見せ方を工夫することが目的になってはいけないということだ。ブラインドを かけることが大切なのではなく,ブラインドをかけた箇所についての話し合いが,学習す べき内容につながっていくことが大切なのである。「関心を高めるための視覚化」「焦点化 のための視覚化」という意図を明確に持っておかなければならない。

資料を提示した後の発問にも気をつけたい。資料を提示して「何か気づいたことはあり ませんか?」「どんな工夫がありますか?」といった間口の広い発問は,教師にとってはど んなときも使える便利な発問であるが,社会科の苦手な子どもにとっては,どこに注目し たら良いのかがわかりにくく,難しい発問である。また,発言も拡散するため,内容がし ぼりきれない危険性もある。「ここはどこですか?」「標識は何個ありますか?」など発問 の間口を狭く具体的にすることを意識したい。

■共有化

資料を見たとき,思考がゆさぶられたときに思わず「エッ! おかしいじゃないの」「こ のままだったら大変なことになりそう」といったつぶやきを発する子どもがいる。その子 どもはそこに課題意識を持った子どもと言える。この数名の反応で授業を進めてしまうと,

多くの子どもに課題意識がないままに課題(本時の問い)が設定される。これでは全員参 加の授業とは言えない。【つかむ場面】では数名の子どもの課題意識を共有することがポイ ントだ。

・【つかむ場面】では視覚化が大きなポイントとなる。

・焦点化と視覚化は一体

・資料の加工は学習すべき内容につながっていなければならない。

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3

課題意識を広め共有するための方法はいくつかある。

【再現】「○○さんが言ったことをもう一度言える人?」と再現させ,一人の発言を全体 に意識させること。

【解釈】「今,○○さんが△△と言った意味がわかりますか?」と,一人の発言の意図を 読み取らせ,解釈させようとすること。

【確認】「○○さんがとっても大切なことを言ってくれましたよね。○○さんの発言の大 切な部分を,隣の人と伝え合いましょう」と,一人の発言をしっかりと理解できている か確認させること。

詳しくは本連載第4回『社会科授業での共有化』で述べているので参照いただきたい。

【つかむ場面】の3つの視点について述べてきた。ここからは,それをふまえた実践を紹 介する。

<単元> 水はどこから

<本時のねらい> 技術の発達や,水を大切に使うという人々の想いによって,水の使用量 が減ったことに気づく。

教師:『学校ではどれくらいの水を1年間に使っていましたか』

子ども:「5,040㎥です」「教室にすると

15

個分です」

教師:『今日は少し範囲を広げます。宝塚市では教室何個分の水を

1

年間に使っていると思 いますか』

【焦点化】具体的な発問から入る。

子ども:「1,000個ぐらい」「いやもっと多い,10,000個ぐらい」

教師:『教室

75,744

個分。25,450,000㎥です』

教師:『この数字は少し古いもので

2005

年のデータです。2000年はどうなっていると思い ますか』

⇒ 一人を指名し,予想をグラフに記入させる。これを

1975

年まで行う。

【視覚化】使用量の推移について着目させたいのでブラインドをかける。

・一人の課題意識を広げていくことで,他者の課題意識が自分の課題意識になり,クラ スの課題になる。

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4

教師:『みなさんの予想は,使用量はだんだんと増えていくという予想ですね。答えを見て みましょう』

子ども:「ほら,やっぱりだんだんと増えていっている」

教師:『予想どおりでしたね。ではなぜ年々増えていっていると思いますか。ペアで相談し ましょう』

子ども:「水を使う機会が増えたから」「人口が増えたから」「たくさんの水を作れるように なったから」

教師:『するどい考えですね。全部正解です。先生が次に見せる資料で説明できる予想があ ります。どれでしょうか』

1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 23215249

24479227 水の量(㎥)

23191568 19987440

17524045 16546463

1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 25452480

25452480

(宝塚市統計書,以下同)

(5)

5

水道を使っている人口と1年間に使われた水の量のうつり変わり

子ども:「人口が増えると水の使用量は増えていく」

教師:『大事なことなのでお隣の人と確認してください』

⇒ 人口が増えると宝塚市の水の使用量は年々増えている。と板書する。

教師『2010年を見せます』

水道を使っている人口と1年間に使われた水の量のうつり変わり

子ども:「えっ!!」「おかしい!!」【課題意識】

教師:『今,Aさんが「おかしい!!」と言いましたが,Aさんは何がおかしいと思ってい るのか,想像できる人はいますか?』

1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 24479227

水の量(㎥)

17524045 19987440 23191568 23215249

25452480

182462 193868

204698 207915

225850

1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 16546463

人口(人)

159120

218642 16546463

25415633

17524045 19987440 23191568 23215249 24479227 25452480

水の量(㎥) 人口(人)

159120 182462

193868 204698 207915

225850 218642

232320

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子ども:「2005年から

2010

年は,人口が増えているのに水の使用量は減っている」

教師:『Aさん,そういうことが言いたかったの?』

子ども:「そうです」

【共有化】数名の子どもの課題意識を広げ全員のものにする。

教師:『では今日はこのことについて考えてみようか』

子ども:「なぜ人口が増えたのに水の使用量は減ったのか」

本時の問い【課題】

なぜ

2005

年から

2010

年は人口が増えているのに水の使用量は減っているのか

【参考文献】

村田辰明『社会科授業のユニバーサルデザイン』東洋館出版社 2013 年

澤井陽介・中田正弘『ステップ解説 社会科授業のつくり方』東洋館出版社 2014 年 澤井陽介『社会科授業づくりトレーニング

BOOK

学習問題づくり 教材化 単元の指導計 画づくり』明治図書 2015 年

石田航平(いしだ・こうへい)

関西学院初等部教諭。関西学院大学卒業後,民間企業勤 務を経て現職。日本授業

UD

学会関西支部に所属。共著 に『授業のユニバーサルデザインを目指す「安心」「刺激」

でつくる学級経営マニュアル』(東洋館出版社)がある。

(2016 年9月執筆)

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