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「まとめの場面のUD」

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Academic year: 2024

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第 8 回 「まとめの場面のUD」

人は自己の学びを客観的に認知したとき,真の学びを手に入れる。【まとめの場面】では 自分が何を学んだのかをふりかえることで学習の定着を図る。

本連載第2回「社会科授業のUDとは」で,村田氏は社会科授業のUDについて 学力の優劣や発達障害の有無にかかわらず,すべての子どもが,楽しく「社会的見方・

考え方」を獲得できるように,工夫・配慮された通常学級における社会科授業のデザイン と述べている。まとめの場面で,すべての子どもが本時で獲得した「社会的見方・考え方」

を表現できた時こそ,このような授業が達成されたと言える。

例えば,単元「事故や事件のないまちを目ざして」の中の,警察の働きを調べる授業では 以下のような「まとめの文」を書かせたい。

警察官は町のくらしを守るためにさまざまな仕事をしている。※① 例えば交通事故が起 きないようにするために駐車違反をとりしまっている。※② 私は警察官がたくさんの仕 事をしていることにびっくりした。それに時間によってパトロールの場所を変える工夫 はかしこいと思った。警察の仕事は私たちを守るための大事な仕事なのでありがたいと 思った。※③

◆焦点化

まず大切なことは,「まとめの文」として書かせたいことを教師が子どもの言葉で想定す ることである。第5回「社会科授業の焦点化」でも述べられている通り,この想定がしっか りとできていれば授業がぶれることはない。

「まとめの文」で書かせたい内容は基本的には2つである。1つは獲得させたい「社会的 見方・考え方」を表した文 ※①で,もう1つは「社会的見方・考え方」を具体的に説明した 文 ※②だ。最初の1文 ※①は,どの子どもの書いた文もほぼ同じ内容が記されていなけれ ばならないが,次の1文 ※②は具体例なので,子どもによる違いがあってよい。この2文 は本時の学習課題をふりかえってわかったことをまとめた文となる。

◆スモールステップ化

はじめからすべての子どもが「社会的見方・考え方」についてまとめることは難しいと考 えられる。子どもの実態に合わせてスモールステップをふみ,書き方を覚えていけばよい。

①視写

教師が板書し,それを視写させる。

②穴埋め

「警察官は町のくらしを( )ためにさまざまな( )をしている。」など。

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③キーワード

「警察官,守る,仕事,この3つのキーワードを使ってまとめなさい」といったようにキ ーワードを示し,作文させる。このキーワードは教師が与えてもよいし,子どもに「今日の 授業のキーワードはなんですか」と問い,子どもに挙げさせてもよい。

④リード文

「警察官は~」というリード文だけを与えて作文させる。

④の「リード文を与えて書けるようになること」が最終目標ではない。できることなら「今 日の授業をまとめましょう」という指示だけで書けるようにしたい。スモールステップをふ みながら,その時間で獲得させたい「社会的見方・考え方」を全員が書けるように育ててい く。

◆共有化

場合によっては学習をふりかえって考えたこと,感想,自分の価値観 ※③を末尾に書か せることもある。感想や考えたことを書くねらいは,授業前と後での自分の考え方の変容や,

自分の成長を自覚することである。ここでは「Aさんの発言で考えが変わった」など,友だ ちの名前が入るふりかえりをお薦めしたい。そのようなふりかえりを発表させたり,次の時 間の始めに紹介したりすると,仲間とのつながりを深めるきっかけになる。社会科とは直接 関係のないことかもしれないが,クラスの仲が良く安心感があることは,学びの場として大 切なことである。

「聖徳太子の政治を支持するか」や「ダム建設に賛成か反対か」といった判断を迫る問い を設定し,自分の価値観を表現させても面白い。つかむ場面,追究する場面を通して社会的 事象に対する認識がしっかり深まっていれば,それが価値判断の土台となるので,どの子ど もも価値判断を求められたとき,全く手が出ないという状況にはならない。友だちの多様な 考えにふれ,より認識が深まる機会となることはもちろん,全員が授業に参加できる場面に もなる。

◆スパイラル化と適用化

【スパイラル化】

既習の学習内容を繰り返し復習することで習得の深まりが得られる。

【適用化】

習得したことを別の学習や事象に転用させることで応用がきくようになる。

「社会的見方・考え方」は簡単には定着しない。別の社会的事象を見たとき,以前の学習 で獲得した「社会的見方・考え方」は忘れられていることが多い。そのため,意図的に他の 学習で使う機会を設けていき,定着を図る。

例えば,単元「事故や事件のないまちを目ざして」では,「警察官の仕事」→「地域の人 たちの活動」というスパイラル化を行う。

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「交番」→「子ども110番」

「まちのパトロール」→「自転車パトロール隊」

「通学路のパトロール」→「登下校時の立ち番」

このようにスパイラル的に学ぶことで,「くらしを守るために様々な工夫や仕事がある」

という「社会的見方・考え方」がより定着する。

スパイラル化したときは,「まとめの文」も工夫する。「地域の人たちの活動は警察官と同 じで●●だ。例えば地域の人たちは●●していて,警察官は●●している。」といったフォ ーマットを与え,2つの社会的事象の共通点を書かせる。そうすることで,より確実に「社 会的見方・考え方」が定着する。

また,それぞれの違いを問うことで「警察は本職でやっているけど地域の人たちはボラン ティアでやっている」,「警察がメインで守っていて地域の人たちはそのサポートだ」など,

それぞれの特徴がよりはっきりと見える。

単元を越えてスパイラル化することもできる。中学年では「事故や事件から地域のくらし を守る」学習をした後に,「火事や災害から地域のくらしを守る」学習をする。前者では交 通事故が起きたときの対処,後者では火事が起きたときの対処について学習する。交通事故,

火事という似た社会的事象について,似た学習をすることで「緊急事態では早く正確に対処 するために様々な人が協力しながら働いている」という「社会的見方・考え方」がより定着 する。

子どもの身のまわりには,社会的事象が無数にある。その一つひとつを授業で扱うことは できない。「社会的見方・考え方」は社会的事象を見たり考えたりする時の視点や方法であ り,社会の本質に迫る汎用性の高い概念である。これがしっかり身についていれば,授業で は扱わない社会的事象に出合った時も,その意味を自分の力でとらえることができる。ただ し,この「社会的見方・考え方」は簡単には定着しない。【まとめの場面】でしっかりと学 びを表現し,ふりかえることが必要である。

【参考文献】

村田辰明『社会科授業のユニバーサルデザイン』東洋館出版社 2013 年

澤井陽介『社会科授業づくりトレーニング BOOK 話合い・討論・学習のまとめ・評価問題づ くり編』明治図書 2015 年

石田航平(いしだ・こうへい)

関西学院初等部教諭。関西学院大学卒業後,民間企業勤 務を経て現職。日本授業UD学会関西支部に所属。共著 に『授業のユニバーサルデザインを目指す「安心」「刺激」

でつくる学級経営マニュアル』(東洋館出版社)がある。

(2016 年 10 月執筆)

Referensi

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