-1-
口腔健康科学講座 障害者歯科・口腔顔面痛研究室
プロフィール
1. 教室員と主研究テーマ
教 授 福田 謙一 1)口腔顔面痛領域神経障害性疼痛の遺伝子要因研究
2)鎮痛関連物質受容体及び代謝関連の遺伝子多型が顎矯正手術後の疼痛治療に 及ぼす影響に関する研究
3)三叉神経感覚障害に対する MRI の神経強調画像の構築 准 教 授 大多和由美 4)障害者の安全で効率的な歯科治療
5)発達障害者の歯科診療支援
6)症候性の障害にともなう歯科所見およびその対応法 助 教 半沢 篤 7)医科歯科医療連携の方法
野口 智康 8)三叉神経痛の臨床診断を受けた患者の病態調査
9)筋膜痛に対する近赤外線レーザー照射と鍼治療(合谷への置鍼)の効果 10)睡眠時ブラキシズムによる咀嚼筋痛患者の病態とスタビライゼーション
スプリント療法の有効性 レジデント 木村 瑠香
中村 美穂
柏木 航介 11)睡眠時ブラキシズムによる咀嚼筋痛患者の病態とソフトスプリント療法の 有効性
水永 潤子 大学院生 太田雄一郎 加藤 栄介 國奥 有希 添田 萌 臨床 専修 科 生 西岡さやか 廣瀬詩季子
2. 成果の概要
1) 口腔顔面痛領域神経障害性疼痛の遺伝子要因研究(倫理承認:810)
三叉神経領域の神経障 害患 者を 対象 とし て、 臨床 症状と 遺伝 子要 因の 関連 性を 調査 して いる 。 こ れ ま でに96 症例に実施した。今後、追加データ採取とともにその成果を分析していく予定である。
2) 鎮痛関連物質受容体及び代謝関連の遺伝子多型が顎矯正手術後の疼痛治療に及ぼす影響に関する研究 (倫理承認:530)
PCA 法によるフェンタニールの 摂取量(術後痛)と各種遺伝子多型の関連から予測式が構築された。し かしながら、その予測式は神経伝達関連の遺伝子多型で構成され、フェンタニル代謝について検討してい な い。下顎枝矢状分割術の施行が予定されている患者の術前に採取された血液から、遺伝子多型の解析とと も にフェンタニルの代謝速度を血中濃度の変動から測定し、遺伝子多型とフェンタニルの代謝速度の関連性 を 調査している。データ採取を終了し、現在のところ、分析中である。
3) 三叉神経感覚障害に対するMRIの神経強調画像の構築(倫理承認:728)
三叉神経領域の神経障害患者を対象として、傷 害部位の MRI の 神経強調 画像の 構築を行 って い る 。 現 在のところ、62症例に実施した。今後、追加データ採取とともにその成果を分析していく予定である。
4,5,6) 障がい者の日帰り全身麻酔下歯科治療に関するアンケート(倫理承認691)
障がい者歯科治療を行う 際に は、 行動 調整 とし て全 身麻 酔法 を採 択す る症 例が 多い 。全 身麻 酔 下 歯 科 治 療 を 行 っ た 患 者 の 全 身 麻 酔下 歯 科治 療 に 関す る 患 者側 の 考え お よ び評 価 とそ の 後 の口 腔 管理の実態 を調査し問題点を明確にすることを目的とし調査を行った。その結果、全身麻酔下の歯科治療経験がある 者 は次回も全身麻酔下の歯科治療を希望する傾向あることが分かった。
The Bulletin of Tokyo Dental College Vol.60 pp.53-60
-2-
7) 当院スペシャルニーズ歯科外来開設後1 年間の実態調査(倫理承認864)
歯科保健や治療を行うと きに 特別 な配 慮や 工夫 、知 識と 技術 を持 って 対応 する こと が必 要な 人 た ち 、 すなわちスペシャルニーズのある人に対して、全年齢層にわたって対応や治療を行う診療科が、2017年4月 より東京歯科大学水道橋病院にスペシャルニーズ外来訪問チーム(以下、SN)として開設された。診療内 容 も多岐にわたり歯科治療の際に配慮が必要な患者、口腔顔面領域の疼痛の治療、提携を結んだ近隣病院入 院 患者の訪問診療、外来および訪問の摂食嚥下リハビリテーション等を行っている。
今回、我々は今後さらにより効果的な診療を行うため、SN開設後1 年間の診療状況の調査を行った。
第35回日本障害者歯科学会学術大会発表
7) 歯科を併設していない病院との2 年間の医科歯科医療連携の臨床統計(倫理承認945)
社会の急激な高齢化とそ れに 伴う 地域 包括 医療 の推 進に よっ て、 要介 護者 や有 病者 への 対応 の 必 要 性 が高まり、さらに周術期等口腔機能管理の保険診療導入を契機に、医科歯科医療連携体制構築の重要性が 注 目されている。そこで医療連携を推進することを目的とし2017 年5 月より歯科関連の診療科を併設してい ない病院の入院患者への訪問診療を開始した。開始から2 年間の実態を調査し今後の方針について検討を行 った。
日本障害者歯科学会雑誌に投稿中である。
8) 三叉神経痛の臨床診断を受けた患者の病態調査(倫理承認:882)
三叉神経痛の原因は血管 によ る三叉神 経の 圧迫 によ り生 ずる 脱髄 説が 最有 力で ある が、 神経 の 圧 迫 を 認 め な い 原 因 不 明 の 三叉神 経痛 も 多く 存 在 する 。 三叉神 経 痛の 更 な る病 態 解明 に よ る新 た な危険因子 の存在を明らかにすることを目的に調査中である。現在126 名のデータ収集を行っており、途中経過は第46 回歯科麻酔学会総会学術大会デンツプライ賞2 次審査で発表した。
第46 回歯科麻酔学会総会学術大会
9) 筋膜痛に対する近赤外線レーザー照射と鍼治療(合谷への置鍼)の効果(倫理承認:867)
顎関節症の中でも筋痛障 害の 占め る割 合は 多い 。筋 痛障 害の 治療 には 患者 教育 、理 学療 法、 薬 物 療 法 な ど が あ る が 治 療 の 詳 細 な ガイ ド ライ ン は 未だ に 完 成し て いな い 。 そこ で 我々 は 筋 痛障 害 の中から筋 膜 痛 の 患 者 に フ ォ ー カ ス を 絞り 理 学療 法 の なか で も 近赤 外 線レ ー ザ ー照 射 と鍼 治 療 が有 効 であるかを 検証することを目的として調査を行っている。現在データ収集中である。
10) 睡眠時ブラキシズムによる咀嚼筋痛患者の病態とスタビライゼーションスプリント療法の有効性 (倫理承認:670)
睡眠時ブラキシズムを有 する 咀嚼 筋痛 患者 の患 者背 景や 病態 の分 析と スプ リン ト療 法の 治療 効 果 を 調 査分析した。スプリント療法は特定の筋痛患者に有用であることがわかった。
Journal of Oral Rehabilitationに投稿中である。
11) 睡眠時ブラキシズムによる咀嚼筋痛患者の病態とソフトスプリント療法の有効性(倫理承認:756)
睡眠時ブラキシズムによ る咀 嚼筋 痛患 者の 病態 とス タビ ライ ゼー ショ ンス プリ ント 療法 の有 効 性 の 追 加 研 究 で あ る 。 先 行 研 究 で はス タ ビラ イ ゼ ーシ ョ ン スプ リ ント を 使 用し た が本 研 究 はソ フ トスプリン トを用いている。
Oral Rehabilitationに投稿予定である。
3. 学外共同研究
担 当 者 研 究 課 題
学 外 研 究施設
研 究 施 設 所 在 地 責 任 者
福田 謙一 口腔顔面痛領域神経障害 性疼痛 の 遺 伝 子 要因研究
東京都医科学総 合 研究所
分子精神医学研 究 部門
東京都
世田谷区 池田 和隆
福田 謙一
フェンタニル代謝関連遺伝子多型と 骨切り術後の疼痛治療に及ぼす影響に 関する研究
岡山大学
医歯薬学総合研 究 科医療薬学部門
岡山市 須野 学
-3-
担 当 者 研 究 課 題
学 外 研 究施設
研 究 施 設 所 在 地 責 任 者
福田 謙一 三叉神経障害に対するMRによる神経
イメージング評価 北海道医療大学
歯学部 北海道
石狩郡 照光 真
4. 研究活動の特記すべき事項
シンポジウム
シ ン ポ ジスト 年 月 日 演 題 学 会 名 開 催 地
福田 謙一 2018. 4.15 Local anesthesia in the
treatment of Orofacial pain IADR 2018 Annual
Meeting London,
UK
福田 謙一 2019. 3.10 感覚機能検査・神経障害性疼痛と ペインクリニック的治療
第5回神経障害性疼痛 関 連 歯 科 学 会 合 同 シ ンポ ジウム
東京都 新宿区
学術学会に相当しない団体が開催するセミナー・研究会・カンファレンス等における発表・講演
講 演 者 年 月 日 演 題 会 合 の 名称 開 催 地
福田 謙一 2018. 4.15 安全・安心の歯科医療を
めざして 岡山県保険医協会 岡山市
福田 謙一 2018. 4.22 患者管理スキルアップ講習会 埼玉県歯科医師会 さいたま市
福田 謙一 2018. 5.20 インプラント埋入手術時の危機
管理・緊急時の対応 九州インプラント研究会 熊本市
福田 謙一 2018. 5.27 インプラント手術における全身 管理・疼痛管理・危機管理
ユニバーサルインプラン ト研究会
東京都 港区
福田 謙一 2018. 6. 9 歯科における多様な主訴への 対応/痛みへの対応
東京歯科大学同窓会
川崎支部学術講演会 川崎市
福田 謙一 2018. 6.23 歯科における疼痛管理 東京歯科大学同窓会
北海道支部学術講演会 滝川市
福田 謙一 2018. 7. 1 歯科医院における偶発症発生時
の緊急対応 埼玉県保険医協会 さいたま市
福田 謙一 2018. 7.21 偶発症に対する緊急対応 千葉県保険医協会 千葉市
福田 謙一 2018.10.12 診断に困惑する痛みの主訴への 対応と処置
東京歯科大学同窓会 下谷支部学術講演会
東京都 台東区
福田 謙一 2019. 1.27 口腔インプラント埋入手術にお
ける全身管理と緊急時の対応 東京形成歯科研究会 東京都 北区
大多和由美 2018. 6.20
地域母子保健 1. 乳幼児保健・
育児支援 乳幼児期からの口腔 衛生・虫歯予防
社団福祉法人 恩賜財団 母子愛育会 地域母子 保健研修
東京都 港区
-4-
講 演 者 年 月 日 演 題 会 合 の 名称 開 催 地
大多和由美 2018. 6.30 知りたい、聞きたい、子どもの むし歯 歯並び お口のけが
大 田 区 保 健 所 子 ど もの歯 と口の健康づくり講演会
東京都 大田区
大多和由美 2018.10. 4 乳幼児期のお口のトラブルと 対応
川崎市歯科医師会 地域保健部乳幼児歯科 保健研修会
川崎市
大多和由美 2018.11.26
2019. 1.21 「HIV 感染者の歯科治療」
2018 年度東京都エイズ診 療従事者研修派遣事業研 修(東京歯科大学水道橋 病院コース)
東京都 千代田区
大多和由美 2018.12. 2 障害者歯科における臨床の
ポイント 群馬県歯科医師会研修会 前橋市
大多和由美 2019. 2. 6 近年の小中学生の口腔の現況と
対策 江戸川区学校歯科医会 東京都
江戸川区
半沢 篤 2018.11.24
2019. 1.21 HIV 感染者の歯科治療の実際
2018 年度東京都エイズ診 療従事者研修派遣事業研 修(東京歯科大学水道橋 病院コース)
東京都 千代田区
半沢 篤 2019. 1.24 感染性心内膜炎の病態と予防法 東京都目黒区歯科医師会 東京都 目黒区
5. 教育に関する業績、活動
教育ワークショップ・FD 研修
講 演 者 年 月 日 ワ ー ク ショップ名 役 割 開 催 地
野口 智康 2018.10.27 第22回問題作成ワークショップ 受講 東京都 千代田区 野口 智康 2018.12.
22-23
第37回東京歯科大学カリキュラム研修
ワークショップ 受講 東京都
千代田区
共用試験
氏 名 年 月 日 種 別 役 割 開 催 地
半沢 篤 2019. 2.24 東京歯科大学第4 学年
共用試験歯学系OSCE 準備係 東京都
千代田区 野口 智康 2019. 2.24 東京歯科大学第4 学年
共用試験歯学系OSCE 準備係 東京都 千代田区
他の大学・研究機関等における大学生・大学院生を対象とする講義・実習
担 当 者 名 年 月 日 テ ー マ ・演題 大 学 ・ 機関 所 在 地
福田 謙一 2018. 6.27 疼痛疾患とペインクリニック 朝日大学第4学年 瑞穂市