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口腔腫瘍外科学講座
プロフィール
1. 教室員と主研究テーマ
教 授 野村 武史 口腔癌の診断と治療
助 教 齋藤 寛一 頭頸部癌重粒子線治療における口腔粘膜炎の重症化と口腔細菌叢の関連性の解明 栗原 絹枝 腎移植患者における周術期口腔機能管理に関する研究
井口 直彦 パラジウムアレルギーにおけるヒスタミンの関与、T 細胞動態の解析 レジデント 青木 勇介 歯性上顎洞炎の治療方針の確立
平賀 智豊 口腔疾患患者の唾液含有エクソソームの特徴を利用した液性診断法の開発 秋山友理恵 掌蹠膿疱症と関連した口腔マイクロバイオームの解析
秀島 能 口腔癌患者のインプラント補綴について
鶴見 惇 口腔扁平苔癬病変の臨床および病理組織学的後ろ向き検討 大学院生 大村 雄介 顎骨壊死に関する研究
杉浦 貴則 唾液腺腫瘍における新たな分子標的マーカーの樹立
中村ゆり子 Gorlin 症候群に対する遺伝子パネルの開発とリキッドバイオプシーへの応用 稲田潤一郎 口腔扁平上皮癌細胞の足場環境の違いにおけるディスモグレイン 3 の関与
についての研究 松本 祐介 顎骨壊死に関する研究
河野 孝斉 口腔疾患患者の唾液含有エクソソームの特徴を利用した液性診断法の開発 藤井亜理紗 サルコペニア(SMI)と栄養状態に関する研究
山﨑 雅恵 口腔がんと大腸がん重複がんにおける組織学的検討に関する研究 相磯 友里 終末期口腔がん患者の臨床的検討
2. 成果の概要
1) 早期舌扁平上皮癌におけるヨード生体染色と比較した FV ガイド下手術の有用性
背景:多くの場合、OSCC の周囲には OED が観察され、局所再発のリスクを最小限に抑えるために、OED を含 めた切除範囲の設定が重要である。本研究では、ヨード生体染色と FV デバイスによる切除範囲の設定を病 理組織学的に比較検討し、FV ガイド下手術の有用性を検討した。対象:2016 年 7 月から 2018 年 7 月に東 京歯科大学口腔がんセンターを受診し加療した表在性舌扁平上皮がん 40 例とした。結果:CK13 発現率は、
FVR よりも FVL において有意に低かった。CK17、Ki-67、および p53 発現率は、FVR よりも FVL において有意 に高かった。FVL とヨード不染域の描出率や描出面積に有意差は見られなかった。高度異形成は FVLとヨ ード不染域の境界付近では最も観察されたが、有意差は見られなかった。結論:早期 OSCC 切除において、
ヨード生体染色を使用した方法と比較し FV デバイスを使用した FV ガイド下手術は有用であると考えられ た。
International Journal of Clinical Oncology 25:1604
–1611, 2020
2)差分遠心法を用いた口腔扁平上皮癌患者由来の Oral fluids 含有微粒子の 5 分画解析
唾液が含む細胞外小胞などの微粒子の全体像を、大きさの分布に焦点をあてて解析した。健常人、口腔内扁 平上皮がん患者からの唾液を差分遠心法により5つの分画に分け、それぞれが含む分子を性質解析した。い わゆるエクソソームマーカーとされるCD63, CD9, CD133, HSP70は、小さな細胞外小胞を含む分画のみなら ず大きな細胞外小胞を含む分画まで、広く分布していた。一方、CD81やAQP5は小さな細胞外小胞を含む分画 に濃縮されていた。大きな細胞外小胞を含む分画では、この分画に特徴的なEGFRやE-cadherinの短い派生 体、LC3マーカー、多重小胞体が観察された。DNAやRNAは大きな細胞外小胞を含む分画に濃縮されていたが、
少量は小さな細胞外小胞を含む分画にも存在していた。得られた知見は、唾液を用いた診断システム開発で のガイドライン情報となる。
Scientific Reports 11(1):3326, 2021
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3. 学外共同研究
担当者 研究課題
学外研究施設
研究施設 所在地 責任者
野村 武史 平賀 智豊 河野 孝斉
口腔疾患患者の唾液含有エクソソ ームの特徴を利用した液性診断法 の開発
公益財団法人がん研 究会 蛋白創製研究 部
東京都
江東区 芝 清隆
野村 武史 杉浦 貴則
唾液腺腫瘍における新たな分子標 的マーカーの樹立
国立研究開発法人産 業 技 術 総 合 研 究 所 創薬基盤研究部門
つくば市 亀山 昭彦
野村 武史 唾液腺癌に対する TS-1 補助化学
療法の有効性に関する研究 信州大学医学部 松本市 栗田 浩 野村 武史 cN0 舌癌に対する予防的頸部郭清
術の前向き観察研究
長崎大学大学院医歯
薬総合研究科 長崎市 梅田 正博 野村 武史
齋藤 寛一
頭頸部がん放射線治療患者におけ る口腔細菌叢に関する研究
放射線医学総合研究
所病院 千葉市 伊川 裕明 4. 科学研究費補助金・各種補助金
研究代表者 研究課題 研究費 科研費の場合は種目も記載
齋藤 寛一 頭頸部癌重粒子線治療における口腔粘膜炎の重症化と口 腔細菌叢の関連性の解明
文部科学省科学研究費 若手研究
中村ゆり子 リキッドバイオプシーで応用可能な Gorlin 症候群診断 遺伝子パネルの開発
研究ブランディング事業 顎骨疾患プロジェクト大学 院生研究助成
5. 研究活動の特記すべき事項 受賞
受賞者名 年月日 賞 名 テーマ 学会・団体名
中村ゆり子
2020.10.20
大会長賞Gorlin 症候群診断遺伝子 パネル開発とその信頼性の 検証
第 33 回日本口腔診断学会・
第 30 回日本口腔内科学会・
第 13 回日本口腔検査学会 合同学術大会
中村ゆり子
2020.11.15
口演発表賞Gorlin 症候群診断遺伝子 パネル開発とその信頼性の 検証
第 65 回日本口腔外科学会総 会・学術大会
杉浦 貴則
2020.11.13
若 手 優 秀 ポ スター賞粘表皮癌における特徴的な 糖鎖を有する MUCI の発現 と局在
第 71 回日本電気泳動学会総 会
-3- 学会招待講演・特別講演・教育講演
講演者 年月日 演題 学会名 開催地
野村 武史
2020.11.13- 12.15
早期表在型舌癌に対する FV- guided surgery の実際
第 65 回(公社)日本口腔外科 学会総会・学術大会 ビデオ レクチャー
WEB
栗原 絹枝
2020.11.13- 12.15
口腔外科手術の手術部位感染 に対する予防抗菌薬の考え方
第 65 回(公社)日本口腔外科 学会総会・学術大会 ミニレ クチャー
WEB
学術学会に相当しない団体が開催するセミナー・研究会・カンファレンス等における発表・講演
講演者 年月日 演題 学会名 開催地
野村 武史
2020. 5.31
口腔がん早期発見のために‐
蛍光観察装置をどのように用 いるか-
2020 年度第 1 回静岡県歯科医
師会学術大会 静岡市
野村 武史
2020. 8.29
口腔がん検診に必要な基本的 知識2020 年度市川市歯科医師会
OCDSIN basic 講演会 市川市
野村 武史
2020. 9.30
かかりつけ医に役立つ!オー ラルメディシンに基づいたコ ロナ時代の歯科診療
DrBOOK Web セミナー WEB
野村 武史
2020.12.15
早期発見・早期治療-見逃しておけない口腔カンジダ症- DrBOOK Web セミナー WEB 6.教育に関する業績、活動
共用試験
氏 名 年月日 種 別 役 割 開催地
野村 武史
2021. 2.27 - 28
2020 年度 東京歯科大学
共用試験歯学系 OSCE 評価者 東京都 千代田区