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巻頭言 Top Column - 化学と生物

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化学と生物 Vol. 55, No. 10, 2017

農芸化学大会の関心事

平 秀晴

岩手大学名誉教授

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

巻頭言 Top Column

Top Column

例年春の農芸化学大会の参加は,研究室 の先輩後輩や友人にお会いし,研究の進展 を知ることができるので,定年退官後の楽 しみになっております.農芸化学大会もパ ソコンによる発表,大会要旨閲覧用のアプ リの整備で,快適な環境で講演を聞くこと ができ,隔世の感があります.近頃は院生 や学生の口頭発表や質問に対する答弁はス マートで堂々として,冷静な態度にびっく りしております.昔は終了時間も忘れて熱 心に発表を続ける演者や,訥弁で逡巡しな がらも素晴らしい内容を発表する個性的な 演者が少なからずいたことを思い出しま す.

私の大学院生時代の学会発表では,発表 のデータ作り,レタリング,スライド作成 と発表練習で多くの時間を費やし,さらに 研究室の先輩から「学会では必ず一つ位質 問すること」を言い渡され,当日は何かと 緊張を強いられたことを憶えております.

最近はプレゼンテーションの周辺機器が整 備されて,見栄えのよいスライドやポス ターが容易に作ることができるせいか,昔 に比べて学会発表に対する執着,熱意,達 成感や感激が少なくなってきているような 印象です.

そのせいかほかの大きな学会同様に農芸 化学大会でも,若い研究者同士の質疑応答 が少ないように思われます.苦労して得ら れた研究成果を発表しても,全く質問もな く座長から,「それでは私から質問を」と いう場面がしばしば見受けられます.学会 で質問をすることも研究者にとっての大事 な能力ですので,是非若いうちに「質問」

をする習慣をつけて欲しいものです.若い ときはなかなか良い質問も思いつかず,気 後れしてしまいますが,勇気をもって質問 することです.質問することにより,新た な問題点が明らかになり,会場の人の理解 を助けるばかりでなく,研究仲間あるいは よきライバルとして貴方のことを憶えてく

れる人がでてくることがあるので,質問者 が所属氏名を名乗ることも大切な作法かと 思います.学部あるいは修士から学会発表 後,会社に就職される方もおられると思い ますが,学会発表でのプレゼンテーション 能力と質問力は社会人として,大事な資質 ですので,学会発表は良い機会を与えても らったと自覚して欲しいものです.ポス ター発表では,直接演者と対話し質問でき るのですから,質問力をつける良い機会か もしれません.ポスター発表の演者が説明 するでもなく,ただポスターの前に漫然と 立っている姿もよく見られます.こちらか ら質問しようと思っても,十分に説明して くれないのも困りものです.学会会員同士 の活発な質疑応答が,自由な知的活動の尺 度となり,ひいては学会全体の活性化の指 標となりますから,日頃の研究室のセミ ナーなどを通して「質問力」の向上を期待 したいものです.私の学会デビューのとき の質疑応答は忘れ得ぬ思い出で,良い質問 をすることの大切さは,その後今でも身に しみて実感しております.

農芸化学大会もほかの国内の学会大会同 様,年々巨大化し,しかも法人化されて何 となく自由な自主的な知識の交換の場とし ての地位が低下しつつあるのではないかと 危惧しております.幸い農芸化学会は,

「生命・食・環境」の標語のもと専門分野 の間口が広い割には,分野別の一般演題は ポスターより口頭発表形式が多く,小さな 学会のレベルを維持しており,全体として 比較的自由な雰囲気を保っているようで す.是非学生,院生や若い研究者は,学会 の年長者に気兼ねすることなく質問しやす い雰囲気を作り出して,農芸化学大会を盛 り上げて欲しいことを願っております.

Copyright © 2017 公益社団法人日本農芸化学会 DOI: 10.1271/kagakutoseibutsu.55.655

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プロフィール

平  秀 晴(Hideharu TAIRA)

<略歴>1968年東北大学農学部農芸化学 科卒業/1973年同大学大学院農学研究科 博士課程中退/同年福島県立医科大学助 手/1976年 米 国 エ ー ル 大 学 ポ ス ド ク/

1979年チューリッヒ大学ポスドク/1980 年東京大学教養学部助手/1985年東京都 臨床医学総合研究所主任研究員/1989年 岩手大学農学部助教授/1995年同教授/

2011年定年退官/同年同大名誉教授<研 究テーマと抱負>大学院でタンパク質生合 成,ペプチド鎖伸長因子の精製を手がけ,

その後インターフェロンによるウイルスタ ンパク質の翻訳阻害機構,ウイルス感染に よる細胞ストレス応答機構を生化学的に解 析してきた.ありがたいことにインター ネットのお陰で急速に進むタンパク質生合 成の詳細な分子機構や新たな発見を容易に 知ることができるが,読みたいと思ってダ ウンロードした論文も精々百分の一しか読 んでいない<趣味>人ごみの少ない美術館 や博物館を巡り,好きな作品や展示物を探 し,じっくり見ること

日本農芸化学会

● 化学 と 生物 

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