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化学と生物 Vol. 53, No. 5, 2015

農芸化学教育の重要性とゆとりのある研究環境の必要性

水光正仁

宮崎大学

巻頭言 Top Column

Top Column

今回,この巻頭言の執筆依頼と「日本農 芸化学会功績賞受賞」決定通知が同時に来 た.日本農芸化学会には,1974年に入会 し,ちょうど40年目となる.その節目に,

今までの研究と学会活動が認められたこと は最高の喜びである.地方大学で,今まで

「硫酸化」という研究キーワードを基に,

ただ頑固に,また自由に研究を展開してき た.学部から博士課程修了時まで,農薬化 学教室で「硫黄を含む核酸塩基類似体の合 成と生理活性」という研究を行い,それが 縁で,米国ロックフェラー大学のノーベル 賞学者リップマン教授の下で「硫酸化」の 研究をすることになり,今日までその硫酸 化の研究を継続している.大学院時代の研 究室は,自由な発想を重んじ,そして教室 の自主ゼミなどを通して,自由な研究議論 ができる環境であった.また,宮崎大学に 赴任してからも,自由な研究環境が与えら れた.さらに,留学したリップマン研究室 も,研究テーマが決定すると,自由に研究 を行わせてもらった.リップマン教授との 研究に関する打合せは,まず,「生活をエ ンジョイしていますか」から始まり,「よく 考えて,やることはシンプルに,そして論 文はシンプルストーリーに,かつ,再現性 あるデータですね」と念を押されていた.

今でも,この指摘を心に留めている.

国立大学が法人化され,中期目標・中期 計画の第1期に続いて,第2期も終えよう としている.この間,大学の管理運営に副 学長(目標・評価担当)

,そして大学院研

究科長など約10年間関与してきた.第3期 の中期目標・計画もほぼでき上がりつつあ り,それを見ていると,「大学の強み,機 能強化,組織改革」とやっかいなテーマが 続き,かつ,「教育の質の保証」に関して,

大学機関別認証評価がある.このあおりを 受け,大学の教員の仕事はますます多くな り,ゆっくりと研究を楽しむ時間が少なく

なっていくことだろう.

日本の科学技術は,主に国立大学や企業 が引っ張ってきたが,今,国立大学は教育 重視の大学へ変身しようとしている.この 中で,農芸化学の教育システムは,すっき りしていて,化学と生物を中心とした基礎 教育から,応用が求められる専門教育へと 体系的に整えられている.さらに,その教 育を受けたものは大学院教育で農芸化学を 極め,技術者または研究者への道を歩むこ とになる.私は,農芸化学の分野で教育を 受け,研究を行ってきた.一時,私の学科 で,教育負担を減らすことを考え,学生実 験を減らした時期があった.企業側から,

就職した学生の課題解決能力の低下を指摘 され,徹底した学生実験の教育が求められ た.実は,この学生実験が農芸化学の売り であり,技術の源であることに気づき,そ こからクラシックな学生実験から,今様な 分子生物学などの実験教育の必要性が重要 であることを改めて認識した.私も,学生 のとき,学生実験を経験して研究者の道に 気づき,大学院進学したことを思い出した.

一方,農芸化学分野の研究は,科学技術 の先頭を走り,また,社会のニーズに合っ た研究を行う実学の一部も担っている.し かし,忙しい中で研究をしているとつい重 要な部分を見逃し,研究実験を担当してい る学生諸君のデータを鵜呑みにしがちであ り,気をつけなければならない.再現性は 普遍性であり,極めて重要である.国も,

研究者に十分な研究時間と予算を与え,ゆ とりのある環境の下で30年先を見据えた 基盤研究をさせてもらいたいものである.

最後に,農芸化学の教育は課題解決能力 を身につけさせ,また,研究は基盤研究を 基にその応用は社会に大きく貢献すること を強調したい.

Copyright © 2015 公益社団法人日本農芸化学会

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化学と生物 Vol. 53, No. 5, 2015 プロフィル

水光 正仁(Masahito SUIKO)

<略歴>1974年九州大学農学部農芸化学 科卒業/1979年同大学大学院農学研究科 農芸化学専攻博士課程修了(農学博士), 宮崎大学農学部(旧農業化学科)助手,助 教授を経て現在教授.この間,1985年4月 から2年間,米国ロックフェラー大学博士 研究員(Lipmann Lab.),1999年4月から 10カ月間,米国テキサス大学客員教授

<研究テーマと抱負>翻訳後修飾および薬 物代謝における硫酸化の意義・機能の解 明.宮崎から硫酸化の情報を世界へ発信し 続けて30年,今後もまだまだ頑張らねば と思っています<趣味>専らスポーツをす ること.昔は器械体操,今は現役のソフト ボール選手,レフト1番.ゴルフを少々.

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