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「当事者福祉論」の可能性 - -自死遺族の支援の事例から - pweb

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日本社会福祉学会 第58 回秋季大会

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「当事者福祉論」の可能性

-自死遺族の支援の事例から-

○ 上智大学 岡 知史(会員番号248)

キーワード:当事者、自死遺族、自助グループ

1.研究目的

本研究の目的は、当事者の福祉活動への参加を支援する社会福祉の新しい一分野として の「当事者福祉論」を、自死遺族の支援を事例として具体的に展開し、理論的な考察を試 みることにある。これによって抽象的な概念にとどまっていた「当事者福祉論」の可能性 についてより詳細に検討することができるだろう。

2.研究の視点および方法

昨年度の日本社会福祉学会において報告者は新しい社会福祉の分野として「当事者福祉 論」を構築することを提案した(岡 2009)。それを要約すると、「当事者福祉論」は以下の 3 つの既存の研究を、当事者の積極的な社会参加に向けて、その「社会関係の主体的側面」

(岡村 1956)への支援を軸として統合しようとするものである。すなわち、①従来の社 会福祉論:障害者福祉論、医療福祉論、地域福祉論等の従来の社会福祉の枠組のなかで論 じられてきた当事者支援および当事者の組織化の研究、②当事者組織論:1970 年代から心 理学や社会学等の学問領域を超えて行われてきたセルフヘルプグループの研究、③当事者 学:2000 年代から「当事者の知を発信する自前の学問」(中西・上野 2003)として提起さ れている「当事者学」「当事者研究」「患者学」等と呼ばれる一連の当事者自身による研究 という 3 つの研究の流れを用いる。

その具体的な事例として、2008 年の夏から始まり、約 2 年間続いている自死遺族の自助 グループの複数のリーダーと報告者のかかわりについてとりあげ、そのリーダーへの報告 者の支援の内容を「当事者福祉論」という枠組みで整理する。なお、この関係は、事例と して報告者が研究しようとして始められたものではなく、リーダーの側から報告者に「支 援」を求めてきたことから始まっている。支援を求められたとき、報告者の側には自死遺 族についての知識はほとんどなかった。

3.倫理的配慮

この報告においては以下の点に留意してこれを倫理的配慮とする。①関係する当事者が 特定されないように個人の実名および団体の実際の名称を使用しない(ただし自著等で実 名が公表されている場合を除く)。②自死遺族の自助グループの主張は、すでに各団体の責 任において集会や文書、インターネット上等で公表されているものを用いる。

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日本社会福祉学会 第58 回秋季大会

2 4.研究結果

この自死遺族の支援において当事者福祉論の枠組を用いることは非常に有効であった。

その理由を先に述べた「当事者福祉論」の 3つの構成要素:①従来の社会福祉論、②当事 者組織論、③当事者学との関連で述べると以下のようになる。

まず、自死遺族の支援は従来の社会福祉の分野論では十分にとらえられない。精神保健 福祉論のなかでその支援を論じる研究者もいるが、自死遺族の問題を「精神保健福祉」の 枠内の問題としてとらえることは、自死遺族自身が厳しく拒否していた。このような新し い分野、特に当事者の側から提起された分野は「当事者福祉論」の枠組でとらえることが できる。

次に、報告者がかかわった自死遺族はすべて自助グループのメンバーであり、自助グル ープによってエンパワメントされていた。このように新しく社会に参加しようとする当事 者にとって自助グループは決定的に重要である。したがって、自助グループとその支援へ の十分な知識と技術をソーシャルワーカーは持つべきであり、それを当事者福祉論は提供 できる。

さらに、報告者がかかわった自死遺族は、グリーフケアに代表される専門職あるいは専 門的ボランティアによる「心のケア」を拒否し、また「悲嘆回復プロセス論」を中核とし た専門職の知の体系に否定的であった(岡・田中・明 2010)。これは、専門職の知識や技 術に対峙する当事者の「体験的知識」(Borkman, 1999)を発信しているものであり、やが て「当事者学」に通じるものとなるものだろう。この当事者による「知の発信」もまた「当 事者福祉論」が重視していることなのである。

なお、これは報告者がかかわった特定の自死遺族への支援を分析し、その結果を述べて いるのであり、すべての自死遺族を「当事者福祉論」の枠組で支援すべきだと主張してい るのではない。しかしながら、今後も社会福祉に出現する新しい「当事者」群には、以上 のような自死遺族の特徴がすべて現れる可能性があり、その点では「当事者福祉論」の有 効性には普遍性があると言えるだろう。

5.参考文献・資料

Borkman, T. (1999). Understanding self-help/mutual aid: experiential learning in the commons. New Brunswick, NJ: Rutgers University Press.

岡知史(2009)「当事者福祉論とは何か」『日本社会福祉学会第 57回全国大会』東京(法政 大学)http://pweb.sophia.ac.jp/oka/papers/2009/sw/

岡知史・田中幸子・明英彦(2010)「『グリーフケアは要らない』という声が自死遺族にはあ る」『地域保健』41(3), 23-27.

中西正司・上野千鶴子(2003)『当事者主権』岩波書店 岡村重夫 (1983)『社会福祉原論』全国社会福祉協議会

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