平成24年度広島大学理学部数学科 編入学試験学力検査問題
数 学
微積分,線形代数 (5問)
平成 23 年 7 月 15 日 自 9 時 00 分 至 12 時 00 分
答案作成上の注意
1 この問題用紙には,微積分と線形代数の問題が計5問ある。総ペー ジは表紙を入れて6ページである。
2 解答用紙は5枚(表面)である。解答はすべて問題番号と同じ番号 の解答用紙の所定の場所に記入すること。
3 下書用紙は,各受験者に2枚である。
4 受験番号は,すべての解答用紙(1箇所),下書用紙(1箇所)の 所定の欄に必ず記入すること。
5 試験終了後は,解答用紙の左にある番号の順に並べること。
6 配布した解答用紙,下書用紙は持ち出してはならない。
1
[1] λ を実定数とし,3次実正方行列 A, B を次で定める。
A=
0 1 0 0 0 1 0 0 0
, B =
λ 1 0 0 λ 1 0 0 λ
以下の問いに答えよ。ただし,3 次実正方行列 X, Y が可換であるとは,
XY =Y X が成り立つことである。
(1) A と可換な 3次実正方行列をすべて求めよ。
(2) B と可換な 3次実正方行列をすべて求めよ。
(3) B と可換な 3次実正方行列どうしは可換であることを示せ。
2
[2] 以下の問いに答えよ。
(1) 無限級数
∑∞ n=1
1
n が発散することを示せ。
(2) 無限級数
∑∞ n=1
1
log(n+ 1) の収束・発散を調べよ。
(3) 極限値 lim
x→0
(1
x − 1
log(1 +x) )
を求めよ。
(4) 極限値 lim
x→0
x2sin1x
sinx を求めよ。
3
[3] u(r)は区間 (0,∞)上で 2回微分可能な関数とし,さらに,u00(r) が (0,∞) 上で連続であるとする。関数 f(x, y) を
f(x, y) =u(r) (ただし,r=√
x2+y2) と定める。以下の問いに答えよ。
(1) ∂2f
∂x2(x, y) + ∂2f
∂y2(x, y) =u00(r) + 1
ru0(r) を示せ。
(2) ∂2f
∂x2(x, y) + ∂2f
∂y2(x, y) = 0 が成り立つためには,
u(r) =alogr+b (a, b は定数)
と表されることが必要十分であることを示せ。
4
[4] V を 3次元実線形空間,W をその 2次元部分空間とする。f は V の線形 変換で,f(W)⊂ W を満たすとする。また,v1,v2 は W の基底,v3 ∈ V は W に属さないベクトルとする。以下の問いに答えよ。
(1) v1,v2,v3 は V の基底であることを示せ。
(2) v1,v2,v3 に関するf の表現行列をA とし,A の (3,3)成分を aとす る。このとき,V の任意のベクトル v に対して,f(v)−av ∈W で あることを示せ。
(3) a は A の固有値であることを示せ。
(4) v∈/W ならば,f(v)6=av であるとする。このとき,Aの固有多項式 をΦ(t)とすれば,Φ(a) = Φ0(a) = 0であることを示せ。ただし,Φ0(t) は Φ(t)の導関数である。
5
[5] 以下の問いに答えよ。
(1) 広義積分
∫ e
1
1 r√
logrdr の値を求めよ。
(2) 広義積分
∫ ∞
e
1
r(logr)2 dr の値を求めよ。
(3) 次の広義重積分の値を求めよ。
∫∫
D
1 (x2+y2)
( log√
x2+y2
)2 dxdy
ただし,積分領域 Dを次で定める。
D={(x, y)∈R2 |x2+y2 > e2}
(4) 関数
f(x, y) = 1
(x2+y2) {(
log√
x2 +y2 )1/2
+ (
log√
x2+y2 )2}
についての広義重積分
∫∫
E
f(x, y)dxdy が収束することを示せ。ただ し,積分領域E を次で定める。
E ={(x, y)∈R2 |x2+y2 >1}
6