第 1 回 7 月 京大本番レベル模試 (2020 年 7 月 12 日実施)
採点基準 世界史
※ 以下の加点ポイントは目安です(加点ポイントは< >でくくり、得点として+1を付けている)。実際は個々 の答案の状況に応じて採点しています。
※ 学習の成果を少しでも拾いたいため、部分点はできるだけ与える方向で採点していますが、実際の入試では 同じ扱いとは限りません。完全な答案を目指して、しっかり復習しましょう!
Ⅰ 隋代から北宋初期までの科挙の変遷 (配点 20点)
※ 6行目に入っている答案を採点対象とする。
※ 15行目に入っていない答案は、加点ポイントを満たしていても満点にしない。(以上Ⅲも同)
<1 隋代の科挙>
① 官吏任用制度が科挙(隋代は選挙でも可)であること…1点
② ①が楊堅(文帝)によって創始されたこと…1点
③ ①が試験であったこと…1点
④ ①は儒学(儒教)の素養を問うたこと…1点
⑤ 目的:貴族の政界独占打破にあったこと…1点
※「中央集権化を目指した」なども可
⑥ 目的:有能な人材を登用するためであったこと…1点
⑦ 当時の政界(政治支配者)が門閥貴族であったこと…1点 ※背景として「門閥貴族の台頭」などを述べても可
⑧ 隋代では不徹底であったこと…1点
<2 唐代の科挙>
① 科挙が継承された(整備された)こと…1点
② 科目が増加した(3段階で行われた)こと…1点
③ 科挙の国定基準として『五経正義』が作られたこと…1点
④ ③が孔穎達によって編纂されたこと…1点
⑤ 唐代の儒学は訓詁学が主流であったこと…1点
⑥ 科挙では詩作の能力が問われたこと…1点
※「詩が科挙の科目となった」「唐詩が流行した」なども可
⑦ 唐代は貴族の子弟が特権を持っていたこと…1点
⑧ ⑦を蔭位制(蔭位の制)ということ…1点
⑨ 則天武后(武則天)の頃に科挙官僚が積極的に登用されたこと…1点
⑩ 唐中期以降に貴族が没落したこと…1点
※「戦乱で貴族の没落が決定化した」ことを述べても可
⑪ 新興地主層(有力地主)が台頭して政治支配者層を形成したこと…1点
※「新興地主が科挙に合格し官界に進出した」なども可
⑫ ⑪を形勢戸と呼ぶこと …1点
※⑫は宋代の⑦で述べても可
<3 北宋初期の科挙>
① 殿試が創始されたこと…1点
② ①が皇帝による最終試験であること…1点
③ ①が趙匡胤(太祖)によって制定されたこと…1点
④ 科挙が完成(重視)されたこと…1点 ※「皇帝専制政治の確立」などを述べても可
⑤ 文治主義が採られたこと…1点
⑥ 政治支配者層を形成した文人官僚は士大夫と呼ばれたこと…1点
⑦ ⑥の多くは新興地主層(形勢戸・形勢官戸)・富商・富農であったこと…1点 ※「⑥は知識人(読書人)であった」なども可
⑧ 科挙官僚を出した家は官戸(官戸形勢戸)と呼ばれたこと…1点
⑨ 宋学(朱子学)がおこったこと…1点
※「朱子が大成して朱子学と呼ばれた」ことを述べても可
<4 論理構成点>(=上記加点ポイントの他に、論理展開を意識している答案に与えるプラスアルファの点。
論述問題の解答は、単に歴史用語をつなげればいいというわけではないことを受験者に理解してほしいため に設けている。解答欄の右上欄外に,+1または+2を付けている。加点されない場合は数字なし。Ⅲも同)
① <1>~<3>がバランスよく書けていること…1点 ※<2>が多くてもよい
② <1>~<3>それぞれの時期の政治支配者層について明記されていること…1点
Ⅱ A オスマン帝国海軍の近代化 B ハルビンの歴史と建築 (配点 30点)
※ 漢字の誤りは不可
※ ひらがな表記は不可
※ b音をv音で表記しているものは不可
※ 空欄の後の語句を入れてしまった場合は許容(以上Ⅳも同)
A
a ボスポラスなど 可 ボスフォラス海峡× 許容 (1) アンゴラ 可
(2) プレベザ海戦など 可
(3) アブデュル=メジト1世など 許容 (4) カラ=ハン朝 可
(7)(ア) ウジェーヌ=ドラクロワ 可
(8) トプカプ,トプカピ宮殿 可
(9) ウラービー=パシャ,アフマド=ウラービー,オラービー,アラービー 可
(11) (ア) 統一と進歩委員会,進歩委員会など 可
(イ) ミドハド憲法など 不可
B
c 東清鉄道× 許容
d ウラジヴォストックなど 可
(14) 変法自強,百日維新,変法 可
(18) (ア) ウィッテ,セルゲイ=ヴィッテなど 可
(イ) 日韓協約 不可
Ⅲ 古代ギリシア民主政とローマ共和政 (配点 20点)
<1 古代ギリシアの政体変遷と国家>
① ポリスは独立した(都市)国家であったこと…1点
② ポリスの政体は多様であったこと…1点
※「アテネは貴族から民主政に移行した」「アテネは財産政治で平民の一部が政治参加できた」「スパルタは 王政が続いた」「植民市も母市と対等なポリスであった」など具体例も可
③ 平民が国防の主力になったこと…1点
※「平民の政治参加意識が高まった」なども可
④ (6世紀末に)アテネで民主政の基礎が確立したこと…1点
※「クレイステネスの改革」など具体例も可
⑤ ペルシア戦争に勝利したこと…1点
⑥ (ペルシア戦争後),市民に平等な参政権が与えられたこと…1点
※「成年男子による直接民主政が行われた」なども可
⑦ アテネで民主政が完成したこと…1点
※「民会が最高議決機関となった」など具体例も可
⑧ 民主政が諸ポリスに広がったこと…1点
⑨ (アテネを盟主として)デロス同盟が結成しされたこと…1点
⑩ ⑨はペロポネソス同盟と対立したこと…1点
※「アテネとスパルタが対立した」「スパルタがアテネに脅威を感じた」なども可
⑪ ペロポネソス戦争が勃発したこと…1点
⑫ (戦争中)アテネは衆愚政治に陥った(デマゴーゴスが現れた)こと…1点
⑬ ポリスは衰退したこと…1点
※「アテネが衰退した」など全般にアテネを例に説明しても可
<2 古代ローマの政体変遷と国家(共和政末期まで)>
① 前6世紀末まで王政であったこと…1点
※「エトルリア人の王に支配されていた」なども可
② ①から共和政に移ったこと…1点
③ 身分闘争が行われたこと…1点
※「貴族に対して平民が権利を主張した」なども可
④ イタリア半島の征服戦争が進んだこと…1点
⑤ 平民の身分が伸張したこと…1点
※「十二表法制定」「リキニウス・セクスティウス法制定」「平民会の設置」など具体例も可
⑥ ホルテンシウス法が制定されたこと…1点
⑦ ⑥によって,平民と貴族の政治上の権利が同等となった(身分闘争が終結した)こと…1点
⑧ 元老院が権力を持ち続けたこと…1点
⑨ 征服した都市を同盟市としたこと…1点
<3 古代ローマの政体変遷と国家(専制君主政まで)>
① オクタウィアヌス(アウグストゥス)が元首政(プリンキパトゥス)を開始したこと…1点
② ①は事実上の帝政であったこと…1点
③ 元老院が弱体化したこと…1点
④ ローマ市民権が拡大したこと…1点
※「カラカラ帝が(アントニヌス勅令で)ローマ市民権を全自由人に与えた」ことなども可
⑤ 皇帝権の強化が続いたこと…1点
⑥ ⑤は官僚制に支えられていたこと…1点
⑦ 専制君主政に移行したこと…1点
※「ディオクレティアヌスがドミナトゥスを開始した」なども可
<4 論理構成点>
① ギリシア<1>とローマ<2><3>がバランスよく書けていること…1点
※<2><3>を合わせて<1>より多くても可
② 古代ギリシア「民主政の基礎→完成→衰退」と古代ローマ「王政→共和政→帝政(元首政)→専制君主政」
という変遷がそれぞれ記されていること…1点
Ⅳ A ヨーロッパの宗教戦争 B イギリスの非同盟政策-「光栄ある孤立」 (配点 30点) A
a カルロス1世 不可 (皇帝としての名前を問うているので)
(1) ヤン=フス 可 (2) 2点満点
① 教皇の名:レオ10世…1点
② 贖宥状(免罪符)を販売したこと…1点 (3) ウォルムス帝国議会 可
(4) ドイツ大農民戦争 可 (5) 2点満点
① 諸侯(または帝国都市)にカトリック派かルター派の選択権を認めたこと…1点 ※カトリック,旧教(派) 可
※ルター派以外のプロテスタント,カルヴァン派 不可 ※2つの宗派を明記していなければ加点しない
② 個人の信仰の自由は認められなかったこと…1点 ※「(住民は)それぞれの諸侯の宗派に従う」なども可
(9) アルブレヒト=ヴァレンシュタイン,ワレンシュタインなど 可
(10) 2点満点
① 王家の名称:ブルボン家とハプスブルク家
※2つの王家を明記していなければ加点しない
②(ウェストファリア条約で)フランス(ブルボン家)が優位に立ったこと…1点 ※「神聖ローマ帝国の衰退(分裂,有名無実化,事実上解体)」なども可
(11) ジャン=ボーダン,ボダンなど 可
B
b ウィリアム=グラッドストン,グラッドストーン 可
c 南ア,ボーア,ブーア,ブール 可 南アフリカ(南ア)戦争×など 許容
(12) 第1回万国博覧会,国際博覧会 可
(13) カルナータカ戦争 可
(15)(ア) 複数書いている場合は不可
(イ) スミス 許容
(16) エドモンド=カートライト 可
(17) トラファルガルの海戦 可
(18) ドイツ同盟 可
(22) 2点満点
① 同盟国:日本,または日英同盟を結んだこと…1点
② (第一次世界大戦後の)四カ国条約(締結)で解消されたこと…1点
以上