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星雲・星団の観測的研究 - 国立大学法人 福岡教育大学

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Academic year: 2024

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星雲・星団の観測的研究

金光研究室 上野 アイ子 1、 はじめに

天体観測とは、天文学研究用のデータを取得するために、望遠鏡の光学系で作られた像を画像 化し、形、位置、明るさなどの情報を得ることである。19世紀後半頃までは天体の像を紙面にス ケッチすることにより画像化していた。写真技術が進歩するにつれて、天体観測にも写真技術が 用いられるようになり、眼視によるスケッチ観測と比較して、はるかに暗い天体を観測できるよ うになった。写真観測が始まってから約100年後、固体撮像デバイスが天体観測に実験的に使用 されるようになった。写真観測よりもさらに暗い天体を精度よくとらえようとする試みであった。

その後、固体撮像デバイスのうちの1つである CCD カメラの性能が急速に進歩し、天体用とし て、冷却CCDカメラが開発された。冷却CCDカメラで撮像された画像はコンピューター上でい くつかの画像処理を行うことによってはじめて研究などに利用できる画像となるのだが、20年前 のパソコンでは、多階調の画像表示が能力的に足りなかった。しかし、現在ではパソコンの性能 もめざましく進歩し、多階調のデータ処理ができるようになった。

このように多くの天文家に愛用されている冷却 CCD カメラと、現在多く出回っているデジタ ル一眼レフカメラを使って、カメラの設置方法から天体画像の取得、画像処理の手順を確立する。

今回の目的の天体は星雲・星団である。星雲や星団は暗くて淡いため、望遠鏡に天体を入れるこ とが困難で、眼視で天体を見つけることは難しい。このような天体を撮影し画像処理することで、

どんな天体にどちらが適しているかを調べていく。また撮った画像を研究材料として使えるよう に処理する手順を確立する。

2、観測装置・データ処理ソフト 望遠鏡(表1)

望遠鏡 メーカー 口径 焦点距離 視野 カ セ グ レ ン 反

射望遠鏡

三鷹光器 GNC-40

400mm 5200mm 25mmの接眼鏡で13.8’

観測装置(表2)

カメラ メーカー 画素数 AD変換 冷却CCDカメ

SBIG社

ST-6

375×242(9万

画素)

16ビット フィルター:なし

デ ジ タ ル 一 眼 レフカメラ

Nikon D200

3872×2592

(1千万画素)

12ビット 画質モード:RAWファ イル

データ処理ソフト

・CCDOPS (ST-6専用コントロール・画像処理ソフト)

・ステライメージver.5 (AstroArts社)

(2)

3、データ処理 〔観測の流れ〕

(図1)観測の流れ

〔本研究における画像処理の方法〕

① ダーク・フラット補正

(オブジェクトフレームには、観測天体とノイズ成分を含んでいるため、オブジェクトフレー ムからダークフレームを引くことでノイズ成分を除去した画像を取得できる。本研究ではこ こまでの過程をCCDOPSで自動的に行った。さらに、CCD各画素の感度ムラを除去するた めにフラットフィールド補正を行う。本研究ではドームに一様な光を当てて撮像した。フラ ットフィールドのオブジェクトフレームからダークフレームを自動的に引き、ノイズを除去 した画像で先ほどの観測天体のノイズを除去した画像を除算する。)

②ホット・クールピクセル除去

(ダーク/フラット補正後に残った輝点・黒点を取り除く。)

③ コンポジット

(複数枚の画像を合成する。写真や画像に含まれるノイズ分布は規則性がないので、数多くの フレームを重ね合わせることによって、それぞれのフレームのランダムなノイズが平均化され、

なめらかな画像なる。その結果、ノイズに埋もれていた構造が出てくる。)

観測天体の光

40cm反 射望遠鏡

CCDOPS FD に保存

ステライメージ画像処理

冷却 CCD カメラ

デジタル一眼レフカメラ メモリカードに保存

÷ = 画像

オブジェクトフレーム ダークフレーム フラットフィールドフレーム ダークフレーム

(3)

4、観測天体(表3)※主要なものだけを抜粋

観測天体 カメラ 観測日 露出時間(S) 温度(℃) ISO感度

M57 一眼レフ 2007/8/7 300 ISO1600

M13 一眼レフ 2007/8/9 300 ISO1600

M57 CCD 2007/9/20 300 -16.7

M57 一眼レフ 2007/10/2 180 ISO1600

M13 CCD 2007/10/4 300 -20.0

M31 CCD 2007/10/18 60 -25.3

M31 CCD 2007/10/23 300 -25.1

M13 CCD 2007/11/8 300 -25.1

NGC7662 CCD 2007/11/28 30 -25.4

M42 CCD 2007/12/18 1.0 -20.2

M42 CCD 2008/1/9 60、30 -19.9

M42 一眼レフ 2008/1/9 30 ISO1600

星雲とは分子ガスや原子ガス、プラズマなどの星間物質が輝いている天体。散光星雲、暗黒星雲、

超新星残骸、惑星状星雲がある。星団とは、多数の恒星や集団をなしている天体で球状星団と散 開星団の2種類がある。今回は観測した天体から星雲M57と星団M13の画像処理を例として示 す。M57は実視等級9.3等で、距離2600光年。こと座にあり、リング状に見えることで有名な 惑星状星雲。リング星雲、環状星雲、ドーナッツ星雲などと呼ばれている。星の終期に放出され て球状に広がったガスが、中心星からの紫外線を受けて蛍光灯のように光っているものである。

M13は実視等級 6.4等で、距離2万2000光年。美しさでは全天一といわれ、双眼鏡でも望遠鏡 でも楽しめるすばらしい球状星団である。日本では南中するとほぼ天頂付近になるので、大気の 影響を受けにくく、シーイングのよいときの見え方は非常に見事なものとなる。満月の 3分の 1 ほどの大きさを持ち、50万個もの星が含まれる大集団で、実直径は約100光年におよぶ。

5、M57、M13の画像

(M57の画像 冷却CCDカメラで撮像)

【↑オブジェクトフレーム(画像1)】 【↑光度分布を2Dグラフで表したもの(グラフ1)】

(4)

(M57の画像 デジタル一眼レフカメラで撮像)

【↑オブジェクトフレーム(画像2)】 【↑光度分布を3Dグラフで表したもの(グラフ2)】

(M13の画像 冷却CCDカメラで撮像)

【↑オブジェクトフレーム(画像3)】 【↑画像処理したもの(画像4)】 6、まとめ

今回、冷却 CCD カメラとデジタル一眼レフカメラを使って天体観測をしてみた。それぞれの 特性から考えると本学の冷却 CCD カメラは感度が良く、暗い天体を撮影することができるが、

カメラのレンズをのぞきながら天体をフレームの真ん中に入れることができないため、位置合わ せをするのが難しい。また、コードをパソコンと繋いだりする準備に手間がかかる。そして画素 数が少ない(9 万画素)ということとパソコンとの接続方法がシリアル接続であるため、データ の転送速度が遅いことが難点である。現在ではUSB接続が主流であるので、新しい機器を取り入 れる必要があると考えられる。しかし冷却することでノイズが少なくなるので、より天体向きで ある。現在SBIG社の最新の冷却CCDカメラでは420万画素のものもあり、本学にもこのよう な機器を導入することで、さらなる発展ができることだろう。デジタル一眼レフカメラは、暗い 天体を入れるのが困難ではあるが、カメラのレンズをのぞきながら天体を入れることができるの で、明るい天体ならば、位置合わせが簡単である。また、望遠鏡のアイピースを外して、そこに はめ込むだけなので準備が簡単で、撮った画像がすぐにみることができる。以上のことから、暗 い天体の細部まで写したいときは冷却 CCD カメラが適していて、明るく肉眼でも見える天体に はデジタル一眼レフカメラで撮影したほうが、スムーズに観測することができるということが分 かった。また今回の画像は画像の圧縮や天体の情報を変換していないので、そのままの情報が残 っているため、研究材料として使えると考えられる。今後の課題は、今回の観測データをもとに、

ステライメージを使って光度測定を行っていくことと、他の天体も観測することである。

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