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Paula Barrette - 国立大学法人 福岡教育大学

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Academic year: 2024

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平成25年度サバティカル研究者( B(一般))研究成果報告書 平成26年 4月 18日 福岡教育大学長 殿

所属講座・センター 教職実践講座 職 名 教授

氏 名 小泉 令三 ○

研究実施場所

福岡教育大学/クイーンズランド大学

受入教員の職・氏名

教授・Paula Barrette

研究期間

平成25年10月1日 ~ 平成26年3月20日

研究題目

子どもの社会性育成のための学校・家庭・地域社会の連携 研究成果概要(別紙のとおり)

(2)

研究成果概要

1.研究の目的

わが国の子どもの社会性を育成するために,学校・家庭・地域社会の連携が進められる ように,海外における取組について調査研究を行い,今後の教育実践のための知見を得る。

2.研究の内容

(1)家庭や地域社会の環境が厳しい子どもを含めた全ての子どもの社会的能力を育成し,将 来の社会的自立が図れるように,小学校入学前または家庭を対象に教育プログラムを用 いて支援している海外の研究サイトに滞在し,その研究方法と実施状況を調査研究した。

(2)研究サイトにおける研究成果の社会的実装方法を調査し,わが国の教育実践への適用を 図るための方策を検討した。

3.研究の方法・進め方

(1)幼児を対象とした心理教育プログラムの内容と実施方法を調査した。

(2)保護者を対象とした心理教育プログラムの内容と実施方法を調査した。

(3)わが国での実践の拡大に向けて,有効な方策を検討した。

4.研究体制

本学でこれまでの研究を継続し推進するとともに,平成25年12月~平成26年1月の 3 カ月間は,クイーンズランド大学(オーストラリア,ブリスベン市)において受入教員 とその共同研究者等との連携により調査研究を行った。

5.平成25年度実施による研究成果

(1) 幼児を対象とした心理教育プログラムの内容と実施方法の調査

○フレンズプログラム

クイーンズランド大学のポーラ・バレット(Paula Barret)教授が開発したフレンズ・

プログラム(FRIENDS Programs)は,子どもの不安の軽減やうつ病の予防を目的にした学習 プログラムで,認知行動療法とポジティブ心理学を基盤としている。4~7歳を対象とした ファン・フレンズ(FUN FRIEMDS),8~12歳対象のフレンズ・フォー・ライフ(FRIENDS FOR LIFE),13~15歳用のマイ・フレンズ(MY FRIENDS),そして16歳以上向けのストロング・

ノット・タフ(STRONG NOT TOUGH)といったプログラムが用意されている。

○プログラム実践の体験

ファン・フレンズの10日間集中講座に,ファシリテーターの補助者として参加する機会 を得た。プログラムに参加したのは4~7歳の幼児9名で,通常は1週間に1回のペースで 実施する内容を,夏休みを利用して 2 週間の間に連続して体験する形態になっていた。1 回90分のセッションの間に,全員でゲーム,歌,身体運動,ワークブックの記入などを行 い,学習を進めていた。この間,隣室では別の担当者によって,保護者用のセッションが 並行して実施されていた。

(3)

○プログラムの実践と普及方策

プログラムの普及はパスウェイズ健康研究センター(Pathways Health and Research

Centre)で行われている。これは大学外にある組織で,NPO法人のような運営形態である。

大学院生やポストドクターが研究を実施して論文にまとめ,エビデンスを発信するととも に,センターでもスタッフを雇用して,集団セッションあるいは治療的な色彩の強い個人 セッションを実施している。センターでのプログラムへの参加は有料で,医師の紹介によ る治療であれば健康保険が適用される。

学校や幼稚園等では,教師やスクールカウンセラー,あるいはチャプレン(学校や機関 にいる聖職者)が一定の訓練を受けて実施している。なお,幼稚園や小中学校等での実践 には,時間数や実施状況(授業数,グループの大きさなど)に差があるようである。

(2)保護者を対象とした心理教育プログラムの内容と実施方法の調査

○トリプルP

クイーンズランド大学のマシュー・サンダース(Matthew Sanders)教授が開発したト リプルP(Triple P: Positive Parenting Program)は,保護者のための子育てプログラム で,1979年の開発以来30年以上にわたって,改良と拡張が続けられてきている。このプ ログラムは,保護者の子育てに関する自己効力感の向上と行動の改善を図り,それによっ て子どもの社会的能力や自尊心を高め,問題行動の予防を進めることを目的としている。

現在,教材や指導書は17の言語に訳され,25ヶ国以上で実施されている世界的規模のプ ログラムの一つとなっている。

○プログラムの実践と普及方策

トリプルPの全世界での普及を目指して,トリプルPインターナショナルという会社が 設立されており,ブリスベンの本社で約40名,国外では全世界で約50名のスタッフが勤 務している。クイーンズランド大学とプログラム使用に関する契約を結び,大学に使用権 料を支払うとともに,ユーザーの反応や新たなニーズを大学側にフィードバックしている。

プログラムの実際の運営は国によって異なるようであるが,オーストラリアでは州政府 や自治体がトリプルPインターナショナルと契約を結んで,キリスト教会等が運営する福 祉関係の NPO 法人等で働くソーシャルワーカー等の社会福祉活動の専門家に訓練の提供 を依頼する。そして,これらのワーカーが無償で,担当区域の保護者にプログラムを提供 するようなシステムになっている。なお,参加保護者の中には,虐待に関連して司法機関 等から受講を義務づけられる者もいるとのことであった。

一方,大学ではサンダース教授が運営する子育て・家族支援センター(Parenting and

Family Support Centre)において,博士課程の学生を中心にプログラムの改良と新たな

バージョンの開発および効果検証が行われ,エビデンスにもとづく研究成果が蓄積・発信 されている。滞在期間中には,祖父母対象版,オンライン版,いじめを受けた児童生徒の 保護者対象版,そして中国での効果検証等が進行中あるいは論文発表準備中の状態であっ た。大学における研究と,大学外のトリプルPにおけるプログラム普及活動の連携が効率 よく進められており,社会科学分野における産学連携の先駆的モデルの一つと言えよう。

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6.今後の予想される成果(学問的効果、社会的効果及び改善点・改善効果)と研究の展望 わが国の子どもの社会性を育成するために,サバティカル研究期間中の国外における調 査研究をもとに,実践の拡大に向けての有効な方策の検討をおこなった。

○社会性と情動の学習の拡張

これまで,子どもの社会性を高めるための学習プログラムとして,社会性と情動の学習 の枠組みの中で,SEL-8S(Social and Emotional Learning of 8 Abilities at the School) を開発し,効果検証と社会実装を行ってきた。これは,義務教育段階の小中学生用である が,今回のオーストラリアでの調査により,入学前の幼児向けの学習プログラムの必要性 と,また保護者との連携やさらには保護者への働きかけを意図した取組の必要性を強く感 じた。さらに,これらの実践を推進するための教師対象のプログラムも検討している。

(a) 幼児向けSELプログラム

すでに学習プログラムの構成案は作成しているが,具体的な内容作成はこれからの作業 である。日本の幼稚園や保育所の実情に合わせた実施が可能なように工夫をし,また適切 な指標によって効果検証を行っていきたい。

(b) 保護者との連携および保護者への働きかけ

わが国でも保護者との連携の必要性はよく言われるが,推進の方策については,あまり 具体的な取組は提案されていない。そこで,学校でのSEL-8Sの実践に,保護者も積極的 に位置付けた取組を検討していきたい。すなわち,学校だけでなく家庭でも子どもの社会 的能力を伸ばせるように,保護者に積極的な関与を依頼し,それを通して学校と家庭との 連携を推進していく方法である。

将来的には,これをさらに進めて,子どもへの家庭での教育を機に,保護者自身の子育 てにおける社会的能力を高めることができるプログラムの開発を考えていきたい。義務教 育段階以前の子どもを介しての保護者への働きかけという点では,保護者だけを対象とす る従来の取組よりも,さらに幅広いアウトリーチが可能になると予想される。

○教師のための研修プログラム開発

子ども(幼児,児童,生徒)を対象としたSELプログラムの実施や,保護者を積極的に 位置付けた実践には,教師の指導力の向上が欠かせない。わが国では,SELプログラムの 運営を行う担当者(エージェント:agent)が不足しているので,教師の役割は重要であ る。

すなわち,オーストラリアの場合,学校においては教師のみならずスクールカウンセラ ーやチャプレン(学校にいる聖職者)といったエージェントがいて,学習プログラムのた めの訓練を受け,実践をリードしている。また,地域社会にあっては,キリスト教会等が 運営する福祉関係の NPO 法人等で働くソーシャルワーカー等の社会福祉活動の専門家が エージェントとなって,保護者支援にあたっている。こうした人材が恒常的に配置されて いる学校や地域は日本ではごくまれであり,学校の教師が果たす役割は大きい。

よって,教師のための研修プログラムの必要性が高まると予想されるので,その開発と

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効果検証を行っていきたい。

7.主な学会発表及び論文等(予定を含む)

・幼児向けSELプログラムの作成と効果検証(予定)

・学校におけるSEL-8S実践を通した保護者との連携および保護者への働きかけ(予定)

・教師のためのSEL-8S研修プログラム開発と効果検証(予定)

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