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東アジア地域主義における日本とASEAN 視点 Point of View

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将来 の歴史 家が 今世紀 初頭の 日本 外交を 回顧 す るとき 、彼ら はそ れを東 アジア 地域 主義の 胎動 期 として 特徴づ ける ことに なるか も知 れない 。そ れ がさし あたり 意味 するも のはA SE ANに 日中 韓 を加えた「ASEAN+

3」の制度化である 。そ し

て、小泉首相が

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日にシンガポールで 行っ た 演説は 、現時 点で の日本 政府の 考え 方を集 約的 に 示したものといってよい。

演説には

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つのポイントがある。第1は 、「共 に 歩み共 に進む コミ ュニテ ィ」を 東ア ジアに 構築 し ようと いう提 案で ある。 その中 心的 メンバ ーに 想 定 さ れ て い る の は 日 本 、A S E A N諸 国 、 中 国 、 韓国、オーストラリア、ニュージーランドであ り、

それら 諸国 が「歴 史、文 化、民 族、 伝統な どの 多 様性を 踏まえ つつ 、調和 して共 に働 く集ま りと な ること を希望 しま す」と 首相は 表明 してい る。 そ のよう なコミ ュニ ティを 構築す るの は、東 アジ ア は「近い将来もっとも発展する可能性のあ る地 域」

であり、「協力を進めることで、この可能性を最 大 限引き 出すこ とが できる 」から であ る。そ うし た 認識の 背後に は、 日本に とって はグ ローバ ルな 枠 組がひ きつづ き緊 要であ るもの の、 それだ けで は 最適な 環境を 確保 できそ うにな いと いう判 断が あ るのであろう。そして、「中心的メンバー」の筆 頭 に日本 自身を 挙げ る以上 、コミ ュニ ティの 構築 は 東アジ アの経 済的 ダイナ ミズム の内 部に日 本を 組 込むことを眼目とするのであろう。

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は、東アジアのコミュニ ティ は「日 ・ASE

AN関係 を基礎 とし て、拡 大し つつあ る東 ア ジ ア 地域協 力を通 じて 」形成 され るべき であ るとの 主 張である。その理由を想像するのは困難ではない。

ASEANは、通貨・経済危機や指導者の世代交代、

インド ネシア の混 乱など によ って自 らの 基盤を 弱 め、経 済格差 の大 きいイ ンド シナの 新メ ンバー を 含めた 一体感 を確 立でき ない でいる 。そ して国 際 社会に おける 存在 感を増 大さ せる中 国が 、かつ て 東南アジアに向った直接投資を吸収するととも に、

経済上の競争者として現れたことに当惑している。

これに 対し て中国 は 、「ASEAN+

3」 の対話 が 5

年前に 開始 される と、東 南ア ジ ア 外 交 を に わ か に活 発化さ せ、 中・ASEANの 「自 由 貿 易 地 域 」 を提唱 するま でに なった 。そ うした なか で小泉 首 相は 、日・ASEANの絆 を再確 認す る と と も に 、

「ASEAN+

3」 におけ る主 導権の 確保 を図っ た

ものと考えられる。

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は、東 アジ アのコ ミュ ニティ にお ける実 際 の協力 は域外 との 密接な 連携 の上に 成り 立つ、 と いう指 摘であ る。 具体的 には 、安全 保障 と経済 の 両面か らみ て地域 にお ける米 国の 役割は 「必要 不 可欠」 であり 、日 本は米 国と の同盟 関係 を強化 す ると明 言して いる 。東ア ジア のコミ ュニ ティは 米 国をメ ンバー に含 めてい ない が、小 泉首 相は日 米 同盟こ そは地 域安 全保障 の基 盤と再 確認 した。 そ のこ とは、 米国 をメン バー に含むARFに つ い て さえ、「中国は冷戦が終焉した以上、もはや東南 ア ジア地 域には 米国 の同盟 シス テムや 前方 基地配 備

No.118 / 2002/5 6

東アジア地域主義における日本とASEAN

Japan and ASEAN in East Asian Regionalism

小笠原 高雪

アジア太平洋研究センター 客員研究員

OGASAWARA Takayuki, Adjunct Research Fellow, Center for Asia‑Pacific Studies

【プロフィール】

1961年生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、同大学院にて国際政治学を専 攻。シンガポール大学客員研究員、ベトナム社会科学院客員研究員、北陸大学助教授な どを経て、現在、山梨学院大学法学部教授。日本国際問題研究所客員研究員。

【主要著書】

『転換期のASEAN』(共著、日本国際問題研究所、2001 年)、『アジア政治経済論』

(共著、NTT出版、2001 年)、『ベトナムの国家機構』(共著、明石書店、2000 年)、

『地域の世界史⑫地域への展望』(共著、山川出版社、2000 年)、『現代アメリカ外交の 転換過程』(共著、南窓社、1999 年)

視点 Point of View

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は必 要ない とし、ARFの場 を使 って同 盟 を 解 消 させようとしている」(ジェームズ・アワー)といっ た懸念 が聞か れる 状況の なかで 、重 要な意 味を 持 つであ ろう。 首相 はさら に、太 平洋 諸国や 欧州 と の連携も重要であり、APECとASEMは東ア ジ アと他 の地域 をつ なぐ重 要な手 だて である と指 摘 している。

筆者 は以上 のよ うな考 え方に 賛成 である 。何 よ りも注 目すべ きは 、中国 の国力 の増 大を正 面か ら 受けとめて、中国を取り込んだ地域秩 序を日 ・AS EANの協 力を基 礎に 形成し よう として い る こ と である 。そこ には 経済の ダイナ ミズ ムを重 視し つ つも、 それを 日本 の国益 にとっ て望 ましい 方向 に 導こう とする 外交 的意思 が感じ られ るし、 二国 間 外交の 単なる 集積 を超え た地域 政策 に対す る志 向 も看取 される 。そ れは東 アジア を再 定義す る試 み である といっ ても よい。 東アジ アは 歴史的 には い わゆる 中華世 界を 中心と する概 念で あり、 ベト ナ ム以南 の東南 アジ アを含 めて広 義に 用いる 場合 も 狭義の 東アジ アの 延長と して観 念さ れる傾 向が 強 い。こ れに対 して 海洋部 を中心 とす る東南 アジ ア は、 土着の 基層文 化 に 多 様 な 外 来 文 化 が 重 な り 、 後者の 源流で ある 域外国 との緩 やか な紐帯 を含 む 開放的 な地域 性を 特色と する。 東南 アジア の新 興 諸国 はASEANを媒 介と して 多 重 的 な 国 際 関 係 を発 達させ てきた し、 日本はA S E A Nと の 対 話 をもっ とも早 く制 度化し てきた 実績 を持つ 。以 上 のようにみるならば、日・ASEANの連携 を基 礎 に新し い東ア ジア を構想 するの は、 学問的 にも 政 策的にもきわめて刺激的な営為といえよう。

しか し演説 が立 派であ ればあ るほ ど、そ れが 掛 声倒れ に終わ った 場合の 失望も 大き いであ ろう 。 首 相 は 日 ・A S E A Nが 協 力 す べ き 分 野 と し て 、

「繁栄のための協力 」「安定のための協力 」「未来 の ための 協力」 を挙 げた。 筆者は 日本 が地域 の安 定 のた めにASEAN諸 国と 協力 す る の に 賛 成 で あ るし、 日本が 安全 保障上 の役割 を現 状程度 に制 限 したま ま地域 的な 存在感 を確保 する のは長 期的 に は困 難であ ると考 えて いる。 そ し て 、A S E A N 諸国の 側にお いて も、米 国との 同盟 関係を 有す る 日本が 地域の 治安 維持に 役割を 果す ことを 求め る 声は少 なから ず存 在して いる。 しか し、そ れに も かか わらず 、現時 点で のASE A N諸 国 の 最 大 の

対日期 待は、 経済 先進国 に相 応しい 役割 をしっ か り果すことにあるといわねばならない。

この点に関連し、首相は

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世紀の国際社会の 大 きな変化に適応するため、日本は「第三の 大改 革」

を必要 とす ると述 べて いるが 、そ れは「第三の 開 国 」(1999 年の奥田 ミッション報告)なみ のイン パ クトを持ちうるだろうか。首相はまた、「幅広い 分 野での 経済連 携」 を強め る必 要を説 いた 上で、 一 例とし て演説 前日 に署名 され たシン ガポ ールと の 経済 連携協 定を 挙げて いる が、そ うし た例示 はA SEAN諸国 に十分 な希 望を与 える も の で あ ろ う か。も とより 国内 改革に 時間 が必要 なの は日本 に 限った ことで はな いし、 中国 の自由 貿易 地域案 が

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年後に 実現 すると 考え ているASEAN諸国 は 少ない 。しか し、 それに もか かわら ず、 農業分 野 を含 む日本 の国 内 市 場 が 大 き く 開 か れ な け れ ば 、 ASEAN諸国 の失 望感が 深ま る こ と は 確 実 で あ る。ODAの拡大 が困 難にな った ことを 制 約 要 因 とみる のでは なく 、内外 政策 を見直 す好 機と捉 え ることは可能であろうか。

ま た、ASEANの一体 性を 促 進 す る 観 点 か ら は、イ ンドシ ナ開 発によ る域 内格差 の是 正が急 務 であろうし、それを日・ASEANの 協力 分野の 一 つに位 置づけ るこ とも有 益で あろう 。率 直にい っ て、 筆者は かつ て、ASEANの 拡 大 は イ ン ド シ ナ開発 の進展 とと もに段 階的 に進む もの と考え て いたし 、現実 の展 開は拙 速で はなか った かとい う 思いは 現在も ある 。しか し、 だから とい って、 す でに 拡大を 遂げ たASEANを 再 び 分 裂 さ せ る こ とは賢 明であ ろう か。も しそ れが望 まし くない な らば 、日本 を含 む国際 社会 は域内 格差 の是正 をA SEAN自身 の課題 と位 置づけ 、 こ の 問 題 へ のA SEANの取 り組み を強 く支援 して ゆ く べ き で あ ろう。

日 本国際 問題 研究所 は平 成

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年 度 の

2ヵ

年にわたり、「東アジア地 域秩序 とASEAN」 研 究会を 組織し 、各 分野の 研究 者や実 務家 の参画 を 得て多 角的な 研究 を重ね てき た。そ の成 果は山 影 進編『東アジア地域主義と日 本外交 』(仮題)と し て今秋 公刊さ れる 予定で ある 。学問 的に も政策 的 にも何らかの参考になればと考えている。

JIIA Newsletter

No.118 / 2002/5 7

Referensi

Dokumen terkait

東アジア地域協力の現況 中西寛(京都大学教授) *本コラムは、韓国外交安保研究院と当研究所の主催で2009年10月29-30日に ソウルで行われた日韓協議に際し作成したディスカッション・ペーパーである。 はじめに 過去1年の間に東アジア地域情勢に影響する要因として以下のような項目を挙げること ができよう。 1) 米オバマ政権の発足 2)