正負 1 ビット直交交互出力型送信機 変調部の FPGA 実装
7306149 薬師神 徳之
1 1 1
1....はじめにはじめにはじめにはじめに
包絡線パルス幅変調(EPWM)型送信機と2値直 交交互出力型送信機の比較[1]において,2値直交 交互出力型送信機は電力効率の点で EPWM 型送 信機に劣る事が分かった.
この課題を解決する改良案として正負1ビット 直交交互出力型送信機が提案されている.現在正 負1ビット直交交互出力型送信機は数値解析ソフ ト上で組まれている.しかし最終的にハードウエ アとして実現を目指すのでハードウエア上に実装 可能であるか,また可能であるならば実装しその 動作を検証・評価する必要がある.
そこで本報告では,ハードウエア化の第一歩と して正負1ビット直交交互出力型送信機のFPGA 実装を行う.FPGAとは,内部論理回路を製造後 に定義・変更できる集積回路である.具体的には 数 値 解 析 ソ フ ト(Simulink)上 で 組 ま れ て い る モ デルを FPGA に実装可能な形式で書き換えて動 作させ,さらに FPGA 実装しその動作を確認す る.
2.
2.
2.
2. 送信機送信機 の送信機送信機のの 構成の構成構成構成 (2.1)
(2.1) (2.1)
(2.1)正負正負正負正負1111ビットビットビットビット ⊿⊿⊿Σ⊿ΣΣ 変調機部Σ変調機部変調機部変調機部
−1
Z−1 Z
−1
Z−1
Z ZZ−−11
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
1
1 11/2/2 1
1 11/2/2
量子化器 量子化器 量子化器 量子化器
+ +
+ +
+ +
+
+
+ +
+ +
+ + 入力
正側出力負側出力
正側1ビット出力部
負側1ビット出力部
・
・
・
・
・
・
図1.正負1ビット⊿∑変調器部回路構成
⊿∑変調器はパルス密度変調の一種であり1ビ ット量子化器として動作する.本⊿Σ変調器では 0 を出力することが可能であり,それによって電 力効率が向上している.
(2.2) (2.2)(2.2)
(2.2)正負正負正負正負1111ビットビットビットビット 直交交互直交交互直交交互直交交互 アップコンバージョンアップコンバージョンアップコンバージョン 部アップコンバージョン部部部
I-ch
Q-ch
正負1ビット ΔΣ変調器
正負1ビット ΔΣ変調器
++ ++ COS
CLK SIN CLK XOR XOR ANDAND
AND AND
++ ++
SIN CLK
-SIN CLK XOR XOR ANDAND
AND AND
++ ++ fc fc/2
fc/2 fc I,Q-ch交互出力部
正側1ビット出力部
正側1ビット出力部
負側1ビット出力部 負側1ビット出力部
・
・
・
・
図2.正負1ビット直交交互アップコンバージョン回路部
3.FPGA 3.FPGA3.FPGA
3.FPGAへのへの 実装へのへの実装実装実装
図1,2で示した回路をFPGAに実装可能なブロ ックで作成し,シミュレーションを行ったところ 正常に動作することが分かった.そこでハードウ ェア記述言語でかかれたネットリストファイルに 変換しUSBケーブルでFPGAに実装し,実際に FPGAと通信しながらシミュレーションを行った.
この際⊿Σ変調器部と正負1ビット直交交互ア ッ プ コ ン バ ー ジ ョ ン 回 路 部(以 降 ア ッ プ コ ン バ ー ジョン回路部と略称)を同時に変換すると,エラー が発生し正常に変換できなかった.正常に変換で きない原因としては⊿Σ変調器部とアップコンバ ージョン回路部で動作周波数が大きく違い,遅延 に対する処理がうまく出来ていないことが考えら れる.
解決策として⊿Σ変調器部とアップコンバージ ョン回路部を別々に変換,実装することによって 本送信機をFPGA実装することに成功した.
4.
4. 4.
4. 評価方法評価方法評価方法評価方法
本 送 信 機 の 評 価 方 法 と し て 変 調 精 度(EVM:
Error Vector Magnitude)を用いる.変調精度は以 下の式で示す.
分 母には本 来復元さ れるはず の値(真値)を代 入 し,分子には実際の測定値と真値の差異(誤差ベク トル)を代入しその平均をとったもので,元の信号 点と復調した信号点においてどれだけのずれがあ るかを表す.図3にその概念図を示す.
図3.EVM(Error Vector Magnitude)概念図
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5.
5.結果結果結果結果
FPGAに実装可能なブロックに置き換える前の シミュレーション結果を図4に示す.次にFPGA に実装可能なブロックで置き換え,FPGAに実装 し通信しながらシミュレーションを行った結果を 図5に示す.
図4,5よりFPGAに実装可能なブロックに置き 換える前よりEVMは0.2dB劣化していることが 分かる.しかし目標のEVMである30dBに近く
29.1dB となっていることから良好な伝送特性を
示していることが分かる.
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6.結論結論結論結論
正負1ビット直交交互出力型送信機のFPGA実 装において⊿Σ変調器部とアップコンバージョン 回路部に分けて実装すると,正常に動作し正負 1
ビット直交交互出力型送信機の FPGA 実装は成 功した.今後の課題としては⊿Σ変調器部とアッ プコンバージョン回路部を同時に実装すること,
測定器を用いた実際の波形の計測などがあげられ る.
- 4 - 3 - 2 - 1 0 1 2 3 4
-4 -2 0 2 4
EVM 29.3dB
図4.ブロックを置換する前のシミュレーション結果
- 4 - 3 - 2 - 1 0 1 2 3 4
-4 -2 0 2 4
EVM 29.1dB
図5.FPGA実装後のシミュレーション結果
表1.シミュレーション諸元
参考文献参考文献 参考文献参考文献
[1] 和 泉 宏 典 電 子 情 報 通 信 学 会 総 合 大 会 講 演 論 文 集 巻:2011 頁:502年:2011
変調方式 16QAM
シンボルレート 12.5symbol/s 搬送波周波数 1kHz
⊿∑変調器動作クロック 500Hz オーバーサンプリングレート 40
FPGA動作クロック 4kHz エンコードソフト ISE System Generator
∑
=+
− +
=
Nn−
n n
n n n n
Q I
Q Q I I
N
1 2 22 2
ˆ ˆ ˆ ) ( ˆ )
1 (
真値の大きさ
誤差ベクトルの R M S
EVM . .
=
真値 測定値
誤差ベクトル
I
Q [I,Q]
ˆ ] ˆ , [ Q I
I
I Q
Q