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水晶基板上での水平配向単層カーボンナノチューブの成長過程

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第49回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (2012-5)

水晶基板上での水平配向単層カーボンナノチューブの成長過程

Growth Process of Horizontally Aligned Single-Walled Carbon Nanotubes on Crystal Quartz Substrates

伝学 * 井ノ上 泰輝 (東京大) 長谷川 大祐 (東京大)

Saifullah Badar (東京大) 伝正 千足 昇平 (東京大)

伝正 丸山 茂夫 (東京大)

Taiki INOUE, Daisuke HASEGAWA, Saifullah BADAR, Shohei CHIASHI and Shigeo MARUYAMA Dept. of Mech. Eng., The Univ. of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656

The growth process of horizontally aligned single-walled carbon nanotubes (HA-SWNTs) on crystal quartz substrates was investigated. HA-SWNTs were grown by alcohol chemical vapor deposition method at different carbon feeding rates with varying growth time. HA-SWNTs grown under each conditions showed a large difference in the time evolution of their morphology. Low carbon feeding rates extended the growth delay time and widened the distribution of that. The results indicate that the possibility of bundling at the beginning of SWNT growth decreases and more SWNTs are grown individually with horizontal alignment under low carbon feeding rate conditions.

Key Words :carbon nanotube, alcohol chemical vapor deposition, crystal quartz

1. 序論

単層カーボンナノチューブ(SWNT)は炭素原子の六員環構 造から成るグラフェンシートを直径1 nm程度の円筒状に巻 いた構造の物質である.電気的,熱的,機械的に優れた特性 を持ち,様々な応用が期待されている.

SWNTは主に化学気相成長(CVD)法により合成される.通 常,基板上で合成を行うと SWNT はランダムな方向に成長 するが,デバイス応用にはSWNTの配向制御が必要である.

基板として水晶など単結晶基板を用いてCVD合成を行うと,

SWNTが一方向に配向することが知られている(1).これは結 晶表面の原子構造と SWNT の間の原子間力に起因するもの であり,原子スケールの溝に沿って SWNT が成長すると理 解できる.この方法による水平配向合成は高密度かつ互いに 接しないSWNTが得られ,電界効果型トランジスタ(FET)の 作製に適している(2).FETの性能向上にはSWNTの本数密度 の増加が必要であり,50~250本/μmにおいて既存のシリコン FETを大きく上回る性能の FETの作製が可能になると予測 されている(3).また,他のデバイス作製やSWNTの物性測定 のためにも水平配向SWNTの密度制御は重要である.

本研究はSWNT合成時の炭素源供給速度がSWNT成長過 程に与える影響に関して知見を得ることを目的とする.炭素 源供給速度はCVD合成中の炭素源ガスの分圧により制御で きることから,高圧・低圧条件下において合成時間を変化さ せて合成を行い,得られたSWNTを観察することでSWNT 成長の時間変化を調べる.

2. 実験方法

水晶基板は水晶のブロックからのカット方向によって異 なる表面原子構造を持つが,SWNTの配向成長には主にST カット水晶基板(1)が使用されてきた.STカット水晶基板は振 動子に利用され,入手が容易であるが,そのカット面は水晶 の自然面に対応せず,表面構造が複雑である.そこで,我々 は水晶の自然面であるR面に平行にカットされたRカット 水晶基板を用いて水平配向SWNTが合成されることを示し,

SWNT の配向がドメイン内の R面構造に由来することを報 告した(4).本研究においてもRカット水晶基板を使用する.

水晶基板は予め化学エッチング処理されたものを用意し

た.まず,水晶基板に対して空気中で900 C,12 hアニール 処理を行った.続いてフォトリソグラフィ,真空蒸着,リフ トオフにより,触媒として鉄(Fe, 膜厚0.2 nm)を縞状(幅3 μm,

間隔50 μm)に担持した.SWNTの合成はエタノールを炭素源

としてアルコールCVD法(5)により行った.合成温度は800 C に固定し,合成圧力(エタノール分圧)は高圧条件として1300

Pa,低圧条件として60 Paとした.合成されたSWNTの分析

は,走査型電子顕微鏡(SEM),原子間力顕微鏡(AFM),ラマ ン分光法により行った.今回使用した水晶基板は比較的表面 が粗いため,AFM測定時はポリマー膜を用いた転写法(6)によ り水晶基板上の SWNT を平坦なシリコン基板上に移した後 に観察を行った.

3. 結果と考察

低圧および高圧の条件において合成時間を変化させて 水平配向 SWNT を合成した.各合成時間におけるサンプル

のSEM像をFig. 1に示す.各像の上下にある帯状の触媒領

域からチューブ状の物質が成長し,水平配向したことが分か る.

ラマン分光法により合成されたサンプルを分析した.励起

10 min 5 min

3 min 2 min

10 min 3 min

0.5 min 5 min

(a)

(b)

10 m 10 m

10 m 10 m

10 m

10 m 10 m 10 m

10 min 5 min

3 min 2 min

10 min 3 min

0.5 min 5 min

(a)

(b)

10 m 10 m 10 m

10 m 10 m

10 m 10 m

10 m

10 m 10 m 10 m

10 m 10 m10 m 10 m10 m

Fig. 1 SEM images of HA-SWNTs grown at (a) 60Pa and (b) 1300 Pa.

(2)

第49回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (2012-5) レーザー波長488 nmで測定したラマンスペクトルをFig. 2 に示す.また,図中の左上に低波数域の拡大図を示す.水晶 基板に由来するピークとともに,SWNTに特有のピークであ

るG-bandおよびRBMが観察されたことから,合成された物

質がSWNTであることが確認された.

各サンプルについて,触媒領域に囲まれた部分の水平配向 SWNTの長さ分布を測定した.面積500 μm2あたりの水平配 向SWNTの長さ分布の時間変化をFig. 3に示す.高圧では短 時間で多数のSWNTが成長し,その後の変化は小さかった.

一方で低圧では短時間では SWNT の量は少ないが,徐々に SWNTの数および長さが増加した.

SWNTの成長において,炭素源を導入してから SWNTが 成長開始するまでにある程度の成長遅延時間(7)が存在する ことが知られている.今回は,一定長さ以上の水平配向 SWNT の本数について各合成時間での差分を取ることで SWNTの成長遅延時間を決定した.得られた成長遅延時間の

分布をFig. 3に示す.高圧では成長遅延時間が短いSWNTが

支配的であるが,低圧では全体的に成長遅延時間が長くなり,

成長遅延時間の分布が広いことが分かった.

ここで,成長遅延時間の分布の増大は,隣接する SWNT が同時に成長開始する確率の減少を意味する.隣接する複数 のSWNTが同時に成長開始するとSWNT同士が絡み合いバ ンドル化が起こる.多数の SWNT によるバンドルは基板と の相互作用の影響を低下させて配向成長が起こらず,更に触 媒領域中でランダムな方向に成長することで周囲の SWNT の成長を阻害すると考えられる.このことから,炭素源供給

速度の減少による水平配向 SWNT の密度増加は,成長遅延 時間の延長によるバンドル化の抑制が原因であるといえる.

基板上でのSWNTの配向性はSWNTの直径に依存するこ とが報告されており(8),配向性の悪化が密度に影響を及ぼす 可能性が考えられる.そこで,低圧・高圧の各条件において 合成時間10 minで合成されたSWNTの直径をAFMにより 測定した.各サンプルで50本のSWNTを測定して得られた 直径分布をFig. 5に示す.平均直径は低圧条件において1.47

nm,高圧条件において1.76 nmであった.ただし,AFMで

測定された直径は,バンドル化した SWNT の情報を含み,

実際より大きく見積もられている可能性がある.いずれにせ よ,今回の各平均直径は先行研究で配向成長の悪化が報告さ れた2 nm程度以下であり,直径によるSWNTの配向性悪化 と密度の低下は生じていないと考えられる.

最後に,低圧条件で合成時間10 minにおいて合成された 水平配向SWNTをSEM,AFMにより高倍率で観察した.得 られたSEMおよびAFM像をFig. 6に示す.これらの像では SWNTの密度は10本/μm程度である.また,AFM像中での 最隣接する2本のSWNT間の距離から,局所的なSWNT密 度は60本/μm以上となった.この値は先行研究(1)の結果と同 程度であり,今後,水晶基板の表面処理の最適化を行うこと で更なる密度向上が可能だと考えられる.

4. 結論

水晶基板上でアルコールCVD法によりSWNTを合成し,

水平配向 SWNT の成長の時間変化を観察した.炭素源供給 速度が低い条件では SWNT の成長開始時間が遅延し,成長 開始時間の分布が広がるという結果が得られた.炭素源供給 速度を下げることで最終的に得られる水平配向 SWNT の密 度が向上するが,多数の SWNT の同時成長によるバンドル 化を防ぐことが水平配向 SWNT の高密度合成を可能にする と考えられる.

参考文献

(1) C. Kocabas et al., J. Phys. Chem. C, 111 (2007) 17879.

(2) S. J. Kang et al., Nat. Nanotechnol., 2 (2007) 230.

(3) N. Patil et al., IEEE Trans. Nanotechnol., 8 (2009) 37.

(4) S. Chiashi et al., J. Phys. Chem. C, in press.

(5) S. Maruyama et al., Chem. Phys. Lett., 360 (2002) 229.

(6) L. Jiao et al., J. Am. Chem. Soc, 130 (2008) 12612.

(7) M. Lin et al., Nano Lett., 6 (2006) 449.

(8) X. Liu et al., J. Phys. Chem. C, 112 (2008) 15929.

0 500 1000 1500

100 200 300

2 1 0.9 0.8 0.7

Raman Shift [cm−1]

Intensity [arb. units]

Diameter [nm]

Quartz

0 500 1000 1500

100 200 300

2 1 0.9 0.8 0.7

Raman Shift [cm−1]

Intensity [arb. units]

Diameter [nm]

Quartz

Fig. 2 Raman spectra of HA-SWNTs.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0

10 20

Diameter [nm]

Count

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0

10 20

Diameter [nm]

Count

(a) (b)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0

10 20

Diameter [nm]

Count

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 0

10 20

Diameter [nm]

Count

(a) (b)

Fig. 5 Diameter distributions of SWNTs grown at (a) 60 Pa and (b) 1300 Pa.

500nm (a) (b)

500 nm 500nm500nm500nm

(a) (b)

500 nm 500 nm

Fig. 6 High magnification (a) SEM and (b) AFM images of HA-SWNTs grown at 60 Pa.

(a)

(b)

0 10 20 30 40 0

5 10

0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 50 Length [m]

Count

2 min 3 min 5 min 10 min

0 10 20 30 40 0

5 10

0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 50 Length [m]

Count

0.5 min 3 min 5 min 10 min

(a)

(b)

0 10 20 30 40 0

5 10

0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 50 Length [m]

Count

2 min 3 min 5 min 10 min

0 10 20 30 40 0

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0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 0 10 20 30 40 50 Length [m]

Count

0.5 min 3 min 5 min 10 min

Fig. 3 Length distributions of SWNTs grown at (a) 60 Pa and (b) 1300 Pa.

0 5 10

0 10 20

Growth Delay Time [min]

Count

60 Pa

1300 Pa

0 5 10

0 10 20

Growth Delay Time [min]

Count

60 Pa

1300 Pa

Fig. 4 Growth delay time distributions of SWNTs.

Referensi

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