• Tidak ada hasil yang ditemukan

特許生物寄託センター(IPOD)における文書保管について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "特許生物寄託センター(IPOD)における文書保管について"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

─ 131 ─

Vol. 22,  No. 2

1.はじめに

 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン ター(以下,特許生物寄託センター(IPOD)と記す)

は,特許法施行規則における特許生物寄託機関である.

寄託された株は,生物学的名称(属名種名等)ではな く受託番号を付して管理されている.寄託株を保管す る期間も,国際寄託の場合には最低 30 年等と規則で 決められている.分譲にも,当該発明を試験・研究す るためという制限がある.これらの点において,いわ ゆる生物遺伝資源収集保存機関とは似て非なる寄託機 関であるが,一方,取り扱う文書類の保管方法につい ては,およそ他の機関と同様なのではないかと推測す る.保管株に関するデータは電子情報化して管理し,

受託・保管・分譲手続きに関する様式・書式は,提出 されたものについてはオリジナルのものを,寄託者や 分譲請求者等に発行したものはコピーを,それぞれ保 管している.

 本稿では,このような特許に関連する生物の寄託機 関である特許生物寄託センター(IPOD)における文 書保管について,特許生物寄託制度や関連する規則類,

文書の種類等に触れながら,順を追って説明する.

2.特許生物の受託・保管・分譲業務について  微生物,動物細胞,植物細胞等に係る発明について 特許出願する際には,特許法施行規則第 27 条の 2 に 基づき,当業者がその微生物,動物細胞,植物細胞等 を容易に入手することができる場合を除き,それらを 特許庁長官の指定する寄託機関に寄託し,かつ,その 寄託機関が交付する「受託証」の受託番号を明細書に

明示するとともに,その事実を証明する「受託証の写 し」を当該出願の願書に添付し,特許庁に提出する必 要がある.

 また,そのような寄託機関は,寄託生物に係る発明 を試験または研究のために実施しようとする者の求め に応じて,分譲を行う.国内寄託株の場合,分譲請求 者は,特許庁,寄託者本人,寄託者が承諾した第三者,

法令上の資格を有する第三者のいずれかである.

 特許生物寄託センター(IPOD)は,上記の特許庁 長官の指定する寄託機関の一つであり,また,世界 知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property  Organization)ブダペスト条約上の国際寄託当局(IDA: 

International Depositary Authority)である.生物遺 伝資源収集保存機関と同様に,微生物,動物細胞,植 物細胞等の保管設備を保有しており,その概要を図 1

(微生物)および図 2(動物細胞)に示す.

3.特許生物の受託・保管・分譲業務に関する規則等  特許生物寄託センター(IPOD)が受託・保管・分 譲業務を遂行するに際しては,以下に示すような,特 許生物寄託に関わる規則等にしたがっている.

①特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブ ダペスト条約

②特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブ ダペスト条約に基づく規則

③ブダペスト条約:IDAs のための実施規程(仮訳)

④ブダペスト条約に基づく微生物寄託に関するガイド

(仮訳)

⑤特許法施行規則第 27 条の 2 及び 3

⑥独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2006. p. 131 134

特許生物寄託センター(IPOD)における文書保管について

山岡正和

独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 

〒305‑8566 茨城県つくば市東 1‑1‑1 つくば中央第 6

Safekeeping of documents at IPOD

Masakazu Yamaoka

International Patent Organism Depositary, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology,  Tsukuba Central 6, 1-1-1 Higashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8566, Japan

E-mail: [email protected]

(2)

実務担当者会議報告

─ 132 ─ ターが行う特許出願に係る微生物の寄託等に関する 規程

⑦独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン ターが行う特許出願に係る微生物の寄託等に関する 規程実施要領

⑧独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン ターが行う特許手続上の微生物の寄託の国際的承認 に関するブダペスト条約に基づく微生物の寄託等に 関する規程

⑨独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託セン ターが行う特許手続上の微生物の寄託の国際的承認 に関するブダペスト条約に基づく微生物の寄託等に 関する規程実施要領

 これらの他に,特許生物の受託・保管・分譲業務に おいて,微生物,動物細胞,植物細胞等を取り扱うた めに,以下に示すような産業技術総合研究所における ライフサイエンスに係る諸ルールを遵守している.

⑩産業技術総合研究所ライフサイエンス実験に関する 倫理及び安全管理規程

⑪微生物実験取扱要領

⑫組換え DNA 実験取扱要領

 また,安全保障輸出管理も遵守する重要なルールの 一つである.海外分譲に際しては,案件ごとに「貨物 の輸出」として検討しなければならない.「外国為替 及び外国貿易法」第 48 条(輸出の許可等)では貨物 の輸出について経済産業大臣の許可又は承認を受けな ければならないことを規定しており,許可又は承認を 受けなければならない特定の貨物および特定の地域の 具体的内容は「輸出貿易管理令」で定められている.

また,政令を実施するための詳細内容や運用について は,種々の省令,告示,通達が制定されている.「輸 出貿易管理令」の別表第 4 や,「経済産業省告示第 760 号」に規定する経済産業省が作成した文書等に該当す る「外国ユーザーリスト」が特に重要である.

4.特許生物受託・保管・分譲の手続きで取り扱う文 書の種類

 特許生物寄託センター(IPOD)の業務に関わる主 な様式・書式類は以下のとおりである.なお,国際寄 託用の様式・書式については,国内寄託用のものと名 称が重複することが多いのでここでは紹介しない.様 式・書式の詳細については,特許生物寄託センター

(IPOD)のホームページを参照していただければ幸い である.

(ホームページ:http://unit.aist.go.jp/ipod/ci/index.

html)

「国内寄託用」

(様式)

様式第 1   寄託申請書 様式第 1 の 2 継続寄託の請求書

様式第 2    科学的性質及び分類学上の位置の表 示等の届出書

様式第 3    科学的性質及び分類学上の位置の表 示等の届出に関する証明願

様式第 4   生存試験等の請求書 様式第 5   生存に関する証明願 様式第 6   分譲請求書(寄託者)

様式第 7   分譲請求書(寄託者の承諾を得た者)

様式第 8    分譲請求書(法令上の資格を有する 者)

1

 微生物アンプル保管庫

2

 動物細胞液体窒素凍結保存容器

(3)

─ 133 ─

Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2006 Vol. 22,  No. 2

様式第 9    科学的性質及び分類学上の位置につ いての情報請求書

(書式)

書式 1     微生物条件記録書(かび,酵母,細菌,

放線菌,原生動物,植物細胞,藻類)

書式 1 の 2   微生物条件記録書(プラスミド(単 独))

書式 1 の 3  微生物条件記録書(種子)

書式 1 の 4   微生物条件記録書(動物細胞,受精 卵(胚))

書式 2    寄託受託証不交付通知書 書式 3    手続補正指令書

書式 4    手続補正書 書式 5    処分決定通知書 書式 6    受領書

書式 7    受託証

書式 8     科学的性質及び分類学上の位置の表 示等の証明書

書式 9    生存に関する証明書 書式 10    分譲拒否通知書 書式 11    分譲通知書 書式 12    分譲不能通知書

書式 13     科学的性質及び分類学上の位置につ いての情報通知書

書式 14    代理人受任届 書式 15    代理人辞任届    書式 16    代理人解任届 書式 17    名義変更届 書式 18    記載事項変更届 書式 19    寄託不継続通知書 書式 20    寄託取下書

書式 21    証明書の交付に関する請求書

(その他)

別添 1     安全度レベル 2 の微生物の取扱いに 関する届

別添 2    誓約書

5.文書の保管期間について

 「1.はじめに」で述べたように,特許寄託生物の受 託・保管・分譲手続きに関する様式・書式は,提出さ れたものはオリジナルのものを,寄託者や分譲請求者 等に発行したものはコピーを,それぞれ保管している.

保管期間は寄託株の保管期間に合わせている.実は,

文書の保管期間を直接的に規定する決まりは,受託・

保管・分譲業務に関わる規則類の中のどこにも見当た らない.しかし,寄託生物の保管中は,その手続きに 関わる様式・書式を保管するのが適切であり,ブダペ スト条約に基づく規則の第 5 規則 5.1(ⅱ)において 保管微生物とそれに関する通信及び情報を同列に記載 していることも,この考え方を支持するものである.

特許寄託生物の寄託期間は,国内特許期間が特許出願 から最長で 20 年間であることや,ブダペスト条約に 基づく規則の第 9 規則 9.1 において国際寄託で最低 30 年間または最終の分譲請求があってから最低 5 年間と 定められていることから,少なくともこれらの期間 は,それぞれに様式・書式を保管しなければならない と考える.なお,現在までに保管文書のファイルは約 14,000 冊であり,全保管スペースは約 20 m2である.

6.保管文書の非公開について

 特許生物寄託センター(IPOD)において保管する,

寄託株の受託・保管・分譲手続きに関わる様式・書式 類は,原則非公開である.一方,保管株に関するデー タについては,様式第 9 により,分譲請求者が寄託株 に係る科学的性質及び分類学上の位置の表示に関する データの開示を求めることが可能である.また,保管 株が遺伝子組み換え体である場合には,「遺伝子組換 え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に 関する法律」に基づき,遺伝子組換え生物等の内容(使 用等の区分,宿主等の名称,組換え核酸の名称等)を 分譲請求者に開示することになっている.

7.文書保管におけるセキュリティ対策について  特許生物寄託センター(IPOD)においては,寄託 生物の保管と文書の保管に関して,以下のように可能 な限りのセキュリティ対策を施している.

 まず,施設・設備面のセキュリティであるが,建 物は 1981 年以降の新耐震基準を満たしており,当面 は問題ないと考えている.施設・設備は 24 時間監視 体制下にあり,何か少しでも異変が生じれば,直ちに 担当者が駆けつけて対処する体制がとられている.建 物への入館・入室は厳重に管理されており,その時々 において許可を得て入館する者以外は,原則として入 館者・入室者を限定している.また,電子情報化され たデータはバックアップにより万が一に備えており,

サーバに接続するコンピュータを限定し,かつ接続コ ンピュータにおいて認証操作を行うこと等により,電 子情報の保護を実施している.

(4)

実務担当者会議報告

─ 134 ─  スタッフのセキュリティについては,年 1 回安全講 習を実施して作業や保管上の安全について万全を期す とともに,月例のミーティング等で個人情報保護等の 情報管理を徹底している.

8.おわりに

 以上,特許生物寄託センター(IPOD)における文 書保管について,特許生物の受託・保管・分譲業務,

業務関連の規則類,手続きで取り扱う様式・書式類,

文書の保管期間,文書の非公開,寄託株および保管文 書に関するセキュリティ対策等の項目に分けて説明し た.本稿が,多少なりとも本会会員の皆様の文書管理 に役立てば望外の幸せである.なお,本稿についての お問い合わせ先は以下のとおりである.

(お問い合わせ)

 電話:029‑861‑9471(直通)

 E-mail:[email protected]

〈演題に対する質疑〉

Q: 膨大な量の文書を管理していると思うが,管理の 仕方はどのようにしているのか?

A: 寄託株ごとに作成したファイルに大きく見やすい 番号をつけ,書類棚に整理・保管している.

Q: 分譲対象者の法令上…とは具体的にどういうこと を言うのか?

A: 例えば,特許を出願した内容について,新規性に 問題がある場合には特許出願を拒絶されるが,そ れに対する意見書を作成することが必要であり,

そのようなケースを言う.

Q: 文書の保管について,災害時への対処,またバッ クアップは?

A: 建物は 1981 年の新耐震基準を満たしており,当 面は問題ないと考えている.火災については防災 に極めて注意を払っている.また,24 時間監視 の体制により,緊急事態に備えている.菌株につ いては電子情報化している.手続き書類について は,コピーの他の場所での保管等はしていない.

Q: 菌株を預かると外部に対しての責任上ずっと保管 しておかなければならないことになるが,特許の 場合期限があり,例えば以前に特許を取り下げた ものと新たに特許申請されたものが同じであるな どの検索等についてはどうなっているのか?

A: センターでは,特許出願のために寄託された微生 物等を定められた期間受託・保管するのであり,

特許取り下げや特許成立については関知していな い.

Referensi

Dokumen terkait

醤油乳酸菌の輸送体の機能解析とその応用技術開発 微生物発酵生産では,細胞内代謝系の改変により生産性の向 上が図られてきた.更なる生産性の向上や新規化合物の生産で は,基質の菌体内取込みや生産物の菌体外排出が律速となる事 例が増えており,基質輸送能及び産物排出能の強化・改変によ る生産性の改善が望まれてきた.細菌では糖輸送がカタボライ

書 館 文 化学 と 生物 「文書館」への執筆依頼を受けたとき,筆者の頭の中の関 心ごとは,2度目の職を定年退職後1年以上経過していて, すでに 微生物 に替わり,趣味の研究 昆虫 が占有して いた.これを元に戻して,微生物に関することを書くのは難 しいと脳がつぶやいた.ところが,当時の編集委員長の村田 幸作先生からの歯が浮くような依頼の文面が刺激して,脳内

10, 2022 マイクロバイオーム解析で明らかとなった巨大マリモの内部の微生物たち マリモは共生微生物の力をかりて大きくなる キーワード: 微生物,細菌,藻類,マイクロバイオーム, バイオフィルム マリモ( )は,北半球の高緯度地 方の湖沼や河川に広く分布するアオサ藻綱シオグサ目に 属する藻類の一種である.糸状体と呼ばれる長さ3〜 4

第4条(適正処理に必要な情報の提供) 甲は、産業廃棄物の適正な処理のために必要な以下の情報を、別表1により乙に提供 しなければならない。ただし、両者協議の上で別途様式による情報提供を行う場合はそ の様式に記載した内容のとおりとする。 ア 産業廃棄物の発生工程 イ 産業廃棄物の性状及び荷姿 ウ 腐敗、揮発等性状の変化に関する事項 エ 混合等により生ずる支障 オ

3 甲は、委託する産業廃棄物のマニフェストの記載事項は正確にもれなく記載すること とし、虚偽又は記載漏れがある場合は、乙は委託物の引き取りを一時停止しマニフェス トの記載修正を甲に求め、修正内容を確認の上、委託物を引き取ることとする。 第5条(甲乙の責任範囲) 乙は、甲から委託された産業廃棄物を、その積み込み作業の開始から第3条第3項に

発生等の場合であり、甲は乙と通知する変動幅の範囲について、あらかじめ協議のうえ 定めることとする。 3 甲は、委託する産業廃棄物のマニフェストの記載事項は正確にもれなく記載すること とし、虚偽又は記載漏れがある場合は、乙は委託物の引き取りを一時停止しマニフェス トの記載修正を甲に求め、修正内容を確認の上、委託物を引き取ることとする。 第5条(甲乙の責任範囲)

発生等の場合であり、甲は乙と通知する変動幅の範囲について、あらかじめ協議のうえ 定めることとする。 3 甲は、委託する産業廃棄物のマニフェストの記載事項は正確にもれなく記載すること とし、虚偽又は記載漏れがある場合は、乙は委託物の引き取りを一時停止しマニフェス トの記載修正を甲に求め、修正内容を確認の上、委託物を引き取ることとする。 第5条(甲乙の責任範囲)

3 甲は、委託する産業廃棄物のマニフェストの記載事項は正確にもれなく記載すること とし、虚偽又は記載漏れがある場合は、乙は委託物の引き取りを一時停止しマニフェス トの記載修正を甲に求め、修正内容を確認の上、委託物を引き取ることとする。 第5条(甲乙の責任範囲) 乙は、甲から委託された産業廃棄物を、その積み込み作業の開始から第3条第3項に