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(甲種)

論 文 要 旨

学 位 論 文 要 約

骨量減少によって骨から溶出するリンが腎機能に及ぼす影響の研究

申 請 者 氏 名 林 宏栄

担当指導教員氏名 森 良之 教授

自治医科大学大学院医学研究科 地域医療学系 消化器疾患学 歯科口腔外科

使用文字数 3198

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論 文 要 旨

氏名 林 宏栄 表題

骨量減少によって骨から溶出するリンが腎機能に及ぼす影響の研究 1 研究目的

リンは生命維持にとって欠かせない必須元素の1つであるが、過剰に摂取すると生 体に有害な場合がある。実際に、過剰なリン摂取がマウスやラット、ヒトにおいて腎 臓を障害することが報告されている。また、リンによる腎障害はネフロンあたりのリ ン排泄量と関係しており、ネフロン数が少なくなると、同じ量のリンを摂取してもよ り重度の腎障害に発展する。つまり、ネフロン数の減少する高齢者では、若年世代で は過剰なリン摂取とならないリンの量でも、腎障害を発症する可能性がある。慢性腎 臓病(CKD)などの腎疾患を有するような患者ではより容易に重度の腎障害に発展し うる。

通常、過剰なリンを排泄するための迅速な応答として副甲状腺ホルモン(PTH)が 分泌され、続いて骨から線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が分泌される。FGF23の主 要な標的臓器は腎臓であり、尿細管細胞に発現するKlotho蛋白とFGF受容体の複合 体に結合することで、近位尿細管でのリン再吸収を抑制し尿中へのリン排泄量を増加 させる。この反応を FGF23-Klotho 内分泌系と呼び、これら2 つのホルモンにより血 中のリン濃度が一定の範囲内で保たれている。

しかし、この血中リン濃度を維持するための適応反応により、尿細管障害が誘導さ

れる。FGF23によるリン再吸収の抑制により、尿中へのリン排泄量が増加すると近位

尿細管での尿中リン濃度が上昇し、微細なリン酸カルシウム結晶が尿細管内に出現す る。この結晶が近位尿細管頂上膜のToll様受容体4(TLR4)に結合すると、尿細管細 胞の障害と炎症細胞の浸潤を引き起こす。持続的な尿細管障害は、間質線維化やネフ ロン数を減少させる。その結果、尿中へのリン排泄量を増加させるためにさらに

FGF23が分泌され、尿細管障害が遷延するためネフロン喪失が進行するという負の連

鎖が起きる。

このようにリンによる腎臓への悪影響が明らかになっているが、このリンは腸から 吸収される食事(体外)由来のリンである。しかし、血中に流入するリンは、この体 外由来のリンだけでなく、骨から溶出する体内由来のリンも考えられる。骨粗鬆症や 寝たきり状態などの骨量が減少する疾患において、骨から溶出した体内由来のリンが 腎臓に及ぼす影響はまだ明らかになっていない。そこで、骨から溶出した体内由来の リンが血中に流入すると、血中FGF23値を上昇させ、尿細管障害を誘導するという仮 説を立てた。本研究では、マウスに骨量減少を引き起こした時の腎臓への影響を検討 した。

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2 研究方法

骨吸収の促進に可溶性破骨細胞分化誘導因子(sRANKL)を、骨吸収の予防にリセ ドロネート(Ris)を用いた。

1) sRANKL単回投与実験:C57BL/6Jマウス(10週齢、メス)に対してsRANKL(2.0

mg/kg)を単回投与(腹腔内注射)し、sRANKL 投与前のベースラインおよび投与か

ら18・21・24・27・30・48時間後までの経時的な変化を評価した。

2) sRANKL 3 回投与実験:C57BL/6Jマウス(10 週齢、メス)に対しsRANKL(2.0 mg/kg)を24時間毎に3日間連続で腹腔内注射した。1回目のsRANKL投与前のベー スラインおよび3回目のsRANKL投与から1.5・12・24・36時間後までの経時的な変 化を評価した。また、尿中のリン・カルシウム排泄量を評価するためにsRANKL投与 前から蓄尿を行い、24時間毎に計4日間の尿を採取した。

3) C57BL/6Jマウス(10週齢、メス)に対し、sRANKLの投与前にRis(10 g/kg)を 24時間毎に3回皮下注射を行った。その後、Risを24時間毎に2回追加投与(皮下注 射)し、同時にsRANKL(2.0 mg/kg)を24時間毎に3日間腹腔内注射した。3回目の

sRANKL 投与から24時間後にマウスの解剖を行った。また、尿中のリン・カルシウ

ム排泄量を評価するために最後のRis投与後から蓄尿を行い、24時間毎に計4日間の 尿を採取した。

3 研究成果

1) sRANKL を投与すると破骨細胞の分化が進み、骨量減少を来すことが明らかにな

った。骨から溶出したリンとカルシウムが血中に流入し、血中リンとカルシウム値は 一過性に上昇した。これに続いて血中FGF23値が上昇した結果、尿中のリン排泄量が 増加した。つまり、骨から血中に流入したリンはFGF23-Klotho内分泌系により尿中へ 排泄されることが明らかになった。

2) sRANKL 3回投与では単回投与の時よりも破骨細胞が多く分化し、骨量減少が強く 長く誘導された。sRANKLの蓄積効果により、血中リンとカルシウム値はより高値を 示し、これに続いて血中FGF23値もより高値を示した。その結果、尿中のリン排泄量 の増加も長時間持続し、尿細管障害が誘導されることが明らかになった。

3) sRANKL投与前にRisを投与してsRANKLが誘導する骨量減少を予防すると、破 骨細胞の分化が抑制され骨量減少を予防できた。これにより、血中FGF23値の上昇は 抑制され、尿中のリン排泄量も減少した。この結果、骨吸収の予防により尿細管障害 の誘導も予防できることが明らかになった。

4 考察

本研究で、持続する骨吸収が尿細管障害を誘導することを明らかにしたが、血中Cre 値の上昇は認められずサブクリニカル急性腎障害(AKI)の病態を示した。この状態 で、食事などの体外由来のリンが加わることでより重度の腎障害に発展し、このAKI の繰り返しがCKDへの移行を早める可能性がある。このサブクリニカルAKIを防ぐ ことは腎機能の保護に貢献できるため、骨吸収を停止あるいは持続させないことが重 要である。

骨量減少を来す病態として、寝たきり状態が注目されている。現代では高齢化社会

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が進み寝たきり状態の患者が増えている。この病態では骨吸収が優位になるため、骨 からはカルシウムだけでなく、リンも溶出する。これが血中に流入し続けると、リン が尿中に持続的に排泄されるためサブクリニカルAKIを発症しうる。高齢者に限らず 脳血管疾患や骨折などによる寝たきり状態でも骨量減少が引き起こされると考えら れる。実際に、AKIは股関節手術後の患者によくみられる合併症の1つとして報告さ れている。

本研究で、体内由来のリンが、食事由来のリンと同様の排泄経路をたどることが明 らかになったため、同じ機序で尿細管障害を誘導していると考えられる。食事や骨由 来に関わらず、リンが持続して血中に流入することで、FGF23が上昇し尿中のリン排 泄量が増加する。その結果、尿細管内での微細なリン酸カルシウム結晶を析出し尿細 管障害が誘導される。

CKD には骨密度の低下による骨折が発生することがある。これを慢性腎臓病に伴 うミネラル骨代謝異常(CKD-MBD)と呼び、CKDが骨量減少の原因と捉えられてい るが、本研究では、骨量減少がAKIやCKDの原因となりうることを示している。実 際に、高齢者や CKD 患者における座位行動が、低骨密度などと相関することが示さ れており、座位行動の代わりに運動療法を行うことで骨密度を増加させることが明ら かになっている。運動や薬物療法による骨量維持が、CKDや加齢による腎機能低下を 予防あるいは減速させる可能性があるため、今後の介入研究が期待される。

5 結論

本研究では、sRANKL が誘導する骨吸収により骨から溶出したリンとカルシウム は、血中に流入し尿中に排出された。また、持続する骨吸収が尿細管障害を誘導し、

骨吸収を予防すると尿細管障害の誘導も予防できることを明らかにした。本研究の成 果は、骨由来のリンが食事由来のリンと同様に尿細管障害を誘導するため、骨量減少 を来す疾患だけでなく、術後安静を要する若年者や高齢者においても、骨量減少を停 止することが腎機能保護の治療法につながる可能性を示した。

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