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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2024

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氏 名 田ま き 佐和子 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第657号

学 位 授 与 年 月 日 令和4年3月23日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 染色体不安定性と関連するnon-coding RNAと薬剤感受性についての検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 北 山 丈 二

(委 員) 教 授 山 口 博 紀 講 師 坂 下 英 司

論文内容の要旨

1 研究目的

正常細胞では、細胞分裂の際に均等に染色体を分配することで染色体数を維持するための機構 がある。一方でがん細胞の多くは、細胞内に異常な数の染色体が存在する「異数性」を示すこと が知られている。正常な染色体の分配ができないことで、染色体の数に変化に起こる現象である。

染色体不安定性(chromosomal instability: CIN)は、染色体の全体または大きな領域の増減(異数 性)、構造的な再配列、増幅や欠失などの局所的な異常といった染色体異常の頻度が高いことを特 徴としている。がんの70-95%はCINに起因する染色体異常を有すると推定されている。

多くの研究で、CINと薬剤感受性との関係性が検討されてきたが、一定の知見は得られていな い。CINによって、がんの多様性や不均一性が進むことで、がんの悪性度が増し、様々な抗がん 剤やホルモン剤などの薬剤耐性に強く関与しているという報告がある一方で、染色体分配に関わ る遺伝子の変異の発現が高いがん細胞株は、低いものに比べてトポイソメラーゼ I 阻害剤に対す る感受性が高いという報告もある。

トポイソメラーゼ I 阻害剤であるイリノテカンは大腸癌の治療において重要な抗がん剤の一つ である。大腸癌はマイクロサテライト安定性(microsatellite stable: MSS)とマイクロサテライト 不安定性(microsatellite instability: MSI)に大別されるが、大腸癌の化学療法の治療選択において、

MSIかどうかは重要な要素となる。

本研究では、M S SとM S Iのマウスの大腸癌細胞株を用いて、ヒトのサテライトアルファに 相当する、マウスのメジャーサテライトから発現するメジャーサテライト転写産物(mSAT)の 過剰発現細胞を作成し、トポイソメラーゼ I 阻害剤の感受性を高めるかどうかを検討することと した。

2 研究方法

サテライト RNA の過剰発現によって誘導される染色体不安定性が薬剤感受性にどのような影 響を及ぼすのかを検討するために、マウスの大腸癌細胞株を用いた。CT26 細胞はマイクロサテ ライト安定性の細胞株で、MC38 細胞はマイクロサテライト不安定性の細胞株である。これらに レトロウイルスベクターを用いて、マウスのペリセントロメアに存在するメジャーサテライト配

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列を導入し、メジャーサテライト転写産物(major satellite transcripts : mSAT)の過剰発現細 胞を作成した。

mSAT 過剰発現の影響を検討するため、細胞の増殖能や足場非依存性増殖能を確認し、染色体 不安定性との関連を評価するため、染色体分配異常と DNA 細胞障害と免疫細胞化学によって確 認した。さらに、それらの細胞を用いて、CPT-11感受性の評価を、WST-1 assay を用いて行な い、mSAT過剰発現による薬剤感受性の評価を行った。

3 研究成果

メジャーサテライト配列を、レトロウイルスベクターを用いてマウス大腸癌細胞株 CT26細胞 とMC38細胞に導入し、mSATの過剰発現をRT-qPCR確認し、コントロールと比べて有意に上 昇していることを確認した。次にmSAT過剰発現細胞の細胞増殖や足場非依存性増殖能について 評価したが、有意な差はなかった。

mSAT 過剰発現によって染色体不安定性が誘導されるか、有糸分裂異常や micronuclei, anaphase bridgeの頻度で評価した。有糸分裂異常とanaphase bridgeの頻度はmSAT過剰発現 細胞でいずれの細胞も有意に頻度が高かった。Micronuclei では有意な差はなかったが、mSAT 過剰発現細胞で頻度が高い傾向にあった。さらに、DNA損傷応答をγH2AXの免疫染色で確認し たところ、コントロールと比較してmSATの過剰発現細胞で有意にγH2AX陽性細胞が増加した のを確認した。

CPT-11の感受性の評価は、CPT-11(最終濃度:0.1,0.3,1.0,3.0,10.0 μM)を作用させ、CPT-11 投与後48時間後にWST-1 assayを用いて生存率を確認して薬剤感受性を評価した。CT26細胞 およびMC38細胞の細胞増殖は、それぞれ用量依存的に阻害されていた。50%阻害濃度を用量反 応曲線より算出し、統計学的に比較したところ、mSAT の過剰発現により,コントロールの細胞 と比較して、MC 38細胞に対するCPT-11の薬剤感受性は上昇した(IC50: コントロール: 0.814μ M vs mSAT : 0.332μM in MC38 cells, p = 0.003)。一方でCT26に対しては上昇しなかった(IC50: コントロール:0.260μM vs. mSAT:0.256μM, p = 0.955)。MC38細胞に対するCPTの薬剤感 受性は有意に増強されたのに対し、CT26細胞では有意な差は認められなかった。

4 考察

今回の検討で用いたCT26細胞とMC38細胞は同様に染色体分配異常やDNA損傷応答を誘導 されていたが、CT26細胞では薬剤感受性に差を認めず、MC38細胞のみで感受性が高まった。

CT26細胞はマイクロサテライト安定性の癌細胞株であり、もともとCPT-11に対する薬剤感受性 も高く、CT26細胞のコントロールの細胞IC50は0.260μMであった。一方でMC38細胞のコ ントロール細胞のIC50は0.814μMでCT26細胞に比べてMC38の薬剤感受性が低かった。CT26 細胞はもともとの薬剤感受性が高かったため、mSAT過剰発現による染色体分配異常の増加や DNA損傷応答の影響を受けにくく、薬剤感受性に差が出なかったと考えられた。一方でもともと CPT-11に対する薬剤感受性の低いMC38細胞では、mSATによる影響を受けて薬剤感受性が高 まったと推察する。

mSAT過剰発現によってMSIを有するマウス大腸癌細胞株MC38の染色体分配異常とDNA 損傷応答を誘導するとともに、CPT-11の感受性を高めたが、細胞死に至るまでのメカニズムにつ

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いては不明な点も多く、今後も更なる検証が必要である。

5 結論

マウスの大腸癌細胞株においてサテライト RNA を過剰発現させると、染色体分配異常の増加 とDNA 損傷応答の亢進を誘導され、CINに関連することが示唆された。さらにマイクロサテラ イト不安定性(MSI)を有するMC38細胞株に対しては、サテライトRNAの過剰発現がトポイソメ ラーゼI阻害剤の薬剤感受性を高めることが示された。

論文審査の結果の要旨

研究内容

2 種類のマウスの大腸癌細胞株を用いて、サテライトアルファの転写産物であるサテライト RNAを過剰発現させると、染色体分配異常の増加とDNA損傷応答の亢進が誘導されることを 示し、結果として癌細胞の染色体不安定性に関連する可能性があることが示された。特に、マイ クロサテライト不安定性(MSI)を有するMC38細胞株においては、サテライトRNAの過剰発現 がトポイソメラーゼI阻害剤の薬剤感受性を高めることが示され、テライトRNAの発現と抗癌 剤感受性との間に何らかの関連性がある可能性が示唆された。

学問的意義、新規性、独創性

がんの病態におけるサテライトRNAの役割に関しては未知な部分が多く、本研究の独創性は 評価できる。一方、得られたデータは乏しく、サテライトRNAの機能のごく一部を見ているだ けの留まっており、新規性は少ないと言わざるを得ない。

問題点および改訂

申請者自身が、RNA:DNA hybrid(R loop)形成やRNA-protein複合体(RNP)などの染色体不安 定性に関する基礎的事項や non-coding RNA の過剰発現という方法論に関して十分理解できて おらず、人工的な実験系で薬剤を用いた結果を単純に臨床に応用する形の結論を出していた点で 明らかな誤りがあった。また、実験内容に関する記述に著しい不備が認められ、審査員から大幅 な改訂が要求された。

学位論文についての評価と合否の判断結果

本論文は、実験の質、論理的思考力の点で学位のレベルに十分に達しているとは言えないが、

審査員の指摘事項には適正に対応できていたため、英文論文が受理されることを前提として合格 と判定する。

最終試験の結果の要旨

研究の背景・目的・方法・結果・考察:必要十分な内容とは言えなかった。

今後の研究についての展望:示すことはできていた。

質疑:内容は正しく理解していたが、適切な応答は出来てはいなかった。

研究に関連する周辺領域の知識:十分とは言い難かった。

研究能力及び科学的素養・態度:修正作業を経て、学位に値すると判断した。

Referensi

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