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真皮幹細胞を利用した皮膚の若返り治療

京都大学大学院医学研究科形成外科 内藤素子

目的・背景

近年、皮膚の老化に伴うたるみやしわをとり、皮膚を若返らせる、という治療は国民の 関心を集めている。種々のレーザーや光照射による治療も改良が重ねられ、注目を集め て い る 。 コ ラ ー ゲ ン や ヒ ア ル ロ ン 酸 、 神 経 毒 素 の 注 入 な ど の 局 所 注 入 療 法 や 、 Face-Lifting 手術なども盛んに行われている。しかし、効果が必ずしも一定しない場 合もあり、持続的加療を必要とすることも多い。最近では、皮膚のたるみやしわの部分、

にきび痕陥凹部に、自己血液より採取した濃縮血小板分画を注入することや、自己皮膚 より採取した線維芽細胞を注入することが一部の施設で行われている。しかし、これら の方法も、前述の療法同様、効果や持続期間が一定しない。たとえ注入細胞が生着して も、時間とともにその数は減り、またマトリックスの産生も減少してしまうことが予想 される。筆者らが形成外科診療において行う「真皮移植」術においてさえ、移植片は時 間の経過とともに吸収されてしまう。 このことは、「真皮移植」という極めて新鮮な 状態で、自己の真皮線維芽細胞と細胞外マトリックスを移植しても、それのみでは術直 後の状態を維持することが困難なことを意味する。そこで我々は、移植された場所で、

自己複製し、マトリックスを産生し続ける能力のある細胞を用いることが肝要であると 考え、その候補として真皮幹細胞は最適であると予想した。真皮幹細胞は、2001 年に Toma らによって初めて報告された(Toma. et al., Nat. Cell. Biol. 3: 778-784, 2001)。

マウス真皮幹細胞を分化させ、神経系の細胞を誘導して臨床治療に役立てる方向で研究 がなされている。我々は、この真皮幹細胞を皮膚の若返り、あるいは皮膚再生に用いる とことを目的に、研究を開始した。

結果・考察

成人ヒト真皮幹細胞は数が少なく、従来の sphere 法では効率的に採取することが困難 である。Joannides ら(Lancet, 364, 172-178, 2004)の報告をもとに、さらに効率よく 真皮幹細胞を採取、培養する方法について検討し、得られた細胞の性質も解析した。ヒ ト成人皮膚より採取した sphere を細胞培養用 coated dish で、血清添加間葉系細胞用 培地で培養すると、底面に接着して増殖する細胞を得た(SDM cell とする)。SDM cell は容易に継代が可能で、少なくとも14週間までは増殖率が衰えることなく継代が可能

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である。次に、この培養液から、血清をふくまない sphere 用培地へ交換すると、dish 底面にはり付いていた細胞は浮遊し始め、1週間程度でもとの球状の sphere に戻り、

分化能でも可塑性を示す。また、SDM cell は、線維芽細胞と比較して、マトリックス 産生能が高かった。次に、SDM cell が、創傷治癒、瘢痕化にどのような影響を与える かを調べた。ヌードマウス背部に直径 1cm の皮膚全層欠損層を作製し、同部に SDM cell を表皮角化細胞とともに移植して経過を観察した。比較対象として、成人ヒト皮膚由来 線維芽細胞と表皮角化細胞を移植した。線維芽細胞を移植した創に比較し、SDM cell を移植した創は上皮化が速やかで、皮膚質感が良好であった。7 ヵ月後の組織所見を比 較したところ、SDM cell 移植部位では、真皮内には太く密なコラーゲン線維束が観察 され、線維芽細胞移植創と比べ厚みのある真皮様組織が形成された。以上のことから、

ヒト真皮由来幹細胞は良好な増殖能とマトリックス産生能を持ち、皮膚再生や皮膚若返 りに有用である可能性が示唆された。

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