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皮膚におけるアクアポリン3の発現調節

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Academic year: 2024

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コスメトロジー研究報告 第 11 号(2003)

皮膚におけるアクアポリン3の発現調節

石 橋 賢 一、中 越 雅 道 自治医科大学 薬理学教室

【目的・背景】

皮膚では角質層に適度な水分(20—30%)が含まれており皮膚の柔らかさを生み出してい る。一方体内にたまった熱を体外に放出するために皮膚から水を蒸発させているので、角質層は それにみあうだけの水を透過させる性質も有している。このダイナミックな水の動きに水チャネ ルが関与していることが最近 AQP3 のノックアウトマウスが報告された。このマウスでは腎性尿 崩症のほかに皮膚の異常な乾燥が認められた。しかしその機構は直接水の輸送に関与していると いう単純なものではなく、ノックアウトマウスの皮膚のグリセリンの含有量が減少していること よりグリセリンの輸送を介して皮膚の保湿を保っていると考えられている。従って AQP3 の発現 を調節することで皮膚の保湿性を変える事が期待される。ヒト鼻腔上皮の AQP3 の発現はビタミ ン A では変化しないようである。AQP3 はケラチノサイトに発現しているがその発現がビタミン A で変化するかどうかは不明である。一方 AQP1 と AQP5 は汗腺に分布しているが直接は皮膚の保湿 性には関与しないと考えられる。

そこで今回の研究では皮膚の保湿性に重要な役割を演じる AQP3 の発現を調節する物質を検索 し、特にその発現を増やすものをみつけることを目標とした。皮膚の保湿を維持する事で老人に 多い乾燥性の掻痒症やアトピー性皮膚炎の治療や皮膚の創傷の治癒の促進をはかることが可能 になると考えられる。また化粧品の多くが皮膚の保湿性を向上させる働きがあることを考えると、

化粧品の成分としても有望である。さらに加齢による皺を減らす事ができれば美容的にも重要な 物質をみつける契機にもなりうる。

【結果・考察】

ラット皮膚には 1.8 kb のサイズの AQP3 のバンドが検出された。ラット背部の剃毛した皮膚に ビタミン A(all trans retinoic acid)を溶かすのに用いた DMSO 単独投与しただけで AQP3 の 発現が増加することがあきらかになった。さらにビタミン A の影響をみるために 0.1%, 1%, 10%

のビタミン A を塗布して24時間後の AQP3 の発現をノーザンブロットで調べた。10%で増加がみ られたが、0.1%, 1%の低容量では DMSO のコントロールと較べて変化がみられなかった。

つぎに剃毛による傷が AQP3 の発現に影響する可能性があるので毛のはえていない後ろ足に塗 布した。やはり10%ビタミン A で AQP3 の発現が誘導されることがわかった。

皮膚での AQP3 の発現はケラチノサイトに限局している。従って AQP3 の発現をケラチノサイト で直接検討できれば有用性がたかい。そこで当大学皮膚科に保存されているヒト皮膚癌培養細胞 に AQP3 が発現しているものがないかスクリーニングしたところ1つの細胞株に AQP3 が発現して いることが明らかになった。まずこの細胞の AQP3 の発現が浸透圧の変化に応じて変化するかど

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コスメトロジー研究報告 第 11 号(2003)

うか調べた。細胞に取り込まれない浸透圧物質であるソルビトールによる浸透圧の刺激に反応し て AQP3 の発現が増加することがわかった。一方、細胞にとりこまれて浸透圧格差の生じない尿 素では浸透圧に対する反応がみられなかった。これらの結果はウェスタンブロットでは30kDa のハンドと40kDa の広いバンドが見られたが後者が糖鎖のついた AQP3 と考えられる。ノーザ ンブロットと同様の結果がウェスタンブロットでも見られ、タンパクレベルの発現でも AQP3 が ソルビトールで増加し尿素ではかわらないという上記の結果が確認された。以上の結果からこの 細胞は AQP3 の発現が正常のケラチノサイトと同様の変化をするので AQP3 の発現を調節する物質 の検索に使えると考えられる。まずラットで用いたビタミン A の影響を調べてみた。この細胞で は 10-6M のビタミン A でも AQP3 のノーザンブロットでの変化はみられなかった。同じく、

dexamethasone、dibutyl-cAMP、dibutyl-cGMP でも24時間後の AQP3 の発現のノーザンブロッ トでの変化はみられなかった。

今後この細胞を用いて AQP3 を誘導するものが見つかれば、皮膚においても誘導できるかどう か、またそれによって皮膚の保湿性が高まるかどうかまた毒性がないかどうかを検討していく必 要がある。

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