• Tidak ada hasil yang ditemukan

PDF 皮膚における生体リズムの分子機構

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "PDF 皮膚における生体リズムの分子機構"

Copied!
2
0
0

Teks penuh

(1)

コスメトロジー研究報告 12号(2004

皮膚における生体リズムの分子機構

岡  村  均

神戸大学大学院医学系研究科脳科学講座分子脳科学分野

【目的・背景】

体内時計は24時間周期で自転する地球の環境変動に適応するため地球上の生命が獲得した基 本的な生命原理である。この体内時計を司る、長らく嘱望されていた哺乳類時計遺伝子 clock,

mPer1が、我々を含む複数グループにより、1990年代後半に発見されたのをきっかけに、哺乳

類リズム研究は全く新しい局面を迎え急速に仕事が進んでいる。今回着目するのは、皮膚にお ける時計遺伝子の働きである。時計遺伝子の発見とともに体内時計のある視交叉上核以外の皮 膚を含む末梢臓器に時計遺伝子がリズミックに発現することが注目された。今回、この分子メ カニズムを検索する。

【結果・考察】

  時計遺伝子mPer1, mPer2の皮膚における日周変動を、4時間毎、12時間明・12時間暗の明 暗条件下で検索すると、夕刻から夜にかけてピークのある著明な昼夜差が認められた。次に、

これらの変化が、光刺激によるものか、内因性リズムによるものかを判別するため、恒常暗条 件下で検索しても、著明な昼夜差が認められた。この結果は、皮膚にも内因性リズムが存在す ること、時計のコア・ループによる発振が行われていることを示唆する。ケラチノサイトに時 計遺伝子が体内時計の夜の時間に強く発現していることを見出した。

コア・ループに、蛋白質レベルの修飾が加わり、正確なサーカディアンリズムができると考 えられる。リン酸化されたPER1, PER2は分解される。この蛋白質分解は、MG132で抑制され、

MG132で処理したPER2はユビキチン化されていた。従って、PER2分解にはユビキチン・プロ

テアソームが関与していると想定される。分解されなかったPER1とPER2は、PER3等とダイ マー形成し、自身の核移行シグナルを利用して、核内に移行する。また PER2 蛋白内の核脱出 シ グ ナ ル に よ り 核 内 か ら 細 胞 外 に PER2 蛋 白 は 排 出 さ れ る 。 こ の シ ャ ト リ ン グ は mPER2(1-916)GFPを発現するNIH3T3細胞とHela細胞の細胞融合系で証明した。このNLS-NES によるシャトリング機構により PER1, PER2 蛋白質の核内濃度は調節される。核蛋白 CRY1, CRY2はPER2と結合し、安定なPER2-CRY1及びPER2-CRY2複合体を形成しPer1, Per2の転 写を阻害する。これで時計発振のフィードバックループが閉じると考えられる。

末梢組織では、血管平滑筋、線維芽細胞でリズムが数周期惹起される。しかし、末梢臓器の 時計は自律振動能が弱く、視交叉上核を破壊したマウスでは、末梢臓器のリズムは消失してい た。皮膚組織は、ケラチノサイトを中心とした表皮、線維芽細胞が主たる真皮、血管・神経の 豊富な疎な結合組織である皮下組織よりなる。今回の検索で皮膚組織もサーカディアン振動体 を持つことがわかった。細胞内のコア振動体は細胞時計として働き、さまざまな細胞内プロセ

(2)

コスメトロジー研究報告 12号(2004

スに時刻シグナルを伝達する。時計シグナルにより転写レベルで制御されている遺伝子を被時 計制御遺伝子clock controlled genes (ccg)と総称している。少なくとも数百の遺伝子にのぼるccg は細胞の時間的制御の実行遺伝子である。

多細胞生物において、非常に分化した多種類の細胞に時計機能が存在することは、その細胞 に特殊化した機能にリズムがあることが想定される。エネルギー代謝、膜蛋白の機能、さらに 細胞周期のコントロールなど多くの必須の細胞機能に時計シグナルは利用されていると考えら れる。細胞増殖の時期やその制御因子、代謝変動が時計遺伝子により制御されることが明らか になった。これにより、ストレスなどによる時計遺伝子のリズムの乱れが、代謝の滞りを引き 起こし、細胞障害を急速に増大する可能性が想定される。

Referensi

Dokumen terkait

10, 2013 脳の層構造を作る分子 APC2 による神経細胞の移動の制御 脳では莫大な数の神経細胞がシナプスを介した神経結 合によって複雑かつ精緻な神経回路網を形成している. 神経細胞は脳の中で無秩序に分布していているのではな く,機能的に関係する神経細胞が集合し,層構造や神経 核を形成することによって,情報伝達や情報処理の効率

達を担っている.細胞内のシグナル伝達経路はそれぞれ のTLRによって異なっているが,大きく分けるとNF- κBを活性化して炎症性サイトカインを誘導する経路と, IRF-3やIRF-7を活性化して一型インターフェロンを誘 導する経路に分けられる1.TLR1, TLR2, TLR4, TLR5, TLR6は一般的には免疫細胞の細胞膜上に発現してい る.一方,TLR3,

出会ったことがない)T細胞に抗原を提示することで獲 得免疫を誘導する.ナイーブT細胞は周囲のサイトカ インに影響されて Th (T helper) サブセットに分化し, 侵入微生物の排除に適切な獲得免疫が誘導される.Th1 型の獲得免疫ではマクロファージやCD8陽性T細胞が 活性化され,細胞内増殖微生物が排除される.Th2型で

7, 2016 細胞の「繊毛」輸送機構を解明 タンパク質リン酸化による繊毛先端部における輸送方向切り替えの制御 繊毛は細胞の表面に構成される微小管を軸とする突起 状の細胞小器官である.繊毛には気道上皮の繊毛や精子 の尾部などの「動く繊毛」と,多くの種類の細胞に存在 し細胞外からのシグナルを受容する「動かない繊毛」 (primary

11, 2013 原核生物における small RNA による転写後発現制御研究の展開 その作用機構と制御ネットワーク全体での役割 原核生物はあらゆる環境で生息しているが,そこで生 きるためには真核生物よりも少ない遺伝情報を巧みに制 御して細胞内のタンパク質を必要なときに必要な量だけ 合成する.これまで転写レベルの調節を担う転写制御因

11, 2017 カスパリー線形成の分子機構 植物の内と外を分ける構造 植物は土壌に根を伸ばし,さまざまな物質の中から栄 養を特異的に吸収する.この特異性を可能にしているの がタンパク質である輸送体と,維管束を取り囲むように して同心円状に存在する内皮細胞の間に蓄積したカスパ リー線である(図1).土壌から細胞外の経路(アポプラ

5 別解 *①「1つを除いた各候補遺伝子 23種類の候補遺伝子 を細胞Aにベクターを用いて導入し, 薬剤Xを作用させる実験」という実験が示されていて3点。ただし,細胞A,薬剤X,ベクタ ーが全て用いられていない場合は0点。 *②「ある遺伝子を導入しなかった細胞が生き残れない」という結果が示されていて3点。「あ

著者もこの問題に興味を持ち,藻類同定の専門 家と共同で顕微鏡計数と 18S rRNA 遺伝子解析 との比較を行った.その結果,西部北太平洋の南 北 12 測点における珪藻類の 18S rRNA 遺伝子濃 度は細胞数や指標色素現存量と有意な正の相関 (Pearson correlation, < 0.01)を示した一方で,