【解説】
破骨細胞は造血幹細胞に由来したマクロファージと近縁の細 胞で,生体内で骨吸収を営む唯一の細胞である.近年の研究 から,破骨細胞の分化に必須なサイトカインRANKLが発見 さ れ,RANKL受 容 体RANKの 下 流 のFos, NF-κB, NFATc1 などの転写因子が破骨細胞の分化で重要な役割をもつことが 明らかにされてきた.一方,造血細胞の分化の様々な段階で は,その分化決定に関わる転写因子が明らかとなっている.
そ の 中 の 一 つOCZF/LRF/FBI-1(旧 名Pokemon) は,B細 胞や赤血球の分化制御に関わるが,破骨細胞で高い発現があ り,破骨細胞分化の後期やアポトーシスの過程においても重 要な働きをもつことがわかった.
破骨細胞は,発生胎生期や成長期の限られた時期を除 いては,健常な成体の骨組織において多くを見いだすこ とは困難である.しかし,破骨細胞は生体の骨代謝にお いて重要な働きをもっている.健康な骨では破骨細胞に よる骨吸収と骨芽細胞による骨形成とのバランスがとら れ骨量が維持されているが,骨粗鬆症の患者において
は,そのバランスが壊れて破骨細胞による骨吸収が亢進 するために骨量が減少する.また,免疫の異常や感染は 破骨細胞の機能に大きな影響を及ぼす.通常,骨代謝は ゆっくりと営まれているが,関節リウマチや歯周炎など の慢性の炎症性疾患では著しい骨破壊が認められる.骨 破壊部位には,限局した破骨細胞の形成の顕著な亢進が 見られ,破骨細胞がこれらの疾患の骨破壊においても重 要な働きをしていることがわかっている.破骨細胞の分 化と機能制御機構を明らかにすることは,骨粗鬆症や炎 症性疾患における骨破壊の原因究明および治療法開発の ための重要な課題となっている.
破骨細胞は,核をいくつも有する多核の巨大な細胞 で,造血幹細胞に由来する単球・マクロファージ系の前 駆細胞から細胞融合により形成される.近年,破骨細胞 の分化には,骨芽細胞の細胞膜上に存在する破骨細胞分 化因子 receptor activator NF-
κ
B ligand (RANKL) が 必須であることが明らかにされた.破骨細胞の分化では 骨芽細胞と破骨細胞の前駆細胞との接触が必要で,RANKLが破骨細胞の前駆細胞膜上の受容体RANKに 結合し,前駆細胞内に分化シグナルを伝達することによ り破骨細胞の分化が進行する.様々な遺伝子欠損マウス
破骨細胞の分化と機能を 制御する転写因子の役割
久木田明子 * 1 ,菖蒲池健夫 * 1 ,久木田敏夫 * 2
Role of Transcription Factors Involved in the Regulation of Dif- ferentiation and Function of Osteoclasts
Akiko KUKITA, Takeo SHOBUIKE, Toshio KUKITA, *1佐賀大 学医学部,*2九州大学歯学部
の骨の解析から,破骨細胞形成に異常のあるマウスが数 多く見いだされており,RANKの下流で破骨細胞分化 に関わる多くの転写因子,細胞内シグナル因子が明らか になっている.これらの因子を欠損するマウスは,破骨 細胞が正常に形成されず,骨の異常な硬化や骨髄腔の顕 著な狭小化などが見られ,大理石骨病の病態を呈する.
筆者らは, で形成したラットの破骨細胞を認 識するモノクローナル抗体の抗原遺伝子の発現クローニ ングにより,破骨細胞で高発現する転写因子 osteoclast zinc finger (OCZF) を見いだした.OCZFは一時Poke- monと呼ばれていたタンパク質leukemia/lymphoma-re- lated factor (LRF) のラットオルソログで,癌原遺伝子 としての作用があるほか,B, Tリンパ球の細胞分化や 赤血球のアポトーシスに関わるなど,造血細胞において 重要な働きをもつ転写因子であることが明らかにされて いる.筆者らは,破骨細胞の分化と機能におけるOCZF の役割を明らかにすることを目的として, およ び の実験系を用いて研究を進めてきた.その結 果,OCZFが破骨細胞の分化においても重要な役割をも つ転写因子であることを明らかにした.ここでは,破骨 細胞の分化の機構と,破骨細胞の分化に関わる様々な転 写制御因子の作用について,筆者らのOCZFに関する 研究を含めて解説する.
破骨細胞の分化と破骨細胞の特徴
破骨細胞の分化では,まず造血幹細胞に由来する単 球・マクロファージ系の前駆細胞が分化することで前破 骨細胞 (preosteoclast) が形成される(図1).前破骨細 胞は骨芽細胞あるいは骨基質表面上で融合して多核の細 胞となり,さらに活性化されて骨吸収を行なうようにな る.骨吸収を終えた破骨細胞の寿命は長くなく,アポ トーシスにより死滅し,マクロファージに処理される.
このように,破骨細胞の分化には,「前破骨細胞への分 化」,「多核形成」,「活性化」および「アポトーシス」と いう過程があり,厳密に制御されている.
破骨細胞はマクロファージと近縁の細胞であるが,マ クロファージが有するような食作用は極度に低下してお り,骨を吸収するための特化した細胞となっている.分 化した破骨細胞は高度に極性をもった細胞で,破骨細胞 を上面から観察すると骨と密着した細胞膜面では骨と細 胞膜の間が環状にシールされており,その内部に波状縁
(ruffled border) というひだ状の多数の突起を形成する ことにより活発な骨吸収が行なわれている(図1-右上). 破骨細胞は,液胞型のプロトンポンプH+-ATPaseを波 状縁の細胞膜に発現しており,プロトンを細胞外に放出 し骨表面を酸性化することにより骨のミネラル成分の溶 解を行なっている.また,破骨細胞は酸性で働くシステ
図1■破骨細胞の分化過程
インタンパク質分解酵素であるカテプシンKなどの酵 素を分泌することにより,骨の有機基質の多くを占める コラーゲンなどのタンパク質の分解を行なう.カテプシ ンK遺伝子欠損マウスは,破骨細胞は形成されるが,
骨吸収能が低いために大理石骨病を呈する.また,破骨 細胞は,酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ (tartrate-resis- tant acid phosphatase ; TRAP) を特異的に発現してお り,TRAPは破骨細胞特異的なマーカー酵素として使わ れている.
破骨細胞の分化因子RANKLの役割
マクロファージコロニー刺激因子 (macrophage-colo- ny stimulating factor ; M-CSF) はマクロファージの増 殖や生存に必須な因子である.吉田,林らは,OP/OP マ ウ ス と 呼 ば れ て い た 大 理 石 骨 病 マ ウ ス の 原 因 が M-CSFの 遺 伝 子 の 点 突 然 変 異 で あ る こ と を 示 し,
M-CSFが破骨細胞の分化に必須なサイトカインである ことを明らかにした(1).しかし,M-CSFのみでは破骨 細胞分化には十分でなく,破骨細胞を形成するための因 子が骨芽細胞の細胞膜上に存在することが高橋らによっ て示された(2).その後,Amgen 社の研究グループと雪 印および昭和大学の研究グループにより,ほぼ同時に破 骨細胞分化因子 osteoprotegrin ligand (OPGL), osteo- clast differentiation factor (ODF) がそれぞれクローニ ングされ,因子の実体が明らかになった(3).その結果,
OPGLとODFは活性化T細胞で発現することが明らか にされていたRANKLと同一のTNFファミリータンパ ク質であることがわかり,現在はRANKLの名称で呼ば れている.RANKLは膜結合型のTNFファミリーのタ ンパク質で,破骨細胞の前駆細胞上のTNF受容体ファ ミリー膜タンパク質RANKに結合することで破骨細胞
の分化を誘導する.RANKL遺伝子欠損マウスは,破骨 細胞が形成されず大理石骨病を呈し,RANKLが破骨細 胞分化に必須のタンパク質であることが明らかにされて いる.
破骨細胞の前駆細胞の分化決定に関わる転写因子 まず,破骨細胞が造血細胞であることから,破骨細胞 の前駆細胞の分化経路を見ていきたい.造血細胞の分化 では,造血幹細胞 (hematopoietic stem cell ; HSC) から 分化した様々な系列の前駆細胞が形成され,さらに複数 の段階を経て最終分化に至る.破骨細胞は単球・マクロ ファージと顆粒球の前駆細胞granulocyte/macrophage progenitor (GMP) から分化した,単球・マクロファー ジ系の前駆細胞に由来する(図2).さらに,HSCから 分化した赤血球と巨核球の前駆細胞 megakaryocyte/
erythroid progenitor (MEP) と共通の前駆細胞 com- mon myeloid progenitor (CMP) に,GMPが由来する モデルが提唱されている(4).これまでの研究から,この ような造血細胞における細胞系列の分化決定は,それぞ れの分化段階で働く転写因子によって制御されているこ とが明らかにされている.
造血細胞の前駆細胞において,それぞれの細胞の系列 への決定は,転写因子の相対的な濃度が重要である.た とえば,GMPから単球・マクロファージ系列の細胞あ るいは顆粒球の一つである好中球への分化には,eryth- roblast virus E26 oncogene homolog (Ets) ファミリー の転写因子PU.1とロイシンジッパーをもつ転写因子 CCAAT enhancer-binding protein-
α
(C/EBPα
) の相対 的な濃度が重要である(図2).前駆細胞でPU.1を強発 現させると濃度依存的にマクロファージ系列の細胞へと 分化するのに対し,PU.1に比較してC/EBPα
の発現が図2■造血の前駆細胞から破骨細胞 系列細胞への分化の経路と分化決定 に関わる転写因子の働き
高いと好中球に分化する(5, 6).PU.1およびC/EBP
α
は,下流の転写因子やマクロファージあるいは好中球で働く 遺伝子の転写をそれぞれ活性化あるいは抑制することに より,細胞分化系列の決定を制御していると考えられて いる.PU.1遺伝子欠損マウスは,B細胞,破骨細胞およ びマクロファージが形成されず大理石骨病を呈すること から,PU.1は破骨細胞の形成に必要な転写因子である ことが示されている.
最近,単球やマクロファージで高く発現する v-maf musculoaponeurotic fibrosarcoma oncogene family, protein B (MafB) という別のタイプのロイシンジッ パー型の転写因子が,マクロファージの分化に必須であ ることが明らかにされた.MafBとPU.1の発現のバラン スは,マクロファージ前駆細胞からのマクロファージあ る い は 樹 状 細 胞 へ の 分 化 を 制 御 し,MafBが マ ク ロ ファージの成熟に必要なのに対し,PU.1は樹状細胞へ の分化を誘導した.破骨細胞は,この単球・マクロ ファージ系の前駆細胞から分化するが,骨髄マクロ ファージにRANKLを添加するとMafBの発現が顕著に 減少する(7).これらのことから,破骨細胞分化において はMafBの機能を抑制する転写因子が関与する可能性が 示唆される.このように,細胞の分化には転写因子の量 的なバランスが重要であることがわかる.
RANKの下流で破骨細胞の分化を促進する転写因 子
RANKLが発見され で容易に破骨細胞が形成 できるようになり,RANKの下流シグナルの経路の解 析が可能となった.破骨細胞は,骨髄細胞からM-CSF を添加して形成した骨髄マクロファージに,RANKLや M-CSFを添加することにより形成することができる.
また,白血病ウイルスによりトランスフォームした RAW264細胞は,マクロファージとしての性質をもっ ており,RANKLのみを添加することで破骨細胞を形成 する.これらの培養系や遺伝子欠損マウスを使用した研 究から,RANKLで誘導される破骨細胞の前駆細胞内の 主要な転写因子や,それに関わる細胞内シグナル因子が 数多く明らかとなっている.
Fosと nuclear factor-
κ
B (NF-κ
B) は,遺伝子欠損マ ウスが大理石骨病を呈することから破骨細胞の分化に必 須な転写因子であることが明らかにされた. は,マ ウス骨肉腫から単離された 遺伝子の細胞ホモログ である癌原遺伝子で,2量体で作用する activating pro- tein-1 (AP-1) 転写因子の構成因子として働く.Fosを 過剰発現したトランスジェニックマウスでは骨肉腫や軟骨肉腫が形成される.ところが,遺伝子欠損マウスの骨 髄では破骨細胞が認められず,骨量が増加しており大理 石骨病を呈していた.このマウスのマクロファージの分 化には異常はなく,Fosはマクロファージの分化には必 要でなく破骨細胞の分化に必須な転写因子であることが わかった.骨髄マクロファージにRANKLを添加する と,Fosの発現が一過性に上昇する.NF-
κ
Bは,TNFα
などの様々なサイトカインの受容体の下流で活性化され るが,TNF受容体ファミリーであるRANKの下流でも 活性化される.NF-κ
B は2量体からなる転写因子で,ファミリーが存在するが,NF-
κ
B1(p50)NF-κ
B2(p52)ダブル遺伝子欠損マウスは,破骨細胞の形成が顕著に減 少しており,大理石骨病となる.このマウスには成熟B 細胞やマクロファージの機能には異常が見られたが,マ クロファージの形成に異常は見られなかった.Fosはま た,RANKLの下流でインターフェロン
β
の発現を誘導 する.インターフェロンβ
は破骨細胞の分化を抑制する ことが知られており,Fosは破骨細胞分化の抑制経路に も関わっている(8).RANKLの発見により,RANKLで誘導される遺伝子 の解析が網羅的な手法で行なわれた.石田らと高柳ら は,その中でも nuclear factor of activated T-cell cyto- plasmic 1 (NFATc1) の発現が,RANKL添加後顕著に 上昇することを見いだした(9, 10). 遺伝子欠損 マウスは胎生致死であったことから の解析が困 難であったが,朝霧らは, 遺伝子欠損マウス のHSCを 遺伝子欠損マウスに移入した実験で,
においてもNFATc1が破骨細胞の分化に必要であ ることを明らかにした.さらに, 遺伝子欠損マウス の骨髄マクロファージではNFATc1 mRNAが見られ ず, 遺伝子欠損マウスの骨髄マクロファージに NFATc1を強発現させると破骨細胞が形成されること から,Fosの下流にNFATc1が存在することがわかっ た.
また,NFATc1タンパク質の核移行配列はリン酸基 で覆われており,このタンパク質が核へ移行するために は,細胞内のカルシウム濃度の上昇によりホスファター ゼが活性化されリン酸基が取り除かれなければならな い.NFATc1の 活 性 化 に よ る 破 骨 細 胞 の 分 化 に は,
RANKとは異なる膜タンパク質を介した共刺激により,
カルシウム濃度が細胞内で上昇することが重要であるこ とが明らかにされている(13).さらに, でRANKL で誘導される破骨細胞の分化は,mitogen-activated pro- tein kinase (MAPK) の一つであるp38 MAPK経路の阻 害剤で抑制されることから,p38 MAPKの活性化も必
要である.
一方,microphthalmia-associated transcription factor
(Mitf) も破骨細胞に必須な転写因子として知られてい る. 遺伝子の変異マウスはヒト小眼球病に似た表現 型をもち,破骨細胞や色素細胞,マスト細胞などに異常 がある.Mitfはロイシンジッパー型の転写因子で,2量 体を形成して転写を活性化する.Mitfの発現は,RANK の下流では特に上昇が見られないが,Mitfは,RANK の下流で活性化されるp38 MAPKによりリン酸化され 活性化されることが知られている(14).また最近,Mitf には9個以上のプロモーターが異なるアイソフォームが 存在し,特定のアイソフォームMitf-Eの発現がRANKL の下流で上昇することも報告された.
以上のことをまとめて,RANKの下流に位置する転 写因子の経路を図3に示す(11).RANKLがRANKに結 合すると,その下流で,NF-
κ
BやFosが活性化される.さらに遅れてNFATc1の転写が亢進する.NFATc1の プロモーターにはNF-
κ
BやFosの結合配列があり,こ れらの転写因子によって転写が活性化されるとともに,NFATc1自身の結合配列もありauto-amplificationが起 こることが報告されている.NFATc1やp38 MAPKで 活性化されるMitfは,破骨細胞の機能に必須なカテプ シンKや前破骨細胞の融合に関わるDC-STAMP(12)の遺 伝子などのプロモーターに結合し,これらの遺伝子の発
現を亢進し,その結果,破骨細胞の分化が進行し多核の 破骨細胞が形成される.
これらの転写因子の転写活性やプロモーターへの結合 能は,マクロファージ細胞株RAW264を用いたルシ フェラーゼレポーターアッセイや,骨髄マクロファージ から分化した破骨細胞を用いたクロマチン免疫沈降アッ セイを用いて確かめられている.
RANKの下流で破骨細胞の分化を抑制する転写因 子
最近,破骨細胞の分化シグナルを阻害する転写因子 MafB, Interferon regulatory factor-8 (IRF8) や B cell lymphoma 6 (Bcl-6) が明らかにされた.MafBは,Fos, NFATc1やMitfと結合してそれらの転写活性を阻害し,
破骨細胞の分化を阻害していると考えられた.さらに,
IRF8は,NFATc1と結合して同様に転写活性を阻害す ることで破骨細胞の分化を抑制していると考えられ,
遺伝子欠損マウスは,破骨細胞の形成が亢進し骨 粗 鬆 症 を 呈 し て い た(15).一 方,Bcl6は,broad com- plex, tramtrack, bric-a-brac and zinc finger (BTB-ZF)
ファミリーの転写抑制因子で,NFATc1, DC-STAMP などのプロモーターに結合してRANKの下流シグナル を抑制することが最近明らかにされた(16).MafB, IRF8 やBcl-6などの破骨細胞分化を抑制する転写因子の発現
図3■破骨細胞分化因子RANKLの受容体RANKの下流の転写因子
は,RANKLの刺激により速やかに減少する.さらに最 近,その機序が,PRドメインをもつZnフィンガー型の 転 写 抑 制 因 子 B lymphocyte-induced maturation pro- tein-1 (Blimp-1) の作用によるものであると報告されて い る.Blimp-1は,RANKLの 下 流 でBcl-6やMafB, IRF8などの遺伝子のプロモーターに結合しその転写を 抑制した(17).
このように,RANKLの下流で破骨細胞分化が進行す るためには,分化を促進する転写因子が活性化される一 方,破骨細胞の分化を抑制する転写因子の活性が阻害さ れることが必要であることがわかってきた(図3).
破骨細胞で高く発現する転写抑制因子OCZFの機 能
1. OCZFの発現と構造およびホモログの機能
筆者らは,ラットの破骨細胞のcDNAライブラリー から,破骨細胞の核を認識するモノクローナル抗体を用 いてその抗原遺伝子の発現クローニングを行ない,
OCZFを 見 い だ し た(18, 19).OCZFは,GC-richなDNA 配列を認識して転写を抑制する転写抑制因子で,実験的 に関節炎による骨破壊を起こした骨を用いて hy- bridizationにより OCZF mRNA 発現を解析すると,
OCZFは多核の破骨細胞やその前駆細胞に顕著に高い発 現があることがわかった.OCZFは,マウスではLRF
(旧名 Pokemon, POK Erythroid, Myeloid ONtogenic fac tor), ヒトでは factor that binds to induce of short transcripts of human immunodeficiency virus type 1
(FBI-1) と し て 知 ら れ,Bcl-6と 同 じBTB-ZFフ ァ ミ リーの転写因子で,遺伝子zinc finger and BTB domain containing 7a ( ) にコードされている.
BTB-ZF転写因子は,ヒトとマウスですでに45個以 上明らかにされており,最近,Bcl-6も含めBTB-ZF転 写因子が,造血細胞の系列の決定やT細胞のサブセッ
トへの分化など,造血細胞と免疫系の細胞の分化の制御 に関わる重要なタンパク質であることが次々と明らかに さ れ た(20).BTB-ZF転 写 因 子 は,N末 端 にBTB/POZ
(poxvirus zinc fingerとも呼ばれる)というドメインを もち,C末端には特異的なDNA配列を認識するKrüp- pel type Znフィンガーを有している(図4).この転写 因子は,BTBやZnフィンガー領域を介してホモダイ マーやヘテロダイマーを形成して作用する.形成された ダイマーは silencing mediator of retinoid and thyroid hormone receptors (SMRT), nuclear receptor core- pressor (N-CoR) などの転写のcorepressorや,ヒスト ン脱アセチル化酵素 (histone deacetylase ; HDAC) な どのヒストン修飾酵素をリクルートし,その多くが転写 の抑制に関わっていると考えられている.標的遺伝子と しては,細胞の分化や細胞周期,老化,炎症などに関す るものが知られている.
OCZFのマウスオルソログLRFは,B細胞やT細胞の 分化系列の決定に重要な働きがあることが,前田らに よって報告された(表1).前田らは,未分化な造血細 胞特異的に 遺伝子を欠損させたコンディショナル 遺伝子欠損マウスを作製し,このマウスの骨髄では,B 細胞の初期分化に異常があり,本来胸腺で分化する CD4 CD8ダブルポジティブ (DP) T細胞が骨髄で形成 されていることを見いだした(21).一方,OCZF/LRFと POZやZnフィンガードメインで相同性のあるホモログ 遺伝子 も知られている.この遺伝子からつくら れる転写因子 T-helper-inducing POZ/Krüppel like fac- tor (Th-POK) は,CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞の 分化系列の決定に重要な役割を有していることが報告さ れている.またLRFは,細胞系列の分化決定に働く一 方,癌原遺伝子として作用し,癌抑制因子である細胞周 期のインヒビター p19ARFの転写を抑制し,未熟なB, T 細胞で強発現するとリンパ腫を形成した(22).また,
遺伝子欠損マウスは重篤な貧血が原因で胎生致死 となるが,最近前田らは,LRFが赤芽球の生存に必須 なタンパク質であることも明らかにした(23).このよう
表1■OCZF/LRF/FBI-1とそのホモログの機能 遺伝子名 遺伝子シンボルおよび
動物 機能
LRF/Pokemonマウス 癌原遺伝子,B細胞とT細 胞の分化系列決定
OCZFラット 成熟B細胞の分化
FBI-1ヒト 赤芽球の生存
破骨細胞の分化,生存 Th-POK/c-Kroxマウス CD4陽 性T細 胞 とCD8陽
性T細胞の分化系列決定 図4■BTB-ZF 転写因子の構造と機能
に,OCZF/LRFは,特定の細胞系列の分化段階で高い 発現があり,造血や免疫系の細胞分化と増殖において重 要な働きをもつ転写因子であると考えられた.そこで,
筆者らは,LRF/OCZFが破骨細胞分化においても何ら かの重要な役割をもつのではないかと考えた.
2. 培養系での解析
筆者らは,OCZF/LRF/FBI-1が骨組織の破骨細胞で 高い発現があることから,まず の培養系を用い てOCZFの破骨細胞分化における発現と機能を解析し た. で骨髄マクロファージやRAW264細胞から RANKLにより形成される破骨細胞において,OCZF/
LRFタンパク質の細胞内の局在について免疫染色法に より解析したところ,多核の破骨細胞の核に強いシグナ ルが観察され,OCZF/LRFが破骨細胞で高く発現する ことが確かめられた(図5).さらに,RAW264細胞に は,エレクトロポレーションの改良型のNucleofectorシ ステムを用いて高効率に遺伝子を導入することが可能で ある.そこで,RAW264細胞にLRF siRNAを導入して RNA干渉によりLRFの発現を抑制したところ,破骨細 胞の分化,特に多核の形成が顕著に阻害された.このよ うに, の実験から,OCZF/LRFがRANKLで誘 導される破骨細胞の分化の亢進に関与することが示唆さ れた.
3. OCZFトランスジェニックマウスの作製とその骨解 析
そこで次に,破骨細胞の分化や機能におけるOCZF/
LRFの での役割を調べることを計画した.
遺伝子欠損マウスは胎生致死であることから,OCZF/
LRFの骨への影響を調べるためには,トランスジェ ニックマウスの作製あるいはコンディショナル遺伝子欠 損マウスが有用であると考えられた.破骨細胞における 遺伝子の働きを調べるために,カテプシンK遺伝子座に Creリコンビナーゼをノックインさせたマウスを用いて 破骨細胞系列特異的に遺伝子の働きを欠損させたコン ディショナル遺伝子欠損マウスが用いられている(24). 一方,TRAPなどの破骨細胞特異的な遺伝子のプロモー ターを用いて遺伝子を強発現させたトランスジェニック マウスを用いた研究も報告されていた.そこで,筆者ら は,破骨細胞系列の細胞でOCZFを高発現するトラン スジェニックマウスを作製することにした.筆者らは,
OCZFを発現させるためのプロモーターとしてTRAP でなくマウスカテプシンKプロモーターをクローニン グ し た.こ の プ ロ モ ー タ ー の 転 写 活 性 に つ い て RAW264細胞を用いてルシフェラーゼレポーターアッ セイにより解析した結果,カテプシンK遺伝子の上流 1.4 〜 2.0 kbの領域に転写活性が顕著に亢進する領域が あり,RANKLに応答することが確かめられたため,こ のプロモーターを用いることにした.
OCZFトランスジェニックマウス(OCZF-Tgマウス)
を用いたOCZFの骨における機能解析のために,8系統 のトランスジェニックマウスを作製し解析した.OCZF トランスジーンの発現は骨細胞で高く,内在性カテプシ ンKの発現分布と一致していた.OCZF-Tgマウスは正 常に生まれ,外観には大きな変化は見られなかったが,
骨の解析を行なった結果,野生型と比べて違いがあるこ とがわかった(25).図6は,代表的なOCZF-Tgマウス
(2-2と2-6の異なる系統のTgマウス)と野生型マウスの 大腿骨のヘマトキシリン染色による組織像と,高分解能 マイクロフォーカスX線CTスキャナー(マイクロCT)
よる骨の断面像を示している.OCZF-Tgマウスの骨は いずれも,野生型マウス (WT) の骨と比較すると骨量 が減少していた.
OCZF-Tgマウスにおける骨の減少は,骨芽細胞によ る骨形成機能の低下あるいは破骨細胞の分化や機能の亢 進によるものである可能性が考えられる.その評価方法 として,骨形態計測という組織学的方法が用いられてい る.未脱灰の骨の切片を作製し,破骨細胞の分化と機能 については,大腿骨切片のTRAP染色を行ない,骨幹 図5■ で形成された破骨細胞におけるLRFタンパク質
の局在
骨髄細胞からM-CSFを用いてマウス骨髄マクロファージを形成 し,RANKLを添加して破骨細胞を形成後,抗OCZF抗体を用い て免疫染色を行なった.
端における破骨細胞数や骨吸収面を計測した.骨芽細胞 の分化と機能については,骨芽細胞で発現が高いアルカ リホスファターゼの酵素染色を行ない,骨芽細胞面を計 測し,骨形成能はカルセインという蛍光物質をマウスに 2回間隔を空けて投与することにより,骨表面に形成さ れるカルセインの沈着面(蛍光を発する)の間隔を測定 することで骨形成速度を測定した.その結果,OCZF- Tgマウスは野生型マウスと比較して骨形成には違いが みられなかったが,破骨細胞数,骨吸収が顕著に亢進し ていることがわかった.
4. OCZFトランスジェニックマウスにおける破骨細胞 分化
OCZF-Tgマウスでは,なぜ破骨細胞が多く見いださ れ骨量の減少が見られたのか? 破骨細胞のそれぞれの 分化の過程におけるOCZFの役割について検討を行 なった.まず,OCZF-Tgマウスと野生型マウスから骨 髄を採取して,破骨細胞の前駆細胞の形成について FACSを用いて解析した.その結果,M-CSFの受容体
c-fms陽性の前駆細胞形成には違いは見られず,OCZF の高発現は前駆細胞の分化には影響していなかった.そ こで,さらに,OCZF-Tgマウスと野生型の骨髄から骨 髄マクロファージを形成し,RANKLを添加して破骨細 胞を形成したところ,3日後に形成される破骨細胞数が OCZF-Tgマウスで亢進していた.さらに,RANKの下 流で発現上昇する転写因子のなかで,NFATc1の発現 がOCZF-Tgマウスから形成した破骨細胞で亢進してい た.このように,OCZF強発現は,RANKの下流シグ ナルを亢進させて破骨細胞分化を促進したことが考えら れた.また,OCZFの発現が特に多核細胞で高いこと と,RAW264細胞を用いたRNA干渉の実験で,特に多 核細胞の形成が抑制されていたことから,OCZFは破骨 細胞の分化の後期過程で働く転写因子ではないかと考え られた.
次に,LRFが赤血球の生存,すなわちアポトーシス の抑制に関わることが報告されていたため,破骨細胞の アポトーシスに対する作用について検討した.破骨細胞 のアポトーシスは, で骨髄マクロファージから 図6■野生型とOCZF-Tgマウスの 骨解析
野生型 (WT) とOCZF-Tgマウスの 大腿骨の遠位端のヘマトキシリン染 色 (H&E) とマイクロCTによる骨端 部断面像 (μCT)
図7■破骨細胞の分化における転写 因子の作用点
破骨細胞を形成した後に,培養液中からRANKLや M-CSFなどのサイトカインを除去することにより測定 することができる.サイトカインの非存在下では,死ん だ破骨細胞が剥がれてしまうため,デッシュに剥がれな いで残った細胞を計測する.野生型マウスの骨髄マクロ ファージから形成した破骨細胞はサイトカインを除去後 12時間で半数以下に減少してしまう.これに対し,OC- ZF-Tgマウスの骨髄マクロファージから形成した破骨 細胞は,剥がれる破骨細胞が少なくアポトーシスに抵抗 性であることがわかった.
以上のことから,OCZFは と の実験系 で破骨細胞の分化を亢進する作用をもつことが明らかと なったとともに,OCZFはアポトーシスを抑制する作用 ももっており,OCZF-Tgマウスでは骨吸収が亢進し骨 量が減少した可能性が示唆された(図7).
HDACによる破骨細胞分化制御の可能性
BTB-ZF転写因子の多くは,HDACなどのヒストン修 飾酵素をリクルートして転写を制御する.RANKの下 流には破骨細胞の分化シグナルを促進する転写因子と抑 制する転写因子があることがわかったが,これらの転写 因子の活性の制御にもHDACが関わっていることが考 えられる.筆者らは,OCZFの機能を解析する過程で,
HDAC阻害剤が破骨細胞においてOCZFの活性を阻害 する可能性を考えて,HDACの阻害剤の一つであるト リコスタチンA (TSA) と酪酸ナトリウムを,
での破骨細胞分化系に添加し,その影響について調べ た.その結果,TSAと酪酸ナトリウムは, で形 成されるマクロファージの分化は阻害しないが,破骨細 胞の分化を選択的に阻害することを見いだした(26). HDACにはHDAC1からHDAC11までの種類が知られ ており,TSAや酪酸ナトリウムは非特異的にHDAC活 性を阻害する活性をもっている.そこで,HDAC1と HDAC2に特異性の高い別のHDAC阻害剤 FR901228
(FK-228) を用いて同様の実験を行なったところ,やは りFR901228も破骨細胞の形成を阻害することがわかっ た(27).このように, の破骨細胞の分化系におい ては,HDAC(少なくともHDAC1やHDAC2)活性が 必要である可能性が示唆された.
HDACは,アセチル化したヒストンや転写因子など を脱アセチル化し様々な遺伝子の発現を抑制すると考え られているが,HDACのいくつかは骨の細胞において 重要な働きをもっていることが明らかにされている(28). 骨芽細胞では,骨芽細胞分化を誘導する転写因子 runt-
related transcription factor 2 (Runx2) の 転 写 活 性 は HDAC4で制御されている.現在使用されているHDAC 阻害剤の多くは特異性は高くないにもかかわらず,
HDAC阻害剤は の骨芽細胞の分化系において骨 芽細胞特異的な遺伝子の発現を亢進し,分化を促進し た.そこで,筆者らは, の破骨細胞の分化系に おいてHDAC阻害剤により発現が促進される遺伝子を 検討したところ,インターフェロン
β
のプロモーターに HDAC阻害剤TSAにより発現が誘導される領域がある ことを見いだした.その結果,FR901228がRANKLで 誘導されるインターフェロンβ
の発現を亢進しNFATc1 の発現を抑制することにより,破骨細胞の分化を抑制し ていることが明らかになった(27).このように,破骨細 胞におけるHDAC阻害剤の標的遺伝子の一つとしてイ ンターフェロンβ
が考えられた.現在のところ,破骨細胞におけるOCZFの転写活性 にHDACが関わっているか否かは明らかにできていな いが,個々のHDACがどのような転写因子を介して遺 伝子の発現を制御し破骨細胞の分化を制御しているかな ど,今後の研究が期待される.さらに,HDAC阻害剤 のいくつかは癌の治療薬としても使用されており,個々 のHDAC特異的な阻害剤の開発やHDAC阻害剤の
における骨への作用の解析も重要な課題であると考 えられる.
おわりに
以上,破骨細胞の分化と制御に関わる転写因子の役割 について紹介した.近年の遺伝子欠損マウスを用いた研 究の進展は大きく,RANKの下流の多くの細胞内シグ ナル因子とその伝達経路が明らかにされている.最終的 にこれらのタンパク質の多くは,転写因子の働きを介し て,破骨細胞の分化の制御に関わっていると考えられ る.そして,RANKの下流の主要な転写因子とその ネットワークが明らかにされつつあるが,骨吸収をもつ 破骨細胞は,分化,細胞周期の停止,融合など複雑な分 化過程を経て形成される.RANKの下流の転写因子は,
これらの過程にも関わっていることが考えられる.ま た,いくつかのステップからなる破骨細胞の分化のそれ ぞれの過程で,転写因子は個々に作用するのではなく 様々な構成の転写因子とco-factorの複合体を形成して 転写を促進あるいは抑制して分化を調節している.
OCZFのように破骨細胞において特に高く発現する転写 因子は,これらの過程で重要な役割を果たすと考えられ る.今後,骨吸収能をもつ破骨細胞を形成させるために
必要な転写因子間の相互作用や,細胞内シグナルとの関 連,新たな転写制御因子の発見,さらにエピジェネ ティックな遺伝子発現の制御など,様々な研究の発展が 期待される.1つの転写因子の発現の上昇は細胞の運命 を変えることもある.転写因子は,破骨細胞の分化にお いてもとても魅力的なタンパク質である.
さらに,破骨細胞の骨吸収能は,アポトーシスにより 骨吸収のストップがかからなければ制御できない.
OCZFが破骨細胞のアポトーシスにも関与するという新 しい知見が見いだされた.Mitfも,アポトーシスを阻害 するタンパク質の転写を制御し,破骨細胞のアポトーシ スに関わることが報告されている.また,破骨細胞のア ポトーシスに関連するBcl-2ファミリータンパク質につ いてはすでに調べられており,Bimが破骨細胞のアポ トーシスの制御に関わることが報告されている.LRF の赤血球のアポトーシスに抵抗する活性には,Bimの発 現抑制が関わっていた.OCZFはこのようなアポトーシ ス関連タンパク質の発現制御に関わるのであろうか.興 味深いところである.また,OCZFの破骨細胞分化にお ける機能は,カテプシンKプロモーターを用いたTgマ ウスの表現型の解析のみでなく,今後,破骨細胞特異的 に遺伝子を欠損させたマウスなどの解析結果と合わせて 考察することで,より明確な答えが得られると考えてい る.
BTB-ZF転写因子に共通することは,分化の制御に関 わる一方,癌原遺伝子としての作用をもっており増殖制 御にも関わるということである.癌の増殖を制御する目 的で,一部のBTB-ZF転写因子のダイマーのタンパク質 の立体構造が解析され,活性を阻害するペプチドが開発 されている.OCZFもその活性にはダイマーを形成する ことが重要であると考えられており,OCZFの活性を阻 害するペプチドは癌細胞の増殖の抑制のみでなく,骨粗 鬆症などの骨疾患にも応用できるかもしれない.抗 RANKLヒトモノクローナル抗体を使用した臨床試験が 進められており,骨粗鬆症だけでなく関節リウマチにも
治療効果があることが示されている.一方,破骨細胞の 分化を制御する転写因子の詳細を明らかにしていくこと も,新しい骨破壊の制御法の開発に進展をもたらすこと が大いに期待される.
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