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視覚センサー遺伝子の適応と進化多様性 - J-Stage

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【解説】

ヒトの網膜には色覚,すなわち色を感じるために赤,緑,青 に 対 応 し た3種 類 の 視 覚 セ ン サ ー=視 覚 オ プ シ ン が 存 在 す る.脊椎動物の中で魚類と霊長類は色覚が多様性に富む点で 特異である.たとえば新世界ザルはオプシン遺伝子のアレル 多型によって2色型と3色型からなる高度な色覚多型を示す.

この多型は強い自然選択圧により維持されているが,2色型

3色型のどちらか一方が有利とは必ずしもいえない.ここ

では,魚類と霊長類の視覚センサー遺伝子の適応と進化の経 緯を検討する中で,色覚の多様性の意味を考える.

脊椎動物の視覚オプシン

脊椎動物の網膜には桿体と錐体という2種類の視覚の ための光受容細胞(視細胞)がある.桿体は薄明視を,

錐体は明視と色覚を担っている.感光分子である視物質 はこれら視細胞の外節部と呼ばれる部分に局在する.視 物質の吸収スペクトルは横軸に波長をとるとベル型をし ている.最大吸収を与える波長を

λ

max(ラムダマック ス)と呼び,その視物質の感受波長域全体の代表値とし

て使われる.1個の視物質は1個のタンパク質分子オプ シンと1個の吸光体11- レチナール(ビタミンA1アル デヒド)または11-  3,4-デヒドロレチナール(ビタミ ンA2アルデヒド)からなる(1).「オプシン」はレチナー ル配位型の感光分子の総称である.細菌から脊椎動物ま で広くみられ,機能も視覚に限らず非視覚系光感覚,走 光性,プロトンポンプなど多様で,全体の進化系統上の 関係性には不明な点も多い.光感覚を担うオプシンは一 般に7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体 (GPCR) 

遺伝子スーパーファミリーに属している.本稿では,視 覚機能を担うオプシンを「視覚オプシン」と呼ぶ.

オプシンのアミノ酸配列は吸光体レチナールの吸収波 長に影響を与える.同一のオプシンの下でA2吸光体は A1吸光体より長波長域を吸収する(1).A1とA2吸光体の 吸収波長域の違いは,より長波長タイプのオプシンの下 でより大きくなる.昼行性の鳥類や爬虫類,そして肺魚 には色付きの油滴が錐体視細胞中に存在し,カラーフィ ルターとしてさらに錐体視細胞の吸収波長に影響を与え

(2, 3).これらのカラーフィルターはある波長域以下を

吸収するカットオフフィルターとして機能し,感受波長 域の隣接する錐体視細胞間の感受波長域の重なりを低減

視覚センサー遺伝子の適応と進化多様性

魚類から霊長類まで

河村正二

Evolutionary Adaptation and Diversification of Visual Sensory  Genes : From Fish to Primates

Shoji KAWAMURA, 東京大学大学院新領域創成科学研究科

(2)

させることで,識別できる色の種類を増やす働きがあ る(4).したがって,オプシン,吸光体,油滴の組み合わ せにより錐体視細胞の感受波長域が決定される.しか し,A2吸光体は哺乳類,鳥類,そして多くの爬虫類で 使われておらず,油滴は多くの動物系統群で存在してい

ない(5, 6).したがって,色覚進化において普遍的で主要

な役割を演じるのはオプシンであるといえる.さらに,

オプシン研究の進化学上の利点として,機能解析の容易 さが挙げられる.オプシンのcDNAを培養細胞に導入 し発現させ,試験管内で吸光体を添加して視物質を再構 成させ,その吸収波長を測定する実験系が確立されてお り,部位特異的塩基変異導入と組み合わせることで,進 化の過程で生じた感受波長域の変化を実験室で再現し検 証することが可能なのである(7)

色覚とは波長構成の違いに基づいて光を識別する感覚 であり,感受波長域を異にする錐体視細胞の出力を比較 するために,網膜にそうした錐体視細胞を少なくとも2 種類必要とする.したがって,色覚を達成するために は,感受波長域の異なる錐体オプシンのセットと,それ らをそれぞれ異なる細胞で発現させる仕組みが必要であ る.1種類の錐体しかもたない動物は波長識別ができ ず,全色盲となる(ただし,桿体と錐体の両方が働きう るある範囲の弱光下では低レベルながら色識別が可能と なる).感受波長域の異なる錐体の種類が2つであれば,

これら2種類からのシグナルに基づき色情報が処理され 2色型色覚となる.同様に,そういう錐体が3種類であ れば3色型色覚,4種類であれば4色型色覚となる.

脊椎動物の視覚オプシンは進化系統上5つのタイプに 分類できる.桿体オプシン(ロドプシン (rhodopsin) 

とも呼ばれる)であるRH1と4タイプの錐体オプシン RH2(第2ロ ド プ シ ン;緑 タ イ プ ),SWS1(short  wavelength-sensitiveタイプ1;紫外線タイプ),SWS2

(short wavelength-sensitiveタイプ2;青タイプ)そし てM/LWS(middle to long wavelength-sensitive;赤‒

緑タイプ)である(表

1

(8).分子系統解析から,これ ら5タイプは無顎類を含む脊椎動物の共通祖先において すでに確立していたと考えられる(8〜12).今日の脊椎動 物の視覚オプシンはこれらの5タイプを基にしており,

あるものはこれらのどれかを失い,あるものはそれらの どれかを遺伝子重複や対立遺伝子多型化により増やして いるわけである(表1).こうして増やしたオプシンを 本稿ではサブタイプと呼ぶ.

次節で詳述するように,魚類の視覚オプシンレパート リーは非常に多様である.両生類には現在までRH2タ イプの存在が報告されていないが,他のタイプは1つず

つ見いだされている.多くの鳥類や爬虫類は4タイプの 錐体オプシン(と1タイプの桿体オプシン)をそれぞれ 1つずつ維持しており,4色型色覚である(13).哺乳類は SWS1(有胎盤類と有袋類)あるいはSWS2(単孔類)

のいずれかとRH2を中生代の夜行性の祖先において喪 失したと考えられる(14, 15).その結果,有胎盤哺乳類は 基本的に桿体オプシンとSWS1およびM/LWSタイプ錐 体オプシンのみによる2色型色覚となっている(16).霊 長類はM/LWSタイプオプシンを遺伝子重複あるいは対 立遺伝子多型によって分化させて3色型色覚という高次 色覚を再獲得した点で,有胎盤哺乳類の中で例外的存在 である(17).遺伝子重複によりいわゆるLオプシン遺伝 子とMオプシン遺伝子をX染色体上に縦列させた狭鼻 猿類(旧世界ザル類,類人猿,ヒト)は基本的にすべて の個体で3色型色覚となるため恒常的3色型色覚と呼ば れ,対立遺伝子多型によりサブタイプを有する大部分の 広鼻猿類(新世界ザル類)と一部の原猿類は多型的3色 型色覚と呼ばれる.

光と影は一般に明度分布に大きな不均一性をもたら す.しかし,感受波長域の異なる錐体視細胞間の出力の 比率は明度によらずほぼ一定なため,色感はこのような 環境下でも保たれる(18).したがって,色覚は明度分布 がまだらで不規則に変動する背景から目的物を見いだす のに非常に有効である.加えて,照明の波長構成によら ず,色のカテゴリーが保たれる「色の恒常性」という性 質が知られている(19).刻々不規則に変動する光環境は 浅瀬と森林に一般的である.したがって,これらの環境 は色覚に強い自然選択がかかり,色覚が最も進化し多様 化する場所となることが予測される(20).初期の脊椎動 表1脊椎動物視物質オプシンタイプの系統分布

赤-緑タイプ 

(M/LWS) 緑タイプ 

(RH2) 青タイプ 

(SWS2)

紫外線  タイプ 

(SWS1)

桿体  タイプ 

(RH1)

魚類 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎

両生類 ○ ? ○ ○ ○

爬虫類 ○ ○ ○ ○ ○

鳥類 ○ ○ ○ ○ ○

有胎盤 哺乳類 ○ × × ○ ○

霊長類 ◎ 

(L/M)

× × ○ 

(S) ○

○はそのオプシンタイプを1種類,◎は2種類以上もっていること を表わし,×はもっていないことを表わす.魚類には5タイプす べてについて遺伝子重複によるサブタイプが報告されている.両 生類のRH2タイプはまだ報告がない.有胎盤哺乳類はSWS2タイ プとRH2タイプを失っている.哺乳類中霊長類だけは対立遺伝子 分化あるいは遺伝子重複によってオプシンのサブタイプをもって いる(M/LWSタイプ).

(3)

物がすでに高度な4色型色覚を獲得したのも,約5億4 千万年前のカンブリア紀初頭に,その生息域であったと 考えられる大陸棚の浅瀬という光環境が色覚への熾烈な 選択圧を生んだためではないかと推測できる(21).こう した理由から,本稿では特に魚類と霊長類に焦点を当て て,脊椎動物の色覚の進化と多様性に関する最新の知見 を紹介する.

魚類の多様な視覚オプシンレパートリー 1.  遺伝子重複と感受波長分化

他の脊椎動物と異なり,多くの魚類は2種類以上のサ ブタイプオプシンを有する豊かで多様な視覚オプシンレ パートリーをもっており,水中の多様な光環境に適応し て い る と 考 え ら れ る(22).筆 者 ら の 行 な っ た ゼ ブ ラ フィッシュ ( )(写真

1

(23) とメダカ (

(24)の研究や他の研究グループのシクリッド

(Cichlidae科)(25〜28)などの研究により,様々な種ですべ ての視覚オプシン遺伝子が単離され解析されている.ゼ ブラフィッシュとメダカは水面域の小型淡水魚であり,

発 生 遺 伝 学 の モ デ ル 動 物 と し て よ く 研 究 さ れ て お

(29, 30),ゲノムプロジェクトも進行している(31).シク

リッドはアフリカや中南米の湖で急速な種分化を遂げて きたことから,多くの進化生物学者を魅了してきた種分 化研究のモデル生物としてよく知られている.これらの 種については,すべての視覚オプシン遺伝子から視物質 が再構成され,吸収波長が測定されている.

ゼブラフィッシュは感受波長域の異なる2種類のM/

LWSサブタイプと4種類のRH2サブタイプ,そして1 種類ずつのSWS1, SWS2,  桿体 (RH1) オプシン遺伝子 からなる総計9つもの視覚オプシン遺伝子をもってい る(23).メダカは感受波長域の異なるRH2を3種類と SWS2を2種類,感受波長が分化していない2種類のM/

LWS,そして1種類ずつのSWS1とRH1オプシン遺伝 子からなる9つの視覚オプシン遺伝子をもっている(24)

シクリッドも感受波長域の異なる3種類のRH2と2種類 のSWS2をもつが,M/LWSはSWS1およびRH1と同じ く1種類で,総計8種類の視覚オプシン遺伝子をもって

いる(27, 32).塩基配列やアミノ酸配列に基づく分子系統

解析から,サブタイプをもたらした視覚オプシンの遺伝 子重複は魚類の進化過程で様々な系統群で生じてきたこ とが明らかにされている(24)

分子系統解析から,どのようなアミノ酸置換が進化系 統樹のどこで生じてきたかも推定することができる.つ まり,祖先種におけるアミノ酸配列が推定できるため,

これらのcDNAを人工的に合成し,視物質を再構成す ることで,祖先種のオプシンの感受波長域を測定し,感 受波長域に変化をもたらしてきたアミノ酸置換を同定す ることができる(7, 33〜36).筆者らはこの方法によって,

ゼブラフィッシュの視覚オプシンサブタイプ間や近縁種 間の感受波長域の違いをもたらしたアミノ酸置換を同定 している(37, 38)

2.  視覚オプシンサブタイプの発現分化

ゼブラフィッシュとメダカは8つ,シクリッドは7つ の錐体オプシン遺伝子をもつわけであるが,彼らは8色 型や7色型色覚なのだろうか? 答えはノーである.シ クリッドで同時期に網膜で発現している錐体オプシンは 主に3種類であり,それも生息環境の異なる種間では異 なるセットを使っている例が知られている(27).また,

発生段階で発現させる主要なオプシンを変えている例も 報告されている(39, 40).しかし,発現量が少ないオプシ ン遺伝子が視覚において重要な意味をもつ場合もあるこ とは留意すべきである.たとえばヒトの場合,S錐体視 細胞は網膜の錐体視細胞の中でマイノリティーである が,3色型色覚を構成する欠かせない要素である.シク リッドで発現の低いオプシンの貢献については知見がま だなく,今後の研究が待たれる.

発生段階でオプシン遺伝子の発現を変化させる事例 は,他にも多くの魚類で報告されている.特に河川と海 洋を回遊する魚類ではよく知られている.海洋では短波 長の光がよく透過し他の可視光は散乱や吸収の影響をよ り強く受けるため青く見えるが,河川は濁度の影響で長 波長側の透過が相対的に高く緑味を帯びる傾向があ る(22).一般的に,海洋の魚類は視物質にA1吸光体を使 い,河川の魚類はA1とA2の両方を使う.同じオプシン の下でA1吸光体はA2吸光体より短波長を吸収するた め,これは魚類の光環境への進化的適応と考えられてい る.多くの回遊魚では,海ではA1を川ではA2をと使い 分けている.吸光体の切り替えに加え,ウナギでは桿体 写真1ゼブラフィッシュ

(4)

オプシンのサブタイプを海では短波長感受型,川では長 波長感受型と,発現を切り替えている(41, 42).サケでも 同様な発色団切り替えが報告されている他,産卵のため に海から川に成魚が遡上する際に同一の錐体視細胞が紫 外線感受性のSWS1オプシンから青感受性のSWS2オプ シンに発現を切り替えることが報告されている(43)

ゼブラフィッシュでは4種類のRH2と2種類のM/

LWSに関して,網膜の領域でサブタイプを使い分けて いることを筆者らは報告している(44) (図

1

.RH2, M/

LWSとも,より短波長感受性のサブタイプは網膜の中 央から背側で,より長波長のサブタイプは網膜の周縁 部,特に腹側の広い領域で短波長側のサブタイプの発現

領域を取り囲むように発現している.これは,視角に よって波長感受性,そしておそらくは色覚が異なること を示している(図1).水中では光の波長構成は光が やってくる方向によってまったく異なりうる.浅瀬では 水面から来る光は空中の太陽光の波長構成とほぼ同じで あるが,下や水平方向から来る光は水による散乱や吸収 によって波長構成が大きく変わっている.魚の体表の色 彩が部位によって違うことも,交配や警戒行動におい て,光の構成波長の傾斜の中で魚類の視覚によって見ら れることへの適応である可能性もある.ゼブラフィッ シュで見られたサブタイプの発現分化のパターンが他の 魚類ではどうなっているのか,そしてそれはその魚種の 図1ゼブラフィッシュとヒトのサ ブタイプオプシン遺伝子の発現分化 遺伝子重複によって生じたゼブラ フィッシュの4つのRH2(緑)サブタ イプ遺伝子と2つのM/LWS(赤‒緑)

サブタイプ遺伝子にはそれぞれRH2- LCR,LARという単一の制御領域が あり,網膜の異なる領域に発現分化 している.このため,視角により異 なる色覚が生じていると考えられる.

ヒト(狭鼻猿類)のM/LWSサブタ イプであるLオプシンとMオプシン も単一の領域LCRに制御されている が,網膜中での発現分化は弱く,L 錐体とM錐体のほぼランダムな分布 が生じている.これにより図示して いないS錐体と合わせて3色型色覚が 実現している.

(5)

行動や生態とどのように関係しているのかをさらに今後 研究していく必要がある.ゼブラフィッシュの研究結果 は,網膜全体での発現量としては低いオプシンでも網膜 の限られた領域で発現することで視角によって異なる色 覚をもたらすという視覚機能を有していることを示すよ い例と考えられる.

3.  サブタイプオプシン間の発現分化の制御メカニズム これまでに知られている限り,魚類のサブタイプオプ シンは魚類進化の過程で何度か生じたゲノム重複による のではなく,すべて局部的な領域重複による遺伝子重複 の産物である.したがって,ゲノム重複によって生じた サブタイプはゲノムから消失したと考えられる.このこ とは,局部的な遺伝子重複のほうがゲノム重複よりもサ ブタイプ間の発現分化の制御がより容易であることを示 唆している.局部的な遺伝子重複によって生じた遺伝子 は,物理的な距離の近さのためにそれらの間でシス調節 領域を共有するチャンスに恵まれていると考えられる.

視覚オプシンの制御領域は,緑色蛍光タンパク質GFP などの生体で使用可能な蛍光マーカーを用いたトランス ジェニック技術の適用の容易さから,ゼブラフィッシュ において,筆者らも含めた多くの研究グループにより精 力的に研究されている(45〜51)

サブタイプ間の発現調節領域に関しては,ゼブラ フィッシュの4つのRH2(52)と2つのM/LWS(53)に関して 行なった筆者らの研究報告がある.ゼブラフィッシュの 4つのRH2オプシン遺伝子は縦列に並んでおり,遺伝子 列の上流約15 kbに存在する約0.5 kbの RH2-LCR (lo- cus control region) と呼ばれる領域によって制御を受け ている(図1).RH2-LCR は遺伝子を網膜の緑錐体視細 胞(複錐体短型視細胞)に発現誘導するのに必要十分で あることが示されている.また,RH2-LCRとの相対的 距離によってRH2オプシンサブタイプ間の網膜発現領 域パターンが変わる.ただし,各遺伝子の直上流域にも 発現領域特異性に関わる配列があると考えられ,さらな る研究が待たれる.M/LWSについては,2つのサブタ イプを赤錐体視細胞(複錐体長型視細胞)特異的に発現 誘導するシス領域は同定されていないものの,2つの発 現を増強する LAR (LWS activating region) と呼ばれ る1つの領域が発見されている(図1).今後,細胞特異 的発現誘導を導く領域をさらに明らかにしていく必要が ある.異なる系統あるいは異なる生態の魚種の間で網膜 のオプシンサブタイプの時空間的発現パターンを明らか にし,それらの遺伝子発現制御メカニズムと行動・生態 学上の意義を明らかにしていくことが今後求められてい

る.

霊長類の狭鼻猿類のM/LWSオプシンにおいても,遺 伝子重複により生じたLオプシンとMオプシン遺伝子 が縦列に並んでいるが,興味深いことに,魚類の場合と 同様に,遺伝子列上流に位置するLCRと呼ばれる単一 の調節領域により発現分化が制御されている(図1). ただし,ゼブラフィッシュにおいてはRH2-LCRやLAR はサブタイプ間の網膜の発現領域の分化を生じさせ,そ れにより視角によって異なる色覚を実現させるのに対し て,霊長類ではサブタイプであるLオプシンとMオプ シンの発現細胞のほぼランダムな分布を生じさせてい て,それにより3色型色覚を実現させている(図1).魚 類と霊長類で類似したオプシン遺伝子発現メカニズム が,魚類では水中生活に,霊長類では樹上生活にそれぞ れ適応的な視覚を生じさせていることは進化の妙と言え て興味深い.

霊長類の3色型色覚

1.  3色型色覚実現のための前提条件

2色型色覚の有胎盤哺乳類の中で,なぜ霊長類だけが 3色型色覚を進化させることができたのだろう? 昼行 性への移行や樹上性,森林の変動する明度環境など,

キーとなる要因を挙げることはできる.しかし,それだ けでは説明できない.なぜなら,たとえばリスも昼行 性,樹上性,森林性であるが,2色型である.この疑問 に答えるには,色覚のメカニズムの面と,色覚の適応的 意義の面からの両方の説明が必要となる.

メカニズムに関して言えば,M/LWSオプシン遺伝子 の遺伝子重複とそれらサブタイプ(LとMオプシン)間 の感受波長域の分化だけでは霊長類の3色型色覚の実現 には不十分である.それらを細胞レベルで相互排他的に 発現させて,網膜中で分布がランダムに入れ混ざったL 錐体視細胞とM錐体視細胞を生じさせる必要がある

(図1).さらに,L細胞とM細胞からの出力を高解像度 で比較する神経回路が必要である.霊長類においては,

これらのメカニズムは色覚とは本来関係のない次の3つ の性質によりもたらされている.

 ①X染色体性

有袋類と有胎盤哺乳類のM/LWSオプシン遺伝子はX 染色体に乗っている.オスはX染色体を1本しかもた ず,メスは一つの細胞の中でどちらか一方のX染色の発 現を不活化している.このため,一つの細胞中でM/

LWS対立遺伝子は一方だけしか発現せず,特別な対立 遺伝子排除の仕組みを進化させる必要がなかった.実

(6)

際,大部分の新世界ザル類と一部の原猿類は,L/Mオ プシン遺伝子のX染色体性という性質だけで,波長感 受性の異なるL/Mオプシン対立遺伝子をヘテロ接合で もつメスに3色型色覚をもたらしている.

 ②LCR

狭鼻猿類はM/LWSタイプオプシンの遺伝子重複に よってLとMオプシン遺伝子を同じX染色体上に並ん でもっている.狭鼻猿類においては,1本のX染色体か らこれらの遺伝子列の中で1つだけを発現誘導する仕組 みがさらに必要になる.前述のLCRはもともとシング ルコピーだったM/LWSオプシン遺伝子のエンハンサー として遺伝子の上流域にある.遺伝子重複はLCRを含 まない領域で生じたため,遺伝子重複後LCRはLとM の両方を制御することになる(54).霊長類M/LWSオプ シンのLCRは一つの細胞中でただ1つの遺伝子のプロ モーターとしか相互作用しない.どちらの遺伝子を選ぶ かはほぼランダムであり,いったん相互作用すると別の 遺伝子に相互作用が切り替わることはない.

LCRとプロモーターの相互作用の選択のランダムさ と安定性がどのように制御されているのかはよくわかっ ていない.しかし,マウスにLとMオプシンに遺伝子 重複を模したLCR付きのDNAコンストラクトを導入す ると,2つの遺伝子のほぼ相互排他的な発現が再現され る(55).したがって,狭鼻猿類の共通祖先のX染色体に この遺伝子重複が生じたとき,1本のX染色体からのL とMオプシンの相互排他的な発現は即座に開始された と考えることができる.X染色体性とLCRのシステム によって一つの錐体視細胞の中でただ1つのM/LWSサ ブタイプが発現することになるのである.

 ③高解像度空間視

霊長類視覚の特徴として,前方を向いた眼球による3 次元空間視(立体視)と網膜中心部の高解像度が挙げら れる.高解像度視をもたらす仕組みの一つに1対1ミ ジェット視神経回路がある.ミジェット視神経はただ1 個の M/LWS錐体視細胞からの出力を受容野の中心入力 として受け取り,これをその視細胞の周辺の複数のM/

LWS錐体視細胞からの周辺入力と比較することで輪郭 の 認 識 な ど 空 間 視 を 行 な っ て い る(56).原 始 的 な ミ ジェット視神経回路は夜行性の原猿類(ガラゴ類)にす ら存在する(57).ガラゴ類においては1視神経当たりの 中心入力する錐体の数は1よりは多いものの,それでも 5程度であり,他の哺乳類,たとえばネコの約30に比べ ればはるかに少ない.したがって,霊長類の立体視と高 解像度視覚は,枝から枝へと素早い移動を必要とする樹 上生活への適応としてまず発達したと考えられる.高等

霊長類(真猿類:新世界ザル類と狭鼻猿類)において は,眼球は眼窩後壁により囲まれ,咀嚼筋の動きによる 振動から眼球が遮断され,像のブレを防ぐことでも解像 度が守られている(58, 59).真猿類はさらに網膜中心部分 の中心窩 (fovea) と呼ばれる領域に錐体視細胞を高密 度に配置し,非常に高い解像度をもたらしている.

真猿類のミジェット視神経回路は,中心入力と周辺入 力が異なる感受波長域のL/M錐体からもたらされれば,

色対比のための回路となり,3色型色覚の神経基盤を与 えている(56).他の哺乳類では,視神経の受容野の中心 入力も周辺入力もどちらも多数の錐体視細胞から来る.

このような回路は,解像度には劣るが光に対する高い感 度が得られ,夜行性への適応と考えられている.

マウスのX染色体のMオプシンをヒトのLオプシン 遺伝子と置換し,ヒトのLオプシンとマウスのMオプ シンをヘテロ接合でもつメスマウスを遺伝子操作により 作製した研究がある(60).そのマウスは長波長感受性が 増大しただけでなく,新しい色識別能力が獲得されたと 報告されている.色覚向上が入力の種類を増やすだけで 生じうることを実証した点で,この研究は画期的であ る.しかし,もちろんこのマウスにはミジェット視神経 回路も,中心窩も,眼窩後壁もない.この色識別能は,

LとMの視細胞の分布が完全にランダムではないため,

中心入力するLとMの信号の総和と周辺入力するLと Mの信号の総和の間に生じる違いに基づいていると考 えられる.2つの領域のL/M組成の違いは確率的に変動 し,違いの程度は微妙であると考えられる.このよう に,個体によって異なり,マウスにとって微妙な波長識 別の向上が解像度の低い像の上にもたらされることにど れだけ有用性があり,適応的意義があるかは疑問であ る.

上述のように,原猿類には中心窩も眼窩後壁もない.

ミジェット視神経回路も真猿類ほどは発達していない.

新世界ザルに広く見られるようなL/Mオプシンの多型 による3色型色覚は,一部の原猿類の種では報告がある が,多くの種では見られない(61〜66).また,原猿類では L/Mオプシンのヘテロ接合メスでの行動実験において3 色型色覚の有利性は顕著でなかったとする報告もあ る(67).解像度の低い視覚をもつ哺乳類においては,3色 型色覚を維持する自然選択はそれほど強くないのかもし れない.たとえ真猿類と類似したオプシンサブタイプの 感受波長分化が生じても,発達したミジェット視神経回 路なくして他の哺乳類に3色型色覚の進化はほとんどあ りえないと考えられる(20, 68).したがって,真猿類以上 の霊長類の3色型色覚は,排他的遺伝子発現制御のメカ

(7)

ニズムと空間視の神経回路という本来色覚とは関係なく 存在したシステムが先にあったという幸運の産物なので ある.

2.  3色型色覚の有利性とは?

ある形質をもたらすメカニズムが偶然に用意されて も,それが必要とされなければ進化の長い時間の中で維 持され残ることはない.従来,霊長類の3色型色覚は成 熟した木の葉の背景から熟した果実を見つけるように進 化したと考えられてきた(果実説)(69, 70).しかし,近 年,霊長類が食べる果実の多くは2色型色覚にもわかる 青‒黄(S対L/M)シグナルや明度シグナルによっても 背景の葉から識別可能であることが示され,果実説に対 する再考が求められた(71).また,果実には熟しても赤 や黄などの顕在色にならない種もあり,それが霊長類の 摂食量のかなりの割合を占めることも報告されてい る(71).さらに,ウガンダのキンバレの森林での調査に おいて,霊長類が最もよく食べる12種の植物では果実 の色は栄養価の指標になっていないことが示されてい る(72).多くの果実はまた,季節性が強く乾季には欠乏 してしまう.

イチジク類とヤシ類の実には季節性がなく,果実欠乏 期のキーストーン (keystone) 資源として機能しう る(73).イチジク類やヤシ類には緑や茶色などの隠蔽色 の種が多く,これらの植物に特徴づけられる温暖な新生 代初期(暁新世‒始新世)の森林(74)において,初期の霊 長類はキーストーン資源としてこれらに依存していたと 考えられている(75).しかし,始新世から漸新世への移 行期(約4千万〜 3千万年前)の地球寒冷化と乾燥化,

そしてそれらに伴う季節性の顕在化は,特に初期の真猿 類が進化したアフリカ(58)において,イチジク類とヤシ 類の植生密度を著しく減少させたと考えられている(74). アフリカは現在も季節性が高く,植生は果実期と若葉期 の交互性に特徴づけられる.

3色型色覚の進化を説明する学説として他に「若葉 説」がある.この学説は,アフリカの厳しい季節性の下 で,若葉が果実欠乏期の欠かせない代替 (fallback) 資 源となる点に注目している(76).樹木の種によらず,若 葉は柔らかくて遊離アミノ酸とタンパク質に富んでい る(71).若葉は赤味を帯びている傾向が強く,3色型色覚 に備わったL-M比較回路(赤‒緑色度チャンネル)だと 成熟した葉から色で識別することができる.そのため,

若葉と成熟葉を識別する能力が霊長類の3色型色覚進化 の主要な選択圧となった可能性がある(71, 76, 77)

若葉説はイチジク類とヤシ類の地質年代史的な生物地

理分布の文脈の中で一層説得力をもつ.初期の狭鼻猿類 が進化したアフリカではイチジク類やヤシ類が少なく,

タンパク質の豊富な若葉を果実欠乏期の代替資源として 採食する上で,恒常的3色型色覚に強い選択圧がかかっ たと考えられるからである.しかし,多型的3色型色覚 が大多数である新世界ザルの生息する中南米と一部がそ うである原猿類の生息するマダガスカル島では,イチジ ク類やヤシ類が豊富であり,マーモセット類のように一 部の新世界ザルは若葉をほとんど食べない(75).した がって,若葉説はアフリカの外での3色型色覚の進化と 維持を説明することができていない.

3色型色覚の進化を説明する他の学説として,社会シ グナルや捕食者の検出がある(20, 68, 69, 78).しかし,最近 の研究では,霊長類の3色型色覚は赤い性皮色といった 交配シグナルの進化に先立っていることが指摘され,社 会シグナルが2色型色覚から3色型色覚を進化させた原 動力とはなりえないと報告されている(79)

さらに,他の学説として最近提唱されたものに「森林 説」とでも称すべきものがある(80).3色型色覚の霊長類 にとって感知される色度は,「 」,「 」,「 」をそれぞ れL, M, S錐体視細胞の捕捉光子量としたとき,それら の相対比として記述でき,横軸を /( + ),縦軸を /( + ) としたMacLeod-Boynton方式の色空間座標 中の点として表現することができる(81).横軸はL錐体 とM錐体の捕捉光子量の総和に対するL錐体の捕捉光 子量の比を表わし,縦軸はL錐体とM錐体の捕捉光子 量の総和に対するS錐体の捕捉光子量の比を表わす(82)

/( + ) はミジェット視神経回路による3色型色覚 だけに備わっている赤‒緑色度チャンネルで与えられる 赤味を反映する. /( + ) は基本的にすべての哺乳 類に備わっている受容野の広い二層型神経節細胞の回路 による青‒黄色度チャンネルで与えられる青味を反映す る.森林において比色定量分析を行なうと,成熟した葉 の色度は /( + ) 軸の狭い値をとる一方, /( +

) 軸(および明度)では広い分布を示すことが示され ている.したがって,果実,若葉,体毛,皮膚の色度は /( + ) 値において成熟葉とずれる傾向が強いが,

/( + ) 値や明度値においては成熟葉と入れ混ざっ

てしまう(80, 82〜84).このことから,3色型色覚は森林に

おいて背景となる成熟葉から /( + ) 値が異なるも のを「何でも」検出するのに適しているのであり,その ために進化した,と推論された.そして,遠距離視にお いて,背景はより多くの成熟葉を含むため /( + )  値や明度値のばらつきがより大きくなり,この3色型色 覚の優位性は一層威力を発揮すると考えられる.この仮

(8)

説は森林環境の一般的性質に根ざしており,特定の視覚 対象を想定する必要がない点や,ある程度類似した視覚 オプシンセットを有しながらも霊長類の多様な採食・社 会生態を説明可能な点で,他の仮説より優れていると思 われる.

一方,最近の研究は,2色型色覚がある条件下では霊 長類に有利に働くことがあることを報告している.それ は,環境と類似した色(隠蔽色)の果実や昆虫の採食,

隠蔽色のヘビなどの捕食者の検出・同定である(85, 86). この神経生理学的根拠としては,そもそも霊長類の3色 型色覚は他の視覚システムを犠牲にして成立している点 にある.3色型色覚個体の神経回路は,空間視や形状,

テクスチャー,動きの感知などの色と無関係なタスクに 必要な明度シグナルを得るのにも,LとMの錐体視細胞 からのシグナルを統合しなければならない(87, 88).2種類 の視細胞の感受波長の違いに基づく入力の差は明度シグ ナルの損壊につながり,シグナル全体としての強度を弱 めてしまう.さらに,色情報はテクスチャー情報と競合 してしまい,3色型色覚個体はテクスチャーから得られ る情報を犠牲にして色に頼るよう学習すると考えられ る.したがって,2色型色覚個体は,カモフラージュの 検出や深さの感知など,色と関係のない(achromatic あるいはcolorblind)タスクにおいて,3色型色覚より 優越することがありうるのである.

人工物を用いた採食効率の比較を異なる色覚型の間で 行なった実験において,顕在色の食物の採食では3色型 色覚が有利であることが示されている(89, 90).一方で,

カモフラージュされた視覚刺激の検出においては2色型 色覚のほうが3色型色覚よりも優れていることが,筆者 らと他の研究グループにより示されている(85, 86).ただ し,これらの実験は色覚表現型の違いが視覚能力の違い

と整合性があるかを検証しているのであって,ある色覚 型が別の色覚型より優越している(適応的である)のか を検証しているのではないことに留意する必要があ る(91).言い換えれば,これらの実験は,色覚型間の採 食上の優越性の違いに関する有用な予測を与えるとはい え,色覚型が何であるかを行動レベルで判定するテスト であるとも言える(石原式色盲判定図を用いて色覚型を 判定しているように).

3.  新世界ザル野生集団の行動観察

理論や実験室での行動実験からの予測がどのようなも のであれ,霊長類の3色型(あるいは2色型)色覚の適 応的意義は野生下での行動を見てみなければ評価するこ とができない.したがって,自然状態での2色型と3色 型の行動を比較し,視覚対象物と背景の視覚刺激のコン トラストが両者の行動の違いと関連があるのか,あると すればどのように関連しているかを評価することが重要 である.新世界ザルはL/Mオプシン遺伝子の対立遺伝 子多型によって2色型と3色型の個体が同じ群れの中に いる点で,野生下で色覚と行動の関連を研究する優れた 研究モデルとなる(92) (図

2

こうした研究は,L/Mオプシンの遺伝子配列が糞な どの野外試料からもPCRで容易に調べることができる ようになり(89),また遺伝子中のどの領域を重点的に調 べれば感受波長型を判定することができるかが十分に調 べられてきたこと(93),さらに野外霊長類研究者が長年 にわたって観察路を整備し個体識別を行ない人付け(観 察対象動物が観察者の存在に関心を示さなくなるまで慣 れさせること)を行なったことで,個体毎に遺伝子型を 同定すること(94)が可能となったことで実現している.

予測とは裏腹に,3色型色覚の優越性は野生下での行

オスはX染色体の半数性のために常 染色体のSオプシンと1種類のL/M オプシンによる2色型色覚となる.

一方,メスはL/Mオプシンが2つの X染色体でホモ接合であればオスと 同様の2色型,ヘテロ接合であればS オプシンと合わせて3色型となる.

対立遺伝子の種類は多くの新世界ザ ルで3種類であることが報告されて おり,その場合3色型,2色型ともに それぞれ3種類ずつ,合計で6種類の 異なる色覚型が1つの種に共存する ことになる.

図2新世界ザルの色覚多様性の仕組み

(9)

動観察ではほとんど現われていない.セマダラタマリン 

( ) とクチヒゲタマリン ( )  の混群の警戒行動において,3色型色覚個体は2色型個 体よりも隣接個体からより遠くまで離れることが示され ている.これは,3色型色覚のほうが捕食者の検知にお いて優れている可能性の表われとして説明されてい る(95).しかし,これ以外の野生霊長類の行動観察から は,現在までのところ3色型色覚の優越性の予測に反す るかあるいは中立的な報告しかない.上述のタマリンの 混群の研究では,群れを果実の木にリードする個体に関 して,色覚型(2色型であるか3色型であるか)に一定 の傾向は見いだされていない(96).タマリンの別の研究

( と )では,

採食地点の発見と区別の能力においてオス(すべて2色 型)とメス(3色型と2色型からなると想定される)と の間に有意な差は認められていない(97).シロガオオマ キザル ( ) の群れでは,3色型と2色型 色覚の間に時間当たりの採食量およびエネルギー摂取量 において有意差が認められていない(98).サルから見た 果実の色の見え方に関する理論的な研究において,調査 したクロテクモザル ( ) とコモンリスザ ル ( ) の食べる果実の多くは,2色型に とっても3色型にとっても,背景の葉から同様に見分け にくいか同様に見分けやすいという結果が得られてい る(99〜101)

筆者らは,コスタリカのグアナカステ自然保護区サン タロサ地区において,クロテクモザル(写真

2

)野生集 団に対して果実採食効率の調査と果実/背景葉の比色定 量分析を行なった.2色型色覚は3色型色覚に対して,

果実検出の頻度,正確性,時間当たり摂取量のいずれに おいても劣っていなかった(102).これは,果実と背景葉

の赤‒緑コントラストではなく明度コントラストが2色 型においても3色型においても果実検出の主要な決定要 素となっているためであることを明らかにした.筆者ら はまた,クモザルが色覚型によらず隠蔽色系の果実に対 して顕在色系の果実に対してよりも,より頻繁に匂い嗅 ぎ行動をとることを報告している(103).筆者らの行なっ た同調査地におけるシロガオオマキザル(写真

3

)のイ チジク採食調査においては,2色型色覚は3色型色覚よ り頻繁に匂い嗅ぎ行動をとり,果実検出の正確度におい ては3色型色覚が勝っていたが,最終的な単位時間当た り の 摂 食 量 に お い て は 色 覚 型 間 に 有 意 差 は な か っ

(104).これらのことから,サルは果実摂食の取捨選択

において,色覚を唯一の決定要素としているのではな く,他の感覚を総動員しており,そのために2色型は3 色型に遜色ない果実採食が行なえるのだと考えられる.

また,シロガオオマキザルに対する筆者らの調査で は,調べた様々な食資源(隠蔽色果実,顕在色果実,昆 虫)に対し,2色型と3色型色覚との間で,それらの採 食に費やす時間に有意な違いは見られておらず,色覚型 間でニッチの分化は認められなかった(105).筆者らはま た,シロガオオマキザルの昆虫採食の調査において,葉 や樹木の表面にいる昆虫(すなわち周囲の色にブレンド した昆虫)の採食効率は2色型のほうが3色型色覚より も有意に高いことを報告している(106, 107)

これらの行動観察は,他の様々な感覚モダリティが互 いの短所を補い合うために,3色型色覚の優れた赤‒緑 色彩視の能力がストレートに適応上の優越性として現わ れるとは限らないことを示している(103)

4.  霊長類色覚研究の今後の展望

ここまで見てきたように,新世界ザルの野生下での採

写真3雑食性のシロガオオマキザル 写真2果実採食をするクロテクモザル

(10)

食行動観察からは,3色型色覚の果実採食の有利性は明 確でなく,むしろ2色型色覚の昆虫採食の有利性が示さ れている.では,それでもなぜ3色型色覚が新世界ザル で持続しているのだろう? 3色型色覚はL/Mオプシン 遺伝子のヘテロ接合によって生じるため,L/Mオプシ ンの対立遺伝子を維持する自然選択が働かなければ,遺 伝的浮動によって消滅するはずである.集団遺伝学は自 然選択が働いているかどうかを検証する非常に有効な ツールである.筆者らは,行動観察を行なったのと同じ 野生群のオマキザルとクモザルに対し,L/Mオプシン 遺伝子のイントロンも含めた領域と他のゲノム領域の塩 基配列多型性を調査した(108).その結果,L/Mオプシン 遺伝子領域は他のゲノム領域に比較して塩基配列の多型 性が有意に高く,自然選択や個体群動態が集団内の塩基 配列多型に及ぼす効果を評価するTajimaʼs Dと呼ばれ る指標においても有意に大きな正の値を示した.このこ とは,L/Mオプシン遺伝子の多型性が本当に自然選択

(この場合は平衡選択)によって維持されていることを 示している.

今後の課題は,この平衡選択が,3色型色覚というL/

Mオプシン遺伝子のヘテロ接合が有利という形で働い ているのか,それともそれ以外の様式の平衡選択で働い ているのかを明らかにしていくことであろう.3色型色 覚の有利性は「遠距離から顕在色の資源や個体を検出す るのに有利である」とする仮説(80)は,野生下の行動観 察でまだ検証されていない.また,厳しい乾季において 食糧資源が希少である状況で3色型色覚の有利性が発揮 される可能性(71)も,野生下では未検証である.皮膚色 などの社会シグナルの検出(78, 79)や捕食者の検知も野生 下での検証が必要である.一方,2色型色覚の有利性に 注目すれば,隠蔽色資源の採食に得意な2色型と顕在色 資源の採食に得意な(と考えられる)3色型が同じ集団 に共存することで,個々の個体の生存に有利に働くこと も考えられるのである.

一方,ヒトを除く狭鼻猿類では色覚の種内変異はきわ めて低く,ほぼ完全に恒常的3色型色覚である.これ は,彼らには3色型色覚を維持するきわめて強い自然選 択が働いていることを示している(109).2色型色覚に有 利性があるとしても,ヒトを除く狭鼻猿類においては3 色型色覚の有利性がそれをはるかに凌ぐものであること が推定できる.この違いは,新大陸と旧大陸の季節性,

植生,霊長類の食性などの違いがもたらすのであろう か? 今後の研究課題である.

ヒト色覚の多型性に対する進化学的解釈

恒常的3色型色覚の狭鼻猿類の中でヒトだけが例外で ある.男性の約3 〜 8%にLとMオプシン遺伝子の非相 同組換えを主要な要因とする何らかの「色覚異常」がみ

られる(110).3色型色覚に対する強い選択圧がヒトにお

いて緩んでいることが原因として考えられる.一般に は,それはごく最近の近代的社会からと考えられている かもしれないが,ヒト進化史のいつからこのように色覚 多型が顕在化したかは明らかではない.霊長類の3色型 色覚はそもそも森林環境への適応として進化したのだと すれば,約200万年前から森林を離れサバンナを主な生 活の場として進化してきた 属には,3色型色覚へ の選択圧はすでにその時点で緩んでいた可能性も考えら れる.さらに,2色型色覚の隠蔽色視における有利性を 考慮すれば,石器を使って狩猟を行なっていたこのよう な初期の 属のころから,2色型色覚をむしろ維持 する選択が働いていた可能性も考えられる.一方,Lオ プシンとMオプシン遺伝子の非相同組換え(あるいは 遺伝子変換)によって生じるL/Mハイブリッド遺伝子 が多様な感受波長域のバリエーションをもたらし,特に 3色型色覚の女性にさらなる色覚の向上をもたらした可 能性と,そのことへの自然選択の可能性も議論されてい

(111).今後,様々な人類集団を対象としたL/Mオプシ

ン遺伝子と他のゲノム領域の塩基配列多型性の比較解析 から答えが見つかっていくことが期待される.

おわりに

動物の色覚を理解することはヒトの色覚を理解するこ とにつながる.ヒト以外の霊長類はヒトとの対比におい てよい対照となるし,特に新世界ザルの研究は,色覚が どのような条件下で集団内で多様となるのかのよい指針 を与える.魚類は光環境の変化に対して視覚システムが どのように柔軟に適応していけるのかを研究する優れた モデルであり,霊長類色覚進化を研究する際の優れた比 較対照でもある.1980年代半ばにヒトの錐体オプシン 遺伝子が単離同定されて以来(112),色覚進化に対する 我々の理解は急速に進んだ.これは,これらの研究が遺 伝学,生理学,行動学などを跨いだ非常に学際的な研究 だったことによる.今後も学融合的研究により,色覚進 化に関する驚くような新知見が積み上げられていくこと であろう.

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Referensi

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もって契約者保護をはかるというものである。これに対して、新しい制度設計理念は、自由 化によって生じる効率性と利便性を保険契約者に還元するというものである。保険業法の改 正とその後の「自由化」は、もはや「水の流れの方向」が元に戻ることがないということを 決定的に示すものである。 しかしながら、「水の流れの方向」が定まっていても、谷川から支流となり大河となるま