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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 上田う え だ 里美さ と み 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 718号

学 位 授 与 年 月 日 平成 28年 6月 20日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 高齢者血液疾患患者に対するアムホテリシン B リポソーム製剤の安全性 と有効性の解析

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 室 井 一 男

(委 員) 教 授 藤 村 昭 夫 教 授 崔 龍 洙

論文内容の要旨

1 研究目的

侵襲性真菌症は、高度な免疫抑制を背景に発症し、化学療法や造血幹細胞移植を受けた免疫抑 制状態の血液疾患患者においては重篤な合併症や死因となり得る。アムホテリシン B リポソーム 製剤 (L-AMB)は、カンジダ症や侵襲性アスペルギルス症の経験的治療として、また、標的治療と しての使用が認められている。しかし、本製剤は高齢者患者に対する安全性と有効性に関する報 告はない。

我々は、65 歳以上の高齢者血液疾患患者に L-AMB を投与し、後方視的に安全性と有効性を検討 した。また、L-AMB 投与時に腎毒性を有するグリコペプチド系あるいはアミノグリコシド系抗生 剤や免疫抑制剤を併用した際の影響も検討した。

2 研究方法

2009 年から 2012 年に東京都健康長寿医療センター血液内科で、L-AMB を投与した 65 歳以上の 高齢者血液疾患患者 33 例を対象とした。64 歳以下の血液疾患患者をコントロールとした。L-AMB は入院にて経静脈的に投与し、投与中止の基準は重篤な副作用を認めたとき、経験的治療として 投与した場合は好中球が回復したとき、標的治療として投与した場合は軽快したときとした。一 次評価は有害反応、二次評価は有効性とした。有害反応においては腎機能異常、肝機能異常、低 カリウム血症を National Cancer Institute-Common Terminology Criteria (NCI-CTCAE) version 4 で評価した。真菌感染症の診断においては 2008 年に改訂された EORTC/MSG の診断基準に準拠 して確定例 (proven)、臨床診断例(probable)、可能性例(possible)とした。有効性においては、

標的治療を行った場合は臨床症状・兆候、画像、真菌学的検査の改善を認めたかどうか、経験的 治療を行った場合は breakthrough infection があったかどうかで判断した。65 歳以上の高齢者 血液疾患群、 64 歳以下の血液疾患群での 2 群間の比較検討を行った。高齢者血液疾患患者 33 例 の年齢中央値は 72(66~91)歳、経験的治療として 6.1%、可能性例 42.4%、臨床診断例/確定例 51.5%

に L-AMB を投与、投与期間は中央値 16(5~140)日、投与量は中央値 2.5(1.25~5.0)mg/Kg/日であ った。L-AMB 投与時、フルコナゾールやイトラコナゾールやボリコナゾールやミカファンギンと の併用 84.8%、グリコペプチド系あるいはアミノグリコシド系抗生剤との併用 39.4%、タクロリム スやシクロスポリンといった免疫抑制剤との併用 21.2%であった。コントロールとしての 64 歳以

(2)

下の血液疾患患者 21 例の年齢中央値は 58(28~64)歳、経験的治療として 23.8%、可能性例 33.3%、

臨床診断例/確定例 42.9%に L-AMB を投与、投与期間は中央値 34(5~85)日、投与量は中央値 2.5(1.25~5.0)mg/Kg/ 日であった。高齢者群と同様 L-AMB 投与時、他の抗真菌剤との併用 71.4%、

グリコペプチド系あるいはアミノグリコシド系抗生剤との併用 42.9%、免疫抑制剤との併用 28.6%

であった。

3 研究成果

全症例、有害反応による L-AMB 投与中止はなかった。65 歳以上の高齢者血液疾患群と 64 歳以 下の血液疾患群での有害反応の比較検討を行った結果、高齢者群では GradeⅢ-Ⅳの ALT、AST の 上昇をそれぞれ 3%、64 歳以下の群ではそれぞれ 23.8%、28.6%認め、64 歳以下の群で有意な上昇 を認めた (P=0.028、0.011)。高齢者群では GradeⅢ-Ⅳの Cre の上昇を認めず、64 歳以下の群で は 9.5%認めたが有意差はなかった(P=0.15)。GradeⅢ-Ⅳの低カリウム血症を高齢者群で 72.7%、

64 歳以下の群で 76.2%認めたが有意差はなかった(P=1.00)。ベースラインから 2 倍以上の上昇を 認めた ALT、AST、血清 Cre は、高齢者群はそれぞれ 39.4%、39.4%、21.2%であり、64 歳以下の群 ではそれぞれ 61.9%、

52.4%、38.1%であった。高齢者群では平均 26 日間、64 歳以下の群では平均 19 日間、L-AMB を 投与して、ベースラインの 2 倍以上の血清 Cre の上昇を認めたが、2 群間で有意差を認めなか った (P=0.24)。一方、前者では平均 25.5 日間、後者では平均 12 日間、GradeⅢ-Ⅳの低カリウム 血症を認め、高齢者群では長期の L-AMB 投与が低カリウム血症発症に関与したことが示唆された

(P=0.014)。標的治療として投与した症例では、高齢者群 54.8%、64 歳以下の群 62.5%に有効性 を認め、両群で有意差を認めなかった(P=0.88)。経験的治療として投与した症例は全例、

breakthrough infection を認めなかった。

4 考察

発熱性好中球減少症(febrile neutropenia,FN)に対する経験的治療としての従来のアムホテリ シン B と L-AMB との比較試験やボリコナゾールと L-AMB との比較試験やカスポファンギンと L-AMB との比較試験はあるものの、いずれも平均対象年齢は 42 歳、45 歳、49 歳と若年者であり、

L-AMB の容量設定に関する臨床試験も平均対象年齢は 50 歳であり高齢者に限局した L-AMB 投与の 安全性や有効性を検討した解析はない。そこで、我々は 65 歳以上の高齢者血液疾患患者に L-AMB を投与し、後方視的に安全性と有効性を検討した。年齢中央値 72 歳の高齢者 33 例全例が有害反 応による中止はなかった。高齢者群では長期の L-AMB 投与が低カリウム血症の発症に関与した可 能性が考えられるが (P=0.014)、カリウム製剤の補充が高齢者群では平均 320mEq、64 歳以下の群 では 672mEq と、高齢者群で補充が少なく高齢者群ではベースラインのカリウム値が正常値以下 にも関わらずカリウム製剤の補充が明らかに不足していたと考えられる。高い頻度で低カリウム 血症を併発する傾向があるため適切なカリウム製剤の補充による管理が必要である。矢寺らは L-AMB を 4 時間で点滴投与した群(4 時間投与群)と 3 時間以下で点滴投与した群(3 時間以下投与 群)で安全性について後方視的に比較検討しているが L-AMB を 4 時間投与にすることにより低カリ ウム血症の発症頻度や重症度を軽減できる可能性を示唆しており、今後、低カリウム血症の予防 のために L-AMB の投与時間を延長するなどの配慮が必要である。L-AMB の投与期間や投与量は血

(3)

清 Cre の上昇に影響しなかったが、アミノグリコシド系やグリコペプチド系抗生剤との併用投与 時に、ベースラインから 2 倍以上の血清 Cre の上昇を認めた。Thomas らの従来の AMPH-B と L-AMB との比較試験(平均対象年齢は 42 歳)での報告では腎毒性を有する薬剤(アミノグリコシド系抗 生剤、シクロスポリン、ホスカルネット)を併用した時に血清 Cre 値がベースラインの 2 倍以上に 上昇した頻度をみているが、併用薬剤が増えるほど血清 Cre の上昇頻度が高かった。腎毒性を有 する薬剤との併用時は腎毒性を予防するために十分な輸液を行うなどの工夫が必要である。

5 結論

今回の検討は、64 歳以下の群で高齢者群より L-AMB 投与期間が長かったため総投与量が多いが、

65 歳以上の高齢者血液疾患患者において有害反応による投与中止はなく、深在性真菌症の治療と して L-AMB は許容可能な安全性を示した。L-AMB の有効性の解析は、他の抗真菌剤との併用があ る

論文審査の結果の要旨

化学療法や造血幹細胞移植を受けた血液疾患患者では、アスペルギルスやカンジダによる侵襲 性真菌症を合併し予後不良となることがある。これらの真菌による若年血液疾患患者の侵襲性真 菌症に対するアムホテリシン B リポソーム製剤(L-AMB)の有用性は報告されているが、高齢者で の報告はない。申請者は、侵襲性真菌症を合併し L-AMB が投与された血液疾患患者を 65 歳以上と 64 歳以下の2群に分け、有害反応と有効性を後ろ向きに調査し解析した。両群の患者背景(性別、

疾患、疾患への治療法)に差はなかった。年齢の中央値は、前者が 72 歳、後者が 58 歳。真菌感 染症は、両群ともアスペルギルス症が大多数を占めていた。両群で治療タイプ(経験的、可能性 例、臨床診断例/確定例)は同様で、他の抗真菌剤と腎毒性を来す薬剤の併用も同様であった。

L-AMB 投与期間と投与量の中央値は、前者が 16 日、2.5mg/Kg/日、後者が 34 日、2.5mg/Kg/日と、

64 歳以下の群で投与期間が長かった。

両群とも有害反応による L-AMB 投与中止例はなかった。ALT と AST の増加は、grade II-IV で は両群に差はなかったが、64 歳以下の群で有意に grade III-IV が多かった。差が出た原因とし て、64 歳以下の群における造血器腫瘍の増悪の関与が示唆された。Cr の増加は、grade II-IV と grade III-IV とも両群で差はなかったが、腎毒性のある薬剤との併用で Cr が増加することが示 唆された。低 K 血症は、grade II-IV と grade III-IV とも両群で差はなかった。低 K 血症発症時、

前者では平均 320mEq、後者では平均 672mEq の K 製剤が補充された。低 K 血症発症時の L-AMB の 平均投与日数は、前者が 25.5 日、後者が 12 日であり、低 K 血症と L-AMB の長期投与との関係が 示唆された。有効性に関しては、標準的治療として投与された例の有効率に両群で差がなかった。

経験的治療として投与された例で、両群とも break through infection はなかった。以上から、

L-AMB の 65 歳以上の高齢者への安全性と有効性が示唆された。

解析対象例が少ないこと、有害反応と有効性に影響を与える併用薬が多いこと、L-AMB の総投 与量が両群で異なること等の問題点は内在しているが、L-AMB の高齢者侵襲性真菌症への有用性 を示唆したことに意義はある。研究成果は、既に Journal of Infection and Chemotherapy に発 表されていることを、審査委員の指摘に従い学位論文は適正に修正されたことを踏まえ、論文審

(4)

査を合格と判定した。

試問の結果の要旨

申請者は、学位論文の内容に沿って、アムホテリシン B リポソーム製剤(L-AMB)の 65 歳以上 の高齢者血液疾患の侵襲性真菌症に対する有害反応と有効性を発表した。

発表後、学位論文のタイトル、L-AMB の作用機序、各種用語の定義、有害反応の意味、表の論 文内の位置、表の内容、結果の表現と解釈、考察で述べられた表現、解析対象例への申請者の関 与、研究実施期間と当大学の在任期間との関係、研究倫理等に多岐にわたる質問が出た。必ずし も明確な返答を得た分けではないが、どの質問にも真摯に返答された。参考論文には、筆頭著者 として ATL の病態に係る基礎研究に従事した論文(Hematology)があり、統計解析ばかりでなく 基礎研究の素養も有していることが伺えた。以上から、諮問の結果は合格と判定した。

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