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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2024

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氏 名 亀か めか ずあ き 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第653号

学 位 授 与 年 月 日 令和4年3月23日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 異種移植マウスモデルを用いたアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)の腫 瘍微小環境解析

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 古 川 雄 祐

(委 員) 准教授 大 嶺 謙 講 師 上 田 真 寿

論文内容の要旨

1 研究目的

アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)は、NK細胞腫瘍の稀な1病型である。欧米と比較すると 東アジアでの発症頻度が高く、Epstein–Barr ウイルス(EBV)との強い関連が知られている。腫 瘍細胞は主に末梢血・骨髄・肝臓・脾臓に浸潤するが、詳細な病態はほとんどわかっていない。

いまだ標準治療が確立されておらず、生存期間中央値は 2ヶ月未満と極めて予後不良である。一 方、白血病や悪性リンパ腫を含めて、腫瘍細胞は周囲の微小環境(tumor microenvironment: TME)

と相互作用して、自身に有利になるように環境(ニッチ)を変化させる。ANKLのような稀な腫瘍 における TMEの解析には患者由来異種移植モデル(patient-derived xenograft: PDX)が有用な モデルとなりうる。そこで、ANKL のPDXモデルを作成し、TMEを含む詳細な病態の解明を目指す ことを本研究の目的とした。

2 研究方法

本研究で用いた手法は、主に(1)PDX マウス作成、(2)PDX マウスの評価、(3)RNA sequencing (RNA-seq)とバイオインフォマティクス解析、(4)CRISPR-Cas9システムを用いた解析、(5)患者検 体の解析、の5種類に分類できる。

まず、(1)については、患者から得た末梢血単核球もしくは骨髄細胞を、免疫不全マウスへ経静 脈的に移植し、PDXモデルを作成した。(2)については、PDXモデルマウスの肝臓・脾臓・骨髄・

末梢血をフローサイトメトリー、光学顕微鏡や共焦点顕微鏡で解析した。巨視的な腫瘍細胞の分 布の確認には、ANKL細胞にレンチウイルスベクターを用いてルシフェラーゼを導入し、IVISイメ ージングシステムで解析した。肝臓指向性ANKL細胞もしくは脾臓指向性ANKL細胞を選択するた めに、同一臓器から採取した腫瘍細胞を次のマウスへ移植し、また同一臓器から腫瘍細胞を採取 する、という行程を10回以上繰り返した。

(3)については、腫瘍細胞や、マウス肝臓の遺伝子発現プロファイルを次世代シークエンサーで 評価した(RNA-seq解析)。またPDXマウスについては、CASTINというソフトウェアで腫瘍(ヒト)

由来の転写産物とニッチ(マウス)由来の転写産物を分離解析した(mixed-species RNA-seq)。

さらにニッチ由来のリガンドと腫瘍細胞の受容体の相互作用を予測するために、NicheNetという

(2)

バイオインフォマティクスの解析手法を用いた。

(4)CRIPR-Cas9システムでの解析については、まずレンチウイルスベクターを用いてCas9導入

ANKL細胞を作成した。さらにレンチウイルスベクターを用いてsingle-guide RNA (sgRNA)を導入 することで、目的遺伝子の改変を行った。

(5)については、倫理委員会からの承認を受けて、患者の生検や剖検標本を染色・顕微鏡観察し た。

3 研究成果

合計で4人の患者由来のPDXモデル作成(ANKL1、ANKL3、ANKL5、ANKL9)に成功した。これら のマウスの組織像を観察し、患者では典型的な腫瘍浸潤臓器である肝臓・骨髄・脾臓で、患者と 同様に腫瘍像を認めた。またIVISイメージングシステムでも巨視的に腫瘍はやはり肝臓・骨髄・

脾臓に主に病変を作っていることを見出した。マウスへ腫瘍細胞を移植後、経時的にフローサイ トメトリーで評価したところ、腫瘍細胞は最初に肝臓で生着・増殖し、その後に他の臓器へ播種 しているという結果を得た。組織像を経時的に観察した結果、肝臓の中でも類洞という毛細血管 内で最初に生着・増殖するという結果を得た。

次に、肝臓指向性ANKL細胞と脾臓指向性ANKL細胞を作成し、その性質を比較した。肝臓指向 性ANKL細胞は脾臓指向性ANKL細胞よりもマウス体内で早く増殖し、マウスの生存期間は短かっ た。RNA-seqを行ったところ、肝臓指向性ANKL 細胞と脾臓指向性 ANKL細胞は異なる遺伝子発現 プロファイルを示した。さらに gene set enrichment analysis (GSEA)を行ったところ、肝臓指 向性ANKL細胞では脾臓指向性ANKL細胞と比較してMYC関連遺伝子セットが最上位でエンリッチ されていた。NicheNetを用いて、肝臓ニッチ由来のリガンドと腫瘍受容体の相互作用を推測した。

ニッチで機能している可能性があるリガンドと受容体の組み合わせの中から、肝臓や腫瘍での 発現量を元に、macrophage migration inhibitory factor (MIF)というサイトカインと、その受 容体であるCD74の組み合わせに着目した。各種培養細胞株でCRISPR-Cas9ノックアウトスクリー ニングを行った DepMap プロジェクトのデータベースを解析したところ、in vitro の条件で血液 系の細胞株はその生存・増殖をCD74に依存していないという結果を得た。次にCRISPR-Cas9シス テムを用いて、生体内でのANKL細胞のCD74への依存性を評価した。CD74を標的とするsgRNAを 導入したANKL細胞は、non-target sgRNAを導入したANKL細胞よりも、生体内での生着・増殖が 抑制された。リガンドである MIFについても検討を行った。MIF は肝臓では類洞内皮細胞やクッ パ—細胞といった類洞構成細胞が主に発現していた。MIFはMYCの発現を亢進させ、ANKL細胞の生 存・増殖を促進していた。

最後に、PDXマウスで得た知見の患者検体での再現性を検証した。初発ANKL患者の肝生検検体 と、2 例の剖検検体の肝臓標本を観察したところ、いずれの症例でも肝臓類洞への腫瘍細胞浸潤 を認めた。またCD74の発現、肝臓類洞でのMIFの発現も確かめられた。

4 考察

本研究では、ANKL細胞が肝臓類洞でニッチと相互作用しながら生着・増殖することを明らかに した。肝臓類洞自体は、様々な血液腫瘍の浸潤が報告されている。体循環由来の肝動脈血流と、

腸管由来の門脈血流が合流するという解剖学的な特性上、肝臓類洞は腸管由来もしくは全身を循

(3)

環する病原体や抗原の監視・除去に重要な役割を果たしている。その中で、様々な免疫細胞を維 持する機能が知られており、このメカニズムをANKLやその他の血液腫瘍細胞はハイジャックして いるのかもしれない。また肝臓類洞から産生されるMIFが大腸癌の肝転移に関与するという報告 もある。本研究で明らかにされたMIF–CD74経路を含むニッチと腫瘍細胞の相互作用は、今後、免 疫学や様々な腫瘍の肝臓との相互作用の研究に新たな示唆を与えられる可能性がある。

5 結論

ANKL患者は通常は末梢血もしくは骨髄検体で診断されるが、我々はPDXマウスでANKL細 胞の生着部位は肝臓であり、肝臓類洞がANKL細胞に対して重要なニッチを提供していることを 見出した。そしてMIF–CD74経路はANKLの病態に関わっている可能性がある。我々の研究で 樹立されたPDXモデルによって、この希少な白血病の生物学をより詳細に解明していけることが 期待できる。そして、我々の方法論は、これまでの手法では解析が難しかった様々な種類の希少 がんやそのTME研究に応用可能である。

論文審査の結果の要旨

本研究において申請者らは、aggressive NK cell leukemia(ANKL)の病態を腫瘍微小環境との 相互作用から解明することを目的とし、patient-derived xenograft (PDX) model を確立して、

ANKLの増殖に肝ニッチが重要な働きをしていることを明らかにした。

Primary ANKL cellsを移植したNOGマウスにおいて、ANKL細胞は早期(day 14)に肝臓の類洞 にて増殖し、その後、骨髄や脾臓に進展することが分かった(day 21以降)。Serial transplantation にて同一患者検体から肝指向性ANKL細胞と脾指向性ANKL細胞を樹立すると前者の方が増殖が速 く、遺伝子発現プロファイルではMYC標的遺伝子群がenrichされていた。

移植後の肝臓を検体として mixed species RNA-seq.を行い、腫瘍間質相互作用に関与する ligand-counter ligandの組合せを抽出したところ、MIF-CD74, IL10-IL10RA/B, TGFB1-TGFBR1等 がヒットした。中でもCD74はANKL細胞において強く発現しており、CD74を欠失させたANKL細 胞は生体内での増殖が弱く、移植マウスの生存期間も延長した。

以上よりANKL細胞の増殖の場として肝臓が主要な働きをしており、肝で増殖した後に脾臓・骨 髄・末梢血など全身に拡がる可能性が示唆された。分子レベルでは、肝類洞構成細胞が分泌する MIFがANKL細胞のCD74に結合し、c-MYCを初めとする増殖関連遺伝子の発現を誘導すると考えら れる。

本研究は未だに不明の点が多いANKLの病態の一端を解明した質の高い研究であり、学位論文に おいても一部文言の修正は必要であったが、内容には全く問題がなかった。全体として新規性と 独創性に富み、将来の発展が期待できる研究内容と考えられ、審査委員全員が一致して合格とし た。

最終試験の結果の要旨

申請者はほぼ学位論文のとおりに発表を行った。発表は明快で、時間も厳守された。内容の骨

(4)

子は「論文審査の結果」にまとめたとおりである。

審査員からは以下のような質問があったが、申請者は的確に返答し、有意義なdiscussionが行 われた。

1. Serial PDXにて得られた肝臓と脾臓への指向性の違いは患者でも見られるか?

2. PDXの継代中にorgan tropismはどう変わるか?

3. 肝指向性ANKL細胞と脾指向性ANKL細胞でその後の骨髄浸潤に違いは見られるか?

4. 皮下に移植したANKL細胞が肝臓に移動することを示しているが、この細胞はその後全身に拡 がるのか?

5. 肝における腫瘍間質相互作用に関与するligand-counter ligandとしてMIF-CD74に着目して 解析を進めているが、それ以外にも重要な組合せがあるのではないか?

6. 今回得られた知見の臨床的な意義は何か? 例えば、CD74は治療標的になり得るか?

発表および質疑応答から、申請者が研究者として充分な資質・能力を有することは明らかで、

医学博士号を受けるに値すると審査員全員が判断、最終試験に合格とした。

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