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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2024

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氏 名 川原かわはらゆう 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 801号

学 位 授 与 年 月 日 令和 3年 2月 16日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 寛解期小児急性リンパ性白血病に対する骨髄破壊的前処置を用いた初回 臍帯血移植の予後に関する検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 神 田 善 伸

(委 員) 教授 藤 原 慎 一 郎 准教授 賀 古 真 一

論文内容の要旨

1 研究目的

急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia, ALL)とは、骨髄を中心とする全身の臓 器においてリンパ芽球が腫瘍性に増殖する疾患である。小児ALLの治療成績は、多数の臨床試験 の積み重ねと、予後因子に基づくリスク層別化によって劇的に改善し、5年生存率は80%を超え ている。しかし、寛解導入不能例や再発例は依然として生命予後不良であるため、同種造血幹細 胞移植(hematopoietic stem cell transplantation, HSCT)が行われている。

通常、寛解期の小児ALLに対するHSCTにおけるドナーの第一選択は、ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen, HLA)一致血縁者である。しかし、HLA一致血縁ドナーがみつかる患者は限 られており、第二選択としてHLA一座不一致血縁者、HLA一致非血縁者、臍帯血が挙げられる。

臍帯血移植は、移植までの期間が短い、HLAの二座以上の不一致が許容できドナーが見つかりや すい、移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)の頻度が低い、といった利点があり、

近年施行件数が増加している。さらに、他のドナーと比較して、臍帯血移植において再発率が低 い可能性も報告されている。また、小児の場合、体重当たりの細胞数が十分な臍帯血ドナーが容 易に得られる。一方、生着が遅いため感染症のリスクが高く、非再発死亡率(non-relapse mortality,

NRM)が高いことが問題となっている。しかし、小児ALL を対象とした臍帯血移植の予後に関

する報告は少なく、予後因子に関する情報は不十分である。

これらのことから、本研究では小児ALLにおける臍帯血移植の予後因子の同定を目的とした。

2 研究方法

骨髄破壊的前処置を用いた初回臍帯血移植を行った寛解期小児ALL 475例のデータを、日本造 血細胞移植データセンター/日本造血細胞移植学会の全国レジストリーデータを使用して後方視 的に解析した。無白血病生存率(leukemia-free survival, LFS)、全生存率(overall survival, OS)、

再発率、NRM、生着率、急性および慢性GVHDの発症割合を評価項目とした。主要評価項目は、

LFSとした。

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LFS および OS は、Kaplan-Meier 法を用いて算出した。Log-rank 検定を用い、LFS および OS の単変量解析を行った。競合リスクを設定した累積発生率曲線を用いて、生着、GVHD、再 発、NRMの発症割合を算出した。Gray検定を用いて、累積発生率を群間で比較した。多変量解 析は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて行った。既知の予後因子や単変量解析でP値 < 0.10 であった因子を多変量解析に組み込み、評価項目に影響を及ぼす因子の抽出を試みた。急性 GVHDまたは慢性GVHDは、時間依存変数として扱った。すべての統計解析は、EZRソフトウ ェアを用いて実施した。両側P値 < 0.05を有意と定義した。HLA一致度は、-A,-B,および-DR 座について抗原レベルで分類した。

3 研究成果

全患者コホートにおいて、臍帯血移植後の5年LFSおよびOSは、それぞれ61.1%および67.7%

であった。「移植時初回完全寛解」と 「2007年以降の移植」が良好な生存率と関連しており、「グ レードII-IVの急性GVHD 」は再発率が低かったが生存率には影響しなかった。

HLAの一致度毎に解析したところ、6/6および≦4/6 HLA一致臍帯血移植では、「シクロスポ リン(cyclosporine, CSP)を用いたGVHD予防」よりも「タクロリムス(tacrolimus, TAC)を 用いたGVHD予防」でOSが高く、再発率およびNRMが低いことが明らかになった。さらに、

5/6 HLA一致臍帯血移植では、「グレードII-IVの急性GVHD」が、NRMの悪化なく良好なLFS および低い再発率と関連していた。さらに、6/6 HLA一致臍帯血移植では、「TBIをベースとした 骨髄破壊的前処置レジメン」は、NRM を増加させることなく,再発率を低下させることに関連 していることが明らかになった。

4 考察

本研究では、TACベースのGVHD予防は、6/6および≦4/6 HLA一致臍帯血移植において、

CSPベースのGVHD予防よりも有用であることが示された。GVHD予防とGVHDの発症率と の関連を解析したところ、6/6 HLA一致臍帯血移植においてグレードII-IVの急性GVHDの発症 率は、TACベースのGVHD予防群では、CSPベースのGVHD予防群と比較して低かった。NRM の発生率が低かったことも考慮すると、6/6 HLA一致臍帯血移植後のTACベースのGVHD予防 の良好なOSは急性GVHDの減少によるNRMの改善に起因している可能性がある。

≦4/6 HLA一致臍帯血移植は、GVHDとNRMの増加の危険因子である。我々の研究では、≦

4/6 HLA一致臍帯血移植においてTACベースのGVHD予防群における急性GVHDの発症率は、

CSPベースのGVHD予防群と差はなかった。しかし、TACベースのGVHD予防群におけるNRM は、CSPベースの GVHD 予防群よりもわずかに低かった。再発率は上昇しなかったことを考慮 すると、≦4/6 HLA一致臍帯血を移植した小児において、TACベースのGVHD予防は移植片対 白血病(graft-versus-leukemia, GVL)効果を減弱させることなく、NRM を低下させることで OSを改善するのかもしれない。

GVHD は造血幹細胞移植後の主な死亡原因だが、GVL 効果のサロゲートマーカーとも考えら れている。5/6 HLA一致臍帯血移植において、グレードII-IVの急性GVHDは良好なLFSと低 い再発率に関連しており、NRMの増加は見られなかった。これまでの報告では、4/6 HLA一致 臍帯血を移植されたALL患者は、≧5/6 HLA一致臍帯血を移植された患者よりもNRMは高いが、

(3)

再発率は低いことが示唆されている。対照的に、6/6 HLA一致臍帯血を移植された患者は、≦5/6 HLA一致臍帯血を移植された患者と比較して、再発率が有意に高かった。実際,我々の研究では、

グレードII-IVの急性GVHDは、6/6 HLA一致臍帯血移植では再発率の低下とは関連しておらず、

≦4/6 HLA一致臍帯血移植では良好な生存率とは関連していなかった。これらを考慮すると、グ レードII-IVの急性GVHDは、5/6 HLA一致臍帯血移植を行われた小児において、NRMを悪化 させることなく再発リスクを減少させる最適な免疫バランスをもたらしている可能性がある。

5 結論

結論として、我々の結果は、骨髄破壊的前処置レジメンを用いた臍帯血移植後の寛解期小児ALL において、HLA一致度によって予後因子が異なることを示している。臍帯血移植における前処置 レジメンやGVHD予防に与えるHLA一致度の影響を明らかにし、最適な移植方法を確立するた めに、HLAのアリルレベルの一致度をより詳細に解析した前向き研究が必要である。

論文審査の結果の要旨

日本造血細胞移植データセンターに登録されている小児(0~19歳)急性リンパ性白血病(ALL)に 対する骨髄破壊的臍帯血移植のデータを解析した研究であり、前処置法、GVHD予防法、GVHD の発症、HLA一致度、その他の因子が臍帯血移植後の臨床経過に与える影響について、後方視的 に解析している。HLA一致度による予後因子が異なることは新規の知見であり、今後の移植前処 置およびGVHD予防を選択する上での重要な情報である。多変量解析などの統計学的手法を適切 に用いて解析し、結果が公正に解釈されており、学位論文に相当する内容となっているが、以下 の点について再考いただきたい。

・臍帯血移植の手法や成績は 2007 年以前と以降で大きく異なるため、近年のデータでのサブグ ループ解析について考察を加えるべきである。

・表1で、より若年の症例でHLA適合のunitを選択していることが示されている。若年で体重 が軽い分、HLA適合度の高いunitを選択しやすくなっているような印象を受ける。小児の場合、

年代ごとで頻度の高い遺伝子異常が異なり、それが予後にも関わってくる。HLA適合度ごとのサ ブ解析を行っているが、年齢や遺伝子異常の要素と HLA 適合度との交絡は気になる。症例数の 問題で、年齢層を区切った上でのHLA適合度のサブ解析は行えなかった点について、limitation として追記してはどうか。

・シクロスポリンとタクロリムスの比較については目標血中濃度の影響が考えられることを加え ていただきたい。

・GVHD 予防という移植前に医療者が規定する因子と、移植を行った結果として発症する GVHD(時間依存変数)を同一の多変量解析の中で扱うことは妥当か?

・全身放射線照射を用いない場合にも、ブスルファンによる性腺障害などの後遺障害が増強され ることがあるため、コメントを加えていただきたい。

・フルダラビン+メルファランなどの減弱毒性前処置との比較について考察を加えていただきた

(4)

い。

試問の結果の要旨

申請者は、日本造血細胞移植データセンターに登録されている小児(0~19歳)急性リンパ性白血 病(ALL)に対する骨髄破壊的臍帯血移植のデータを解析した研究について、論文の内容に沿って 端的に的確に発表を行った。

審査員は以下のような点について質問した。

・移植年代や移植時年齢ついてのサブグループ解析が必要ではないか。

・GVHD予防法としてシクロスポリンとタクロリムスの使い分けはどうしているか。また、血中 濃度は適切に調整されているか

・骨髄非破壊的移植の現状はどうか

・TBIと非TBI前処置の晩期合併症の比較について。

・無再発死亡の死因は何によるか。

・小児の臍帯血移植後の免疫学的再構築は成人と違いはあるか。

これらの質問に対して、申請者は医学的根拠を提示し、あるいは、医学的根拠が不明の場合は 臨床経験から考察し、的確に質問に回答した。審査委員による合議の結果、満場一致で学位授与 に値する発表であると結論した。

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