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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 三重野 牧子ま き こ 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 701号

学 位 授 与 年 月 日 平成 27年 6月 22日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 低リポ蛋白(a)とがん死亡および総死亡との関連についての研究:コホー ト研究からの検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 中 村 好 一

(委 員) 教 授 新 保 昌 久 准教授 豊 島 秀 男

論文内容の要旨

1 研究目的

大規模前向きコホート研究やメタアナリシスによって、高リポ蛋白(a) [Lp(a)]血症が冠動脈疾患 や脳卒中のリスク因子であることが示されてきている。Lp(a)と心血管疾患との関連が明らかにな っているにもかかわらず、生理作用や apo(a)の代謝、apo(a)と他の疾患との関係については十分 解明されていない。動物実験の結果ではapo(a)の抗腫瘍効果が示唆されているものの、臨床研究

では血清Lp(a)が担癌患者で上昇している、あるいはコントロール群と有意差がないという相反す

る結果が報告されている。さらに、Lp(a)とがんとの関連に関する前向き研究もまだ報告されてい ない。

そこで、低 Lp(a)血症ががん死亡に関係しているという仮説を検証するために、大規模多施設地 域住民ベースの前向き研究である自治医科大学コホート研究(JMSコホート研究)からのデータ を解析した。

2 研究方法

JMS コホート研究は、東北から九州までの12 の地域コホートから構成され、日本人集団での

心血管疾患および脳血管疾患についてのリスク因子を明らかにするために1992年に開始された。

1992年から1995年の間に全体で12,490人の住民が登録され、参加者の85.6%である10,692人

で血清 Lp(a)がベースライン検査時に測定された。本研究ではベースライン検査時点での脳卒中、

心筋梗塞、悪性腫瘍の既往のある279人を除外した健康成人10,413人を対象とした。

各参加者の生活習慣や既往歴は、ベースライン検査の際の質問票により得られた。観察期間内 での死亡は830例であり、死因は死亡小票から得られている。原死因について、悪性腫瘍316例、

脳血管疾患97例、心疾患93例、その他の循環器疾患13例、その他の死亡311例であった。

低Lp(a)血症が、がん死亡に関連しているという仮説を評価するために、まずLp(a)濃度と生存

時間の間の非線形関係について検討をおこなった。低Lp(a)濃度のハザード比について、restricted cubic splinesを用いてノンパラメトリックに評価した。Lp(a)を低Lp(a)群 [Lp(a) < 80 mg/L(第1 四分位点)、n=2,537]と中程度~高Lp(a)群 [Lp(a) ≥ 80 mg/L、n=7,876]の2つの群に分類し、群 間比較を行った。

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群間比較を行う際には、分類変数については Fisher の正確検定、連続変数については

Mann-Whitney検定を用いて統計的有意性を評価した。2つのLp(a)群について、循環器疾患(脳

血管疾患、心疾患、その他の循環器疾患)による死亡、がんによる死亡、その他の原因による死 亡確率を計算した。累積死亡率の群間比較には Gray の検定を用いた。全生存割合については

Kaplan-Meier法を用いて計算し、全生存割合の群間比較についてはlog-rank検定を用いた。アウ

トカムとLp(a)濃度との関連はCox比例ハザード回帰を用いて評価し、死因別の分析ではFine &

Grayによる競合リスクのサブ分布に関する比例ハザード回帰を用いた。すべてのモデルで登録時 年齢、性別、BMI、喫煙歴、飲酒歴を調整して解析を行った。

3 研究成果

Lp(a)濃度は5 ~2,150 mg/Lまで分布し、右に大きく裾をひく歪んだ分布を示した。第1四分

位点は80 mg/L、中央値は150 mg/L、第3四分位点は270 mg/Lであった。Lp(a)濃度に対する死 亡のハザード比は U 字型曲線を示していた。曲線の形状は性別によっても異ならなかったため、

Lp(a)の閾値は男女とも同一とみなせた。Lp(a)の閾値を 80 mg/Lと設定したのは妥当と考えられ

た。

全死亡および原因別死亡について、それぞれ累積死亡率曲線をプロットした。低Lp(a)群は中程

度~高Lp(a)群に対して、全死亡、がんによる死亡、がんや循環器以外の原因による死亡について、

有意に高い死亡率が観察された。がん死亡については原発部位についての検討もおこなった。肝 がん(n=18)、肝がん以外の消化器がん(n=104)、肺がん(n=59)、その他のがん(n=135)に分 けて解析したところ、肝がん死亡については、低Lp(a)群で累積死亡率が中程度~高Lp(a)群に対 して有意に高い結果となった。

競合リスク比例ハザード回帰で解析したところ、低Lp(a)濃度のハザード比 [95%信頼区間]は、

全死亡について1.43 [1.21 - 1.68](p<0.001)、がん死亡について1.48 [1.15 - 1.92](p=0.003)、 その他の原因による死亡について1.45 [1.10 - 1.90](p=0.01)と、それぞれ有意なリスク因子で あった。さらに、高Lp(a)血症の影響を調べるため、低Lp(a)群、中程度Lp(a)群、高Lp(a)群(Lp(a)

が550 mg/L以上)の3群で検討したが、高Lp(a)血症は全死亡および原因別死亡についての有意

なリスク因子とはいえなかった。

4 考察

本研究は、低Lp(a)血症についての臨床的また疫学的な重要性を明らかにした最初の報告である。

低Lp(a)血症についての定義はないが、本研究では80 mg/L未満を低Lp(a)血症として解析をおこ

なった。低Lp(a)血症とみなせる閾値の決定については、他の集団を対象にさらなる妥当性研究を おこなう必要がある。

本研究では、低Lp(a)血症は肝細胞がん死亡について高い累積死亡率を呈していた。肝不全によ

って Lp(a)の産生が低下するために、結果の一部は逆因果関係によって説明される可能性がある。

しかし、肝細胞がんおよび肝硬変患者を除外して同様の解析を行った場合でも、低Lp(a)血症は全 死亡、がん死亡、その他の原因による死亡のいずれについてもリスク因子になっていた。全体と しては、逆因果関係の影響はそれほど大きくないと考えられる。

さらに、JMSコホートとは別の集団として、東京都健康長寿医療センターでの連続剖検例を対象

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とした横断研究にて、Lp(a)濃度とがんの生涯リスク(担癌割合)との関連を検討した。担癌割合 は男女ともLp(a)濃度が上昇するにしたがって有意に減少していった。低Lp(a)血症は、「担癌あり」

についての有意なリスク因子であり、オッズ比 [95%信頼区間]は1.94 [1.45-2.60](p<0.001)で あった。肝胆がんや白血病のリスク因子でもあったが、肺がんについては予防的にはたらいてい

た。低Lp(a)血症は肺がん以外のがんのリスク因子であることが示唆され、剖検データを加えた解

析は、死亡診断書から得られた死因をもとに解析された本研究の結果をさらに強く支持するもの となった。

Lp(a)の循環器疾患への寄与については、人種間で異なることが知られているが、本研究では対 象者が全員日本人であったため、人種についての検討はできなかった。血清 Lp(a)濃度は、栄養、

喫煙歴、飲酒歴、薬剤使用といった外的要因にそれほど影響を受けないことが知られているため、

ベースライン検査時に測定した Lp(a)データを代表値と仮定することには大きな問題はないと考 えられる。

5 結論

本研究により、低Lp(a)血症が全死亡およびがん死亡に対して重要なリスク因子となることが示 唆された。この結果は、apo(a)の抗腫瘍効果と矛盾しないものと考えられる。

論文審査の結果の要旨

Lp(a)に関するコホート研究に関する論文で、PLoS ONE誌に原著論文として掲載された論文が

基礎となっている。目的、方法、結果、考察と適切に記載された論文と判断した。ただ、結論に おける「この結果は、apo(a)の抗腫瘍効果を支持するものと考えられる」という表現は若干の飛 躍があるとの意見が審査委員から出され、これに対しても適切な修正が加えられたので、本学の 学位論文にふさわしい論文であると判断した。

試問の結果の要旨

約40分にわたる研究の概要の発表の後に、審査委員との質疑応答や口頭試問が持たれた。研 究の概要発表ではLp(a)に関するこれまでの知見のまとめと、これを踏まえた本コホート研究の意 義について報告した後に、研究方法と結果が紹介され、さらに他の研究による知見との整合性や、

本研究の限界などについても考察された。質疑応答では研究内容についての詳細な質疑について も適切に回答し、また、コックスの比例ハザードモデルの問題点や、連続数量データであるLp(a) を恣意的に2群に分けることの問題点などについても的確に対応し、本研究のみならず周辺領域 についても学識が充分に深いことがうかがい知れた。

以上のことより、本学の学位[博士(医学)]にふさわしい人物と判断した。

Referensi

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