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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 金か なゆ う 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第589号

学 位 授 与 年 月 日 令和2年3月16日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 せん断波伝搬を可視化させたエラストグフィ color Doppler shear wave imaging による骨格筋弾性評価

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 尾 本 きよか

(委 員) 教 授 西 村 智 准教授 森 田 光 哉

論文内容の要旨

1 研究目的

組織内を伝搬するせん断波の伝搬速度を測ることや、圧迫時のひずみを評価して、組織の硬さ を評価するのがelastographyと呼ばれる手法であり、これを用いた組織弾性評価の報告が散見さ れる。最近では、整形外科分野においても多くの報告がみられるようになった。

現在臨床に用いられているエラストグラフィは、超音波 elastography という手法が普及してお り、生体内を伝搬するせん断波の伝搬速度(SWV : Shear Wave Velocity)の計測により、生体組 織の弾性を評価するSWE : Shear Wave Elastogaphyが注目されている。SWEはSWVが組織 の弾性に規定されることを利用することで、定量化が可能となり精度も高いと報告されている。

組織内にせん断波を発生させるための手法は複数実用化されており、現在最も用いられている SWE では超音波の音響放射力によりせん断波を発生させるが、超音波照射部の組織温度上昇や、

組織障害の懸念などが問題とされている。

こうした状況の中、Yamakoshi らはせん断波を可視化できる elastography (CD SWI: color Doppler shear wave imaging)を開発し、その使用法と有用性を調査した。

本研究の目的は、1) CD SWIとSWEとの相互比較によりCD SWIの精度評価を行うこと、2) 骨格筋の組織弾性評価における、再現性の評価を行うことにより、本法を運動器領域に臨床応用 するための基礎的検討をすること、3) 臨床応用として、痙縮した筋肉の筋硬度をCD SWIで評 価することである。

2 研究方法

1.CD SWIとSWEとの相互比較によるCD SWIの精度および再現性評価 a) 測定対象

硬さの異なる4種類の内部均一な生体模擬ファントム(京都科学製、カルボキシメチルセルロ ース)を用い、CD SWIとSWEの相互評価によるCD SWIの精度評価を行った。

b) SWEによる計測

Apllio i800(Canon, Tokyo, Japan)を用いて、SWVを計測した。

c) CD SWIによるSWVの発生と計測

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対象となるファントムの中央部分に右手でプローブを保持し、1cm離れた位置から左手で保 持した加振器によりファントムを加振して、ファントム内にせん断波を発生させ SWV を計測 した。

d) SWVの測定方法

ファントム内を伝搬するせん断波伝搬速度を浅層(0-2cm)と、深層(2-4cm)に分けて計測 した。計測は2人の検者(検者ⅰ、検者ⅱ)でCD SWIとSWEの2機種を用いて行った。

2. 骨格筋組織の弾性評価における再現性の評価

a) 対象:当院整形外科外来を受診した 20歳以上の患者で、且つ、上肢に症状や既往疾患の無 い男性24人。平均年齢は22.6歳(20-26歳)であった。

方法:1-c)の方法に従い、非利き手側の浅層筋である僧帽筋と上腕二頭筋と深層筋肉である棘上 筋と上腕筋内を伝搬するSWVをCD SWIで測定した。

b) 僧帽筋(浅層筋肉)と棘上筋(深層筋肉)の同定と計測 椅子に座位で、前腕回外位で計測を行った。

c) 上腕二頭筋(浅層筋肉)と上腕筋(深層筋肉)の同定と計測 ベッド上仰臥位で、前腕回外位で計測を行った。

d) 筋肉内におけるSWV計測方法

各筋肉内を伝搬するSWVを2人の検者(検者ⅰ、検者ⅱ)で行い計測した。

e) 計測値の信頼性と精度の評価

計測における信頼性としてICC(intra-class correlation coefficient)を調べた。

2人の検者が日を変えて計測して得た3回分の計測値から、ICC(1, 1)を求めて検者内信頼性 を評価した。また、ICC(2, 1)を求めて検者間信頼性を評価した。

3. 上肢痙縮症例の筋硬度を調査し、ボツリヌス療法を行った前後の評価

a) 対象: 脳血管障害発症後1年以上経過した後に、MASが1以上の痙縮が残存している8例

(脳梗塞5例、脳出血3例、脳腫瘍術後1例)。

全症例男性で、年齢43-76歳(平均63.3)、発症からの経過期間は2-7年(平均4.5)であった。

方法: 健側と痙縮側の上腕二頭筋の筋硬度をCD SWIを用いて上記の方法に従って計測し、さ らに治療としてA型ボツリヌス毒素製剤(以下、BoNT-A)を投与した3例に対して、BoNT-A 投与前と、投与1か月、2か月、3か月における筋硬度の変化を調査した。

4. 統計

統計解析にはIBM SPSS statistics 22 statistical software(IBM Japan, Tokyo, Japan)を用 いた。

ICC の判定基準には Landies and Koch の分類を用いて、ICC の値が 0.0-0.2:slight、0.21- 0.40:fair、0.41-0.60:moderate、0.61-0.80:substantial、0.81-1.00:almost perfectとした。

3 研究成果

1. CD SWIとSWEとの相互比較によるCD SWIの精度評価 浅層(0-2cm)

CD SWIにより得られた計測値は各硬度ともSWEと同等であった。またファントムの硬度が

上がるにしたがって、CD SWI、SWEともにSWV値の上昇がみられた。またICC(1, 1)およ

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びICC(2, 1)はCD SWI、SWEともにalmost perfectの高い信頼性が得られた。

これらの結果から、ファントム浅層における計測ではCD SWIのSWVはSWEと同等であり、

精度および再現性はSWEと同程度で極めて良好であった。

深層(2-4cm)

浅層と同様に、CD SWIにより得られた計測値は各硬度ともSWEと同等であった。またファ ントムの硬度が上がるにしたがって、2機種ともにSWV値の上昇が見られた。ICC(1, 1)およ びICC(2, 1)は2機種ともに高い信頼性が得られ、almost perfectであった。

これらの結果から、ファントム深層における計測では、CD SWIのSWV はSWEと同等であ り、信頼性も極めて良好であった。また硬度の高いファントムの計測において SWE では精度の 低下がみられたのに対し、CD SWIでは高い精度が保たれていた。

2. 骨格筋組織の弾性評価における信頼性の評価

CD SWIにより測定した筋肉のSWVはいずれの計測においても3.6~3.8 m/s程度であり、過 去に報告されているそれぞれ同じ筋肉のSWVと同等であった。

浅層筋肉である僧帽筋と上腕二頭筋の計測では、SWV の検者内および検者間信頼性は高く、

almost perfect であったが、深層筋肉である棘上筋と上腕筋の計測ではやや低下がみられ

substantialであった。

3. 上肢痙縮症例の筋硬度を調査し、ボツリヌス療法を行った前後の評価

8例の痙縮側の上腕二頭筋におけるSWVは4.42±0.21 m/sで、健側のSWVは3.63±0.09 m/s であり(P<0.05)、痙縮側の上腕二頭筋は健側と比較して有意に速かった。

また、3例の脳梗塞後による痙縮肢のBoNT-A投与前における上腕二頭筋のSWVは平均4.41

±0.26 m/sであり、MASは3症例ともに1+でBoNT-A後も変わらなかった。投与1か月後の SWVは3.72±0.21 m/s、投与2か月後は4.30±0.35 m/s、投与3か月後は4.50±0.25 m/sであ り、BoNT-A投与1か月で SWVが低下傾向となり、2か月後には投与前の値に戻る傾向があっ た。

4 考察

ファントム実験においてCD SWIの計測値、精度、信頼性はいずれもSWEと同程度で、計測 値としては妥当なものと考えられ、精度、信頼性ともに高いことが確認できた。ただし、CD SWI を用いた計測でも、深層(2~4 cm)において浅層よりもやや数値がばらつく傾向はあったが、計 測されたSWVの標準偏差は0.01~0.03であったため、誤差としては非常に小さく、生体で測定 した場合に、この測定値の誤差が問題を生じる可能性は低いと考えられる。

次に生体筋肉においては、僧帽筋におけるCD SWIのICC(1, 1)は0.91、ICC(2, 1)が0.83 と高い信頼性が報告されており、今回のCD SWIによる評価では僧帽筋に加えて、新たに上腕二 頭筋、棘上筋、上腕筋においても過去の SWE による報告と同程度の検者内および検者間信頼性 を得ることができ、良好な信頼性と再現性が確認されたことでCD SWIで評価可能な筋肉を新た に見つけることができた。

痙縮に関しては、健側と比較すると痙縮側の上腕二頭筋における SWVは約0.9 m/s 程度数値 が上昇していたと過去に報告がある。自験例でも約0.8 m/s程度の上昇があり、CD SWIを用い た値でも過去の報告と似た結果が得られた。

(4)

また、3例の脳梗塞後の痙縮症例にBoNT-A注射前後の上腕二頭筋の SWVを計測することが できたが、3例とも注射後1か月の時点で、注射前と比べてSWV値の低下がみられたが、注射後 2か月の時点で注射前とほぼ同じSWV値になった。また、MASによる評価では注射前後一定し て1+のままであり変化を評価することができなかった。これはCD SWIでの筋硬度評価が治療 効果判定に使用できる可能性が考えられる。

5 結論

せん断波を可視化させたエラストグラフィであるCD SWIのSWV計測値は妥当なものであり、

ファントム実験および生体の計測にて SWE と同等の高い測定精度・再現性が得られた。脳疾患 後の痙縮肢の上腕二頭筋硬度は、健側と比較して有意に高かった。

精度・再現性は浅層筋肉よりやや劣るものの、CD SWIでは従来は評価が困難であった深層筋 肉の評価も可能と考えられた。

論文審査の結果の要旨

【本研究の要旨】

本論文では、Yamakoshi らの開発したせん断波を可視化できるエラストグラフィ CD SWI

(color Doppler shear wave imaging)は従来法の超音波エラストグラフィであるSWE(Shear Wave Elastography)と同程度の高い精度と信頼性を有しており、SWEでは評価が困難であ った深層筋での評価も可能で、臨床応用として痙縮肢でも上腕二頭筋の筋硬度計測が可能であ りその病態把握に有用であったことが示された。

【学問的意義・新規性について】

これまで痙縮の病態を客観的に評価できる方法がなかったが、本法の計測に痙縮肢での筋硬度 測定が可能になり、治療前後での病態把握に有用な手法であったことが確認された。

【問題点および改訂の指導内容】

下記に発表および質疑の際に問題となった主な箇所について列挙する。

・まずタイトルの中の「新たな」は不適切であり、削除するように指示した。

・従来法ではなく今回使用した CD SWIを利用することの優位性をわかり易く記載すること を指示した。

・再現性の評価のために4つの骨格筋が採用されているが、その理由を示す。結果の欄に、実 際に計測した数値の記載がないので、すべて具体的に記載するように指示した。

・標準偏差と変動係数の2つで評価をしており、どちらかに統一するよう指示した。

・不要な図は削除すること、n数についても適宜加えること、Tableタイトルについても不適 切なものがあるので見直すように指示した。

・Figure内の説明が不足しているものがあり、追記するよう指示した。

・倫理委員会承認の記述について、適切な場所に移動するよう指示した。

・当日の発表した内容と提出された論文のデータと異なっている箇所がある これらのことが指摘され、修正するように指示した。

【合否の判断結果とその理由】

当日は丁寧なプレゼンテーションがなされ、発表後の多くの質疑に対しても真摯に回答できて

(5)

いたが、提出された論文内に発表時のデータと異なっている部分を認めたり、修正が必要と思 われる箇所が多数存在したため、当日は合格保留とした。

その後、申請者から修正された論文が提出され、審査員で再度確認した結果、適切な回答、修 正がなされていると判断し、これらの結果を総合的に勘案し、論文審査は合格と判定した。

最終試験の結果の要旨

【本研究のエッセンス】

基礎的な検討として従来法(超音波シアウェーブエラストグラフィ SWE(Shear Wave Elastography)とは異なった連続したせん断波を可視化できるエラストグラフィ CD SWI

(color Doppler shear wave imaging)の手法についてその精度および再現性を評価した。そ

の結果 CD SWI は、4 種類のファントムを用いた精度に関する実験や生体の骨格筋組織を用

いた再現性評価において浅層筋のみならず深層筋でもSWEと同等の精度や再現性が得られる ことが示された。

その臨床応用では、CD SWIを用いて上肢痙縮患者の上腕二頭筋の硬度を計測することにより ボツリヌス治療前後でその効果判定や経時的変化を評価できる可能性が示され、その他の整形 外科領域の筋疾患における更なる発展性が期待された。

【新規性と学問的意義】

筋硬度を評価する客観的手法の1つとして、連続したせん断波を可視化できるエラストグラフ ィCD SWI(color Doppler shear wave imaging)が、従来法と同等に十分利用可能であるこ とが示された。

生体を用いた骨格筋の検討では、浅層筋(僧帽筋、上腕二頭筋)のみならず、従来法では評価 が困難とされていた深層筋(棘上筋、上腕筋)に対しても応用可能であるという新規性が示さ れた。

また運動器領域における神経筋疾患等の治療効果判定に利用することが検討され、その1つと して実際に上肢痙縮症例での筋硬度測定を行い、ボツリヌス治療前後でその病態把握に有用な 手法であることが示唆され、本領域における臨床的意義が確認された。

【学位論文としての最終評価】

以上の結果を総合的に判断し、審議の結果、学位論文として妥当であり、全会一致で合格と判 定された。

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