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Academic year: 2024

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氏 名 川又かわまたりょう 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 715号

学 位 授 与 年 月 日 平成 28年 6月 20日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 早産児における消化管ホルモンの動態と消化管機能・甲状腺機能の関係 の研究

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 市 橋 光

(委 員) 教 授 山 本 博 徳 准教授 海老原 健

論文内容の要旨

研究A:新生児・早産児における消化管ホルモンの動態

研究B:消化管症状を持つ早産児における低サイロキシン血症と消化管ホルモンの関係

1 研究目的

早産児では、器質的・機能的異常がないにも関わらず、生後0~2か月に腹部膨満が出現し、経腸 栄養が収まらずに体重増加不良を示すことがある。病態は解明されておらず、有効な治療法が確 立されていない。このような消化管症状を呈する早産児では、低サイロキシン血症を呈すること があり、我々はその治療に甲状腺ホルモンの補充が有効なことを報告した。しかし、なぜ低サイ ロキシン血症を呈した早産児で消化管症状を伴い、甲状腺ホルモンが有効であるのかは不明であ った。我々はこの病態に、摂食行動や消化管運動を調節する生理活性物質である消化管ホルモン が関係するのではないかと推測した。一方で、新生児・早産児では消化管ホルモンをプロファイ リングした報告はなく、その生理的な役割も未だ解明されていない。そこで、正期産児や早産児 の生後早期の消化管ホルモンの動態を解析し、早産児の消化管ホルモンと低サイロキシン血症の 関係を明らかにするため、本研究を行った。

2 研究方法

Ⅰ 研究A

腹部膨満や便排泄遅延などの消化管症状がなく、経腸栄養に問題のない早産児29名、正期産児 5名を対象に、leptin、glucose-dependent insulinotropic polypeptide (GIP)、glucagon-like peptide-1(GLP-1)、

peptide tyrosine tyrosine(PYY)、pancreatic polypeptide (PP)、insulin、amylin、ghrelinの血清中濃度を 測定し、出生時の血清中濃度と在胎期間の関係と、生後10週までの変化を検討した。

Ⅱ 研究B

在胎31週未満の早産児のうち、腹部膨満や便排泄遅延、胃残渣の増加などの消化管症状が出現 し、経腸栄養が増やせず、低サイロキシン血症と診断し、レボサイロキシン(levothyroxine sodium;

T4-Na)補充療法を行った8名を対象とした。これらにおけるT4-Na補充療法前の、前出 8種類

の消化管ホルモンの血清中濃度を、研究 A の消化管症状がなく経腸栄養の順調な在胎31週未満

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の 早 産 児 14 名 と 比 較 し た 。 ま た T4-Na 補 充 療 法 を 行 っ た 前 後 で の 甲 状 腺 ホ ル モ ン

(Thyroid–stimulating hormone ; TSH, free thyroxine; fT4)と消化管ホルモンの血清中濃度の変化と 相互関係を検討した。

いずれの研究も、消化管ホルモンの測定には、Bio-Plex® protein assay system (Bio-Rad, Hercules, CA, USA)による cytometric bead array technology を用いた。アッセイキットには MILLIPLEXTM MAP Human Gut Hormone Panel (Millipore, Billerica, MA, USA)を用いて、leptin、総GIP、活性型 GLP-1、総PYY、PP、insulin、活性型amylin、活性型ghrelinの8種類の消化管ホルモンの血清中 濃度を同時に測定した。

3 研究成果

Ⅰ 研究A

1 正期産児・早産児の在胎期間と出生時の血清消化管ホルモン値が関連した。血清leptin値は、

在胎31週未満で37週未満の早産児よりも有意に低値を示し、在胎期間との間に有意な強い正の 相関を認めた。血清PP値は、在胎期間と有意な弱い正の相関を示した。血清PYY値と在胎期間 に相関はなかった。血清insulin値は、在胎期間と有意な弱い負の相関を示した。血清GLP-1値は、

早産児のみで在胎期間と有意な弱い負の相関を認めた。

2 早産児の血清消化管ホルモン値は、それぞれ特徴的な生後変化を示した。血清 leptin 値は、

出生後1週に急激に減少し、6週まで出生時と比較し有意に低値であった。血清GIP値は出生後1 週から上昇し、出生時と比べ8週まで有意に高値であった。血清GLP-1値は出生後1週より緩徐 に上昇し、3週で出生時と比較し有意な高値を示した。血清 PYY 値は出生後1〜6 週に有意に高 値であった。在胎31週未満と31週以上37週未満の早産児に分けて比較すると、血清leptin値は 31週以上37週未満の早産児で出生後1週時に有意に低値となった。血清GIP値は、31週未満の 早産児で出生後3〜6週に出生時と比較し有意に高値だった。

Ⅱ 研究B

T4-Na補充療法前の血清fT4値は全例で1.0 ng/dL未満、血清TSH値は3症例では10 µU/mL未満 であった。T4-Na補充療法により消化管症状が改善した後には、fT4は平均1.31 ng/dLと有意に上 昇したが、TSH に有意な変化はなかった。消化管症状を呈した低サイロキシン血症のある早産児 では、血清GIPはT4-Na補充前後で有意に上昇した。また、在胎期間に有意差のない対照の出生 後2週と比較し、血清GIP、GLP-1、PYY値に有意な低値を認めた。またT4-Na補充療法後には、

これらの消化管ホルモン値は対照の出生後 4 週と有意差のない値となった。fT4 値と各消化管ホ ルモン値の関係を、経腸栄養量を制御因子とした偏相関で解析したが、いずれも有意ではなかっ た。

4 考察

Ⅰ 研究A

早産児の在胎期間が出生時の消化管ホルモン値に影響し、出生後に経腸栄養の開始や増量など の生理的な変化に適応すべく、消化管ホルモン値が変化することが明らかとなった。

1 在胎期間と血清leptinの関係は、在胎期間が進むにつれ、皮下脂肪が増え脂肪細胞でのleptin 産生が増加するため、胎盤機能の成熟が進みヒト胎盤に由来する leptin の胎児への移行が増加す

(3)

るためと考えた。早産児の血清GLP-1値と在胎期間と相関から、在胎期間の短い早産児ほどGLP-1 の腎クリアランスや DPP-Ⅳ活性が低い可能性が示唆された。また血清 PYY、PP、insulin と在胎 期間には、胎生期の膵島細胞の分化・成熟過程が関係すると考えた。

2 出生直後の急速な血清 leptin の減少は、出生後の摂食行動や消化管運動を促すと共に、皮下 脂肪の蓄積に乏しい早産児では出生後のエネルギー消費を抑えるため、有利に作用すると考えた。

出生後の血清 GLP-1、GIP の高値は、早産児や新生児に特有の短間隔の経腸栄養法により、成人 よりも頻回に強い分泌刺激を受けるためと考えた。これは消化管機能が未熟である早産児にとっ て、適度に消化管内容物を停滞させ、消化吸収やエネルギーを蓄積することに有利に作用すると 推測した。

Ⅱ 研究B

早産児の低サイロキシン血症では、血清 GLP-1、GIP、PYY の生理的上昇が抑制された状態にあ り、これらの低値と消化管症状の関連が示唆された。また、T4-Na 補充により血清GLP-1、GIP、

PYYの上昇が促されたと考えたが、fT4と消化管ホルモンの関係は明らかではなかった。

5 結論

早産児では、摂食行動や消化管機能を抑制する GLP-1、GIP、PYYの3 種の消化管ホルモンは、

新生児期に特有な頻回の経腸栄養によって、出生後に成人値を上回る分泌が起こり、消化管の蠕 動運動や消化吸収能、エネルギー代謝機能を成熟させると考えた。これによりさらに経腸栄養を 増量できるようになり、消化・代謝器官の子宮外適応を促すサイクルが確立されると考えた。甲 状腺ホルモンの補充により、この3 つの消化管ホルモンの分泌と消化管・代謝の成熟や機能が互 いに促されることで、低サイロキシン血症を持つ早産児では消化管症状が改善されると推測した。

論文審査の結果の要旨

早産児で生後 0~2か月時に腹部膨満が出現し、経腸栄養・体重増加が進まないことがある。

その原因の一つに低サイロキシン血症があり、甲状腺ホルモンの補充により消化器症状が軽快す ることを本学小児科の新生児グループが明らかにし、現在では、広く診療で実施されている。し かし、その病態メカニズムは不明である。本学位論文では、早産児の甲状腺機能と消化器機能の 関連を明らかにするため、早産児の消化管ホルモンの動態を解析した。研究内容は2つに分かれ ている。

まず、早産児の生後早期の消化管ホルモンの動態を解析した。対象を在胎週数別に3群に分け、

在胎週数と出生時の消化管ホルモン濃度を比較した。在胎週数に対し、血清leptinとPPは正の、

GLP-1 は負の相関を認めた。Leptin の増加は、胎児の皮下脂肪の増加と胎盤の成長、GLP-1 値

は、早産児における腎クリアランスの低下や分解酵素の活性が低いことをその原因と考えた。出 生後の消化管ホルモンの推移も検討し、leptinは1週間で急激に減少、GIP、GLP-1、PYYは徐々 に上昇した。Leptinの減少は胎盤からの離脱にあるが、その変化は出生後のエネルギーを抑制し、

早産児に有利に働くと考えた。

次に、消化管症状を呈した低サイロキシン血症のある早産児の消化管ホルモンを治療前後で検 討した。疾患群で有意に低値であった血清GLP-1、GIP、PYYがT4-Na 補充療法後で上昇した

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ことから、甲状腺ホルモン補充が3つの消化管ホルモンの分泌を促進し、消化管・代謝機能の成 熟が相互に促しあうことで消化管症状が改善されるのではないかと推測した。

早産児の生後早期や低サイロキシン血症児の治療前後の消化管ホルモンの動態を明らかにした ことは新規性があり、評価できる。2つの研究は、それぞれ独立の論文として既に英文学会雑誌 に掲載されており、学問的にも高く評価されている。早産児の生後早期におこる消化管の機能的 病態を解明する糸口になる可能性もあり、今後の研究の進展に期待したい。

本研究の対象は生後早期の早産児であり、研究をするうえでの制約が多い。研究参加児の確保、

対象の不均一性、僅かな検体量、採血・検体処理時間の制約などがある。このため、対象症例数 が少なくなったことは理解できるが、本研究の限界となっている。前半の研究で、正常対照症例 が少ないことは、生理学的な正常のデータが欠如したまま結果を評価することになっている。後 半の研究においても対照群の内容が不十分(低サイロキシン血症で無症状の群や有症状で低サイ ロキシン血症が無い群の必要性)である点が指摘された。しかし、直ちに症例数を増加させるこ とは難しく、研究を継続していく過程で解決していくことを望むものである。

改訂の指導内容として、初めの研究における「対象」の記述が理解しにくいという指摘があっ た。また、「方法」の記述でホルモンは日内変動があるので採血時間を記載すべきであるという指 摘、「結論」の記述で在胎週数とホルモン値の相関を散布図で示すとわかりやすいという指導があ った。これらは申請者により、改訂された。

以上の評価により、本論文は、本学の学位に値すると全員一致で判断した。

試問の結果の要旨

申請者の発表は、研究の背景として消化管ホルモンの概説と早産児の低サイロキシン血症によ る消化器機能不全の説明から始まった。そして、2つの研究内容が順に発表された。

まず、早産児の生後早期の消化管ホルモンの動態を解析し、在胎週数に対し血清 leptin と PPは正の、GLP-1は負の相関を認め、その理由がLeptinでは胎児の皮下脂肪の増加と胎盤の成 長、GLP-1では早産児における腎クリアランスや分解酵素活性が低いことを述べた。続いて出生

後のleptinの減少とGIP、GLP-1の増加について言及し、それぞれ、胎盤からの離脱と短時間の

栄養補給がその原因であると考察した。

次に、消化管症状を呈した低サイロキシン血症のある早産児の消化管ホルモンを治療前後で検 討した。疾患群で有意に低値であった血清GLP-1、GIP、PYYがT4-Na 補充療法後で上昇した ことから、甲状腺ホルモン補充が3つの消化管ホルモンの分泌を促進し、消化管・代謝機能の成 熟が相互に促しあうことで消化管症状が改善されるのではないかと推測した。

その後、審査員との質疑応答に入った。対象の記述が分かりづらいという指摘と相関を分かり やすくするために散布図を書いた方がよいという助言に同意し、改訂することになった。また、

消化器症状があり低サイロキシン血症がない群、消化器症状がなく低サイロキシン血症がある群 がコントロール群として必要ではないか、という問いに対しては、現実的にそのような症例をす べて揃えるのは難しいという答えだったが、審査員の納得は得られた。採血時間を一定にしたか、

の問いには午前6時に一定にしており、それを本文に追加することになった。血糖との相関の有

(5)

無については、無かったと明確に否定した。Leptinの胎盤からの分泌機序や他種との違いについ ての議論では、基礎的知識を十分持っていることが確認された。

研究の発表およびその後の質疑応答を通じて、申請者からは真摯、誠実な人柄が伺われ、その 内容も満足できるものであった。発表の最後に述べた展望に関しても今後の研究の進展が期待さ れ、申請者は学位を授与するに値すると全員一致で判断した。

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