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通常の学校の特別支援教育コーディネーターの 専任化に関する意識調査

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通常の学校の特別支援教育コーディネーターの 専任化に関する意識調査

-専任のコーディネーターに対する質問紙調査を通して-

宮木 秀雄

Attitudes Regarding Specialization of Special Needs Coordinators at Regular Schools:

Questionnaire Survey of Specialized Coordinators MIYAKI Hideo

(Received September 28, 2018)

.問題

文部科学省(2007)は「特別支援教育の推進につい て(通知)」の中で「各学校の校長は、特別支援教育の コーディネーター的な役割を担う教員を『特別支援教 育コーディネーター』に指名し、校務分掌に明確に位置 付けること。」と示し、以降特別支援教育コーディネー ター(以下、コーディネーター)は各学校の特別支援教 育を推進するためのキーパーソンとして重要な役割を果 たしている。文部科学省(2017)の調査によれば、全国 の公立学校におけるコーディネーターの指名率は99.4%

であり、ほぼすべての学校にコーディネーターが設置 されている。一方で、コーディネーターの役割は多岐に 渡っており、また多くのコーディネーターは校内に1名 であったり、学級担任との兼務であったりするため(宮 木・木舩,2012)、多忙さや自身の力量不足といった悩 みを抱えている場合も少なくない(宮木,2015)。

そうした中、教育再生実行会議(2016)は第九次提 言の中で「特別支援教育関係の専門スタッフとの連絡 調整や校内委員会の企画・運営等を行う教師(特別支 援教育コーディネーター)の専任化など学校での教育 体制を一層充実する」と述べ、コーディネーターの専 任化の必要性を指摘した。横浜市や川崎市などすでに コーディネーターの専任化に積極的に取り組んでいる自 治体もある(文部科学省,2017)。しかし、コーディ ネーターを専任化することによる効果や課題については 十分に検討されていないのが現状である。例えば、真 城(2005)は我が国のコーディネーターのモデルであ るとされているイギリスのSpecial Educational Needs Coordinator (以下,SENCO)について、個別指導ばか りに傾倒したSENCOの多くが職務遂行に行き詰ってし

まった例を指摘した上で、通常学校の場合、特定の教師 と特定の少数の子どもとのつながりが緊密性を増せば増 すほど、彼らが学校全体の集団から「分離された」存在 になる可能性が高く、他の教師や管理職も「特別な教育 的ニーズ」への対応の役割を特定の教師(コーディネー ター)だけに依存するようになると指摘している。コー ディネーターの専任化によって、こうした状況が我が国 においても生じる可能性は決して否定できない。また、

宮木・木舩(2011)はコーディネーターの多忙さは、

必ずしも学級担任との兼務のみに起因するものではなく、

コーディネーターの単純な専任化よりもむしろコーディ ネーターの校内における役割を明確にし、業務を精選し ていくことの方が重要であると指摘している。以上のこ とからもコーディネーターの専任化については、その効 果や課題を慎重に検討した上で進めていく必要があると 言える。

そこで、本研究では通常の学校の専任のコーディネー ターを対象に調査を行うことにより、コーディネーター 自身が専任化の効果や課題をどのように感じているかに ついて明らかにし、コーディネーターの専任化について 議論するための基礎的な資料を得ることを目的とする。

なお、「専任」について文部科学省(2017)の調査 においては「主たる職務として特別支援教育コーディ ネーターの役割を担うことができるよう、学校において 一定の配慮(学級・教科担任を持たないなど)がなされ ている者」とされているが、「一定の配慮」は各学校に よりその内容や程度が千差万別であり状況の正確な把握 が難しいと考えられる。そこで本研究においては、その 位置づけを明確にするため専任を「学級担任や通級担当 と兼任していない者」と定義する。

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.方法 1.調査対象者

公立の幼稚園(251園)、小学校(249校)、中学 校(251校)、高等学校(249校)の計1000校のコー ディネーター1000名を対象に調査を行った。478名

(47.8%)から回答があり、本研究においては、専任で ない者(通常学級、特別支援学級、通級指導教室のいず れかの担任・担当と兼任している者)、並びに分析対象 項目に欠損値のある者を除いた215名を有効回答とした。

なお調査地域については、可能な限り専任のコーディ ネーターからの回答を得るため、文部科学省(2017)

の調査結果を参考に、コーディネーターの専任化が比較 的進んでいる8自治体を選択した。各調査地域の有効回 答数をTable 1に示す。

2.調査項目

(1)フェイスシート

学校園の所在地、学校種、在籍幼児児童生徒数、校内 のコーディネーターの人数、教職経験年数、現在の職階、

現在の学級担任(通級担当)の有無(以下、担任の有 無)を尋ねた。フェイスシートにおける調査結果の概要

(担任の有無を除く)をTable 2に示す。

(2)コーディネーターの専任化に対する意見

コーディネーターの専任化に対してどのように考えて いるかについて明らかにするため、まずコーディネー ターの専任化について「とても賛成」「賛成」「どちら とも言えない」「反対」「とても反対」の中から選択を 求めた(選択回答)。その上で、選択した理由を自由記 述により尋ねた(記述回答)。なお、質問紙における

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「専任化」については幅広く意見を集めるため文部科学 省(2017)と同様に「主たる職務として特別支援教育 コーディネーターの役割を担うことができるよう、学校 において一定の配慮(学級・教科担任を持たないなど)

がなされている者」とし、質問紙の中にも明記した。

3.調査手続き

各調査地域の学校数に応じた層化抽出により調査校を 決定した。各調査校には、調査依頼文1部、返信用封筒 1部、質問紙1部を校長・園長宛に送付し、コーディ ネーター1名(複数指名されている場合は、主に業務を 担当しているコーディネーター1名)に回答・返信して もらうよう依頼した。

4.調査時期 平成29年8月

.結果

1.選択回答の単純集計

コーディネーターの専任化に対する選択回答を集 計した結果、「とても賛成」が82名(38.1%)、「賛 成」が62名(28.8%)、「どちらとも言えない」が66名

(30.7%)、「反対」が5名(2.3%)、「とても反対」

が0名であった。

2.記述回答の計量テキスト分析

選択回答とそれを選択した理由との関係を明らかにす るため、テキストデータを数量的に扱うことで、大量の データの内容分析を詳細に行うことが可能となる計量テ キスト分析(樋口,2014)を用いた。具体的な分析方 法としては、文章において同時に使用されることが多い 語同士をエッジで結び、図示する共起ネットワーク分析

(樋口,2014)を各選択回答について行うことにより、

それらを選択した理由の記述傾向を解釈した。なお、共 起ネットワーク分析に当たっては、「とても賛成」また は「賛成」を選択した者(肯定群)、「どちらとも言え ない」を選択した者(中立群)、「反対」または「とて も反対」を選択した者(否定群)の3群についてそれぞ れ分析を行った。分析には計量テキスト分析ソフトウェ アである「KH Coder」を使用した。共起ネットワーク 分析の結果をFig.1~3に示す。

.考察

選択回答を集計した結果、コーディネーターの専任化 に対して「反対」または「とても反対」を選択した者は 少なく、「とても賛成」または「賛成」を選択した者が 全体の7割弱を占めた。このことからコーディネーター

の専任化は概ね肯定的に捉えられていることが示された。

一方で「どちらとも言えない」を選択した者が約3割お り、専任化について慎重に考えているコーディネーター も決して少なくないと言える。

次に、共起ネットワーク分析により示された図をもと に肯定群、中立群、否定群のそれぞれの意見について考 察する。その際、<  >は抽出語を、『  』は具体 的な記述内容を示すものとする。

1.肯定群の意見

肯定群では、まず<把握><子ども><クラス><全 体><実態><様子>をつなぐネットワークが形成され た。具体的には『各クラスに行き、実際に自分の目で 個々の実態把握をすることができる。』や『特別支援の 必要な子どもの様子を把握したり、学習や生活の支援を するには、担任をしていては不可能だと感じる。』と いった記述が見られ、コーディネーターが専任化される ことで学校や園全体の子どもの様子を実際に観察し、実 態を把握することが可能になると考えられる。

また、<研修><専門><知識><確保>をつなぐネッ トワークが形成された。具体的には、『校内研修や資料 作成に関する時間の確保にもつながり、校内体制が充実 すると思われる。』や『担任業務が多く、外部機関との 連携や研修に十分時間が取れなかったが、専任となりそ の時間も確保できている。』といった記述が見られ、コー ディネーターが研修を受けたり、また校内研修を企画・

運営したりするための時間が確保されることも専任化の 利点のひとつであると認識されていることが示された。

さらに、<機関>と<連携>をつなぐネットワークが 形成された。具体的には、『関係機関への連絡、調整の 時間がとれ、一人ひとりの児童にあった手立て(支援)

Fig. 1 肯定群の共起ネットワーク分析の結果

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のための諸機関とのつながりをつけやすい。』や『横浜 市は児童支援専任がコーディネーターをしている為、関 係機関との連携をとりやすくなった。』といった記述が 見られ、コーディネーターの専任化により校外の関係機 関との連携が促進されると考えられる。

2.中立群の意見

中立群では、まず<特別><支援><多い><専任>

<必要>をつなぐネットワークが形成された。具体的に は、『学校によっては対象となる生徒も多く、その他の 課題をかかえている生徒が多ければ専任化も必要だと思 う。』や『特別支援が必要な児童生徒が多い学校であれ ば、他業務とコーディネーターの業務をこなすのは負担 が大きいかもしれませんが、そうでなければ専任化しな くてもよいかもしれないと感じます。』といった記述が 見られ、学校や在籍する子どもの状況によっては必ずし もコーディネーターを専任化する必要はないという意見 が散見された。このことからコーディネーターの専任化 については一律で行うべきものではなく、学校や地域、

在籍する子ども、教職員の実態に応じて柔軟に選択でき るようにすることが望ましいと言える。

また、<授業><教科><担任><持つ><様子>を つなぐネットワークが形成された。具体的には、『児童 の的確な状況把握のためには、授業の中での見取りも大 切であると考えられるので、学級、教科担任を持たず、

教職員からの聞き取りや授業参観等のみから把握しよう とするのには不安がある。』や『自分が授業を担当して みて生徒の様子がわかることもあるので、専任化ではな くてもよいと思いました。』といった記述が見られ、学 級担任や教科担任をしながら、授業を通して子どもの実

態把握を行うことも重要であるという意見が示された。

加えて、『教科担任を全く持たないというのが、授業を 通して生徒と関わる教師力が落ちることが不安。軽減は 必要と思うが、授業をカットすることで、コーディネー ターとしての負担が全てその先生にかかるのはどうかと 思う。』といった記述も見られ、授業が持てなくなると いう点、逆に負担が集中する可能性があるという点に専 任化のデメリットを感じているコーディネーターもいる ことが明らかとなった。

3.否定群の意見

否定群では、まず<授業><生徒><対応><教員

>をつなぐネットワークが形成された。具体的には、

『コーディネーターはたいへん多忙ではあるが、教員で ある以上、授業を行ったり、その他の仕事をすることで 生徒により近づき、また他の教員と連帯できるので、そ ういう立場に立ってはじめて生きたコーディネートがで きると思う(保護者との対応も)。』や『学級を持って の業務は難しいが、児童と授業で向き合う時間がないの は実態把握につながらないと思う。』といった記述が見 られた。中立群でも同様の記述が散見されたが、やはり 教員として授業を持ちたいという思いが強いコーディ ネーターもおり、そうしたコーディネーターは授業を持 つことが実態把握や教職員との連携にも繋がると感じて いることが示された。

また、<増やす><コーディネーター><支援>をつ なぐネットワークが形成された。具体的には、『専任化 ではなく、コーディネーターの人数を増やす方が、効率 よく生徒のための支援が図れると考える。』や『専任化 する予算があるなら、正規職員を増やすとか支援員を増

Fig. 2 中立群の共起ネットワーク分析の結果 Fig. 3 否定群の共起ネットワーク分析の結果

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やす方にまわしてほしい。』といった記述が見られ、兼 任であることよりも人員不足の方が課題であると感じて いるコーディネーターもいることが示された。

4.本研究のまとめと今後の課題

分析の結果、専任のコーディネーターは、コーディ ネーターの専任化について概ね肯定的に捉えており、子 どもの実態把握や校内研修の企画・運営、校外の関係機 関との連携といった業務を行うための時間が確保できる という点にメリットを感じていることが示された。一方 で、授業を行うことは教師としてのやりがいにも直結し ており、実態把握や教職員との連携を充実させるために も学級や教科を担任する必要があるという意見も見られ た。また、専任化によりコーディネーターに負担が集中 してしまう可能性もあり、専任化よりも支援に関わる人 員の増加を求める意見も出た。こうしたことから、コー ディネーターがその業務を十分に遂行し、我が国におけ るコーディネーター制度を機能させるためには、一律に 学級担任や教科担任を外すのではなく、学校や地域、在 籍する子ども、教職員の実態に応じて、例えば授業時数 や校務分掌を減らしたり、コーディネーターを複数化し て役割分担をしたりするなどの柔軟な対応が必要である と考えられる。したがって、学級担任や通級担当との兼 任の有無に加えて、授業時数やその他の校務分掌によっ て、コーディネーターの業務内容や業務負担等がどのよ うに異なるかについても今後検討していく必要があるだ ろう。

本研究はJSPS科研費(17K14070)の助成を受けた。

また、本研究の一部は日本特殊教育学会第56回大会に おいて発表した。

謝辞

本研究に快くご協力くださった先生方に感謝申し上げ ます。

引用文献

樋口耕一(2014)社会調査のための計量テキスト分析

―内容分析の継承と発展を目指して―.ナカニシヤ 出版.

教育再生実行会議(2016)全ての子供たちの能力を伸 ばし可能性を開花させる教育へ(第九次提言).

宮木秀雄(2015)通常の学校の特別支援教育コーディ ネーターの悩みに関する調査研究―調査時期による 変化と校種による差異の検討―.LD研究,24(2),

275-291.

宮木秀雄・木舩憲幸(2011)小・中学校の特別支援教 育コーディネーターの悩みに関する調査研究―学校 環境やコーディネーターのキャリアとの関係―.学 校心理学研究,11,45-56.

宮木秀雄・木舩憲幸(2012)我が国における通常の学 校の特別支援教育コーディネーターに関する研究の 動向と課題.広島大学大学院教育学研究科紀要第一 部(学習開発関連領域),61,189-198.

文部科学省(2007)特別支援教育の推進について(通 知).

文部科学省(2017)平成28年度特別支援教育体制整備 状況調査結果について.

真城知己(2005)免許問題等研究委員会報告(Ⅱ)―

特別支援教育コーディネーターについての研究―

第3節 英国SEN コーディネーターの機能条件と 特別支援教育コーディネーター.特殊教育学研究,

43(1),70-73.

Referensi

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