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関東の降雪は近年極端化しているのか? - Mie U

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Academic year: 2024

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(1)

関東の降雪は近年極端化しているのか?

気象・気候ダイナミクス研究室 516346 中村 祐貴 指導教員:立花 義裕 教授

Keywords

:南岸低気圧,ストームトラック,レジームシフト

1.序論

関東地方は一冬通してあまり雪が降らず,豪雪 地帯である北陸地方を中心とした日本海側に比べ て雪への対策は脆弱である.そのため一度積雪が 起ことライフラインに大きな影響が出る.例えば,

2014

2

月には大雪の影響でブレーキの効かなく なった電車が,駅で停車していた先行電車に衝突 し

72

名が負傷した事故が発生した.この年は記 録的な多雪年であったが,

2014

年以外の年にも関 東地方で多雪年があったのかを確認するために,

1961~2018

年の

58

年間で関東地方の各年の

1,2

月の総降雪量の推移を見た.すると,総降雪量が

1,2

月の平年値の合計の倍となる

200cm

程度の年 は,期間全体を通して数回あるが(図略),大きな 気候の変化のあった

1988/89

を境にして,総降雪 量を多い年順に並べると,

1989

年以降の年の方が 上位にある(図

1)

80

年代後半のレジームシフト に関する研究では,

1988/89

年を境にして大気場を 比較すると,アリューシャン低気圧が弱まったこ とで北太平洋において海面更正気圧と

500hPa

面 のジオポテンシャル高度が上昇したことを示した

[1]

.

また,関東の降雪に関する研究は事例・統計解 析どちらもされている[2] [3]が,

80

年代後半のレジ ームシフトの前と後で関東の降雪時の環境場を比 較した研究はない.

80

年代後半のレジームシフト の影響で,最近の方が多雪年が多くなっている可 能性があるため,本研究の目的は,

88/89

年を境に して関東の降雪時の環境場を統計的に比較し,多 雪年が最近の方が多い要因を考察することとする.

2

.使用データと解析手法

降水量・降雪量は気象官署の観測データ,海面

水温は

HadISST

[4]のデータ,大気場のデータは気

象庁

55

年長期再解析データ

JRA-55(Kobayashi et al., 2015)

[5]を用いた.解析期間は日降雪量のデー タが存在する

1961~2018

年の

58

年間で,他の月 に比べて降雪量の多い

1,2

月を使用した.

解析には合成図解析を用いた.関東地方にもた らされる降雪のほとんどは南岸低気圧による事例

であるため,天気図で確認して南岸低気圧による

1 1961~2018年の58年間の各年1,2月総降雪量[cm]を多い順

に上位30年並べた.赤は1989年以降,青は1988年以前を表す.

降雪事例を抽出した.降雪日の定義は関東地方の 都県庁所在地の気象官署と館野(茨城県

)

8

地点 中

5

地点以上で

1cm

以上の降雪を観測した日とし た.抽出事例のうち,

1988

年以前の事例を過去,

1989

年以降の事例を近年とした.また,大雪とそ うでない雪の過去と近年の違いを考察するために,

抽出した全事例の中で,8地点合計

100cm

以上の 事例を極端事例とした.極端事例以外の事例は普 通事例とした.

1

2

月の月平均の環境場と極端事 例,普通事例の降雪日の環境場をそれぞれ近年と 過去で比較することにより,多雪年が近年の方が 多い要因を考察する.

3

.結果

抽出した全体の事例数は過去

40

事例から近年

30

事例に減少していた.しかし,極端事例の回数 は過去

5

事例から近年

9

事例と,近年の方が事例 数は増加していた.また,極端事例・普通事例の 両事例で一事例あたりの降水量・降雪量を調べる と,降水量は両事例で有意に増加、降雪量は極端 事例ではほとんど変化なく,普通事例では有意で はないが増加していた(図略).

まず,近年の方が極端事例の回数が増加した要 因を探るため,低気圧の個数と関係があるストー ムトラックの気候値の近年

-

過去の変化を確認し

た.

850hPa

面では,日本の南海上から東海上で正

偏差であった(図

2

).同じ領域の月平均の海面水 v温の南北温度勾配も正偏差であった(図略).

0 200 400 600

降雪量(cm)

(2)

2 1,2月の月平均の850hPaストームトラックの変化 ストームトラックは − ̅²( は日平均の南北風の2乗和の平 均, ̅²は月平均の2乗)を用いた.陰影は近年と過去の差[m²/s²]

ドット域は信頼水準90%以上の領域.

次に降水・降雪量が増加した要因を探るため,

まず,水蒸気フラックスの収束・発散の気候値の 差を比較した.近年の方が日本付近で有意な収束 場であり(図

3)

,太平洋側を中心に降水量も増加 していた(図略).次に,降雪日の低気圧の強さを 比較したところ,近年の方が普通事例・極端事例 の両事例共に中心付近で強まっていた(図

4

).

4

.考察とまとめ

以上の結果より,極端事例の回数が近年の方が 増加したこと,普通事例では一事例当たりの降雪 量が増加したことが分かった.海面水温の南北温 度勾配が大きくなったことで,

850hPa

ストームト ラックが強化されたことが,極端事例の回数が増 加したことの要因だと思われる.また,水蒸気フ ラックスは日本付近で収束場になっていた.そこ に強まった低気圧が来ることで,さらに水蒸気フ ラックスの収束が強まり,両事例で降水量が増加 したことが示唆された.また,普通事例において

は一事例当たりの降雪量も増加したと考えられる.

ゆえに,ストームトラックの強化によって,極 端事例の回数が増加したこと,普通事例において 一事例あたりの降雪量が増加したことが,近年の 方が多雪年が多い要因になり得ると考えられる.

5.今後の課題

今回の解析から,ストームトラックの強化が多 雪年の増加に影響していることが示唆された.し かし,極端事例の回数の増加,低気圧自体の強化 のどちらにより寄与しているかは分からないとい う課題がある.今後はこの点が切り分けられる解 析を行う必要がある.

3 1,2月の月平均の水蒸気フラックスの収束・発散の変化.

陰影は近年と過去の差.負が収束で正が発散を表す.ドット域 は信頼水準90%以上の領域.

4(a)普通事例,(b)極端事例の海面更正気圧の合成図.

等値線は近年の事例の海面更正気圧[hPa].陰影は近年と過去の事 例の差[hPa].ドット域は信頼水準90%以上の領域.

6.謝辞

本研究を進めるにあたり,ご指導頂きました立 花義裕教授には深く感謝いたします.また,様々 な助言を頂きました同研究室の小松謙介研究員,

安藤雄太氏,杉原直樹氏,永田桃子氏,松岡優輝 氏,太田圭祐氏,中西友恵氏,そして他研究室の 皆様に感謝の意を表します.

7

.引用文献

[1]Tachibana et al., 1996: The Abrupt Decrease of the Sea Ice over the Southern Part of the Sea of Okhotsk in 1989 and Its Relation to the Recent Weakening of the Aleutian Low J.

Meteor. Soc. Japan, 74, 579-584

[2]Honda et al., 2016: Synoptic Conditions Causing an Extreme Snowfall Event in the Kanto-Koshin District of Japan on 14- 15 February 2014 SOLA, 12, 259-264

[3]Yamazaki et al., 2015: Heavy Snowfall in Kanto and on the Pacific Ocean Side of Northern Japan Associated with Western Pacific Blocking SOLA, 11, 59-64

[4]Rayner, N. A. et al., 2003: Global Analyses of Sea Surface Temperature, Sea Ice, and Night Marine Air Temperature since the Late Nineteenth Century J. Geophys. Res.,108

D14),4407

[5]Kobayashi et al., 2015: The JRA-55 reanalysis: General specifications and basic characteristics. J. Meteor. Soc.

Japan,93,5−48

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