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集合組織を有する金属材料の降伏曲面に関する研究

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(1)

集合組織を有する金属材料の降伏曲面に関する研究

細川 智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰*

岡山理科大学工学部機械工学科

*岡山理科大学大学院工学研究科

(1997年10月6日受理)

1.緒言

金属材料の降伏条件については,等方材料としてvonMisesあるいはTrescaの条件式 が用いられているが'),一般に,金属材料はその製造過程において方向性が生じ異方性材料 と考えられる。このような材料に対してHillはvonMisesの条件式を補正して異方性材 料の降伏条件式を提案している2)。しかし,実際の実験結果ではいずれの条件式とも完全な 一致は見られず,また,材料によって異なる挙動を示すことが知られている。したがって,

塑性加工における応力やひずみの解析ではこれらいずれかの条件式を採用し結果に誤差が

含有する事を了解の上で解析に利用されてきた。

一方,有限要素法など解析技術の進歩とコンピュータの発達により解析精度が向上し,

それに見合うより高精度な降伏条件式および降伏に続く塑性変形の構成方程式を求める要 求が高まってきた3)。そこで本研究ではまず塑性変形開始の条件すなわち降伏条件式につい て,金属材料を種々な方向の結晶粒の集合体であることに着目し,比較的研究の進んでい る単結晶のすべり変形理論を採用して,多結晶体の降伏条件式について検討を試みた。

2.解析方法

21応力およびひずみの座標変換

材料の外形を基準とした座標系の座標軸をX1,X2,X3(応力成分を表す場合にX,Y,Z軸 と表示する事を併用した)とし,また,結晶の主軸をX,,X2,X3として,結晶の座標系から

みてX,(i=1,2,3)の方向余弦をそれぞれ(111,112,113)とする。また,個々の結晶のP番目 のすべり系におけるすべり面の法線方向とすべり方向の方向余弦を結晶の座標系から見て

それぞれ(n1,,2,,3)および(b,,b2,b3)とする。材料に負荷される応力およびそれによるひず みを材料の外形を基準としてoijおよびeIj(i=jの場合oij=o1,s,j=e,,i≠jの場合oij=

zij,eIj=γij)とすると,p番目のすべり系のせん断応力でpは結晶の臨界せん断応力誌を越

すことが出来ないため,

(2)

細川智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰

388

zf≧Tp==ZZoijZl=lj=1k=1333 1,knRZ1jkbRk=13 (1)

によって表される。また,p番目のすべり系のせん断ひずみをγpとし,すべり系の総数を

、とすると,材料外形座標におけるひずみは

1lknRZ1jkbR)k=1

m 3

c則=員γp(昌

(2)

によって表される。

2.2多結晶金属の変形モデル

多結晶金属の塑性変形つぎのようにモデル化する。

1)各結晶粒は結晶塑性学でよく知られているようにすべり面上のすべり方向にのみす べり変形をする。ここで,すべり方向は+-の逆方向が考えられるが,これらを別のすべ り系と考える。このことにより,γp≧Oとすることが出来る。すべり系はすべり面とすべ り方向の組み合わせで面心立方品と体心立方品金属で異なり,FCC金属ではすべり面は{111}

面,すべり方向はく110>方向で組み合わせは24種,また,BCC金属ではすべり面は{110),

{112},{123)面の3種,すべり方向はく111>方向で組み合わせは96種存在する。

2)各結晶粒の変形はTaylorおよびHillが提案しているように,結晶粒が相互に拘 束して変形するため,材料内部では三方から拘束を受け,各結晶粒のひずみ成分は平均の ひずみ成分に等しいものとする。すなわち,(1)および(2)式で応力成分はすべて未知である が,ひずみ成分は平均値(材料全体のひずみ成分)に等しい。それに対して,薄板や材料 の表面近傍では表面に垂直な方向の拘束がなくなり,応力は0,ひずみは任意となる。す なわち,応力成分はOX,。MXYは未知,また,⑰=ZYz=ZZx=0となり,ひずみ成分はEx,

Sm,Xyは平均値に等しく,またEz,γYz,)'2xは未知となる。

3)(1)式は、個の不等式であり,(2)式は6個の式に対して変数は、個あり,いずれの 場合も解は無数の組み合わせが存在する。そこで,最大塑性仕事の原理および最小せん断

ひずみエネルギの原理を採用する4)5)。すなわち,(1)式の解のうち塑性仕事

W==Zznjc1jl=1j=133 (3)

の最大のものが最適解であり,(2)式の解のうちせん断ひずみエネルギ

U==zzlPγpp=1 (4)

の最小のものが最適解である。

3.計算方法

多結晶体の各結晶粒が任意に分布しているとすると,結晶の対称性から,材料座標系の X3軸の方向を結晶座標系の1つのステレオ三角内の方位で全てを代表出来る。そこで,X3

(3)

図1X3方向(板面の法線方向)ステレオ三角形上

の分布と番号 図2結晶軸座標系における

X3方向

の方向を図1に示すように55種の方位で代表し,各方位は図2に示すようにX3方向をx1x2 面に投影した方向、とx,軸のなす角をα,n方向とX3方向のなす角をβとして,αとβを 5。間隔とした。また,この1つのX3方位に対してX3に垂直な面上で任意の方向とX1軸の なす角8として,0を5.間隔に72種を定めた。この場合X,,X2およびX3の方向余弦は

13,=cosacosβ/ゾI=百FZ7-5F17 132=COSaSinβ/,/丁=百FZ7-5F万 133=sinacosβ/VI=百FZ7百F百

1u=SinβCOS0-SinaCOS2βSim/,/丁=百Fビア~百F万 1,2=-COSβCOS8-SinaCOSβSinβSiM/ゾI=百FZ7-5171石 1,3=cosasinO/,/I=百FビアgIH颪75

121=132113 ̄112133 122=133111-113131 123=131112 ̄111132

(5)

となる。ここで,X'に垂直な面上の任意の方向として(1,2,-1,,,0)方向を採用した。

応力の計算は

fF==Z

k=1

1,knRZl1kbR3 k=1

(4)

細川智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰

390

3Z目3Z】3Z目3Z目3Z目一一一一一一一一一一

P2;p4::fffff 3

12knRZ12kbRk=1

3

13knRZ13kbRk=1

33

12knRZ13kbR+Zk=1k=1

33

13knRZ11kbR+Zk=1k=1

33

1,knRZl2kbR+Zk=1k=1

(6) 13k、R己12kbRk=13

3

11knR己13kbRk=1

3

12knR己1,kbRk=1

とおくと,材料の中心部では(1)式は,fF+f:+f;=Oであることを考慮して,

IiHl漢「罰 liiLIiLil三’

|iHllllIliillj1l

[lMll

(7)

(8)

(9)

(10)

(5)

(a) (b)(c)

図3計算で用いた集合組織の反転極点図

(。)

表1図3の板面および圧延方向の反転極点図の組み合わせ

となり,各結晶粒の未知の応力およびせん断ひずみ成分は(7)または(8)式を制限条件とし て目的関数(3)式を最大にするか,または,(9)または(10)式を制限条件として目的関数(4)を 最小にする事により得られる。これを全結晶粒について,図1に示したX3軸のステレオ球 面上での面積および集合組織による結晶の存在確率を考慮して重み付き平均によって多結

晶体の降伏応力を決定した。

集合組織は板材を想定してX3軸を板面,X,軸を圧延方向として,それぞれの方向が図3 に示す5種の反転極点図を仮して集合組織の影響を調べた。集合組織の可能な組み合わせ を表1に示す。結晶の存在確率として近以的に両方向の反転極点図で表される確率の積と

仮定した。

3.解析結果および考察

表1の集合組織Aは板面および圧延方向が共に集合組織を持たない材料で等方性材料と 考えられる。したがって,BCCおよびFCC材料の集合組織Aの解析結果をLodeの応 力パラメータで整理すると図4のようになる。この図でTrescaの降伏条件は横軸と一致 し,vonMisesの降伏条件を点線で表している。これらの図から明らかなようにBCC材 料ではvonMisesの説に比較的近いが,FCC材料ではTrescaとvonMisesの両説のほ ぼ中間の値を示している。このことは,すてに報告されている実験結果ともほぼ一致して いる。これに対して,薄板あるいは表面層では集合組織Aの場合でも,結晶の方位が等方 的であっても拘束に方向性があるためLodeの応力パラメータで整理出来ない。

図5は集合組織を持たない材料で,⑱=ZYz=ZZx=0で,さらに,ZXY=Oの場合の降 伏応力値を横軸にOX,縦軸に0Vをとってプロットした図である。この図でTrescaの条件

集合組織の番号 ABCDEFG

板面の法線方向(X3) (a)(b)(b)(c)(c)(c)(。)

圧延方向(X,) (a)(b)(c)(b)(c)(。)(c)

(6)

392

細川智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰

CO)/0.

(0,

..・・・..1毛゜.・・・・

BCC

,ロ、■0.

纈・-...1...~。鮴。`≧・魁≧。。

・・0 0..

jPo ・qbb

グ、.◎

0 ,,

二L`萱-------トーーーーーム----

(208-01-03)/(0,-0s)

03)/o、

(0,

〆(……トル、…

、0,≧03≧Cs

毅の。。?、。②X

b66 ̄。完ロ

ユf---L---,----

,1

(203-0,-08)/(0,-08)

図4Lodeの変数で表示した等方性材料の降伏応力

式を一点鎖線で,またvonMisesの条件式を点線で表した。これらの図からも明らかなよ うにBCC材料ではvonMisesの説に近く,FCC材料ではTrescaの説に近く,拘束の少 ない表面層では内部よりTrescaの説に近いことが解る。図6は集合組織を有する場合の 一例であって,TrescaやvonMisesの条件からは大きくずれ,XとY方向の降伏値に も差異が生じている。このような,異方性材料に対する降伏応力の近似式としてHillが提 案した次式

の(oij)=F(oY-⑰)2+G(o2-0X)2+H(oX-dY)2

+2LZfz+2M戯+2NZfv (11)

を用いて整理した2)。ここでF,G,H,L,MおよびNは異方性の強さを表すパラメータで,

等方`性材料ではF=G=H=1,L=M-N=3である。(11)式の異方性パラメータF,G,

HおよびNを解析データから回帰し,それを図5および図6に実線で記した。これらの図 で見られるように異方性パラメータによってある程度の近似は出来るが,不完全で部分的 には大きくずれていることが認められる。表2は種々な集合組織および結晶系のX方向と Y方向に引っ張り変形による降伏応力値は集合組織の状態により約10%程度の差異があり,

また,X方向とY方向の差異は数%程度である。

zXYの降伏条件におよぼす影響は図7に示す。この図はzkY=OでTresca条件式に最も 近いFCC材料の薄板の場合を示しているが,Trescaの条件式からは大きくずれ,vonMises またはHillの条件式を用いないと近似することが出来ない。

(7)

0Y/七・ oY/て゜

Pケロ■

/で。 x/で。

面屈)

(a)

oY/「。

(b)

。γ/「。

/で。 ■ ̄● ̄◆---___

/で。

(c)

(d)

図5集合組織が無い材料の降伏曲面

一点鎖線;Trescaの条件点線;vonMisesの条件実線;Hillの式○印;計算値

4.結言

BCC材料およびFCC材料についてTaylorおよびHillによって提案された塑性変形 モデルを用いて集合組織を持つ金属材料について降伏応力値を解析して次のような結果を

得られた。

l・等方性材料の降伏条件式はBCC材料ではほぼvonMisesの条件式に近いが,FCC

材料では両説のほぼ中間の条件式になる。

2.薄板の降伏応力は普通の場合よりややTrescaの説により近い降伏条件式を示し,

降伏応力値も小さくなる。

3.集合組織を有する場合にはTrescaやvonMisesの条件式からは大きくずれ,異方 性パラメータを導入したHillの式を用いる必要がある。

4.特に,せん断応力成分がある場合にはHillの近似式を適用する必要がある。

(8)

394

細川智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰

oY/て゜

。Y/「。

、--● ̄●

/て゜ Te

(a)

。Y/で。 0Y/で。

(b)

/「。 Tc

………!

(c)(。)

図6集合組織Dの材料の降伏曲面

一一点鎖線;Trescaの条件点線;vonMisesの条件実線;Hillの式○印;計算値

表2集合組織を有する材料の降伏応力値(ob/圧)

X方向 Y方向 集合組識

B、C、C材料

中心部 表面層

X方向 Y方向 X方向 Y方向

F,C、C材料

中心部 表面層

X方向 Y方向 X方向 Y方向

ABCDEFG

53103897677777

●●●■●●●2222222 54793487575888

●●●●の●●2222222 25156584344444

●●●●●色●2222222 28150794243553

c●●●●●●2222222 71165740900001

$P●■●●■3233333 72699930808112

●■●●●●●3232333 24547716566667

●●●●●●●2222222 27255016465786

●■■●●●●2222222

(9)

0Y/て゜ oY/「。

Tc x/て゜

(a)

(b)

oY/「。 。Y/て゜

x/「。 x/で。

O● O●

(c) (。)

図7zkyの降伏曲面のおよぼす影響(集合組織A)

一点鎖線;Trescaの条件点線;vonMisesの条件実線;Hillの式○印;計算値

参考文献

1)北川,塑性力学の基磯,日刊工業新聞社,(1979).

2)RHill(鷲津ほか訳),塑性学,倍風館,(1954).

3)L,AnandandM・Kothari,J、Mech、Phys、PhysSolids,44(1996),p525.

4)GITaylor,JInst・Metals,62(1925).

5)J,F、W・BishopandRHill,PhiLMag,42(1951),pl298.

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細川智生・金谷輝人・谷本雅・宮田定彰

396

StudyofYieldSurfaceonMetalswithTexture

NorioHosoKAwA,TerutoKANADANI,TadashiTANIMoTo andSadaakiMIYATA*

、"α"”c"/q//VCCノiα"/αzノE"gj"Ceノブ"9 Hzα(ノノb/q/Ejzgノリzeeノブ"g

*C”ぬ‘α/cScAooノq/E"gi"CeガノZg,

OhZyzz机αU"/"cMyq/Sbje"Ce,

Rj〃-CAO1-1,0/hZyα”αm0-0005,ノヒZ,α〃

(ReceivedOctober6,1997)

Yieldstressesarecalculatedusingplasticdeformationmodelsthatproposedby

TaylorandHilLTheresultsaresummarizedasfollows・

LYieldsurfacesonisotropicmaterialsarenearlyagreementwithvonMises's hypothesisofplasticyieldonBccmetals・ButyieldsurfacesofFccmetalsarein agreementwithneithervonMises'snorTresca'stheory・

zYieldsurfacesonthinplatesareslightlyclosertoTresca'shypothesisofplastic yieldYieldstressesonthinplatesarelessthanthoseonbulkmaterials、

3.YieldsurfacesonanisotropicmaterialsareapproximatedwithHill'sequations・In caseofexistingshearstress,Hill'sequatitnsareavailable

Referensi

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