藏学論集 第62巻第3琴 鯵鱗年3鐸
ζ論 文藁
非完備市場理論の展開
隅 部 高 樹
欝 次 はじめ紅
i、r先駆的」諸醗究による開題堤起 2.非完輪講場変換経済の基本モデル 2、i 基本的粋緩みとr資産構造」機念 2、2 薪毒場購造」機念の一般化
2.3 交換経済の基本モデルと金運的懇待均衡
2.4 均衡の存在,非決定性(振δe艶ギ殺沁acy)をめぐる講究とその政策譲的意義 3.ε交換経済」における薦率姓をめぐる議論と諸藩究の相互経連について
3.i !財経済モデルにおける麟約パレート最適姓(C倉難s翻a搬eδ 峯}ar硫(}()βt至難a蹴yl 勝a搬。磁(i弼7))をめぐるD訟盈。麟の議論と雛鍵t(欝75)の反瀦の再解綬
3.2 均幾の穫1格付け(C麹3でacterlzat沁捻。{狂銀cle簸cyo{ε璽撰至難r擁澱):鮭会的ナッシュ最適 1生 (Sod&董Nas嚢0夢額盤3董圭童y;Gross溢a欝 (i§77)) とV一女む率性 (V−e懸cie欝cy;G3星e
(欝82))の騨連に1ついて
3.3 麟約パレート最適牲に基づく斎場均纂の非効率性とその政策講的意義 墨、r生産畿交換経済」のモデル化をめぐる議論と諸麟究の絹互関連について 凄.i r株懸最大化」転勤の定義不籠鶏題
護、2 企業の§的関数についての諸提案 5.結論
はじめに
「竃場の失敗」の一つとして始まった葬非完蠹毒場(籍£o搬鐸ete講a撒e盤)茎弓の至墾論醗究も,欝欝 年代後半に,罎分幾侮学的手法によって均衡の存在証鑓に一定の解決が与えられて以来,それまで の諸瞬発の一般化が進み,さらに新しい発展を見せている。本稿の蔭的は,今では古典的欝究とさ れるArrow−De醜綴型モデルの一般均衡論から現在までの主要な醗究を統…的なモデルの上で機
動 振CO雛鐸e艶粥農撤etsの欝本語訳託ついては,いまだ一定の合意がないようである。載濃鍾鱒3)においては r非完繍毒場∫とあるが,一方,柴蟹(i聾3)では,r不完備市場」とされている。
i
醗 学 論 集 第62巻第3号 疑し,それらを黙合することによって見のがされている隠題点を指摘すること,新しい観点からの 再解毅を簾えることである。蒋に,毒場の存在が慧約されている様を示すr市場構造」機念の一般 化を蕎い,さらに,r薦場講造」概念によウ,市場均衡の劾率姓をめぐる談議i論の再評懸が罵籠なこ
とを示す。また,均衡の非決定性,企業行動のモデル化,そして政策的論点に聾する諸結果を統…
的に整遷する。
ここで,この分賢の重要性を確認しておく。憲ず,毒場機織の評癒と醸界に騎する議講が可能な 一般均衡的な枠緩みを与えていることである。すなわち,婆スク負担幕湯・蓋券毒場の不備等の,「露 場の矢数」の新しい霧癒の分析に発展したことにある。次に,近年,r貨幣霊的機念が,A鴛ow{)ebre範 型モデルに意蕪をもつかたちで導入胃龍なことが示されたことである。これに従い,金愚政策,証 券毒腸管選・露穫管理政策といった公的介入に関する議論へと発展しはじめている.この点で,従 来マク辞経済政策論として展翻されてぎた翻分に鰐し,新しい醗点からミクロ的基礎を与えるとい
う役割を麺うことになる。さらによ箏紅絹的な次発では,被会保瞳麟度,資濾雛発などに麗する縫 題について,「鋳翼と不確実性の存在に痒う講場の非完備姓」からの公的介入の叢誌も響能であむ,
その枠緩みに関するよ絵…屡の醗究が難待されている。
i. 「先駆的」諸醗究導こよる問題提起
すべての財が競争斎場で取引される完薦(CG獄蜘te〉・完全ぐPer鉛ct)競争市場経済のArrow−
De魏e駿墾モデルについて,均衡の存窪とそのバレー野鶴率性が,Debr綴(欝5§)をはじめとする一 連の醗究で窮かにされてぎた.これは達識経済学におけるもっとも重要な議論の一つであるといっ てよい。これはヂ嚢崩敏任」型議論の裏付けにもなっている。これを鐡発点として,すなわち,Arrow一 亙)e雛鎌型モデルの繭提と現実との里離を直観し,そのモデル化に取り緩むことを通して,毒場メカ
ニズムでは態越できない問題の購造,「毒場の矢数」の構造を饗かにし,これに鰐する唐鋤な政癖の 介入様式を探るというのが公共政策論の理論的綴懸である。綴えば,r驚場の不完全競争性(M3痩e走 互盤蟹で艶ctめ鵜」の観点からの独毒・寡占薄舞や当然独占に関わる公的企業の運講,ヂ露場の欠落
(M室ss搬g躍a虚ets)」の鶴題としての外蕊牲の内部1化政策,公共財の還論淋展縫されてぎた。
以上の流れに続ぎ,懲簿年蔚後から,新たな悪からのr斎場の失数盛の欝究が進められてきた。
A貰ow−De短磁型モデルでは,魑黙に,不確実性iのない静的経済を想定している.De董}re種(i§59)は,
「すべての条件付財(Co登t搬g錐tGoods)の市場が存在する」という「完欝毒場権造」の醜擬を導入 して,多難悶で苓確実性のある量罫への再解綬を示した。しかし,この機念は,理論上の重要性に もかかわらず,現実性に乏しい.不確実性のある多顯闘経済社会のよむ現実的なモデル免のために は,異蒔点闘勝得移転機籠を持つ「証券」やr金融資産」の導入が不可欠である。
A鴛GW(婚53,欝64)は,各時点内におけるスポッ卦毒場が完備であって,さらに「将来の不確実 性ごとにi需を像証する証券(A登。ゼs Se磁r滋es〉がすべての不確実盤ごとに存在する」というrス ポヅト毒場農証券毒場」のモデルを購築し,このモデルに齢ける資源醗分は,あたかも,すべての 条件付財議場が存在したr完繰毒場構造」の場合と等しくなることを示した。i懸の不確実娃(状態)
の数がSの巷懇一圭難の2繁簡モデルで考えると,曇難において,S鰻の Ar驚煽s Sec籔雄esンが取
陽蕪:非完備善場蓮譲の展麗
携可籠である場合に絹嘉する。各状態にわたる醗当に関して独立な貨幣資産がS麺あれば両機の状 溌になり,このとぎは,特に資産購造が完備であると言われる。
ところで,現実的には,複雑な不確実性,椿輻の非薄弥盤と取引コス卦によって,独立な異時点 闘斯得移転手段の数,すなわち,取引可能な整立證券数は隈られてお参,r十分な証券露場」が存在
していない状溌が一般的であると考えられる。この状溌を一つのr露場の矢数」と位置づけてr非 完勝露場構造盛の腿題としてとらえ,モデル化とそこから得られる蕩生水準や政策論的含蓄に聾す る醗究の必要性が認識されてきたのである2》。その契機として,非完舗毒場i財経済モデルにおける 均衡のr麟約的パレート最適娃(Co嚢str撮鍵δPaτe船0麟搬a茎量ty)」を示した勝騰。掘(i§ε7)の 醗究があげられる。
その後段&懸er(欝72)は,ドE鱗議bで搬盤G董P茎a難,Pr玉。εs餓δPr玉ceEx夢ect&t沁転なる均衡機 念を導入し,証券取引幾摸の酸度に関する仮定のもと,均衡の存在を示した。これによウ,多数財 の一般的な:場合も援えるような現在の基本的枠緩みが遽まった。消費者が,将来時、売におけるスポッ
ト纒賂や証券懸格を予想しながら多覇闘にわたる溝費欝露をたてるようなモデルでは,それらの緬 賂予想に麗して鋳らかの仮定が必要であるが,嚢a磁er的均衡は,すべての経済主体が正しい予想を することを麟提とした均衡鞍念である湧。
賢鍵t(欝器)は,至)董a搬。総(欝67)の蕊提ri財経済盤,盆a轟er(欝72)の前提r証券取鱗幾摸 の鰻度黄こ注馨し,これらの講提をよ参一駿的な方南へ弱めると綾らの結果が絞立しないことを,反 鰹を示すことによって証弱した。すなわち,一般釣には,均衡の「麟約的パレート最適性」は録証 されず,鱒には,自然なモデルでさえも均衡が存在しないのである。これらの2つの問題提起に薄 して一定の解決を探る醗究がその後続くことになる。
さらに.,もう一つの重要な問題提起がなされている。A貰。轡{)e短e簸璽モデルにおいては,企業 の譲的縫数として,通常「牽彗灘1最大化」・葬株穣藝最大イと」が想定される。 これ捻,単なる飯説以上の 意殊を持っている。すなわち,経営者がこの霞的襲数を選叛するとぎ,すべての株主はこれに護憲 するという 灘&盛艶疲ゾの条轄が嚢動的に満廷されるのである。しかしながら,不確実性のある非完 備毒場講造モデルにおいては,将来の各イベントにおける駿益を,現喪懸魑として統一的な指標に 集計することができないという問題範直面し,事後的な橡麺と事鋳的な企業の決定との震係があい まいになって,「株懸最大化」なる曇的闘数を瞬示するには露難がともなう。さらに,縁とんどの生
2〉Aτr{}w一至)e媛綴礫モデノレの前鍵,rすべての露・サービスについてその取雛毒場が存在するゴの纏念が「完備 性」である.M礎盤a麟S蓋雄er(癬鍵)は,r葬完簿性1綴獄cg獄韓et礫ess)jという罵語1よ,広義にはr甫 場の欠落」を含んでこの羨饗解読宣しないすべての状濁を還すが,整義にはr取蟹再麗な護券・像険の数が 申分でない」懸濁を毒すものとして警邏している。一一般ぎこ,我々が「完備審場講造」「葬完備帯場権造」と言 うときは,証券毒場等の不勝紅よって「条件付財悔将来魏」の謙霞が購造上製約されているかどうかを開題 にしているのである。
3)厳歳暮灘a雛S襲雄e薮茎§鍵)によれほ,すべての経済主体の翠羅実性に駕する確率割当も等しいという衰a戯er
的均衡機念の特写彗な場合を「合垂垂毒磐藁弩待均衡ぐ嚢a縫。簸a}鷺x診ecta雛。籔薮1璽葺嚢嚢)纏鞭驚)」という。 しフ聾しなカ;ら,
本縫iでは,蕎単秘のため,Gぎoss鵬&賛(欝7?)箏に健って,艮aδ鍛eぎ的均幾をもって「含選霞幾彗待均憂」とす る駐
3
藏 学 論 集 第鏡巻第3琴
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図至
産淡定について株主が一一致した意見を持たないという開題にも整建をつけなければならない些}。
A登ow{〉ε短e賃型一般均衡運譲が基本的な体裁を整えた欝欝年代以降婚簿年代前帯憲でに進 められた,r非完備帯場溝進運講」の諸醗究をこの分賢の先駆的・古典的欝究と位置づけると,この 蒔難は,その後の醗究の基礎となる問題提起の時代であった。ここで,それを整遅しておこう1め 均衡の喜産の縫題,2)均衡の勤率性の問題,3)企業行動のモデル化の蕩題。2籔において,基本的 な盆34魏r釣合遷的簸待均衡モデルを設定する。その上で,これらの1無題についてのその後の醗究成 果,さらに新たに生じた問題点とそれを巡る諸議講を統一的に.擬観していくこととする。
2.葬完備帯場構造の基本モデル
2.i基本的枠緩みとr資産構造」概念
現在,樗来の2靉靆.G財(g=i,_,O/の状態モデルを考える。現在を馨難,将来を玉簸とし,
i簸にはS違警の状態が趣こううるとする(図ま参照)。すなわち,昏難をイベント頓としてS+i薩 のイベントがあ吟,狂意のイベントを3で代表することにする(s憩,i,_,S)。以上よ拳,r条件付 財盛は,L#G(S÷碁種類存在することとなる。
イベント§においてG財のスポット総揚と証券毒場,i難の各イベントではG難のスポット毒 場が存在しているような,rスポット毒場&証券斎場」モデルを考えていく。すなわち,各消費老は,
異時点間辮得移転手段としての証券毒場を瀦矯して各イベントに必要な勝得を割む当て,その湧得 のもと,スポット鳶場で財を購入し消費する。各イベントεのスポット懸格をがε庭R乳で示し,♪
‡(声(§),...,か(S跨とおく臼
取引可能な謹券の数をF(ノ皿i,_,F)とする。証券〆のイベントεにおける総湿当額を貨警単位
(U登量ts o{Acco雛重)で,β∫(ε/∈Rと表す。また,イベント§における証券懸格ベクトルをザ(畿,
嚇 この企業の諺的麗数の鷺題は,嚢a趣er種g72)やε藪erRa超Wlls鰭(鈴舞1垂こよって捲篠されている串ま た,ファイナンスの観点からは,雛ro碗α§7§〉がある。翫e臓盆磁W恥0貴(墨§7御で季ま,r経済全体とし て,麺券駿益の多様娃が変化しない」という 鎗a簸無ぎの条轟を溝たす生産計齢こ陰るとすると,すべての 株董が㎜一致した意塁を持つことが蓋明されている。
嘆
睡部:葬完勝議場建論の展騰
.,砂/で示す。これは,イベン卦§に,おける醍当が支払われていない段繕での癒捲とする。証券は,
その麓当が「貨幣」でなされるか,「実物羅」でなされるか,憲た,その薩方かで,それぞれ「貨整 資産(鐸。灘麺雄Assets擁,「実物資産(衰e撮Assets)」,ゼ混合配当資産(MlxeδD墨v16ε擁Ass鍍s〉」
に区」舞される。
まず,一般的形態である混合醗当資産の購造を定式銘しておく。任意の混合醗当資産∫のイベン トεにおける1葵勃畿当をα∫(ε)m(厩(ε/,_,磁(ε簸吐露 ,貨鶴鐙当を遼∫(ε総1〜とおく。すべての イベントにわたる実物醗当ベクトルは4ノ=繍騎射,_,〆(ε/麺1著,貨幣湿当ベクトルは,、4∫#
(擁喉勧,_,。4∫(S酵∈RS彗となる。従って,混合霞当資産∫は{〆,雌∫}εκ五XR∫貿で特鍛づけら れる。ところで,貨繋単磁の総醗当ベクトル法,β∫(5い鈴)・〆(ε暮潔(slとして,β∫言β∫㈲,
.,オ)ノ(S)薙ノ〜脇となる。β〈ε痔(オア(s),...,1)賀誹陛ノ〜Fとおく。経済全体のダ縫の証券に間す
る醗当行魏((S+碁×発行轟/は,
β二
∫)至(ω・一β芦鎗/
が(S/一ぜ)罫(s)
望)㍉ 慧ア
β㈱
酬S/
(i)
と書捗る(バま転蟹を示す)。また,議論の窮鰹化のため,暇益行列∫漏を
β費一
が(ω一醒一ρF紛/一砂 〃(il β酋(i)
∫ア〔S/一・∠)F(Sl
翌)㊥一4
オ)/il
β(S/
P㈲一盛
P躍
(2)
と定義しておく.至難の醍嘉額のみを表示する行舞え)灘は,S×F一行列である。
特定の証券∫は,韓∫,擁∫}ξ甜×露5纏で特鑞づけられた。1{〆,ノ1ノレ1∈踏王+∫〒びをこの経済の r資産構造」と曄ぶ。特に,すべての証券が実物資産である場合の資産講造は五×P煮列,㍑純{〆舅
∈1〜び,そしてすべての証券が貨幣資産の場合は(S+碁×甚鴛列,擁皿1縫∫}∫1∈1〜難解で示され
る。
配当行列1)が与えられたとぎ,経済均衡においては,証券緬賂ベクトル穿は次の無裁建条件を満 たさなければならない(Var童餓(欝欝)参照)。
定義双無裁定条件i〉二証券簸椿ベクトルが4である叡益行列撮に麗して,β詔≧暮∈ノ〜5+ (少な くともあるイベγトに関しては不等号>)となるような資産選択ベクトルθ∈RFが存在しないなら ば,4を無裁定証券癒格ベクトルと辱ぶ。
慈 学 論 集 第62巻第3号 どこのイベントでも負の叡益を負担することなく,藍の駿益をあげるということはでぎないという ことである。鱗茎櫨εws娠一Fark3s玉e搬搬a〔Ma薯鑑&磁S盤a艶r(欝9i)参照)よ参,次の定義を得
る。
無裁定条樽2:証券懸搭ベクトルが4である駿益行列Z㌔に関して,β醜m§となるような,状態懸 路(State Pr孟ce)ベクトルβ業(β(勧,_,β(S/海1獣 が存在するならば,4を無裁定証券懸馨ベク
卦ルと陳ぶ。
一般に,β緯)皿iとおいてよい。従って,条件β∫鰻二癖は,
/βω,_,β(Sl/か灘二4一β鋤 (3/
と書ぎ換えられる。ra櫨1)灘#Sならば,瞬与の{鰻に薄して(戯i),_,β(S/)は…意的({∫擁鍛e)
に淡まるが,r3慮β灘<Sならば確定した値にはならず,無数に.存在することになる。しかしなが ら,β(のは,「イベントεの貨幣額をイベント馨で評癒するためのウェイト」,すなわち,「イベント sの圭醗の麗在緬値と解綬される。
具体的なモデルを設定する離に,帯場が麟約されている様を蓑現し,効率性に緊する議論,すな わち,パレート支湿機念の鰐象領域やr社会計画音盤の計麟蒋能叢域に纏わる議論の鍵となるr毒 場購造」なる機念を定義しておく。
2.2 r欝場構造」概念σ)一般牝
諸醗究では,完備な条件付財露場の存在が溺約されている状態を表愛するために,r毒場購造
(凝a慮et St灘。綴re)」(G&玉e(ig82))や,r達成再籠純取引聖駕(S照ce o{A惹獄量ss鰻ε慧et Tra羅ε)」
(Wemeぎ(ig85)),「毒易化空間(M鍵盤ete6S照ce〉」(D樋鋲di§88)),ド勝得移転空聞(S曲sβ&ce o{臨co灘e T澱盤蕊er)」(簸嬉濃麗6S姦雄eぎ(欝鍵))等の観念を定義している.しかしながら,そ れらは各蘇究のモデルに依存してお参,その綴互聞達は弱確ではない。以下では,この点に窪意し つつ,よ今一毅的な「驚場講造」なる機念を改めて建議する。
各イベントにおいて,姦在している「毒場」を瀦現して,淡費譜面の対象とでぎる条件轡財の空 騰を「そのイベントに,おける市場購造」と呼ぶことにする。すなわち,葬そのイベントにおける蕗得・
予算の麟約がないとしたとき,計薩可能な綾取群を示す条件餐難空鷲」である。イベントsにおけ る薦場構造をZ(酵と示すことにする。本稿は2蠣闘の「スポット市場&証券露場」モデルで議論を 進めるが,毒場構造の綴念がよ参購確になるように,まず,経済蛙会が灘2のイベントのr木鼠璽ve鑑 丁紀e〉で表現される3難モデルで,G瓢2(条件付財の数が8)の場合で考えてみよう。
工.各イベントにおいて,スポット市場(懸馨ベクトル夕露{β(3〉},/とそのイベント以降のすべて の条件付鬚の取引露場が存在する時(Co麹t塗禦擁Go磁s醗a噛ets):
β論,めをイベントεにおける,イベントゴの舞9の纏絡とする.蘇s,めは,財ベントε
6
騨部:非完簿毒場理.論の獲開
Oo Oi 02
03
穰2
に難gをi単位醗嘉する」という実物資産のイベン←sにおける懸格と解験することもできる5李。
β(ε,s〆痔{♪g(3,ε■)1ぎ∈忍2とおく.また,癒格システムとしてPエ(β,{録8,8擁ε,ε・1とおく。各 イベントにおいて計画雇能な条韓付財宝闘,r露場購造」は,癒椿システムPに依存するかたちで以 下のように定義される。
zp(斜隠{〜鴬(渚締1,_,〜(3))∈1〜撃{β縛,瞬墾,{〜(墨,ダ)}舞s.t.
か(韓・〜(馨)+Σ3=ψ緯,ノ〉・名簿,ノ海若,
〆i)惚(i/+Σ3冨2β(i,∫トz(董,の二〆董/惚(蓼,碁,
か続)・z(為髭〆齢・{〜総,麟÷惑i,麟麺r爵二2,3./
ニ(だ(漁〉,_,z(3)〉∈1〜8}
zp(i/二(溶#(轟/,...,客(3)薙副漁)勇,a登ポ{z(i,講一2s.t.
〆i/壌(i)+Σ葦=2採i,∫/惚(i,∫獲忍,
灘ト漁)り㈲・〜(i,齢for海二2,3./
一{肝(漁〉,_,君(3〉〉∈1〜彗1漁〉皿暮}
zp㈲二{肝(ζ(彰,..、,〜酬e酬瞬)鴬蟹蟹戸爵}韓工2,3/
このように,『すべての条件付財鳶場があれば,Z畷のm1薯(このケースでは乙#8)である。この ようなとぎ,斎場購造は完備であるという。薦場講造が完薦となるのは条件付財薦場の場合だけで はない。つぎの弼で考えよう。
2、各イベントごとのスポット薦場(簸格ベクトルか二捗(5)/s6R門に簾え,イベント§におい てrイベントiにi円」を醍当する証券の露場(証券癒賂の,イベント賛こおいては,rイベント 2にi霧」を醗当するもの(証券癒格拶、)と,rイベント3に里門」を霞嘉するもの(証券癒絡彦、)
の,2つの証券の取引毒場がある場合(Arrow}sSec顧麗s):
「露場権造」は,懸格システムP慧ゆ,4玉,磁,曙3/に歓喜して以下のように定義される。
Z戸籍)皿{9瓢(2(斜,_,惑3〉/∈1〜臼替{6へ,θ2,θ3}s、t.
か(暮/・憲ω÷穿ジ戯∈…R,
♪(i/・z(i)十4ゴθ2十4ゴθ3=農,
罐〉・渚㈲尋たfo爵m2.3./
幕(〜コ(落(倉),_,z(31/∈刃8}
§) ただし,空売参ぐS難破t S滋e)に震する仮定の調整が必要である。
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商 学 講 集
zp(碁!(之=(〜韓)、.、.,憲3)/∈RS躊(掛=毒.≡{θ2,θ3/s.t.
〆碁・惑b十をガθ2十¢ゴθ3旺R,
採麟・〜韓〉工銭沁r海#2,3、}
!{〜一(ど(射/,_,〜(3/1∈ノ〜暮1〜緯/ニ§/
zp㈲皿{㌍〔漁〉,_,〜(3〉蕪…酬〜(∫)罐for∫≠雌饒二2,3/
従って,Z賀燐篇R8であむ,完備毒場矯造の一綴である。
第62巻第3腎
以下に.義々のrスポット継場&護券毒場」の2覇状態モデルについての野薄場構造」覆念を定 式化する。
定義21資産構造1{〆,、4彗∫1と,癒格システムP皿(か={採31}、,のの醗列,{{4∫,擁∫レ,P}を溝 場システムと呼ぶ。
定義31毒場システムが/{〆,f4ノ}∫,P}と与えられたとき(資産構造に鰐慰する嚢当行列は∫}で ある),各イベントSにおける言樋可能な純取引の条件付財空調,懸場構造然窃は,癒賂シス テムPに依存した形で以下のように定義されるl
zp(§}一{石(漁),_,以8〉/∈麟碧∈ヨ〜ドs.t、
双倉/・試轡+毎一β韓1トθ∈…κ,麗d 〆5野〜(s/コ∫〉(s/・θ∫Gぎ3コi,_,s.}
判ζ4ζ鰯,_,駅S/蕪辞瞬僻∈漸鐙6三1θ∈だs.t.
歩(s}・憲s)二∠廊}曽f鍵3皿1,_,S,1, (尋)
zp(ε髭麺#(之(§/,_,惑S}/∈甜1〜(∫)#§,沁rノ‡海}(3二i,_,S). (5/
各消費老は,各イベントにおいて,予算と市場購造に鰯約されているといえる。
定義重イベン縛にお渡る講場構造について,ZP(紛!籍である鋳,その毒場権造は,完備(CO跡 継ete)であるという。
さて,定義3のZ戸(欝における至難の純取引,(〜(葺,_,以S)/∈炉εについての条件は,つぎの ように表現できる;あるθ∈i費Fが存在して,
β(i/ z(墨)
〆S/ 4S/
β里(i)一・五ド(i)
すなわち,(敏慧,_,壌S})∈1ぞ邸は,オ(β(碁
1ア(s》・
〜(i/,、.
管
皿1〉罠〆θ.
の督Sl
、,β(S/・惑S//∈鋤a葺f㌔翌を満たすものに
隣蕊:非完饒毒場理論の展聡
限られている、(s雛鍛∠輪産櫨,行列∠)烈の列べクトル,すなわち各証券の科得ベクトルの線形結合 の集合を表わす。証券毒場を整って影戯羅籠なi難への癬得移転ベクトルの集合である。) もし,
ra熱β溜、#S,従ってs§麗!)舜、#炉なら,イベン隙に裁・て,躍のどのイベントにも触な 解得移転が霞難蚕可能となる。従って,Z賀ω#κ正が成立し,完備毒場購造となる。鍵って,我々の
モデルにおいては,葬資産構造の完備牲」なる凝念を定義しておくことが優舞である。
定義翫i難醍当行列∫鰻、(S×F一得列)のランクが3,すなわち,s緯飛島汗ノ語であるとぎ,そ の資産構造は完備であるという。i窮の麓蚤に絶して,独立な資産がS綴喜産している場合である。
i節で遠べた,毒場構造が完備となるド+分な証券露場」とは,その麟褝位の鐙当ベクトルにつ いて,聾立な談券数がSに等しい場合なのである。従って,貨鵜資産であれば,そのi類霧当ベク
トルについて独立なS纒グ)証券が存在する場合に鰐癒する。…方,実物資産の場合はランクが懸路 に敏存するが,携えぱ8懸の証券潜存在してそれが憂購条件(裟e鍵盤轍¥C{滋磁重婚簸l i難のS魑 のイベントそれぞれについて,(}×汐行菊麟辞鴬[傭i(麟, _,協賛s/lから適当な行ベクトルを1つ 接ぎ鐙し,合計S燧のこれらのベクトルが独立であるようにできる)を満たすものとすれば完備 糞腸構造経済とみなせることが知られている(継3蓼懲3蕪S妻譲er(欝§董)参照)。奮た,先の無裁 定条件よ参,状態癒格ベクトル(β(碁,_,β(3/1が一一一意的に淡まる場合に韓癒している。
以上のような条件が講足されて市場縫造が完備であれば,伝統的なArrow{〉e魏e慧モデルでの諸 結集が適霧できることになる。しかしながら,蹄で遠べたように,これらの叡感象非現実的である。
健って,資産構造が非完繕であるような経済の分析が必要となったのである。
ここで,義々の定義したr露場購造」なる観念と,飽醗究の類鯵機念との関係を整理する。まず,
G盆e(欝82)や良e雛1沁(欝88)の実働資産経済モデルに,おける「毒場講遊興よ我々の定義3と異 なって懸路システムに俵存しない機念である;定義6における{敷s慮を絡3董e型斎場購造」と睡
ぶこ二とにする。
定義翫実物資産経済のrGa豊e肇竃場構造」とは,以下を満たす{須ε現である;
z㈲一{肝(漁/,_,〜(Sl蕪…麟漁紅潮麟≡1獲だs.t.
豚(ε)工麟ε留沁r3二i,_,s.},
z(sl!{肝(z鰯,_,〜(s))∈酬廊1〉嘩f蟹s1≠s}f畿Fi,_,$
ただし,麟酵=薮玉(誹,.、., 〆(s/蘇(?×F一行擁)である。葬G雄ε壁毒場轟造」は,実物資産経済で
のみ適驚可籠な観念であることに注意しなければならない。瑛継費のイベソ縛における計画に ついては,証券の実勃鐙当で計露再籠なもののみを灯象とした定義であむ,我々のr証券の湊得移 転機籠」に基づいた定義とは異なって,i窮のスポヅト毒場での再取引を考慮していない。豪た,
ZP韓)藁Z韓/ロであ今,たとえば溝場購造が完講,すなわちZP僑/皿R五であっても,必ずむもZ(欝
#R正とならない。(然曇/二1暑となるためには,少なくとも,至難実働翫当ベクトルについて独立な G×S魑の証券が必要である。)しかし,懸狢に敏存しない鞍念だけに,効率嫉概念と絡めて難いる
警
姦 学 講 集 第62巻第3号 場合,醗分レベルで議講が羅氈という稗点もある。
次に,We騰α(欝85)のr達成可能純取引空聞」は,我々の定義3と同様の考え方によ参定義さ れているが,1類の各イベン卦における市場購造については,そのイベント以堺のイベントについて の舞露が,予算麟約式を轟たす鰻ウにおいて許されている機念である。至地銀e(欝88)の鍔毒場化空 聡」は,碁手のモデノレの違いがあるものの,定義3における財ベント麟の霧場構造Z戸鱗葬こ鰐応 ずる。醗ag選膿δS絵{er(圭§鱗)のr勝得移転空聞」は,定義3のZP(嚇における,i鞘への勝得 移転ベクトル(採麟・嵐雛,_,採S〉・叙S〉1に注§した機念である。
2.3 交換経済の基本モデルと舎珪的難待均衡
消費者数を1とする。溝費者癖#1,、、、,1/の,各イベントにわたる溝費羅切簸保商量を8磁
(εぎ(韓,_,εゴ(3)海RL,各イベン←にわたる消費量をκ』(煮繕,_,κゴ(S}〉∈羅,蒔点馨の証券 購入後の保有離合をθ柾(鎌,_,轟頁鍔∈盈)で示す(証券の初類保有はないものとする)。ε皿韓族,
κ=(ノ)f,θ=/θ膨とおく。各溝費者震ま.i難に起こ善うる各状態sについての主観的確率(森)、
を持ちながら溝費量に興する麟灘縫数を持っているとし,
ぴ(κゴド富(κ鷺酵+〆Σぎ一!π詠ゴ(ノ(sll (6)
と誌く。闘数び聾ま,効霧関数として標準的な仮定を満たすものとする。各イベントでの予算麟約式 は次式で与えられる。
〆湧べん題)一εゴゆ/二/∂㈲一の・び, (7/
かくs/・(烈ε/一ε亘(sl/霊P(s)・θゴ/sm玉,_,S/. (緯
各式の左辺は各イベントの純購入額を示しておウ,これらは証券の取引を通じて渓まった勝得移転 額蓼こ譲約されているe貨瞥資産が存在しているなら,最終的な保有貨幣量が碗こなるように財の売 買が行われる。各消費者1は,これらの予算舗約のもとで効罵翼数ぴ(κうを最大にするような溝餐 計懸{ノ,61弓をとると仮定される。
以上のモデルの均衡は,湿朔{κ,θ,か,な;1{8∫,.4∫}バ,ε}によって示され,交換経済の合遅醜類 待均衡と呼ばれるものである。均衡条件を整遇すると,
(a) {κゴ,夕}は,毒場システム{{4ノ,、4∫レ,か,燐を勝与として,予算麟約(の,(8)のもとで 各溝費老ノの鶴懸麗数ぴ(κうを最大にするような溝費暴露である。
(乏)) 各毒場で需要と供給が一致している。すなオつち,
Σ,κ』呂♂, (鱗 Σβ}繭 (∫mi,_,F/. (茎獅 消費者ゴの,証券取引に関する妙驚最大化の必要条件は,イベント§の翫得とイベン卦εの所得 に関する羅界代替率を〆(誹として,
(が(il,_,〆(Sl)z〉舜汗曙一1)韓/ (董i)
となる。(3)式から,ダm(〆(葺,_,〆(S//は,溝費考ゴの考える状態癒賂ベクトルであると言え
一驚一
欝蕊:非完備露場理論の展開
る。しかしながら,で&雌{D鐙望<Sならば,すな寒つち非完備事場構1造ならば,(3)式の(β琶〉,_,
疎S)/が一意的に渓叢らない問題と同様に,一般に,グは,均籍においてすべての消費者の闘で等 しくならないのである。これこそが,均衡の非効率盤や株主の非一致性の糧纏となる,非完備斎場 均籍の特籔的性質である.一方,完薦露場購造の場合,ただ一つの状態鱗格べ外ルβ判β繊…,
β(S//が存在し,S+i本の予算灘約式(7),(8)は,i本の麟約式;
Σsβ(s矯(s)・(ガ(ε/一が(s)lm巷 (轡
に矯養されることが容易に確かめられる(ただし,β(暮排i)。もちろん,すべてのゴで,β二α∫であ る。このとぎの均衡魏分は,特にワルラス鶴分と辱ばれるものとなる。
以上が基本そデルである。モデルにおけるパラメーターは,/{〆,、4∫}ノ,ε}εRぴ×驚S磁F×R貧 であることに漉意する。特定の{{4∫,パ∫}∫,ε}によって「経済」が特定鋤されるという意殊で,「経 済{{〆,擁∫}∫,瞬」という表現を絹いる。従って,証券として実物資産のみを考える場合は経済歓 2}∈…ノ〜び×費鷺,貨幣資産のみの場合は経済{直,ε}(≡R{S刊照×刃蓑ということになる。
2.違 均衡の存在,非決定牲(頚盛磁鍵懸盤εy)をめぐる醗究とその致策論的意義
Arrow−Dε魏e蓑型の完備毒場権造経済については,均衡の姦盗と Ge配r至。}な結果としての局翫 的な一意姓(LGC&難U虚飾eHess)が瞬らかにされている(Deもre雛(婚5§),De疑e騒(欝鴨)参黙)。
ここでは,葬完備幕湯変換経済の均衡の存在とその次元に臠する諸結果を紹介する。
工節で述べたように,至)ね雛倉船(欝§7〉の巨財経済」や,段誕総r(鐙鴛)のr証券取引規穫の 有陵性」の葱提を設けない場合,実物資産経済では,命題「すべてのモデルのパラメーター1駄ε1 に.ついて均衡が存在する。」は成立しないことが,簸a嚢(欝75)の反綴により窮かに,された。この茂 傍の構造は,次の勘である;懸格ベクトノレをある織磁づけると,実物資産構造におけるいくつ かの証券の淫楽ベクトルが極譲では一一致してし蛮うような場合,i)近づけていく過程で,証券取引 規漢が無綴に発散し,また,2)その懸格の点で,需要騨数が不連続となる。すなわち,このような
/醗各ベクトルは,均衡にな解辱ないのである。
欝欝年代の半ばにな吟,均籍の存窪について一定の解淡が与えられた。実物資産経済では,懸格 変化に薄慈して醒当行擁の張る空聞や次元が変化するが,貨警資産経済では,これらは変化しない。
従って,実物資産経済下の均衡の存在の問題と貨瞥資産下醐題ま,騨のテーマとして醗究が進 められたのである。まず,貨整資産経済の均衡の存在が,We撚er(婚85),D毬銀e(鯵8肴らによっ て,標準的な設定のもとで証覇された。ただし,後に述べるように,r非淡定性」の隠題,すなわち 均衡が無数に存在してしまうという開題も捲摘されることとなる。次に,実物資産経済の均衡の存 在であるが,モデルのパラメーターの集合露#{騒,召聾のある F醗凝eas雛ざ闘集合について成立 するという意殊で, Ge総r量ごな結集として達成された(D鹸}e徳6S紘琵r(鐙85,欝86醇参照〉。こ の場合では,馬瀬一意牲が得られている。また,配当に関して一般的な混合醒当経済の均衡の存蓬 についても,D雛銀£a葺δS薮a艶ぎ(欝8§a)きこよって, Ge簸e雛ごな結果として達成されている。
さて,貨整資産経済,髭舗藷資毅購の均衡の広が参,すなわち非決定幽次灘こついての醸 究も盛んに進められ,その重要な結果が,欝鱒年前後に輯次いで発表された。Ge議欲。緯総 a農6
一工i一
蔭 学 論 集 第62巻第3琴
}》簸餅C縫e簸(欝8§)は摩を内生変数として取擾い,御難保有εに.ついての℃e簸e雛ごな結果として,
均衡実勃醗分が無数に存産してその次元がS−iであることを示した。疑様の結果ボ灘証鱗で We搬er(鯵韓)によっても与えられている。鍵って,均衡の広がウが,独立証券数に絃存しないこ
とになる。一方,8a董&甑。鍛δC3ss(欝8§)ξま,4を外生的に与えたモデルの均衡実物緩分の次禿 は,F−iだけ藏少して,S一ρであることを導いている。これも鰐難1課有eについての Ge配員ご な結果である。さらにPle嘗3(欝§2)は混合蓉駐当資産の場合を取参上げて,{魏∫,パノ}∫,ε無こつい ての℃繊er紀な結集として均籍実効醍分がS次元の広が善を持つことを示している。
以上の「均衡の非決定牲」については,予算麟約式(7),(8)そして均衡条件式(9),ほ勧から 大まかな議論が可能である。ん十F本の均後1条件式に薄してS十1本1のワルラス法難式(覆等式)が あ参,独立な均憂条件式縁(乙+酋)一(S+i/峯であることが予想される。これに縫い,以ドのよう に整蓬でぎる。
玲 実物資産経済の場合1猛+ダ)縫の簸絡からなる懸緒システムρ={(摂酵}、,癖をみると,各 イベントごとの機準化が可麓であるから縫えば窮(辞=ie麟とおける。従って,綿生変数の 数は猛+麟…(S+bである。従って,均衡の広が鱗こついて次元むであると考えられる。
2) 完備貨鶴資産経済(撒紘ρ灘=S,独立均衡条鉾式はL−i本)の場合:まず,{β(ε/}妻、奪の λ倍なる標準化が薄能であむ,館(春lziとおける。さらに,任意のぐ旺κタに癒してβ∈躍、
が一意的に存在し,βP灘#¢となる。その結果,消費者にとっての予算舗約式は,舗約が弱 豪ってあたかも(i2)式のようにユ本となる。これはどんな嬢∈Rヂについても成立し,鐙の変 化は,βと(建〉式串の{採ε/},の変化に騒駿させることができる。従って,内生変数は乙一i 耀となウ,均嚢の次元億馨と考えられる。
3) 非完鶴貨幣資産経済(、4∫(麟一蟹ヲ/で,資産癬賂が内生変数)の場合;2つの籐準化のみが燦 籠である。β韓/,穿をそれぞれλ傷する場合,鯵(ε/矯、茎をλ磨,穿を(翻λ/倍する場合であ る。舞えぱ死(紛#i,鉱(欝#iとおける。従って,内生変数が猛÷F)一2魑とな与,均衡 癒格の広が疹は{(L+ρ)一2}一{(L÷欝一(S垂瞬#S−iとなる。これが実物湿分の広が疹 に反駿されると考えられる。
◎ 非完鶴貨酪資産経済(資産懸格が外生変数)の場合1標準化として{β(麟鷺.むのλ倍のみが可 籠である。舞えば鉱総髭iとおける。従って内生変数は(L一基纒とな吟,均衡晒絡の広が りは(乙一i/一{猛+F)一(S+玉1}コS−Fとなる。これが実物醍分の広がウに反駿されると 考えられる。
轟) 葬完勝混合資産経済(ただし,.4∫(紛=醸ヲllの場合;標準{ヒは採紛,窪のλ焙のみが可能 であ参,縫えば恥(lll皿iとおける。従って魏生変数隷(乙+F−11燧であ参,均憂簸絡の次元 は{五+F一蕪一{猛÷F/一(ε+il}#Sとなる。これが実物魏分の次元に反駿されると考え られる。
ここで,以上の醗究の意義を整遷しておきたい。均衡の存廃についての欝究の重要魏は絹かであ る。均衡の非渓定性の問題の経済学的意義を,どのように蓬解すべきであろうか。先に遠べたよう
一i2一
梅額二非室備畜場運論の展開
に,完備露場構造では,初雛銀有についての℃磁er量ごな結栗とはいえ均衡の局斯一一意性が承されて いる。まず,姥鮫上の糞殊としての意義があげられるだろう。すなわち,非完備毒場のモデルを完 備旗揚の場合の考え方から癒めて自然に設定したにもかかわらず,全く異なった結果になってしま うという事実である。次に,均衡の非渓定性は,そデルの妥当性に関して疑問を投げかけるもので あることが運解でぎる。我々の採譜している均衡機念はr舎運的簸待均衡」であり,すべての経済 主体が講じ均衡懸諮を予想しなければならない。均籍の非決定性淋生じるモデルにおいて掠,この 仮定は極めてきついものとなる.しかしながら,この開題は,均嚢の非効率性とあわせて,政策論 的議論への発展の重要な薦石となるのである。政策的な要素を孫株していくことによってモデルが
「決定的」になり,かつ,効率性が改善されていくのであれば,癒々の斎場が競争的でも鶴率性の点 から激騰の介入が要請される可能性ぷ示唆されたことになる。このような議論に発展させるために は,政策変数導入前の均衡の次元を瞬らかにする必要があるのである。このような立場からの醗究 としては,擁ag灘盆蟹墨Q藤㌶纏縫g92),睡蕊(ig§2)がある。M聴講&鍵Q樋簸z藪(ig§2)は,中 央政府の貨幣供給量離π(離(紛,_,擬(S))を外生変数として導入してS十i本の新たな均衡条件 式を能え,その結集均衡の次元が馨であるようなモデルを設定した.さらに,露場構造が非完勝の 場合には擁の変化が実物醗分に影響を与えることがでぎる一方で,完舗斎場購造の場合は,このよ うな政策は実効函分に業}し中立的であることが示されている。瞬認(欝92〉においては,一部の懸 格を磐生変数(政策変数)と考えることによ今,貨幣資産経済においてワルラス灘分が均衡の茎つ
として達成される条件から,ワノレラス醜分を達成する徳賂政策について講じられている。以上のよ うな政策論に聾しては,とくに,従来A賞GW−De魏鎌モデルにおいて「貨幣」の役害彗は極めて醸ら れたものであったことから,貨幣資産を導入したモデルの熟考によって従来のマクP経済学鶴議論 の再解親や新しい方陶への発展が鯵待されている。
窪.交換経済におけるr効率性」をめぐる議論と諸砺究の穏互関連について
非完篠毒場講造の「先駆的」醗究は,実物資産経済そデルの醗究が中心だったため,「効率性」を めぐる諸議論も,実物資産経済綾,ε}の場合で展開されている。実物資産経済翼有の定義も多いが,
貨幣資産経済に慈灘■酵能なものもあり,今後の砺究のテーマとしたい。ここでは,非完鱗実働資産 甫場交換経済均衡の葬効率牲」を巡る諸議論を,諸藩究闘の縫係を瞬らかにしながら新しい解毅の
もとに整理する。
窪.i 毒彗約ノ《レート最適垂葉 (C懸盤§毛r3重簸{}護鐙3reも奪0墾毛茎瓢3雑毛y;】勝星撰搬G簸礎(茎§§7)) 尊こ基づく
D捻搬。麟の議論と縫厳重ほ§75)の反携の再解萩
非完鶴竃場経済均衡の効率性に臠する最粥の醗究は,2難i財経済モデルに関するD絵雛。擁
(鰺67)であった。王難経済の場合,巷難においては難と誰券の交換旗揚ボ存産するが,証券の実物 醗当が醗られたi薦においては財の取引隷なく,スポット財懸格も存在しない。イベント§におけ る旗揚構造嫁,癒椿に敏存することなく,
一i3一
蕎 学 論 集 第銘巻第3号
z(ω二{斜(漁〉,、、.,〜(S/〉∈酬講薙/〜%登δ碧∈甜s.t.
ま2/ε/#認(s/オθξoぎa縫ε皿1,_,S.} (麟
と建義でぎる。Ga童e型の定義と我々の定義が一致する場合なのである。このZ(勧は,各消費者に とってのヂ計露可籠空聞」というべぎものであった。勝a磁。蕪の舞約バレー卦最適性は,我々の枠 緩みにおいて以下のように表現される。
定義7(講約パレ一一ト最適牲(茎財ケース);董}捻澱倉蕪(欝創))
醗分κコ(ず,_,ず)∈刀工ノが麟約パレート最適であるとは,
i) Σズガπ且♂を満たし,
2) 次を満たすβm(〜i,_,〜∫〉∈iR五1が存;窪三しないことである1 2−i)ず∈Z韓l/擁la磁Σ、〜ゴ誰,
2−2) ぴ(ガ+ぎ〉〉びご(ガ) 鉛ra夏董f.
この機念については,次の2つの解報が可能である1
葺 条件乞2)の中の〆+♂をもって「存産している毒場を麟零して達成できる鋸分」とし,こ れに陰った、とでのパレート最適性である;
2) ず∈Z(湧よ鯵,「薦場購造Z(緋」に擬約されたパレート最適性である。
以下では,この2つの解験がその後の劾率性を巡る2つの方向性と大きく襲達していることを論じ
ていく。
亙〉濃艶。総(欝§7)海身の解萩は,鈴であった。後は,i財経済とはいえ,非完饒市場均衡醍分が 麟約バレー卦最適盤を満たすことを示し,「毒場均衡は,存在している帯場を穂濡して達成できる蔑 分にパレート支醗されない」と主張したのである。ところが,Raδ盤eギ(欝72)によって2舞以上の 場合の均衡覆念が定まったあと,Ha費(欝7§)は,多数財モデルにおいて,多数均衡が存在して一 つの均憂醍分が飽の均徳醗分をパレートの意殊で支醒する纒を示した。これは,薪存窪している撫場 を瀦駕して達成できる翫分」に,議場均箋が支醍されないという勝3餓。磁の主張に反し,勝3盤○離 の結果が多数財の一般的な場合に拡張でぎないと認識されるに至った。これに鐸い,耳糞場を瀦覆し て達成可能な醗分」なる緩念を離れて,r毒場均衡がどのような性質を持つか」という「性格付け
(C魏簾acterlzatlo資)」の議講へ移行したのである。耀えぱGross搬翻(ig77),G雄ε(ig82),Re脚1沁
(欝88藩こ代表される。これらの欝究は,Dね獄。継妻の碍究と方自性を異にするものとして進められて いたG
しかしな越ら,9蟹tの結果が,D拾無。簸δの結果の解毅2)に薦わる問題,すなわち,それぞれの 均衡魏分が,我々の,あるいはG譲e難定義によるr志場構造]に麟約された幾分にバレー卦の意鎌 で支醒されるかどうか,という開題とは次発の異なるものであることに灌意すべぎである。この点 に注欝すると,D13鐙。撮の藩究結果は,一方で「性格脅け」醗究の基礎として位置づけることがで きるかもしれない。3.2簸においては,Gross盤鍛(欝77)とG撮ε(欝82)の醗究結果を紹介しつつ,
一髭一
醗謬1非完備露場蓬論ヂ)展騰
この点に言及する。
ところで,勝3穣。麟の誌果の解験i)と登鍵tの反鰹を受けて,紅議場を穂離して達成可能な醗分」
なる機念をよ参一般化し,この意殊での均衡の非勧率牲に関する欝究も進められている。S童茎g翫z
(ig82),Ge麟盆囎IGS&綴PGlε搬鍵。擁紅玉s(i§86)に代表され,33籔において紹介する。
3.2均衡の性格{サけ(C紘鍛就er圭潴毛沁簸。£露盤e圭餓¢y oず嚢騨愚魏重職):歓会鈎ナッシュ最適牲 (S合¢泌翼3織G纏擁縦灘ぎ;G鐙総搬鍛(欝77))とV一効率牲(V−e撮ε量e灘y;G段艶(i§82))
の閣連について
パレート最適姓は, 一般に,仮想的桂会計莚彗者(簸。雛沁総Sod盆Pia難er)の厚生最大化による ものと,醸分癒互のバレー斜度醗凝念による解毅が可能である。以下に紹介する,実物資産経済を 講提とした2つの雛念はこれらを利駕して解毅されるものである。G譲e墾毒場構造機念{Z(3/}、を 利離するために完備牲の条韓と整合性がなくしZ(ω二1〆は,完薦性の一一つの十分条件である),効率 娃機念というよ鱗ま挙なるr性格付け」のための機念としてのみ位置づけるべきという箆解もある。
しかしながら,効率性機念が懸格システムに蟹姦しない影で表現でぎる瀦点があることは見逃せな
い。
定義8(社会的ナッシュ最適牲;(鍍Gss灘鍛(露質))
醗分κπ{ず,_,弐今∈κびが娃会的ナッシュ最適であるとは 碧 Σゴで皿Σゴゴを満たし
2) 8誰,_,Sについて,次を満たす〜二(ガ,_,ガ庭R痘が存窪しない;
2−i) 2〆∈三z(s)(》ゴ)a難6Σ}f若年コ(》,
2−2) ぴ(/÷ガ)>ぴ(κz/ fora蓑∫.
社会的ナッシュ最適性は次のように解叡される;各イベントεに歓会衰錘者が存産し,破はイベン ト3の毒場携造と需給条磐二を満た1した再醗分であれば自議な計露力碁可能である立場にいる。しかし ながら,後は,飽のイベントの鮭会計露考と互いに調整をすること溝馨難であ善,あたかもナッシュ ゲームのごとく行動しなければならない。このような軟泥で各詩嚢者がパレート最適性を追求した 状態である。
この綴念に基づき,次の定蓬が得られている。
Gぞoss搬鍛の」嘩生経済第玉定建:醍列(κ,θ,か,ザ4,の解合還納簸待毒場均衡ならば,配分κ は鮭会的ナッシュ最適である。
G鱒ss撫離の厚生経済第2定蓬:翫分κが社会的ナッシュ最適ならば,初顯保有の適当な再酸分 びのもと,適当な縛.か,のが存在して,醗列(x,θ,か,41露,4/を金運的懇待露場均衡とするこ
と越でぎる。
i5一一
商 学 論 集 第62巻第3馨 さて,i財経済の場合,i難においてはスポット毒場が存在しないため,r祇会暴露者」がイベン
ト§においてのみ喜喜することになる。従って,定義8は,定義7,すなわち○絵盗む綴のr麟約パ レート最適牲(i財ケース)」に帰養されることボ容易に確かめられる。このように,Gross皺皺の 欝究はある惹殊でD捻搬む蓑d(鷺釘)の流れを汲むものと位置づけることがでぎる。
定義§(V一効率姓;G雄ε(欝82))
蔑分κ#(ノ,_,κ∫)∈三盆鐸が, 財一効率雛掴γ皿雛葦=暮Z(ε擁であるとは
め Σ、ず=且ゼを満たし,
2) 次を満たす〆=(κ} ,_,/ 絶1響が存窪しないことである;
2畦) ガーκ笠u青螺むZ/ε/a磁Σゴ/蕊且♂,
2−2)ぴ(κザ)>ぴ(ガ) fo鞍掛、
卜妙率的な鑓分とは条件2護)を満たす醍分ず にrパレート支離」されない蔑分であ鯵,鮭会的 ナッシュ最適性とは異なって,パレート機念による醸分闘の支靉靆係によウ解毅薄能である。すな わち,飯想的縫会暴露者はi人ということである。
この機念に基づぎ,次の定蓬が得られている。
G擁εの厚生経済第i定1曝1醗列(鑑,θ,β,駅4,ε}ボ合鍵的鰯待毒場均衡ならば,湿分κはy一 勧率的(y皿uぎ鴫z(緯)である。
麟滋εの厚生経済第2定理:醗分蒐ぷy一効率的(駅皿纏.春Z(ε))ならば,適当な貨幣的移転ベク トルδ#(δ駕∈澄5手槻と適当な(θ,か,のが存産して,醗粥(κ.θ,β、4;4,(ε,δ)〉を金建的簸特 薦場均衡とすることがでぎる。
さて,i財経済の場合,{Z(の;s‡麟は意殊をもたない。徒って,ど二κ宣㌧かと定義すれば,卜 勅率性も醗a灘。撮の「講約パレート最適性(i財ケース)盛に帰着されることが容易に確かめられる。
Ga艶の醸究もある意華豪でP鍛鍛。蕪{重縫郷7)の流れを汲むものと{意置づけることができるのである。
それで隷,鮭会的ナッシュ最適性とy一葡率性との騰係については,どのように理解されているの だろうか。まず,次の命題が縫単に得られる。
命題茎:醗分κが影一効率的(y#奪冬春Z韓〉/ならば,κは祇会的ナッシュ最適である。
証霧:卜勤率的な翫分κが鮭会的ナッシュ最適ではないとする。すなわち,ある8において,撮∈
Z(辞(縮/,そしてΣゴ撮#曇なるζ書皿(孫/ゴ∈κ£1が存在して,びゴ(ガ+撮/>びf(ガX縮)となる。と ごろで,ず十廃業蒐窪∀舞とおくと,κず一ガ∬撮であむ,撮∈Z(s)から定義嚢の条件2)と矛盾する ことになる。従って,πは蕊会的ナッシュ最適である。
従って,暫一効率的な蟹分の集合は,縫会的ナッシュ最適醗分の集合に含まれることになる。
一i§一
隣部:非完備毒場運一論の展簾
それでは逆は賎立しないのだろうか。定義8と定義§とを比較する。定義8においては,醗分x二
(x駕と箆較する醗分を考えるとぎ,「すべての溝費嚢鐸こ聾して講じZ(麟」から廃を選んでいる。
(縫会計錘老がイベントごとに存雀することに鰐応ずる。)しかしながら,定義§においては,κ∫ 一ず が飛躍するZ(酵が,溝費者ゴによって異なることが許されている。すなわち,定義警の方がよむぎ つい条件であるといえる。このために命題iが得られるのであ触,命題iの逆が一般には成立しそ
うもないと見てとれるだろう。
ところがである。Gross搬a簸の厚生経済第2定翠とGaleの導生経済第i定連があると,「もし醗 分κが歓会的ナッシュ最適ならばそれは非完備毒場均衡として達成可能であ絵(G欝ss灘餓の第2 定建),従ってそれはト勧率性も満たす(Ga至eの第i定遅短ということになってし喪う。すなわ ち,命題iの逆も成立し,卜効率的な緩分の集合と鮭会的ナッシュ最適幾分の集合が一致してし童
う。
この問題に関連して,震e鐸茎lo(欝縮)は以下のよう壷こ遠べている;ry」効率的醗分の集合が社会 的ナヅシュ最適翫分の集合に含変れている(命題i)のであるから,Ga董eの第i定連は,Gr(}ss餓錨
の第i定蓬よ舅熟慮鐘であ疹,逆にG訣の第2定遷はGrGs灘鍛の定塾こ比べ弱い定蓬であ る.」しかしながら,G驚ss盤餓の第2定幾と命題iがあるかぎ今2つの集合が一致していると醤翻 せざるをえないのであるから,この霞e轡璽沁の見解のみでは不†分である。2つの醗究のモデルとの 仮定や証弱過程に立ち返って調べる必要がある。今後の課題としたい。
ところで,G盛eのト効率性に関する第2定理はr貨幣移転」なる機念を利駕するものであるが,
G鎗ss搬餓の第2定璽と命題iを騨羅して,次の命題2が得られることを確認しておく。
命題2二蕊分κがy」赫率的(y慧纏濡講ならば,赫難保有の適当な再蔑分ε のもと,適当な緯,
β,のが存在して,醗粥砺,θ,か,穿;窟,4)を金建的蟻待露場均衡とすること摂でぎる。
3.諺 舗約パレート叢適性の一般的定義に基づく均衡の非効率牲とその政策講的意義
3、蹄で述べたように,D玉謹O磁(i鮪7)のr譲約パレート最適性(i財ケース)」の解稗)に基
・づく主張.すなわち,「毒場を通して達滅1可能な翫分に,毒場均衡はパレート支醗されない」なる主張 については,}ねrt(欝篇)の反纒によ参,多数雛の場合に一般化でぎないことが閣かになった。し かしながら,多数財経済において,r市場を瀦駕して達成可籠な翫分」という機念自体,どのように 考えるべぎかという問題が残る。玉露ケースではスポット南場が存在しないので,r慮場を穂篤して 達成可能な財宝鷲、Z(ω聾ま,消費者にどんな証券取引を割参当てても変化しない。…方,多数難の 場合,駈与の資産構造のもとで溝費考の証券保有状態が変化すれば,それに鰐癒して毒場をク夢ア するスポット儀絡も変化することになる。つま参,我々が懸烙システムに依存した形で定義した「薄 場構造ZP(斜雌が変化してしまうのである。従って,r露場を稀離して達成可能な鐙分」なる籔念は,
特定の麺賂システムのもとでの誌場講造Z戸働」を越えた概念であることが予想でぎる。以a搬。磁
(欝欝)やSt量g嶺z(欝82)において,幕湯均衡の証券録有ベクトルを変化させるとパレート教善さ れる輝が発見されたが,これを受けて,Gea鍛akop沁s a認Po至e艶麗。擁舞s(i繋6)では,「溺約・ミ
レート最適牲」の一般的定義とこの機念に基づく均衡の非勃率牲が論じられている。
一i7一
醸 学 論 集 第§2巻第3弩 定義欝(講約的実現可能計蔑)
σ二(ぎ)ξR鐸,κ二(κ駕∈1〜F1とおく。饒列(κ,σ,κ,鉱4,露,のが次の条件を満たすとぎ,舗 約的実現可籠計露であると呼び,κを講約的実現可能魏分と呼ぶ;
i) Σゴσぎ#轟,Σ調』§,
2) Σ耀張Σ 〆,
3)(麟κ∫二aぎ騨axぴ(κ 〉s醐ect勧
か㈲・(以ω一ε!(鋤瓢{夕鋤曽紛一4トσ盲,
β(s/・(烈3/一菰ε/ドか(sト麟s/・ノ(sニi,_,s).
麟約蔚実現可饒計錘とは,適当な証券保蕎形態σ,κを選んだ上で,スポット毒場で達成薄髭な醜分 である、もちろん,薦場均衡(κ,θ,β,414,ε)は,翫粥(κ,θ,θ,か14,σ,θ/として麟約的実愛 可能計錘である。
定義登(覇約パレート最適性茎窃e撫慮鯵董倉s醗嚢澄。茎e無縫戯3擬s(欝86))
適当な(σ,κ,β;φボ存姦して醗列(κ,σ,π,か;窪,露,ε/が灘i約的実翼薄能舞露であむ,さら に,ぴ(ず「/〉ぴ〔κ畷擁)となる溺の製約的実理可能計薩(/,σ■,/,〆;¢,虜,e〉が存在しないと き,醗分κは麟約パレート最適であるという。
墨財経済の場合,定義鍍は,定義7,すなわち勝a搬。撮のr鰹約バレー卦最適性(i財ケース)」
の場合に帰着でぎることが容易に確かめられる,Gea鍛誌。鐸os a綴20茎e盤arc鮎擬s(i§8§)はこの 機念を穂期して,いくつかの条件のもと次の建蓬を導いた。
定理(市場均衡の葬r講約パレート最適牲」;(艶麟誠。擁}s3賊P倉艶灘鍛磯&擬s(欝86))
鰻魑基準財資産(〜晦盤era墨re Assets:癒魑基準財のみの醗当を行う資産)非完勝欝場経済裁,e}
を考える。ただし,G≧2,暮<2(G−i)≦/<S(G一跡とする。このとぎ,℃e総額ごな劾爾幾数と窃 簸保喬ベクトルのもとで,市場均衡(κ,θ,β,劇4,のに薄して慧約的実理可能詳函(ガ,σ,σ,が1 4,4,のが存在し,醗分蒐は翫分かにパレート支醗される1すなわち,毒場均衡紘非r麟約パレー
ト叢遍」である。
各溝費考の資産保有形態をσと定めたとぎに,スポット南場取引で達成されるスポヅト簸格ベク
トノレをβσ∈…ノ〜正と示すことにすると,彗ぎ場構造ZP(轟),P=(参σ,(〜〉は, σに{建って変{とすることに
なる。しかし,各ゲの画定は同鋳にZP(購から特定の純取引ベクトルガ1σゴ1∈紐を扱ぎ鐵す。一と の定遅は適当なσコ(σ旗ボ存在して,醍分ガ#(ガ十〜唖σf魏が糞腸均衡κ#(ガLをバレー塾麦醸 することを意鎌している。このように,Gross灘雛(欝7のやGale(欝82)の議論と異なって,畜 場均衡鐙分は,毒場購造を越えた醍分と比較されることになる。
しかしながら・この定還の政策講的含蓄は重要である。もし,祇会計函老にとって資産醗有形態 の変更(θ融σ)が可籠ならば,すべての消費者の劾罵水準を散書でぎることが示されたのである。
一i8一
騒藩:葬完備露場麗論の展薦
従づて,隈られた設定であるにしろ,非完備竃場均衡は,パレート最適盤のみならず,ある意殊で r舗約バレー卦最適牲3とされる性質も持たないことになる。藤えて,鮭会計癬老の§虫護が,浅聞 レベルで麟鐵された資産構造に鱗約されているにもかかわらず,毒場均衡に籍してパレート敬善的 な計睡が懇待でぎることは注聾すべぎ点である。政府の介入方法としては,直接的に資産構造,す なわち,資産形態の多様姓に影響を与える方法も考えられる越,それ以藩に,資産の勝有形態にの み介入して震接的に(スポット緬賂の変化を通して)薦場構造を変化させることにより,蕊会の厚 生水準を上げることがでぎるのである。もちろん,政府の十分な介入のために必要な椿軽は膨大で あ参,この定建をもって,必ずしも政府の介入が琵当化されるとは醸らない。しかし,市場メカニ ズムを,介入の実行上の開題から蓬当化するのと,そのパレート最適性から窪当化するのとでは,そ の評癒について醗らかに異なる論、点である。
4.「生産&交換経済」のモデル化を巡る議論
4.圭 r株緬最大化行動」の定義不能問題
i簸で遠べたように,非完備斎場経済モデルでは,現在・将来の企業の叡益を現在癒纏として統一 的な指標に集計できな秘・という馨聾題が存養三する。これは亨2、2籔で示したように状態藪藝格・ベクトノレβ
皿(β(蓉,_,β(S/lが一一意的に決豪らないことに鰐癒している。また,この幾題は,すべての消費者
(株主)の鶴で,イベント3の瞬得と各イベント8の癬得との猿舞代替率ベクトル〆が必ずしも等 しくならないことを意味し,完輔露場籍造であれば株癒最大化のもと満足された全員一致(U総盃盤 建y)の条僻二も満たされないこときこ二なる。
以下では,2籔の基本モデルに「生産」を導入する。これに従い,生産勃の請求権毒場としてのε株 式斎場」の構造が非完備である状態を考えることになる。r株式」は実物資産の一つであることに注 意する。
企業数をF(ノ丘i,_,F)とする。各企業∫は,各イベントにおける投入と産量の縫係についての 披徳y∫⊂餅を持っており,ここから具体的な投入産嶽ベクトルy∫m(yノ(ε瀧∈y∫を選叛するこ
とになる。この蒔,企業∫の株式録有難癖%に簸する蔑当ベクトルは,が=(Pノ(街,_,1〉∫(S)戸
(採§/・y∫(ω,_,採S/・y∫(S//であり,株懸は膨である。経済全体の∫7偲の株式に関する蕊当鴛 列,収益行列はそれぞれ(の,(2)で表される。また,擁ε播(y玉(麟,...,yF(ε//∈飛びとおく。
各溝費寿ぎには,経済の初めに,難の窃類保有εfに換え株式の初覇保有量ベクトルがエ(餐,_,
麗/∈κFが与えられているとする。が二(が)ゴ∈三ノ響∫とおく。ただし,Σゴ醇二重(∀∫)。これに従い消 費者の予算簿1約式は次のようになる;
β紛・(ノ紛一ε鷺1髭4・が+(か(ωツ(欝一の・θど
β(εト(ノ(s)一εf(ε//一{少(3/ツ(ε/}・夕(ε#i,_,S/.
各式は次のように書ぎ換えることぷでぎ,基本モデルに漏着される;
採紛・(烈ωヨε鷺)+y(ω・が}/π{力繊ッ(§)一穿レ(θしが) (至4/
一i§一