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21世紀COEプログラム 衛星生態学創生拠点

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Academic year: 2024

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目次

高緯度北極陸上生態系の炭素循環 スバールバル諸島スピッツベルゲン島での研究紹介 ・ ・ ・ 1 高山サイト合同見学会開催報告 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 COE セミナー紹介− John Tenhunen 教授  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 編集後記 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4

高緯度北極陸上生態系の炭素循環

スバールバル諸島スピッツベルゲン島での研究紹介

高緯度北極地域の中でも,北緯79度あたりのスバー ルバル諸島(図 1 )ではノルウェーやイギリス,ドイ ツ,フランスから植物学や動物学,地質学,気象学な ど様々な分野の研究者が集まって研究を進めている。

この中で日本は国立極地研究所・北極観測センター

(http://www-arctic.nipr.ac.jp/)を中心として,我が国の

大学や研究機関が北極圏の気象や生態系の研究に取り 組んでいる。筆者が参加している研究グループでは,

スバールバル諸島スピッツベルゲン島ニーオルスンの 氷河後退域(図 2 )に形成される polar semi-desert と呼 ばれるツンドラ生態系における植生の分布と炭素循環 に関する研究を1994年に着手した。これまでのところ,

岐阜大学 流域圏科学研究センター 

図 1 :スバールバル諸島とニーオルスンの位置 図 2 :ニーオルスンの氷河後退域の生態系

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− 2 土壌呼吸特性,リターの分解と土壌微生物の生理生態 的特性,植物(キョクチヤナギなどの維管束植物やカ ギハイゴケ)の光合成・呼吸特性,そして生態系レベ ルでの炭素吸収・放出速度に関する研究を進めてきた

(総説:Nakatsubo et al. 2005;J Plant Res 118:173-179,村 岡・内田 2005)。

2006年 7 月上旬に,筆者は国立極地研究所の内田 雅己博士らとともに14人乗りの小型航空機で現地入 りした。今回の 3 〜 4 週間の調査では,当地の植生 分布を衛星リモートセンシングによって観測するた めの現地データを得ること,代表的な維管束植物種 の光合成特性を把握すること,またリターの分解速 度に関する実験を行うことを目的とした。これらの データを得ることにより,ニーオルスン地域の陸上 生態系の炭素循環機構の広域評価を実現することが 期待されている。高緯度北極地域の陸上生態系に生 育する植物は非常に小さく,地表から数cm以内に 葉を展開している。したがって一般的な森林のよう な鉛直方向の複雑さがないため,衛星リモートセン シングによる植生の構造・機能の観測には理想的な 生態系とも言えよう。しかし夏季の天候は非常に不 安定であり,1 日に渡って晴れることは滅多になく,

たいていは 1 日中曇りまたは雨というような状況で ある。したがって当地ではマイクロ波リモートセン シングによる観測が有効なようである。

氷河の末端から海岸にかけての約 2.5kmの間では,

標高差が 5 〜10m 程度のいくつもの起伏があり,小 さな距離の間に微地形が大きく変化する。微地形に応 じて融雪水の流路が形成されており,水分の多い場所 にはコケが優占的に分布している。それよりも比較的 乾いた場所には,キョクチヤナギやムラサキユキノシ タ,チョウノスケソウなどがコケと混じりながら生育 している(図 3 )。また氷河末端から海岸線の間では,

氷河の後退時期が異なるエリアが繋がっていると言わ

れており,最も植生の発達しているエリアは数千年前 とされており,ほとんど植物が生えておらず礫が堆積 しているエリアは現在も拡大が続いている。

我々の研究グループの調査により,ニーオルスン地 域に生育する維管束植物は約50種に及ぶことが確認さ れている。中でも上述の 3 種はバイオマス分布から見 ると最も優占度の高い種であり,コケとともに生態系 の炭素吸収量にも大きく寄与することが推察される。

よく発達している植生を代表するキョクチヤナギは落 葉性の矮性低木であり, 6 月下旬から 7 月初旬の融雪 直後に展葉し,葉の寿命は約 1 ヶ月である(Muraoka  et al. 2002;Can J Bot 80:1193-1202)。驚くべきことに その光合成能力は,流域圏科学研究センター高山試 験地の林冠構成樹種であるダケカンバのそれに近い

(Muraoka and Koizumi 2005;Agr For Met 134:39-59)。葉 内に密度高く詰まっている葉緑体や,葉の両面に分布 する気孔が,この高い光合成活性を実現しているもの と考えられる。また,キョクチヤナギは土壌が比較的 発達したエリアに限って生育しており,栄養塩環境(ト ナカイなどの動物のフン)が重要な役割を果たしてい ることも想像できる。一方で土壌のあまり発達してい ないエリアではムラサキユキノシタが代表的な種であ り,氷河後退域の先駆種としても位置づけられる。ム ラサキユキノシタの光合成能力はキョクチヤナギの 1 / 3 程度であり,葉の窒素含量が非常に低いことはす でに明らかになっている(村岡ら,未発表)。

これまでのところ,当地での植生分布は数本のライ ントランゼクトに沿った踏査によって明らかにされて おり(Ohtsuka et al. 2006;Polar Biosci 19:63-72),また土 壌呼吸や植物の光合成に関する調査は狭いエリアでは 進んでいる。これらの知見をもとにして,広域の植生 分布の把握や,氷河後退域の拡大による生態系形成(一 次遷移)と生態系構造・機能の関係の解明を進めるた めには,衛星リモートセンシングによる観測が有効で ある。今回の調査では携帯型分光反射計(MS720,栄 弘精機)による植生調査が可能であることを確かめる ことができた。今後,すでに「衛星生態学創生拠点」

が高山サイトで取り組んでいる研究手法を活かしつ つ,陸上生態系の一次遷移とそこでの炭素循環機構と いう 2 つの興味深い現象に焦点を当て続け,ヒトの影 響がほとんど及んでいない高緯度北極陸上生態系の姿 を見ていきたいと思う。

【生態プロセス研究グループ

村岡裕由(流域圏科学研究センター 助教授)

図 3 :キョクチヤナギとコケ.葉の直径は大きくても 1 cm 程度である

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高山サイト合同見学会開催報告

京都大学,奈良女子大学を中心とした関西地域の 大学のリモートセンシング研究者による高山サイト 合同見学会が,2006年 5 月27日〜28日に行われまし た。見学会参加者は総勢26名となり,初日にスギサ イト,広葉樹林サイトの見学を行い, 2 日目の午前 中に高山庁舎研修室において,大学院生を主体とし た各研究室の紹介,研究内容の紹介を行った。天候 が危ぶまれたが,幸いサイト見学を行った初日は,

夕刻まで天候が崩れることなく,スギサイトフラッ クスタワー,生態観測櫓にもほぼ全員が登り,観測 機器の見学を行う事ができた。

今回の高山サイト見学会は,関西地域のリモート センシング研究者と岐阜大学 COE との交流が目的で あり,和気藹々とした雰囲気の中行われた。特に今 回は,学生を主体とした見学会であり,実際の観測 サイトの見学をする機会の少ない学生達も興味深く 観測機器の説明に聞き入り,観測サイトを核とした 大学院生への教育効果が大いにあったと思われる。

また,今回の見学会は,普段あまり交流の無い関西 地区の各大学のリモートセンシング関連研究室間の 交流のきっかけともなった。今回の参加者の内訳は 以下の通りです。奈良女子大学(10名),京都大学( 8 名),天理大学( 1 名),同志社大学( 1 名),帝塚山 大学( 1 名),筑波大学( 1 名),岐阜大学( 4 名)。

【リモートセンシング研究グループ

児島利治(流域圏科学研究センター 助教授)

COE セミナー紹介− John Tenhunen 教授

2006年 6月28日 に 行 わ れ た COE セ ミ ナ ー で は,

講演者として John Tenhunen 教授(ドイツ,バイロ イト大学)をお迎えしました。Tenhunen 教授は元々 植物生理生態学者であり,光合成の昼寝現象(日中 低下)を発見した研究者としても知られております。

また個葉レベルでの光合成の生化学特性と微気象モ デルを組み合わせることにより,野外での葉・個体・

生態系の光合成反応の詳細なモデル化を行い,生態 現象の生理生態学的な理解の促進に努めてこられた 方です。90年代前半からは様々な生態系の炭素・水 循環機構について,観測とモデリングを組み合わせ た研究を進めてこられました。みなさんもよく御存 知の通り,Tenhunen 教授は昨年の国際シンポジウ

図 1 :スギサイト見学の様子

図 2 :高山庁舎玄関での集合写真

図 1 :セミナーの発表を行っている Tenhunen 教授 モデルの概念に関する質問にわかりやすく何度も説 明をしてくれていました

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今年前半の天候はきわめて不順で,フィールド研究者泣かせだった。高山でも雨が多かった。リ モセン屋にとって雨天・曇天は致命的である。リクエストを出していた QuickBird も ASTER も 7 月までまったく撮れずに終わった。衛星画像ばかりでない。航測会社の友人も「今年はお手上げ」

とぼやいている。以前,日本を撮った Landsat-5号の全画像の被雲率を解析したところ,17年間 の稼働中,全国平均でわずかに6.17% が雲量20% 以下の快晴データであった。Landsat が16日周 期だったので,平均すると259日に一度しか快晴データは撮れない計算になる。モンスーン地帯の 宿命とも言える。毎年50%以上の快晴が見込まれるオーストラリア中央部や中国内蒙古草原がう らやましかった。

立秋を過ぎたが,暑さはまだとどまる気配はない。早くさわやかな秋晴れを期待したい。( 秋山 )

岐阜大学 流域圏科学研究センター COE 事務局

〒501−1193 岐阜県岐阜市柳戸1−1

 TEL:058- 293- 2081 FAX:058- 293- 2062 URL: http://www.green.gifu-u.ac.jp/sateco/

●  連 絡 先 

ムにおいて衛星リモートセンシングを利用した生 態系研究について講演し,「衛星生態学」の方向を 議論した外国招待者の一人です。現在は,複雑な地 形を含む地域の生態系を対象として衛星リモセンと 生理生態・水文気象モデルを組み合わせた研究を精 力的に進めておられ,今回は「Estimating Ecosystem  Exchange  Fluxes  for  Spatial  Modeling  -  A  Progress  Report」という題名で発表していただきました。

さらに,我々の COE では国際的な研究グループ と連携することも必要とされるので,Tenhunen 教 授グループとの共同研究課題等について具体的な話 が進められ,COE 研究の展開を期待する機会にな りました。

【生態プロセス研究グループ

李 美善(流域圏科学研究センター COE 研究補佐員) 

図 2:セミナー後,研究室で行われたディスカッショ ンで使われたスライドの一枚.NEE チャンバー法の 質問に対して写真とともに説明を加え議論しました

図 3 :訪れた鰻屋で記念写真.鰻の食べ方をみんな で説明してみたり,鰻をつかまえたりと,学生交流 に関する論議や COE 研究結果との議論も行いました

Referensi

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4,申込方法:参加ご希望の場合、別紙申込用紙に必要事項をご記入の上、FAXにて 075-461-5138までご送付ください。 または、京都学園高等学校HPからの申込みをお願いいたします。 https://goo.gl/SAKqUS SAKとUSは半角大文字、それ以外は半角小文字) なお、恐れ入りますが3月8日(水)を申込期限とさせていただきます。

<4 論理構成点>(=上記加点ポイントの他に,論理展開を意識している答案に与えるプラスアルファの点。 論述問題の解答は,単に歴史用語をつなげればいいというわけではないことを受験者に理解してほしいため に設けている。解答欄の右上欄外に,+1または+2を付けている。加点されない場合は数字なし) ① <1>~<3>がバランスよく書けていること…1点

4,申込方法:参加ご希望の場合、別紙申込用紙に必要事項をご記入の上、FAXにて 075-461-5138までご送付ください。 または、京都学園高等学校HPからの申込みをお願いいたします。 https://goo.gl/N5vmj5 Nは半角大文字、vmjは半角小文字) なお、恐れ入りますが1月19日(木)を申込期限とさせていただきます。

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