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(26) 生殖核と体細胞核の核膜を識別する

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Academic year: 2025

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2.研究成果

研究目的

⑳ 生殖核と体細胞核の核膜を識別する

   核内共生細菌ホロスポラのセンサーの研究

 グラム陰性細菌ホロスポラ属は、単細胞動物パラ メシウム属の特定種の前核(生殖核)か大核(体細 胞核に相当)の中で増殖する核内共生細菌で、これ

までに9種類が発見されている。この細菌の増殖型

(長さ約1.5μm)は宿主のタンパク質合成存在下で二 分裂で増殖するが、宿主のタンパク質合成活性が低 下すると、自身の遺伝子発現を伴って感染型(長さ 約13μm)に分化する。感染型は宿主を殺害して外液 に脱出し、新しい宿主の食胞を経由して細胞質に出 現し、核に感染する。つまり、感染型は生殖核と体 細胞核を識別するセンサーを持ち、一方、生殖核と 体細胞核はそのリセプターとして機能する物質を核 膜の細胞右側に露出させていると考えられる。

 本研究では、ホロスポラの宿主核膜識別センサー とそのリセプターの実体を明らかにする。同時に、

感染可能な宿主域を広げた突然変異株作成のための、

増殖型ホロスポラの宿主外培養と増殖型から感染型 への分化の誘導法を確立する。この研究成果は、生 殖核と体細胞核を区別して、遺伝子やタンパク質な どの生体高分子を核内に輸送する新しい微生物機能 の開発に貢献すると期待される。

研究成果

1.大言特異的なホロスポラオブツサの細胞壁物質   (IR+1抗原)に対するモノクローナル抗体を取   り、抗原をSDS−PAGEゲルから切り出して精製   した。この抗原と単離した宿主核を混合すると、

  細胞壁物質は大核とは結合するが小核とは結合   しないことが明らかになった。この結果は、感   染型ホロスポラの核膜識別センサーがホロスポ   うの細胞壁物質(IR−4−1抗原)であることを示   している。

2.大核と小里は、ホロスポラの核識別センサーに

研究代表者理学部 藤島政博

 対するリセプ画一として機能する物質を核膜の  細胞質側に露出させていると考えられる。そこ   で、単離大核を抗原にして間接蛍光抗体法でア   ッセイし、大島核膜付近と反応する3種類のモ   ノクローナル抗体を作った。抗原が真に核膜上   に存在するかどうかは、現在、免疫電顕で確認   中である。また、前述のIR−4−1抗原との親和性   の有無についても、現在確認中である。

3.宿主から単離した増殖型ホロスポラオブツサを  大核のホモジネートと混合して、増殖型の増殖   に成功した。長期の宿主外培養系では、感染型   も出現するので、増殖型から感染型への分化の  誘導も宿主外で可能になると期待される。現在、

  宿主外培養の最適条件を調べている。

産業技術への貢献

 ホロスポラは、外液から僅か10分で生殖核と体細 胞核を識別して特定核に感染する能力を持つ。この ような核識別能力を有する細菌はホロスポラ以外に は知られていない。したがって、ホロスポラの特殊 能力を利用すれば遺伝子やタンパク質などの生体高 分子を生殖核と体細胞核のそれぞれに導入できる新 しい技術開発が可能になる。現在、この細菌はパラ メシウム属にしか感染しないが、ホロスポラの宿主 外培養が成功したので、有用動植物の核にも感染す る突然変異の作製が可能になると予測される。また、

ホロスポラのセンサー物質と親和性を持つ核膜側の リセプ画一の遺伝子が明らかになれば、それを有用 生物に導入し、ホロスポラを使って生殖核や体細胞 核に任意の遺伝子を運ばせ、品種改良や遺伝病の治 癒を、1世代に限ったり、世代を越えて行ったりで

きるようになると期待される。

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2.研究成果

研究発表

1) M. Fujishima, H. Dohra and M. Kawai .    Qantitative changes in periplasmic proteins    of the macronuclear−specific bacterium    Holospora obtusa in the infection process of    the ciliate Paramecium caudatum. J. Euk.

   Microbiol., 44:636−642, 1997.

2 ) H . Dohra , Kazuo Yamamoto , M. Fuj ishima

   and H. lshikawa. Cloning and sequencing of    a periplasmic 5.4 kDa peptide gene of the    macronucleus−specific symbiont Holospora    obtusa of the ciliate Paramecium caudatum.

   Zool. Sci., 14, 69−75, 1997.

3) H. Dohra, M. Fujishima and H. lshikawa     (1997). Structure and expression of a groE    operon homolog of the macronucleus−specific    Holospora obtusa of the ciliate Paramecium    caudatum. J. Euk. Microbiol., in press.

4)藤島政博、ゾウリムシとホロスポラの共生にお     ける宿主一共生生物間相互作用。原生動物学雑    言志,30:1−13,1997.

5) H. Dohra, M. Fujishima, H. lshikawa.

   Cloning and sequencing of gene coding for a    periplasmic 5.4 kDa peptide of the macronu−

   cleus−specific symbiont Holospora obtusa of    the ciliate Paramecium caudatum. 10th lnt.

   Congr. Protozool., abstract p. 77, 1997.

6) M. Fujishima, M. Kawai. Acidifieation in    Paramecium digestive vacuole is an early    event required for symbiotic bacterium    Holospora s escape from there to appear in    the host cytoplasm. 10th lnt. Congr. Prot−

   ozool., abstract p. 87, 1997.

7) M. Kawai, M. Fujishima. Selfish endonu−

   clear symbiotic bacterium Holospora obtusa    of the ciliate Paramecium caudatum. 10th

   Int. Congr. Protozool., abstract p. 87, 1997.

8) M. Fujishima and M. Kawai. Acidification     in digestive vacuOles is an early event

   required for Holospora infection of Par−

   amecium nucleus. ln, Eukaryotism and Sym−

   biosis (Eds. H.E.A. Achenk, R.G. Herr−

   mann, K.W. Jeon, N.E. Muller and W.

   Schwemmler) , pp. 367−370, 1997, Springer−

   Verlag Berlin. Heidelberg.

9) M. Kawai and M. Fujishima. Monoclonal    antibody specific for activated form of    Holospora obtusa, a macronucleus−specific    bacterium of Paramecium caudatum. ln,

   Eukaryotism and Symbiosis (Eds. H.E.A.

   Achenk, R.G. Herrmann, K.W. Jeon, N.E.

   Muller and W. Schwemmler) , pp. 371−374,

   1997, Springer−Verlag Berlin. Heidelberg.

グループメンバー

氏 名 所  属 職(学年)

藤島 政博

理・自然情報 教授

堀   学

理・自然情報

助 手

道羅英夫

理工・自然共生 学振特別研究員

花田 聡子 理工・自然共生 非常勤研究員 河合 美紀 .理工・自然共生

D1

連絡先

TEL/FAX : 0839−33−5712

E−mail : fujishim@po.cc.yamaguchi−u.ac.jp

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