教材の解説
﹁ぼく﹂のじいちゃんはあと三か月しか生きられない︒それを聞いた﹁ぼく﹂はとても悲しみますが︑それから毎日じいちゃんのお見舞いに行くようになります︒﹁ぼく﹂が来るのをとても楽しみにしていたじいちゃんですが︑日に日にやせていってしまいます︒
● 27 その思いを受けついで
﹁じいちゃん︒一 いっ緒 しょに食べよう︒﹂
﹁うん︒大 だいちゃんと食べると︑ご飯は特別においしい
からなあ︒﹂
﹁いっぱい食べて早く元気になってよ︒﹂
﹁うん︒また一 いっ緒 しょに温 おん泉 せんに行こう︒﹂
ぼくとじいちゃんは︑学校の話や小さいころの思い
出話をしながら楽しく夕飯を食べた︒自分でいうのも
なんだけど︑ぼくは感心にも毎日欠かさず病院に行っ
た︒じいちゃんは︑ぼくが来るのをいつも楽しみにし
ていて︑病院の売店でぼくの好きなお菓 か子 しを買っては︑
いつもまくらもとに置いてくれていた︒
でも︑日に日にじいちゃんはやせていった︒一か月もたつと痛 いたみのために強い薬を使うよ
うになって︑意識がもうろうとするときがあった︒そんなときは︑食事どころか話もできな
くて︑ぼくは静かにベッドのそばのいすに座 すわって︑目を閉 とじているじいちゃんの顔を見て話
した︒
﹁じいちゃん︑元気出してね︒注 ちゅう射 しゃは痛 いたいけどよくなるためだよ︒がんばらないとだめだよ︒
早くよくなって︑一 いっ緒 しょに温 おん
泉 せんに行こうね︒﹂
そんな日の帰り道は︑うん
とペダルが重かった︒もう︑
このままじいちゃんと話せな
くなるのかと思うと︑悲しく
て力いっぱい自転車をこいだ︒
お母 かあさんに言われてから約三か月がたった︒じいちゃんの食事は点 てん滴 てきに代わった︒もう 二 ふたり人で一 いっ緒 しょに夕飯を食べることはできなくなった︒でも︑ぼくは︵今 きょう日は︑話せるかな︒︶と︑
小さな期待を胸 むねに大好きなじいちゃんに毎日会いに行った︒
そんなある日︑学校から帰るとお母 かあさんがいなかった︒玄 げん関 かんに紙がはってあった︒
︿お帰り︒病院にいます︒﹀
言い知れぬ不安がぼくをおそった︒ぼくは︑無 む我 が夢 む中 ちゅうで家を飛び出した︒
じいちゃんは酸素マスクを付けられて︑ピッ︑ピッという機械の音だけが病室にひびいて
いた︒瞬 しゅん時 じに︑ぼくはいろいろなことを察した︒
5 10
15 10
15
5
129 128
ぼ く
﹁じいちゃん︒一 いっ緒 しょに食べよう︒﹂
﹁うん︒大 だいちゃんと食べると︑ご飯は特別においしい
からなあ︒﹂
﹁いっぱい食べて早く元気になってよ︒﹂
﹁うん︒また一 いっ緒 しょに温 おん泉 せんに行こう︒﹂
ぼくとじいちゃんは︑学校の話や小さいころの思い
出話をしながら楽しく夕飯を食べた︒自分でいうのも
なんだけど︑ぼくは感心にも毎日欠かさず病院に行っ
た︒じいちゃんは︑ぼくが来るのをいつも楽しみにし
ていて︑病院の売店でぼくの好きなお菓 か子 しを買っては︑
いつもまくらもとに置いてくれていた︒
でも︑日に日にじいちゃんはやせていった︒一か月もたつと痛 いたみのために強い薬を使うよ
うになって︑意識がもうろうとするときがあった︒そんなときは︑食事どころか話もできな
くて︑ぼくは静かにベッドのそばのいすに座 すわって︑目を閉 とじているじいちゃんの顔を見て話
した︒
﹁じいちゃん︑元気出してね︒注 ちゅう射 しゃは痛 いたいけどよくなるためだよ︒がんばらないとだめだよ︒
早くよくなって︑一 いっ緒 しょに温 おん
泉 せんに行こうね︒﹂
そんな日の帰り道は︑うん
とペダルが重かった︒もう︑
このままじいちゃんと話せな
くなるのかと思うと︑悲しく
て力いっぱい自転車をこいだ︒
お母 かあさんに言われてから約三か月がたった︒じいちゃんの食事は点 てん滴 てきに代わった︒もう 二 ふたり人で一 いっ緒 しょに夕飯を食べることはできなくなった︒でも︑ぼくは︵今 きょう日は︑話せるかな︒︶と︑
小さな期待を胸 むねに大好きなじいちゃんに毎日会いに行った︒
そんなある日︑学校から帰るとお母 かあさんがいなかった︒玄 げん関 かんに紙がはってあった︒
︿お帰り︒病院にいます︒﹀
言い知れぬ不安がぼくをおそった︒ぼくは︑無 む我 が夢 む中 ちゅうで家を飛び出した︒
じいちゃんは酸素マスクを付けられて︑ピッ︑ピッという機械の音だけが病室にひびいて
いた︒瞬 しゅん時 じに︑ぼくはいろいろなことを察した︒
5 10
15 10
15
5
129 128
じ い ちゃん