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3.ディスバイオーシスのメカニズム及び象牙質石灰化 機構の解析

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Academic year: 2024

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Title 3.ディスバイオーシスのメカニズム及び象牙質石灰化

機構の解析

Author(s) 石原, 和幸

Journal 歯科学報, 122(3): 248‑250

URL http://hdl.handle.net/10130/5984 Right

Description

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胞の発現遺伝子 CAGE 解析の結果,iPS 細胞は骨 芽細胞分化誘導時に使用するプロモーターが通常の 間葉系幹細胞が利用するプロモーターとは異なるこ とが明らかとなった。さらに,今まで知られてこな かった未知 non­codingRNA が骨芽細胞分化調節 を行っている可能性を示唆するデータも得られてい る。シングルセル解析 CHIP アッセイにより核膜タ ンパク質の発現を回復しただけで骨分化が回復する ことが判明した。Gorlin 症候群原因遺伝子PTCH1

およびPTCH2遺伝子変異を効率よく解析できる遺

伝子解析パネル作製に成功し,これにより,患者血 液5cc から Gorlin 症候群原因遺伝子解析が可能と なった。Apert 症候群 iPS 細胞の解析では,骨芽細 胞分化が極端に低下し骨芽細胞増殖が亢進する。そ の後,細胞が密集すると分化が亢進し,石灰化も亢 進した。これらの機序として,メカニカルストレス に注目したところ,Apert 症候群 iPS 細胞はメカニ カルストレスに応答して FGF2を分泌することに より,FGF2情報経路が過剰となり,細胞増殖と 分化過剰が生じることが解明された。さらに,Ha- jduCheney 症候群 iPS 細胞を用いて,これまでよ く解明されてこなかった Notch シグナルの骨芽細 胞,破骨細胞カップリング調節機構を明らかにして いく。

3.ディスバイオーシスのメカニズム及び 象牙質石灰化機構の解析

感染制御ラボ グループリーダー 微生物学講座 石原和幸

慢性歯周炎は,壮年期以降の成人において非常 に罹患率が高く,その予防が急務とされている。本 プロジェクトでは,細菌学的観点からの歯周炎発症 のメカニズムの解明と,骨の再生への応用を視野に 入れ,石灰化を含む象牙芽細胞の生理学的機能につ いての解析を行ってきた。

1.歯周炎発症のメカニズムの解明

慢性歯周炎の病因には,歯肉縁下細菌叢のディ スバイオーシスが重要な役割を果たしている。ディ スバイオーシスのメカニズムを解明するために本プ ロジェクトでは菌叢全体像の解析と同時にそれに関 わる細菌叢内での個々の細菌の動態について解析を 行い,本年度は以下の様な成果を得た。

1)歯肉縁下細菌叢のマイクロバイオーム解析 歯周炎患者の,健常部と歯周炎部52部位からサ ンプルを採取し,歯周処置前後の菌叢解析を行っ た。歯周炎部には,従来からその増加が認められて いるPorphyromonas gingivalis等とと も にFilibactor

alocis等の難培養性の菌種の特異的な増加が認めら

れた。健常部のマイクロバイオームでは処置前後で の菌叢の変化は少なかったのに対し,歯周炎部で は,処置後大きく変動が認められ,その変化は,2 ヶ月後まで維持されていた。これらの結果から,健 常部の菌叢はレジリエンスが強く,歯周炎部位の菌 叢は,安定性が低いことが示唆された。

2)プラーク構成細菌の細胞表層タンパクの機能解 析

Capnocytophaga ochraceaは,共 凝 集 し た 状 態 で gliding する事によりバイオフィルム形成に重要な 役割を果たし て い る。本 菌 の type Ⅸ分 泌 機 構 に よって菌体外に分泌される C−末端配列を持つタン パクのうち,およそ500kDa の未知タンパク2種の 機能を欠損株によって解析した。これらのタンパク は,どちらの欠損によっても gliding 活性が劇的に 減少する事から新たな gliding に関わるタンパクで 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ

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あることが明らかになった。

3)プラーク構成細菌の酸化ストレスに対する応答 酸素ストレス応答は菌の生存に重要な役割を果

たす。C. ochraceaの酸素ストレス応答に関わる遺

伝子として,相同性解析によりoxyR類似遺伝子

(Coch̲0002)を検出し,その欠損株を作成するこ とによって Coch̲0002が酸素ストレス応答に関わる ことを明らかにした。さらに,dental plaque の主 要な構成菌種であるStreptococcus gordoniiによって 産生される HOによる傷害作用の回避にoxyRが関 わっていることを明らかにし,本菌がバイオフィル ム内での niche を得るのに重要な役割を果たすこと が明らかにできた。

T. denticola では , DNA binding motif を持つ TDE̲127遺伝子が,酸素ストレスにより発現が増 加し,その欠損株は,酸素存在下での生存率が低下 することから,本遺伝子が特定の遺伝子発現の調節 を介して酸素ストレス応答にかかわることが明らか になった。

4)Treponema denticolaの表層タンパク分泌機構の 解析

Treponema denticolaの持つ dentipain は,本菌の 病原性因子であるが,菌体外に分泌されている。そ の分泌機構を明らかにするため,dentilisin と major surface protein(Msp)の欠損株を用いて解析する と,野生株では,outer sheath 画分に dentipain が ほとんど認められないのに対し dentilisin 欠損株で は dentipain が認められ,msp欠損株では,immu- nogoblin­like domain を失った短いサイズの denti- pain が認められていた。これらの結果からT. denti- colaの dentilisin と Msp が dentipain の 分 泌 に 関 わっていることが示唆された。

2.象牙芽細胞の生理学的機能の解析

象牙芽細胞は,感覚受容細胞であると同時に,

象牙質形成細胞である。感覚受容細胞として細胞膜 には種々の機械感受性イオンチャネルが発現し,ま た細胞内カルシウムイオンシグナルを介して細胞外 へ ATP あるいはグルタミン酸を放出,歯髄分布 Aδ ニューロンと細胞間連絡を確立することで象 牙質痛が発生する。一方,象牙質形成細胞として生 理的な象牙質と生体内外からの刺激に伴う第3象牙 質の形成を駆動する。象牙質表面への刺激は,細胞

膜に存在する機械刺激感受性チャネルあるいは高 pH 感受性センサータンパク質を活性化し,同様に 細胞内カルシウム濃度を増加させる。増加したカル シウムイオンは,Na+−Ca2+交換体・plasma mem- brane Ca2+−ATPase(PMCA)によって細胞外の 石灰化前線に排出され,反応象牙質としての第3象 牙質が形成される。一方で,象牙質刺激に伴う象牙 芽細胞死は,本細胞の局所分化をもたらすことで修 復象牙質としての第3象牙質が形成される。

これらの細胞内カルシウムイオンシグナルに加 えて,象牙芽細胞は細胞内 cAMP によっても,そ の機能が調節される可能性が示唆されている。

そこで,2021年度には以下について研究を展開 した。

1)象牙芽 細 胞 お よ び 三 叉 神 経 節 ニ ュ ー ロ ン の cAMP シグナルの検討

Gs タンパク質共役型受容体の活性化はアデニル 酸シクラーゼの活性化をもたらし,細胞内 cAMP レベルを増加させる。そこで両細胞の細胞内 cAMP レベルの測定を行ったところ,象牙芽細胞には,

IP 受容体,5−hydroxytryptamine5−HT(5−

HT)受容体,dopamine D1(D)受容体,adenosine A2A(A2A)受容体,vasoactive intestinal polypeptide

(VIP)受容体の機能的発現が見られた。

一方,三叉神経節ニューロンでは,β受容体,

calcitonin gene­related peptide(CGRP)受容体,

IP 受容体,5−hydroxytryptamine5−HT(5−

HT)受容体,dopamine D1(D)受容体,adeno- sine A2A(A2A)受容体の機能的発現が見られた。

2)象牙芽細胞の PMCA 発現の検討

象牙芽細胞への低浸透圧刺激・高 pH 刺激は,一 過性に細胞内カルシウムイオン濃度を増加させる。

増加したカルシウムイオンは,主に,PMCA サブ タ イ プ で あ る PMCA1,PMCA3,PMCA4に よって細胞外に排出されることが示された。加え て,これらは象牙質石灰化を調節していた。

3)象牙芽細胞発生における Niche 構成細胞の可 塑性変化とその制御機構

象牙質刺激に伴う象牙芽細胞死と,その局所分 化は未だ謎に包まれている。そこで免疫染色による 検討を行ったところ,象牙芽細胞特異的マーカータ ンパクである DSPP に対して免疫陽性を示すもの

歯科学報 Vol.122,No.3(2022) 249

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の他のマーカーに陽性を示す象牙芽細胞の亜集団の 存在を示唆した。これらの細胞の同定を行っている。

4)歯髄神経原性炎症の検討

歯髄炎症反応は,神経終末から内皮細胞あるい は象牙芽細胞などの歯髄細胞へと神経ペプチドが放 出(軸索反射)され,神経原性炎症が生じることに よって引き起こされる。そこで歯髄内圧上昇による 神経圧迫を模した三叉神経節細胞への機械刺激に伴 う三叉神経節−象牙芽細胞間連絡で生じる象牙芽細 胞内 cAMP シグナルを検討したところ,象牙芽細 胞に GSタンパク質共役型受容体が発現しており,

アデニル酸シクラーゼの活性化が細胞内 cAMP レ ベルを増加することが示された。また CGRP が歯 髄の CGRP を介した軸索反射に関連していること が示唆された。

4.FabLab TDC プラットフォームの構築と 今後の展望

ファブラボ グループリーダー 口腔病態外科学講座 片倉 朗

〈ファブラボ〉

2013年 に 設 立 し た FabLab TDC で は,CAD/

CAM, Extended Reality(XR)に代表されるデジ タルデンティストリーへのパラダイムシフトを牽引 するため,臨床に直結したトランスレーショナルリ サーチを実施している。口腔外科・補綴分野ではす でに臨床において様々な治療で応用され,精度およ び安全性を大幅に向上できることを複数の国際学術 雑誌に発表した。併せて教育の分野にもデジタルテ クノロジーの応用を行い,高い教育成果を得てい る。

① 口腔顎顔面外科手術支援

顎矯正手術や腫瘍切除術などを普遍的で高精度 かつ安全に行う方法の開発をプロジェクト開始時か ら行ってきた。ヴァーチャルオペレーションを術中 に高精度に再現するために CAD/CAM 技術により 作製した3D デバイスを臨床応用している。さらに Microsoft 社 HoloLens2を導入し CT データから作

製したホログラムを術中患者に対 し て 投 影 す る Mixed Reality 技術によるナビゲ ー シ ョ ン 手 術 を 行っている。これらの技術を Le FortⅠ型骨切り術 に併用する方法を新規開発し,従来法よりも高精度 手術を実現した。この東京歯科大学 FabLab TDC 発信のオリジナルの新テクニックは International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery に掲載さ れた。また,この論文は Materialise 社主催の Mim- ics Innovation Awards 2021において最優秀賞を受 賞した。現在はオトガイ形成術で精度検証を継続し ており,その他の疾患にも応用している。

② デジタルデンティストリーの局部床義歯への応 用

欠損部顎堤の口腔内スキャニングの精度を向上 させるために,口腔内での使用が可能なマーカーを 用いた新たなスキャニング法の有用性を検討した。

新手法は顎堤のスキャニング精度の向上に有効であ り,再スキャニング部は周囲データとの形状移行性 があることが明らかとなった。さらに,金属プリン タで積層造形した局部床義歯フレームワークの変形 を防止するために,補強バーをフレームワークに設 置し造形精度に及ぼす影響を検討した。補強バーは リンガルバー中央部の精度の改善する効果はほとん どなかった。このような局所的な残留応力は適合の みならず強度にも影響を及ぼすため,造形角度,サ ポート材の設定位置等の造形条件について今後さら なる検討が必要である。

③ 教育への応用

ヘ ッ ド マ ウ ン ト デ ィ ス プ レ イ で あ る Meta 社 Oculus Quest2を用いて造影 CT から VR を作製し 学生に対し解剖学実習を行った。従来の PC モニ ターで学修した群(2D 群)と VR で学修した群(3 D 群)では3D 群において有意な成績向上が見ら れた。今後は本教育システムに5G ネットワークを 応用していく。この内容は日本歯科医学会主催 第 36回「歯科医学を中心とした総合的な研究を推進す

る集い」において優秀発表賞を受賞した。

〈口腔と脳機能〉

脳機能に関しては機能的 MRI を用いた研究を継 続しており,酸味と香りの感覚が脳内で統合される ネットワークの一端を解明した。

東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ 250

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