5月13日 山口県豊浦郡豊北町宇賀御崎 御崎祭
名称からしてミサキ信仰、オサキ信仰に関する何かの神事が残っているのではないか。殊に宇賀地方の鎮守とし ては宇賀の本村上神田に立派な二宮神社があり、神功皇后を祭神とするので、この神田御崎の名称はその小宮とし ての性格を有するものでないかと思って訪ねたが、そのような性格はなく、また祟り神的性格もない。
上神田の村から先は車が行かないので台地に沿うて海岸の方へ歩く。可なり参詣人はあるらしく、路傍に臨時の 駐車場などできている。御崎の名は岬から出ているようで下関から北上した海岸線がこゝで折れて東上する丁度角 地のような所で玄海灘が本土につき当るところ、断崖をなした誠に美しい光観の場所である。
御崎神社はその海岸に近い丘の松林の中にある。松林を通って来る風が拝殿を吹抜けているが、常日は無人。上 神田の役員が当日出張して参詣人受付をし、修祓のため宮大夫を1人頼んで来て貰っている程度。
耕牛の息災祈願のお宮で、昔はこの地方には牛よりも馬を耕作に使うことが多かったので、代掻を始める前に牛 馬をつれて来て、この宮にお参りするものが多く、下関あたりからもやって来た。飾り鞍をつけて曳いて来るか、
又は乗って来るものが多く50~60頭は集り、それぞれ御祈祷をうけて帰った。5月13日は祈願祭、田植が済んで7 月13日にはお札参りをした。頂いた護守は御幣と一しょに厩にかける。
現在では牛馬が少なくなって、参詣人も少なくなった。また牛馬の代参に本人が自動車でやって来て、御幣と護 符を貰って帰るものが多い。