5月3日 三木市志染町御坂 御坂神社 おん田神事
本日の神事は御坂神社の春祭ではない。御坂神社の春祭は5月1日にあった。特殊な神事はないらしいもとは神 子巫の探湯の式、能楽、やぶさめがあったらしいが現在は廃絶している。
御田植の神事は御坂神社の境外末社、岩守稲荷明神社の祭である。奉仕者は御坂、志染中、井上、細目、安福田、
東吉田、吉田、四合谷、大谷、高男寺の10部落で参集するのは10部落の代表者1人づゝである。尤も地元の御坂 では三々五々御坂神社までやって来る。
当日早朝10部落の家の数だけの「苗木」を持ち寄って神前(御坂神社の)に供へる。苗木というのはもとは榊の 葉付の枝でもとは細目部落から出すことになっていたが、森が少なくなって集らないので現在は各部落毎に 1 束に して括って、部落の名札をつけ持参することになっている。
榊に限ると集らないので、樒やつゝじ等葉付の雑木でもよいことになっている。また御供として炒米と炒豆を水 洗いにしたものを混ぜて、これを部落毎に10枚の土器に盛って供える。
祭典は午前8時頃から始まる。御坂神社の拝殿で簡単な修祓があって後、1束の苗木と御供を少し盛った土器、そ れに木片で造った手鍬、馬鋤、犂の小さな模型、それに萱の葉の俵、この 4 つを乗せた三宝とを持って、神官を先 頭に御坂神社の森の裏出口を出て、田の畦をつい50m位先の(北方)丘の麓に見えている赤い鳥居のある岩守社へ 行く。岩守社は丘の裾に露出している高さ2m位の岩が御神体らしく中央が少し窪んでいて、そこに小さな祠がある。
その前に持参した苗木と御供を供え、神官が左側の田に入って畝の上に踏むと三宝前面地上に置き、一寸祈念して4 つの模型を1つづつ自分の肩ごしに後の方へ投げる。1つづゝ手にして一寸農耕のまねをして、投げるのである。10 人の村総代のものは争ってこれを拾う。拾いとったものは、その年はその村が農作だという。行事はこれ丈けであ る。御坂神社へ帰り、御神酒を頂いてから、供えてあった苗木と御供をそれぞれ自分の部落のものを頂き、御供は 土器からビニール袋に入れ替えて、これを苗木と共に持帰って、部落に着いてからこれを毎戸に頒つという。
御坂部落の分は、その場で境内にある能舞台の前へ拡げておき、参拝した村人たちは各自白紙を出して、御供を 一ト括み頂いて白紙に受け、これをお撚りにして、水引で練り、更にこれを苗木の輪中心に括ると、御坂神社に拝 礼、お賽銭を入れから、このお撚り付きの苗木を持って帰る。これは自分の田の畦に挿す。
午前9時半頃終る。