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FT-ICR によるシリコンクラスターイオンとエチレンの化学反応

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FT-ICR によるシリコンクラスターイオンとエチレンの化学反応

(東大工総合試験所1・東大院工2

○河野正道,井上修平,吉田哲也,丸山茂夫1,2

Chemical reactions of silicon cluster ions with C

2

H

4

by using FT-ICR mass spectrometer

(1.

Eng.Res.Institute, The Univ. of Tokyo, 2.School of Eng., The Univ. of Tokyo2)

○M. Kohno1, S. Inoue2, T. Yoshida2 and S. Maruyama1,2

【はじめに】薄膜生成プロセスなどで原子・分子クラスターの挙動が重要な問題となり,理 論的な興味に加えて,クラスターの基礎的な理解の必要性が高まってきている.著者らは潜 在的に極めて高い質量分解能を有し,大きなクラスターを扱いうるフーリエ変換イオンサイ クロトロン共鳴質量分析(Fourier Transform Ion Cyclotron Resonance, FT-ICR)装置1)を設 計製作し,クラスタービーム源からの直接イオンビーム入射を可能とした.今回は FT-ICR を用いてシリコンクラスターイオンとエチレン分子の化学反応実験を行ったので報告する.

【実験】図1にFT-ICR質量分析装置を示す.FT-ICR質量分析は強磁場中でのイオンのサイ クロトロン運動に着目した質量分析である.シリコンクラスターイオンは,レーザー蒸発超 音速膨張クラスター源によって生成され,6Teslaの超伝導磁石内のICRセルに直接導入され る.この際にヘリウムとともに超音速で飛行するクラスターイオンを減速し,Front Door電 極 Back Door電極の間に閉じこめる.クラスターイオン群に適当な変動電場を加え,円運動 の半径を十分大きくした上で検出電極間に誘導さされる電流を計測し,得られた波形をフー リエ変換することにより質量スペクトルを得た.

【結果と考察】図2にFT-ICRにて測定した一例としてシリコンクラスター正イオン15量体

(Si15+)とエチレンの化学反応過程を示す.(a)はレーザー蒸発法によって生成されたシリコン

クラスター正イオンをFT-ICRに直接導入する事によって測定した質量スペクトルである.今 回は Si11+〜Si20+が効率よく ICR セルにトラップされるように減速管の電圧を調整した.ICR セルにトラップされたイオンをアルゴンガス(1×10-5 Torr 5秒)にて室温程度まで冷却した 後,SWIFT (Stored Waveform Inverse Fourier Transform)と呼ばれる手法を用いて目的とする サイズのクラスターイオンのみを

ICRセルに残す(b).SWIFT後,再度 アルゴンガス(1×10-5 Torr 5秒)に てクラスターイオンを冷却した後に,

反応実験を行う.図 2(c),(d),(e)はそ れぞれエチレンガス(1×10-5 Torr)と

0.5,5,15 秒反応させた場合の結果で

ある.0.5秒反応させた場合(c)では,

エチレン分子が一個付着した Si15E1+

が強く観測されていることが分かる.

5 秒反応させた場合(d)では,付着す

Turbopump Gate Valve

Cluster Source

6 Tesla Superconducting Magnet

100 cm Deceleration Tube

Front Door

Screen Door Rear Door Excite & Detection Cylinder

Electrical Feedthrough Gas Addition

Ionization Laser

Probe Laser

図1 FT-ICR 質量分析装置

(2)

るエチレン分子の数によって反応性が大きく変わってくる様子がうかがえ,Si15E1+とSi15E+

の反応性が低いことが考えられる.また 15 秒反応させた場合(e)で観測された,反応生成物 は5秒反応させた場合の(d)とほぼ同じであった.従って今回の実験条件では5秒以降におい ては反応が大きく進行していないと考えることができる.この最終状態の存在は,逆反応も 含めた化学平衡とも考えられるが,シリコンクラスターに関しては多くの構造異性体が存在 し,イオンドリフトチューブを用いた反応実験2)やFT-ICRを用いたレーザーアニーリング実 験 3)によって異性体によって反応性が大きく異なることが知られていることから,各構造異 性体ごとに反応が終わった状態であるとも考えられる.また場合によってはエチレンの化学 吸着後,その吸着サイトに応じた異性化が起こっている可能性もある.図3は各サイズのシ リコンクラスター正イオン(Si+ n=11〜18)とエチレンを10秒間(Si11+ Si12+ のみ5秒間)反応 させた場合の反応生成物である.いずれのサイズのクラスターでもこれ以上の時間反応させ ても反応はほとんど進行しなかった.15 量体から18 量体のサイズ領域では,シリコン原子 数とエチレン分子数の合計が19(例Si15E4+)となる反応生成物が特異的に安定的であること がわかった.今後ある特定の反応生成物に対する反応性やレーザーアニーリング実験を行い 構造異性体について検討する.

1) S. Maruyama et al., Rev. Sci. Instrum., 61, 3686, (1990).

2) M. F. Jarrold et al., J. Am. Chem. Soc., 114, 459, (1992).

3) S. Maruyama et al., J. Chem. Phys., 93, 5349, (1990).

10 15 20

Intensity (arb. units)

Number of Silicon Atoms [Si n+]

E5

E1 E2 E3

Si13+

Si14+ E2 E3

Si15+ E1

E2 E3 E4

Si16+ E1 E3

Si17+ E2

Si18+ E1 Si12+

Si11+

E5

E2

図3 Si+ (n=11〜18)とエチレンを 10 秒間(Si11+ Si12

+のみ5秒間)反応させた場合の反応生成物

300 400 500 600

SWIFTed 15

0.5 sec Si15+

15 sec

Intensity (arb. unit)

As Injected

Cluster Ion Mass (amu)

(a)

(b)

(c)

(d)

11 12 13 14 16 17 18 19

20 21 22 23

Si15+ E1

E2 E3

Si15+ E1

E2 E3

E4 E5E6

E7 E8 5sec Si15+

E1

E2 E3 E4

E5 E6 E7

(e)

図2 Si15+とエチレンの反応過程.(a) 入射直後,

(b) SWIFTed Si15

+選択後,(c)0.5秒反応,(d) 5秒 反応,(e) 15秒反応.Si15(C2H4)n

+をEnと表記.

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