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エコカー減税によるハイブリット車販売台数への影響

~ダミー変数を用いた回帰分析~

上智大学経済学部経済学科4年 中野恵太 2016/01/22

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1.はじめに

近年、車が走行している最中に発電した電気とガソリンの両方を燃料として走ることが できるハイブリット車(HV)が普及してきている。さらに最近では、普通のハイブリット車 だけでなく、家庭の電源から電気を充電することができるプラグインハイブリット車(PHV) や、電気のみを燃料として走ることができる電気自動車(EV)も街中で見ることがある。こ れらの自動車は使用ガソリンが少なく、いわゆる低排ガス車とされ環境に良い。下の図 1 は、2008年12月から2015年9月のHV、PHV、EVの販売台数の合計の推移である。こ の図1からもハイブリット車等が近年普及していることがわかる。

環境問題が懸念され、人々は排出ガスへの関心が少なからず持っていると考えられるた め、低排ガス車が普及するのは理解できるだろう。しかし、これらの自動車は価格が高く 設定されている。ガソリン車とハイブリット車の両方のグレードが販売されている某メー カーの某現行車種の新車販売価格の差は689000円となっている。この価格差は良い燃費に よる燃料代で埋められると言われることがあるが、この車種の燃費はガソリン車で16.0㎞、

ハイブリット車で23.8㎞となっている。ガソリン価格を120円/ℓとしてこの燃費で価格差 を埋めるにはおよそ28万㎞走らなければならない。28万㎞走ると、燃費も落ち、修理費用 等もかかってしまうため燃費によって価格差を埋めるまで走るとは考えにくい。

そこで私は、2009年度から導入されたエコカー減税による影響があるのではないかと考 えた。本稿ではハイブリット車の販売台数に対してエコカー減税の影響があるのか、ある いは他の指標が影響を与えているのか分析し検討する。

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JAPA統計資料より

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2.エコカー減税の概要

エコカー減税とは2009 年度(平成21 年度)の税制改正から導入された、低排ガス車の自 動車取得税や自動車重量税を非課税や免税、あるいは減税するものである。最初のエコカ ー減税は2009年度(平成21年度)から2011年度(平成23年度)に施行され、環境対応車を対 象にして減税された。次の新エコカー減税は2012年度(平成24年度)から2014年度(平成 26年度)に施行され、最初のエコカー減税よりも減税対象となるための燃費基準が厳しくな った。そして現在施行されているエコカー減税は2015 年度(平成27 年度)から始まってお り、新エコカー減税よりもさらに燃費基準が厳しくなった。平成27年度税制改正によるエ コカー減税対象車の表の一部は図2の通りである。

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国土交通省HPより

図 2 から分かるように、電気自動車とプラグインハイブリット車の自動車取得税、自動 車重量税は非課税、免税となっている。普通のハイブリット車とガソリン車は燃費基準が 定められており、燃費が良いほど減税率が高くなる。平成27年度税制改正による基準では、

平成32年度燃費基準を20%超過していればハイブリット車やガソリン車でも自動車取得税 と自動車重量税が非課税、免税になる。平成32年度燃費基準は以下の図3の通りである。

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国土交通省HPより

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2009年度、2012年度、2015年度のすべての税制改正におけるエコカー減税に関して、

電気自動車とプラグインハイブリット車は自動車取得税と自動車重量税が非課税、免税と なっている。その他のハイブリット車、ガソリン車に関しては税制改正ごとに減税対象と なる燃費基準が厳しくなっている。現行のハイブリット車に関して基本的には平成32年度 燃費基準を20%超過しており、自動車取得税と自動車重量税が非課税、免税となっていた。

3.分析

3.1.データおよび分析手法

本稿の分析で使用したデータは2008年12月~2015年9月の電気自動車、プラグインハ イブリット車、ハイブリット車の月次販売台数(JAPA統計資料より)と、同期間の月次勤労 者世帯の可処分所得(総務省統計局より)である。それぞれの基本統計量は以下の図4と図5 のようになった。

4 図5

また、分析手法は説明変数にダミー変数を用いた重回帰分析で行った。被説明変数を販 売台数として、エコカー減税適用期間を1、その他の期間を0としたダミー変数を3つのエ コカー減税それぞれについて用いた。そして、エコカー減税以外の影響を考え、可処分所 得を説明変数に加えて分析した。

一つ目の分析では重回帰分析により以下のような回帰式を推定した。

𝑌𝑖 = 𝛽0+ 𝛾1𝐷1+ 𝛾2𝐷2+ 𝛾3𝐷3+ 𝑢𝑖

ここで、𝑌𝑖は販売台数、𝛽0、𝛾1、𝛾2、𝛾3は分析から推定された係数であり、𝐷1、𝐷2、𝐷3はそ れぞれ2009年度税制改正ダミー、2012年度税制改正ダミー、2015年度税制改正ダミーと なっており、𝑢𝑖は残差である。推定したのち、それぞれの係数に関してt値を用いて有意水

準5%で仮説検定を行い、統計的に有意か否かを検定する。

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二つ目の分析でも同様に重回帰分析により以下のような回帰式を推定した。

𝑌𝑖= 𝛽0+ 𝛾1𝐷1+ 𝛾2𝐷2+ 𝛾3𝐷3+ 𝛽1𝑋𝑖+ 𝑢𝑖

ここで、𝛽1も分析から推定された係数であり、𝑋𝑖は可処分所得である。この分析でも一つ目 と同様にそれぞれの係数に関してt値を用いて有意水準5%で仮説検定を行い、統計的に有 意か否かを検定する。

3.2.分析結果

一つ目の分析結果は以下のようになった。

𝑌𝑖= 9014.5 + 34105.4𝐷1+ 71341.8𝐷2+ 66137.0𝐷3 (0.941) (3.378) (7.065) (5.347)

カッコ内の値はt値を表す。ここで帰無仮説、対立仮説を以下のようにする。

𝐻0: 𝛾𝑗 = 0 (税制の影響なし) 𝐻1: 𝛾𝑗 ≠ 0 (税制の影響あり)

このとき、有意水準5%の臨界点は𝑡0.025(78) = 1.99であるため、すべての𝛾𝑗に関して帰無仮 説を棄却し、有意水準5%で統計的に有意となる。よって、エコカー減税はハイブリット車 等の販売台数に影響があったと考えられる。

二つ目の分析結果は以下のようになった。

𝑌𝑖= 14817.8 + 33383.2𝐷1+ 70605.7𝐷2+ 65292.4𝐷3− 0.012𝑋𝑖 (1.159) (3.277) (6.930) (5.236) (-0.688) カッコ内の値はt値を表す。ここで帰無仮説、対立仮説を以下のようにする。

𝐻0: 𝛾𝑗 = 0 (税制の影響なし),𝛽1= 0 (可処分所得の影響なし) 𝐻1: 𝛾𝑗 ≠ 0 (税制の影響あり),𝛽1≠ 0 (可処分所得の影響あり)

このとき、有意水準5%の臨界点は𝑡0.025(77) = 1.99であるため、すべての𝛾𝑗に関して帰無仮 説を棄却し、有意水準5%で統計的に有意となる。一方で、𝛽1に関しては有意水準5%で統 計的に帰無仮説を採択し、統計的に有意とはならなかった。よって、エコカー減税はハイ ブリット車等の販売台数に影響があったと考えられるが、可処分所得は影響がなかったと 考えられる。

3.3.考察

分析の結果から、2009年度、2012年度、2015年度のそれぞれの税制改正によるエコカ ー減税は電気自動車、プラグインハイブリット車、ハイブリット車の販売台数に影響があ ったと考えられる。一方で、勤労者世帯の可処分所得は統計的に有意な影響がなかったと いう結果になった。これは、所得が増えても自動車という大きな買い物はすぐに実行する ものではなく、ある程度の期間を見て余裕があるときなどに購入するためであったと考え る。また、可処分所得を含めて分析してもエコカー減税のダミー変数はすべて正に有意と いう結果が得られたことから、他の経済状況の影響に関わらずエコカー減税による販売台

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5 数への影響はあったものだと考える。

4.おわりに

本稿では、エコカー減税によるハイブリット車等の低排ガス車の販売台数への影響があ ったという結果が得られた。そのため、高価なものであっても税制改正などの補助があれ ば環境に良いものが普及していくと考えられる。この結果は、他の事例にも応用が出来そ うであり、すでに似た政策等が施行されているかもしれない。一方で、可処分所得は低排 ガス車の販売台数に影響はないという結果となった。これは、改めて考えてみると金銭面 で考えるならば月の所得の変化だけでは高価な自動車は買うことはできないためと考えら れる。

今後の課題としては、本稿の始まりである「なぜハイブリット車が普及しているのか」

という疑問に対する答えがまだ存在していると考えられることである。エコカー減税はあ くまでも答えの一つとして、さらなる答えを追求していきたいと思う。また、可処分所得 が影響がなかったことから、似た別の指標として貯蓄の方がより影響があるように感じら れたため、これも今後の課題としたい。

参考文献等

羽森茂之 『ベーシック計量経済学』 中央経済社(2009)

国土交通省

http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000028.html 財務省・税制改正に関する資料

https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei09/07/index.htm http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei12/03/index.htm#01 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei15.htm

JAPA・統計資料

http://www.japa.gr.jp/data/index.html 日本自動車販売協会連合会

http://www.jada.or.jp/contents/data/index.html 総務省統計局

http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm

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