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Academic year: 2024

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ブロンズ法線材の高 Sn 濃度化とジェリーロール法線材の研究状況

 

  岩城  源三  (日立電線  研究開発本部  材料技術研究開発センタ)   

  1.  はじめに 

金属系超電導線材は、MRI マグネット用の NbTi 線材を主として、依然超電導線材市場の大部分を占 めている。その応用分野は、核融合、高エネルギー加速器等の大型プロジェクトから、上述した MRI、

NMR の民生装置まで多岐にわたるが、基本的には、金属系超電導線材の有する高臨界電流密度特性 を利用した高磁場マグネットとして適用される。 

超電導マグネットの利点は、低消費電力、永久電流モードでの高磁場発生が可能な点にあり、特に NMR 分析装置では、プロトンの共鳴周波数 900MHz 以上(発生磁場 21T 相当)の高磁場マグネットを備 えた装置が既に商品化されている。NMR 分析装置は、タンパク質等の高分子有機化合物の構造解析の 有力な手法として、ライフサイエンスの興隆に対応してその需要は年々増大している。また、高分子量有 機化合物の構造解析の必要性から、高磁場 NMR の実現が期待されていることは周知の通りである。 

ところで、上述した 20T 以上の磁場を発生できる高磁場超電導マグネットは、以前であれば、国家プロ ジェクト規模での開発対象となっていたが、NMR マグネットとして用いられるほどに小型化されてきている ことは、特筆に値する結果である。これは、マグネット設計、製作技術の発展によるものであることは言うま でも無いが、用いられる超電導線材の特性向上が大きく寄与している。その中でも、Nb3Sn 線材の特性向 上は顕著であり、今後の Nb3Sn 線材の応用範囲、使用量の拡大が期待される。 

Nb3Sn 線材は、原理が異なる数種の製法で製作され、超電導マグネットに供されている。それらの製法 中、最も超電導マグネットへの適用実績の豊富なものがブロンズ法であり、高磁場化に必須な高臨界電 流密度化の検討が行われている。一方、ブロンズ法では到達困難な高臨界電流密度特性の実現を目指 した新規製法による線材開発も活発に行われている。今回は、ブロンズ法線材の高臨界電流密度化に関 して実施中のブロンズの高 Sn 濃度かと新規高臨界電流密度線材開発を目的とした Sn-Ta 合金/Nb ジェ リーロール法線材の研究・開発状況について説明する。 

 

2.  ブロンズ法線材の高 Sn 濃度化  2-1  ブロンズ法の特徴と現状 

ブロンズ法線材は、Cu-Sn 合金(ブロンズ)マトリックス中に Nb フィラメントが多数本埋設された断面構成 が特徴の線材である。最終的な熱処理により Cu-Sn/Nb 界面に Nb3Sn 相を生成させる。共に延性を有す る Cu-Sn と Nb で構成されるため、複合材としての線材加工性に優れている。 

しかし、Cu-Sn 合金を Sn の供給源としているため、後述するように十分な Sn の供給量を得ることが困難 で、臨界電流密度(Jc)特性が他の製法に比較して低い。この欠点を改善するために、ブロンズの高 Sn 濃 度化が進み、現在では、Cu 中の Sn の固溶限(15.8wt%)を若干上回る 16%Sn まで高Sn 濃度化され、それ を適用した線材も実用化されている。[1] 

NMRマグネットにおいては、ブロンズ法線材が主として用いられ、先述したように高磁場マグネットの実 現が待たれており、ブロンズ法線材の高磁場中での一層の Jc 改善を目的に、より高 Sn 濃度ブロンズの適 用検討を進めている。[2], [3] 

 

2-2  ブロンズの高Sn濃度化 

ブロンズのα相中の Sn の固溶限(15.8wt%)を超える高 Sn 濃度ブロンズでは、Cu-Sn 系金属間化合物 の析出が多くなり、超電導線材料として用いる場合、その加工性を劣化させる。図  1 は、これまでに適用 検討した 17%Sn、18%Sn ブロンズの組織を示したものである。いずれも、溶体化熱処理後の組織である。

(2)

図 1 から明らかなように、高Sn濃度化に伴い、多くの Cu-Sn 系化合物が存在することがわかる。 

この金属間化合物の析出と加工性劣化の問題に対処するために、17%Sn ブロンズの適用においては、

静水圧押出条件を最適化することで線材化できた。しかし、Ti添加の 3 元系 18%Sn ブロンズでは、17%Sn ブロンズ線材化で用いた加工条件を適用したにもかかわらず線材化が困難であることが判明した。そこで、

18%Sn ブロンズの加工性を改善するために、第 4 元素添加による Cu-Sn 系化合物相の微細化を検討した。

その結果、Zr を 1.0%添加することで Cu-Sn 系化合物相が微細化され、18%Sn ブロンズも線材化することが できた。 

 

2-3.  高Sn濃度ブロンズ適用線材の特性 

表 1 および図  2 に線材化した 18%Sn ブロンズ適用線材の諸元と線材断面写真を示す。断面写真から、

18%Sn ブロンズを適用しても均一性の高い断面が得られ、線材加工性は従来線材と同等であることを確 認した。 

試作した高Sn濃度ブロンズ線材の 650℃x200h 熱処理後のJc特性および n 値の比較を図 3 に示す。

17%Sn ブロンズ線材では、Jc、n 値とも従来の 16%Sn ブロンズ線材に比較して向上する結果が得られ、高 Sn 濃度化の効果を確認できた。これに対し、Zr 添加 18%Sn ブロンズ線材では、n 値は向上するもののJc 特性が従来の 16%Sn ブロンズ線材より低下する結果となった。 

(a) Cu-16Sn-0.3Ti        (b) Cu-17Sn-0.3Ti (c) Cu-18Sn-0.5Ti 図 1  高 Sn 濃度ブロンズの組織比較(溶体化熱処理後) 

表 1 18%Sn ブロンズ Nb3Sn 線材諸元 

Wire diameter (mm) Filament diameter (µm) Cu ratio

Bronze composition (wt%)

Diffusion barrier material Filament composition (wt%)

0.8 4.8 0.38 Cu-18Sn-0.5Ti-1Zr

Nb-1Ta Ta

図 2 18%Sn ブロンズ線材の断面(φ0.8)

(3)

Zr 添加 18%ブロンズ線材では、熱処理後の線材断面のEPMA調査から、Sn濃度の高い Zr-Sn 系化合 物が存在し、Jc 低下は、この Zr-Sn 系化合物生成によりSnの拡散・供給が阻害されたことがその一因と考 えられる。現在、Zr 等の第 4 元素を添加しないブロンズでの高 Sn 濃度化(18%Sn 以上)の可能性を追求 中である。 

   

3. Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法線材の研究状況  3-1 Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法線材の特徴 

図4は、Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法線材の断面模式図である。この手法は、Nb−Ta 合金のコア

(巻芯)に、Sn-Ta 合金シートと Nb シートをジェリーロール状に重ね巻きした積層体をコアと同組成の Nb-Ta 合金シースに組込み複合・線材化する製法である。最終熱処理により、Nb-Ta 合金コア、シースと ジェリーロール部界面およびジェリーロール部内の Sn-Ta 合金/Nb 界面に高磁場特性に優れた(Nb・Ta)

3Sn 相が生成され、本手法により、ブロンズ法 線材では到達できていない高 Jc 特性が 20T 以上の高磁場中で得られることが実証され[4]、

その実用化が期待されている。 

本手法線材の実用化を図る上では、軟質の Sn 基合金と Nb の変形抵抗比の大きく異なる 2 層で形成されるジェリーロール状積層複合体 を健全に加工することが最重要課題となる。こ の種の複合材の加工方法として、ブロンズ法 線材の高 Sn 濃度化においてもその効果を発 揮した静水圧押出を適用した線材化の検討を 実施している。 

 

Non Cu Jc特性 (φ0.8線材) n値特性 (φ0.8線材)

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400

7 8 9 10 11 12 13

non Cu Jc (A/mm2 )

B (T)

after 650℃x200h

17Sn-0.3Ti 16Sn-0.3Ti

18Sn-0.5Ti-1.0Zr

35 40 45 50 55 60 65

7 8 9 10 11 12 13

n 値

B(T)

4.2K

after 650℃x200h

17Sn-0.3Ti

16Sn-0.3Ti 18Sn-0.5Ti-1.0Zr

図 3  高 Sn 濃度ブロンズ適用 Nb3Sn 線材の特性 

Sheath (Nb-3.3at%Ta)

Core (Nb-3.3at%Ta) Jelly Roll

Nb Sheet

Sn-Ta alloy sheet (Sn-Ta-Cu-Ti)

Sheath (Nb-3.3at%Ta)

Core (Nb-3.3at%Ta) Jelly Roll

Nb Sheet

Sn-Ta alloy sheet (Sn-Ta-Cu-Ti)

図 4 Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法線材模式図

(4)

3-2  静水圧押出法適用による Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法線材試作結果  表 2、図 5 は、静水圧押出を適用して試作した線材径φ

1.0mm の安定化 Cu 被覆 Sn-Ta 合金/Nb ジェリーロール法 線 材 の 試 作 線 材 の 諸 元 お よ び 断 面 を 示 し た もの で あ る 。 Sn-Ta 合金には、Sn/Ta のモル比が 3/1、Cu、Ti がそれぞれ 2.5wt%、3at%添加された 4 元系合金を用いている。ジェリーロ ールの Nb には、純 Nb を用いている。これらの金属シートをジ ェリーロールした積層体を、Nb-4at%Ta 合金シース(拡散バリ ア層)に挿入後、その外層に Cu を配した複合ビレットを静水 圧押出した。押出後は、一般的なダイス伸線で線材化したも のである。 

図 5 の断面写真には、図 4 の模式図に示したような明瞭な ジェリーロール構造が観察されず、Sn-Ta 合金と Nb が微細に 絡み合った複雑な組織を示した。これは、Sn-Ta 合金と Nb の 変形抵抗差に起因する現象であるが、最終熱処理における Sn-Ta 合金/Nb 界面における(Nb・Ta)3Sn 相生成の面では 有利に作用すると考えられる。この試作材を 725℃x120hで 熱処理して得られた高磁場臨界電流(Ic)特性を図 6 に示す。

20T、4.2K で約 130A の Ic が得られている。本試作線材は、

図 5 からわかるように、厚い Nb-Ta 合金の拡散バリア層が存 在するため、見掛け上 Ic が低くなる。そこで、ジェリーロール 部面積基準の Jc(Jc,JR)を算出すると、Ic:130A は 600A/mm2 の Jc,JRに相当する。適度な体積分率で安定化銅、拡散バリ ア層を配する構成にすることで、400A/mm2以上の Jc at 20T,  4.2K が得られることが分かった。 

一方、図 5 からわかるように、本試作線材は、Sn-Ta 合金 /Nb ジェリーロール部を超電導フィラメントとする単芯構造と なる。超電導線材として実用化するには、多芯化、即ち、細 径フィラメント化が必須となる。そこで、多芯化の可能性把握

を目的に、本試作線材の細径伸線を試みた。その結果、φ0.165 まで細径化できた。このときのジェリーロ ール部径は、100µm 以下となり、多芯化が十分に可能であることを確認した。 

今後は、本手法の高磁場特性の向上に関する試作と平行して、多芯線材化を進める予定である。 

  謝辞 

本研究・開発に、ご支援、ご協力いただいた大阪合金工業所、東海大、日立製作所および NIMS の 関係者の方々に感謝いたします。 

 

参考文献 

[1] G. Iwaki et al., IEEE Trans. Appl. Supercond., 12, 1045(2002)  [2]  岩城ら;低温工学・超電導学会講演概要集, 73, P53 (2005)  [3]  岩城ら;低温工学・超電導学会講演概要集, 74, P77 (2006)  [4] Tachikawa et al, Adv. Cry. Eng ., 52, 481 (2006) 

表 2  ジェリーロール法試作線材諸元

Wire diameter Cu ratio Sn-Ta alloy

Core Nb

1.0 mm 0.5 3/1(Sn/Ta)-2.5Cu-3Ti

pure Nb Nb-4at%Ta

Sheath Nb-4at%Ta

図 5  試作線材の断面  (φ1.0)

0 50 100 150 200

19 20 21 22 23 24 25

Ic (A)

B (T)

φ1.0 725℃x100h

図 6  試作線材の高磁場 Ic 特性 

Referensi

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