天王星・海王星について
北海道大学 総合教育部1年 辻 莉緒
第7回 うちゅうのがっこう
目次
天王星について
海王星について
天王星について
天王星のすがた
直径:51,118km /
地球の4.0
倍
質量:8.6×10^25kg /
地球の14.5
倍
密度:1.29g/cm
3
公転周期:84
年
太陽からの距離:13.85
~20.02AU
衛星:27
個
環:13
本http://solarsystem.nasa.gov/galleries/uranus-composite-ring-image
天王星のすがた
天王星の大気組成
水素
83
% ヘリウム15
% メタン2
% 天王星の色:青緑
大気中のメタンガスが赤い光を吸収するから 表面は
59
~68K
と低温天王星の内部構造
天王星は巨大氷惑星
岩石質の核
氷のマントル
水素・ヘリウムの大気
メタンの上層大気
内部は圧力が高い ため高温
天王星型惑星のでき方
天王星型惑星
天王星・海王星
http://www.rikanenpyo.jp/top/tokusyuu/toku2/fig2.jpg
ゆっくり成長したために、十分成長したこ ろには星雲ガスの大部分が失われていた
巨大氷惑星
イギリスの天文学者ジョン・
フラムスティードが初めて天 王星を発見していた
惑星としてではなく恒星としが て認識していた
天王星は古代の人々に存 在を知られることなく発 見された初めての惑星
天王星の発見
天王星の発見
ドイツのウィリアム・ハーシェル が望遠鏡で動く星を発見
•
オルガン奏者•
天文学者•
望遠鏡製作者https://ja.wikipedia.org/wiki/
%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA
%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%8F
%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB
はじめは彗星かと思ったが 観測を続けるうちにその星 が惑星の軌道を描いている ことに気づく
天王星の発見
最終的にその惑星の名は ローマ神話に登場する神サ トゥルヌスの父ウラヌスと された
サトゥルヌス(
Saturn=
土星)ウラヌス(
Uranus=
天王星)ハーシェルはその惑星を第二の祖 国となったイギリスの王ジョージ 三世にちなんで「ジョージ」と名 付けた、がフランスはそれに異議 を唱え「ハーシェル」と呼んだ
天王星の自転軸
天王星の自転軸は横向き
公転周期が
84
年なので昼が42
年続いたのち夜 が42
年訪れる公転面に対し
98
度 も傾いてる!http://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/187539main_hubble-330.jpg
天王星の自転軸
大半の惑星の自転軸はだいたいまっすぐ
例外 金星 自転軸が逆向き
天王星 自転軸が横向き
傾きの原因
仮説1:惑星形成の最終段階で地球サイズの天体が衝突
もともとはほかの惑星と同様にほぼ垂直な自転軸だった
天王星は横倒しに、衝突した天体は完全に破壊された
天体の衝突
問題点衛星が天王星とともに傾き 公転していること
(一回の衝突ではこのよう な現象は起こらない)
傾きの原因
仮説2:地球サイズの惑星が2回衝突した
衛星が完全に形成される前に1回の衝突
天王星が傾き、塵の円盤は赤道面に移動 (このままでは衛星の公転が逆向き)
衛星が完全に形成される前に2回の衝突
天王星も衛星も実際の形に近づく
衛星の材料となる塵の円盤 が存在していた頃
http://www.astroarts.co.jp/news/2011/10/12uranus/index- j.shtml
問題点
天体衝突が惑星の形成に大きな影 響を与えていたというこの説は、
従来の巨大ガス惑星は微惑星を外 にはじきとばしながら成長して
いったというモデルに矛盾
傾きの原因
仮説3:歳差運動と巨大衛星
原始惑星系円盤の重力が萌芽期の天王星をぐらつかせ歳差運動をさせた
ぐらつきが激しくなりほかの衛星が形成される 前に天王星は横倒しになった
天王星がその質量の
0.1
%に及ぶ巨大衛星を持っていたら
※ この衛星は近くを通った巨 大惑星が奪ったとされている
歳差運動
歳差運動とは
公転面に対し
23.4
度傾いている地球の地軸は一定ではなく大きな円を描いて 回転していて、約26000
年で1周する歳差運動
ちょうどコマの首ふり 運動と同じhttp://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/image/122.gif
歳差運動
歳差運動による現象
将来北極星がたとえばこと座のベガになることも…
歳差運動の原因
太陽や月、惑星の引力によって傾いた自転軸をもとに 戻そうとする力により歳差運動が生じる
http://
www.nao.ac.jp/faq/
a1007.html
天王星の衛星
天王星の衛星は27個
五大衛星(ミランダ、オベロン、チタニア、ウンブリエル、アリエル)
天王星の衛星はシェイクスピアとアレクサンダー・ポー プの作品に登場する人物の名前が付けられている
内側の衛星(
13
個)環と同じ塵状の物質(天 王星に近づきすぎたため
に粉砕された衛星の破 片)から形成されている
外側の衛星(
9
個)天王星に近づきすぎたため軌 道に引きずり込まれた天体
その間の衛星(
5
個)大型の衛星
生まれたての惑星の周り をまわっていた破片円盤
から形成された
ミランダ
パッチワーク ムーン
様々な地形を乱雑に寄せ集めたような外観
幸運の月
探査機ボイジャー2号が天王星の近くを通り 海王星に行くため加速をつけたとき、たまた まミランダのそばを通ったため発見
http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/
index.php?category=Uranus
ミランダの地形のなぞ
仮説1:衝突
過去に起きた衝突により1度粉砕され
その破片が再び寄り集まり衛星を再構成した
仮説2:潮汐力
潮汐力による伸長で生じた熱による激しい地殻変動
http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/
index.php?category=Uranus
ボイジ ャー計画
ボイジャー1号、2号は1977
年にNASA
が木星以遠の外惑星および衛星な ど観測するために打ち上げた探査機
2号は8
月20
日に、1
号は9
月5
日に宇宙へ飛び立った
1号、2号ともに土星や木星を探査
2号はその後まだ探査が行われていいなかった天王星、海王星へ向かった
現在、探査を終えたボイジャー1号、2号は太陽系外へ向かっているボイジ ャー計画
http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/
http://voyager.jpl.nasa.gov/
mission/images/interstellar_1.gif
海王星について
海王星のすがた
直径:49,526km /
地球の3.88
倍
質量:1.02×10^26kg /
地球の17
倍
密度:1.64g/cm
3
公転周期:165
年
太陽からの距離:29.75
~30.35AU
衛星:14
個
環:5
本http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA02210
海王星のすがた
海王星の大気組成
水素
80
% ヘリウム19
% メタン1.5
% 海王星の色:青
メタンが赤い光を吸収するため
天王星よりも大気中のメタンの量が多いため濃い青にみえる
表面は50
~53K
海王星の内部構造
海王星も巨大氷惑星
岩石質の核
氷と岩石のマントル
水素の大気
メタンの氷の雲 内部は圧力が高い
ため高温
海王星の発見
19
世紀初頭頃、天文学者は観察 された天王星の軌道と、太陽の 影響しか受けていなかったら天 王星がたどるはずの軌道を比較天王星の実際の軌道が予測 から外れており、年々その 異常が拡大していることを
発見
海王星の発見
天王星の背後で別の惑星 が天王星を引っ張ってい るのではないか、という
説が浮上
イギリスのジョン・クーチ・ア ダムスやフランスのユルバ ン・ルヴェリエが新しい惑星
のおおよその位置を計算 https://ja.wikipedia.org/wiki/
%E3%83%A6%E3%83%AB
%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%BB
%E3%83%AB
%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AA
%E3%82%A8 https://ja.wikipedia.org/wiki/
%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB
%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%BB
%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%BA
海王星の発見
ルヴェリエから推定値を受 け取ったドイツの天文学者 ヨハン・ゴットフリート・ガレ
が海王星を発見 イギリスとフランスの間で優先 権をめぐる論争が起きたが最終
的にアダムズとルヴェリエが 会ったことで親友となり功績は
二人に等しく与えられた
海王星の発見はその存在が予測されていた ニュートン科学の勝利
大暗斑、小暗斑、スクーター
大暗斑、小暗斑
海王星の南半球でボイジャー2号が発見した木星 の大赤斑に似ている楕円形の渦
その正体は高気圧性の渦
スクーター
16
時間程度で海王星を1周する白い雲http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/
index.php?
search=&category=Neptune#submit
大暗斑の消失
1989
年にボイジャー2号が発見した大暗斑 は1994
年にハッブル宇宙望遠鏡が海王星を 観察したころには消失していた
一方北半球に新しい暗斑が出現していた 海王星には季節が存在http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/
index.php?
search=&category=Neptune#submit
http://www.jpl.nasa.gov/
spaceimages/index.php?
search=&category=Neptune#sub mit
海王星の衛星
海王星の衛星は 14 個
特徴的な衛星はトリトン
http://www.astroarts.co.jp/news/2013/07/17neptune_moon/index-j.shtml
衛星の種類
順行衛星
公転方向が惑星の自転と同方向の衛星
逆行衛星
公転方向が惑星の自転と逆方向の衛星
羊飼い衛星
自身の重力により惑星の環を保つ働きをしている衛星
火星のフォボス地球の月 など
天王星のトリトン 土星のフェーベ
など
土星のパンドラ、
プロメテウス など
トリトン
海王星最大の衛星
地球の月の
2/3
の大きさ 氷と岩でできている 黒い噴煙
極冠の固体窒素がガスに変化し、氷の割れ目 を突き破り噴出
逆行衛星
海王星の自転と逆向きに公転
土星の衛星エンケラ ドゥスでは氷が噴出
トリトンの起源
3つの天体の遭遇?
海王星の強い重力に引き寄せられたのは天体のペア
海王星との遭遇により一方は無限の彼方へと弾き飛ばされ、
もう一方は海王星にとらわれた
捕獲説
http://www.jpl.nasa.gov/
spaceimages/details.php?
id=PIA00340
トリトンの起源
捕獲説の正当性
トリトンは逆行衛星である
誕生直後の惑星の周りにある破片円盤から形成される大きな衛星は順行のはず とらえられた衛星なら逆行の可能性ありトリトンの起源
連星であるとする理由
トリトンのような大きな天体は極端な低速で移動していない限り捕獲すること は困難、トリトンが超低速であったとは考えられない
天体の供給源であると考えられているカイパーベルト天体の多くは連星連星の片方が遠方にとばされ、トリトンが速度を落としたと考えれば矛盾がない
冥王星の衛星 カロンも連星
トリトンの運命
逆行衛星トリトンの今後
海王星により潮汐力を受けて公転半 径は小さく、公転速度は遅くなり
トリトンの軌道が変化 海王星
トリトン
海王星の自転方向 引力
潮汐による変形
トリトンの運命
軌道変化により…
トリトンはいつの日か海王星に落下する運命にある 落下後は海王星の環を形成するといわれている
月と地球では月の公転方向と自転方 向が同じで地球の自転のほうが速い
月は地球から遠ざかってる
参考文献
Scientific American “Double Impact: Did 2 Giant Collisions Turn Uranus on Its Side?”
http://www.scientificamerican.com/article/uranus-axial-tilt-obliquity/
アストロアーツhttp://www.astroarts.co.jp/index-j.html
理科年表オフィシャルサイト 惑星形成概論: 最新 “ 太陽系の作り方 ”http://www.rikanenpyo.jp/top/tokusyuu/toku2/
NASA
http://www.nasa.gov/
国立天文台http://www.nao.ac.jp/faq/a1007.html
JAXA
http://spaceinfo.jaxa.jp/
参考文献
マーカス・チャウンの太陽系図鑑株式会社オライリージャパン 著 マーカス・チャウン 訳 糸川洋
Newton
太陽系ニュートンプレス 監修 水谷仁
Newton
別冊 太陽系全カタログ ここまでわかった惑星の姿ニュートンプレス
Newton
別冊 探査機が明らかにした太陽系のすべてニュートンプレス 監修 水谷仁