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Title Journal , 121(3): 223-226 URL http://hdl.handle.net/10130/5592 Right Description

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Title 【研究成果報告】学長奨励研究助成成果報告

Journal 歯科学報, 121(3): 223‑226

URL http://hdl.handle.net/10130/5592 Right

Description

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① ヒト末梢血血液細胞由来 iPS 細胞を用いた 骨再生療法の開発

口腔顎顔面外科学講座 加藤 宏

緒 言

iPS 細胞はその細胞特性から疾患メカニズムの解 明,再生医療の材料としての利用,創薬への応用な ど,その活用方法は多岐にわたる。近年では iPS 細 胞から様々な細胞への誘導が可能となっており,再 生治療への応用の期待は大きくなってきている1)

顎骨腫瘍・顎骨嚢胞・唇顎口蓋裂など,口腔外科 領域が対象とする疾患には先天的あるいは後天的に 骨欠損を生じることが多く,骨欠損が広範囲に及ぶ ものに対しては骨移植治療が必要になる。骨移植治 療においては,人工材料の利用など,これまでに 様々な手法が試みられているものの,いまだに自家 骨移植術が骨再生医療の第一選択とされている2)。 自家骨移植は患者に与える侵襲が大きいため,幹細 胞技術を応用した骨再生治療が代替治療療法として 期待され,現在においても基礎的な研究が数多く行 われている3)

本研究は,低侵襲な骨再生療法の開発観点から,

ヒト末梢血血液細胞より iPS 細胞を樹立し,それら を骨芽細胞誘導して移植に用いるべく,その特性を 評価した。

材料および方法

1)ヒト末梢血血液細胞由来 iPS 細胞の樹立 採血は申請者が同意の得られた32歳の健常者から 実施した。採取した末梢血は ficoll 法を用いて単核 球を分離した後,試薬を添加した血液培地を用いて T 細胞を選択的に取得した。得られた T 細胞には センダイウィルスベクターを用いて初期化因子(Klf

−4,Oct3/4,Sox2,c−Myc)を 導 入 し,iPS 細胞の樹立を行った4)

2)骨芽細胞分化誘導

骨芽細胞誘導方法は以前にわれわれが確立したヒ ト iPS 細胞を効率的に骨芽細胞誘導する方法に従っ

て行った5)。誘導骨芽細胞は real time PCR 法にて 骨芽細胞マーカーの発現の評価を行った。

3)細胞移植

誘導骨芽細胞はラット頭蓋骨欠損モデルに移植し て骨形成能の評価を行った。骨欠損モデルは,ラッ ト頭蓋骨に矢状断を境界に形成した直径5mm 穴を 使用した6)。足場材料はアテロコラーゲンスポンジ を使用し,細胞(2.0×10/20µL)を塡入して骨欠 損部に移植し,コントロールとしては,細胞を移植 しないアテロコラーゲンスポンジのみを移植する群 とした。移植後4週後にラット頭蓋骨を摘出し,マ イクロ CT による画像評価後,組織切片を作製し,

組織学的な評価を行った。

結 果

初期化遺伝子を導入後,線維芽細胞と同様に末梢 血血液細胞から iPS 細胞様のコロニーを確認するこ とができた。得られた iPS 細胞は ALP 染色に陽性 反応を示し,RT−PCR にて未分化マーカーである SOX2,OCT3/4,REX1,NANOG の 発 現 を 認 めた。また,テラトーマ形成において,内胚葉・中 胚葉・外胚葉の三胚葉分化を確認することができ た。

14日間の骨芽細胞誘導後,骨芽細胞マーカーとし てタイプ1コラーゲン,組織非特異的アルカリホス フ ァ タ ー ゼ,RUNX2の mRNA 発 現 を real time PCR にて評価したところ,いずれも経時的に発現 の上昇を認めた。

細胞移植実験においては,細胞移植群が足場単味 群と比較して,骨欠損部に新生骨形成を認めた。新 生骨は骨欠損部周辺からだけでなく,中心部におい ても認めることができた。組織学的評価にて,移植 により形成された骨組織には層板構造が認められ,

成熟骨組織であることが示唆された。

考 察

近年の研究では,iPS 細胞はさまざまな体細胞か ら樹立が可能となっているだけでなく,多くの種類 の細胞を誘導することが可能である。今後も iPS 細 胞研究は再生医療を進歩させる可能性があり,その

研究成果報告

⑴学長奨励研究助成成果報告

歯科学報 Vol.121,No.3(2021) 223

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期待は大きい7)。これまでに末梢血血液細胞から iPS 細胞の樹立の報告はあるが,骨芽細胞誘導した報告 はない。本研究にて,末梢血血液細胞由来 iPS 細胞 から骨芽細胞誘導が可能であることが示唆された。

iPS 細胞は皮膚線維芽細胞から確立されることが多 いが,末梢血細胞の採取は皮膚線維芽細胞の採取よ りも簡便で侵襲性が低いという利点がある。また,

樹立までに要する期間も短く,低侵襲な骨再生治療 の細胞源として末梢血血液細胞由来 iPS 細胞の有用 性が示された。

Treponema denticola の宿主免疫回避機 構 の解明

微生物学講座 国分栄仁

緒 言

Treponema denticolaは運動能を有するらせん状の 偏性嫌気性菌であり,慢性歯周炎病巣から高頻度で 検出され,歯周病原細菌のひとつとされている。T.

denticolaの示す歯周病原性としては,タンパク分解

酵素(dentilisin)によるサイトカイン分解作用や補 体活性化作用,major outer sheath protein(Msp)

による TLR-2刺激作用等による宿主の免疫機構を 攪乱が代表的なものである1,2)。また,T. denticola の運動性は口腔内の上皮細胞や組織内への侵入に 関与し3),病原性に深く関連すると考えられる。

運動性を有するSalmonellaYersinia属は,マクロ ファージによる貪食と殺菌からの回避機構を持つこ とが報告されている。しかしながら,T. denticola の運動性や組織侵入メカニズム,免疫細胞からの回 避機構は未だに明らかにされていない部分が多い。

そこで今回の研究では,菌体表層の病原因子のT.

denticolaの運動性への関与に注目し,これら病原因

子の欠損株を用いて運動性の変化を解析した。

材料および方法

Treponema denticola ATCC 35405,prtPおよび msp欠損株の3菌株を実験に用いた。各T. denticola は TYGVS 培地にて嫌気条件下にて3日間培養し たものを実験に用いた。運動性の解析は,寒天培地 上に菌懸濁液を滴下して1週間培養し,寒天内に広 がったコロニーの面積を測定した。また,培養した

T. denticolaを1%セルロースに混ぜて生菌のまま

暗視野顕微鏡にて60FSP での映像を記録した。映 像は ImageJ および Imaris ソフトウェアを用いて 解析を行った。

文 献

1)Daisy A Robinton, George Q Daley : The promise of induced pluripotent stem cells in research and ther- apy. Nature,481(7381):295−305,doi:10.1038

/nature10761,2012.

2)Saha A, Shah S, Waknis P, Bhujbal P, Aher S, Vaswani V : Comparison of minimally invasive ver- sus conventional open harvesting technique for iliac bone graft in secondary alveolar bone grafting in cleft palate patients : a systematic review. J Korean Assoc Oral Maxillofac Surg,45:241−253,2019.

doi:10.5125/jkaoms.2019.45.5.241

3)Melville JC, Mañón VA, Blackburn C, Young S : Cur- rent methods of maxillofacial tissue engineering.

Oral Maxillofac Surg Clin North Am,31:579−591, 2019.doi:10.1016/j.coms.2019.07.003

4)Ochiai­Shino H, Kato H, Sawada T, Onodera S, Saito A, Takato T, Shibahara T, Muramatsu T, Azuma T : A novel strategy for enrichment and isolation of os- teoprogenitor cells from induced pluripotent stem cells based on surface marker combination. PLoS One,9,e99534,2014.doi:10.1371/journal.pone.

0099534

5)Nishimura K, Sano M, Ohtaka M, Furuta B, Ume- mura Y, Nakajima Y, Ikehara Y, Kobayashi T, Se- gawa H, Takayasu S, Sato H, Motomura K, Uchida E, Kanayasu­Toyoda T, Asashima M, Nakauchi H, Yamaguchi T, Nakanishi M : Development of defec- tive and persistent Sendai virus vector : a unique gene delivery/expression system ideal for cell re- programming. J Biol Chem,286:4760−4771,2011.

doi:10.1074/jbc.M110.183780

6)Hayashi K, Ochiai­Shino H, Shiga T, Onodera S, Saito A, Shibahara T, Azuma T : Transplantation of human­induced pluripotent stem cells carried by self­assembling peptide nanofiber hydrogel im- proves bone regeneration in rat calvarial bone de- fects,2016.BDJ Open,2:15007.doi:10.1038/

bdjopen.2015.7

7)Csobonyeiova M, Polak S, Zamborsky R, Danisovic L : iPS cell technologies and their prospect for bone regeneration and disease modeling : a mini review.

J Adv Res,8:321−327,2017.doi:10.1016/j.jare.

2017.02.004 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ 224

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結 果

寒天内に形成したコロニーの面積は野性株が約 0.75cmであるのに対し,欠損株はともに0.5cm 程度であった。T. denticolaの動きをトレースした 結果,直線や曲線的な動き,あるいは前後にスイッ チングする像を認め(図左下),移動の際に菌体表 層の一部を基質に固定しながら移動する像を観察し た。また,個々の細菌の速さは一定ではなく,速度 が変化したり,途中で停止したのち再度動き出す像 も認めた。個々の細菌の軌跡から平均移動距離を算 定した結果,野性株では菌体が1回転すると約0.25 µm 移動し,1分間当たりの移動距離は野性株およ びmsp欠損株はそれぞれ約16µm/min,15µm/min で あ る の に 対 し,prtP欠 損 株 で は4µm/min で あった。次に,T. denticolaの動きに関して暗視野 顕微鏡で観察をすると,菌体の一部は光の反射が異 なっており,その部分は菌体の移動に変化しないこ とを認めた(図右上)。時間の変化を色分けしてト レースすると,移動の軌跡は波状を呈していた(図 右下)。

考 察

本菌の遺伝子欠損株は寒天ゲル内での移動,お よび基質上での移動が低下したことから,表層タン パクが運動性に影響することを認めた。両遺伝子欠 損株では運動性が低下していたが,液体中での回転

速度に関しては差を認めなかったため,dentilisin も Msp もT. denticolaの回転運動に影響を与えない と考えられた。しかしながら欠損株の移動距離は減 少していることから,菌体と基質との相互作用に影 響していると考えられた。また,本菌の移動には液 体の粘度や温度に強く影響することが報告されてお り4),その基質と菌体表層タンパクの相互作用が菌 株の運動性の違いに影響していることが示唆され た。Msp と dentilisin は菌体表面に存在しており,

Msp はフィブロネクチン接着性がある1)。Dentilisin の不活化は Msp の発現に影響する5)ことから,口腔 環境でも同様に歯肉溝内や粘膜上 皮 で の 移 動 に dentilisin と Msp が関わることが示唆され,これら の病原遺伝子の歯周組織上での運動に与える特性を さらに解析する必要がある。

文 献

1)Fenno JC, Muller KH, McBride BC : Sequence analy- sis, expression, and binding activity of recombinant major outer sheath protein(Msp)of Treponema den- ticola, Journal of Bacteriology,178:2489−2497,

1996.

2)Ishihara K, Miura T, Kuramitsu HK, Okuda K : Characterization of the Treponema denticola prtP gene encoding a prolyl-phenylalanine-specific pro- tease(dentilisin).Infect Immun,64:5178−5186,

1996.

左上:暗視野顕微鏡で撮影したT. denticola各細菌に異なる色付けを行っ た。左下:色付けした菌体の動きを5分間トレースし1画像上に表示し た。右上:T. denticolaを10秒間コマ送りで表示。同右上:kymograph に よる10秒間の連続描写。右下:菌体の移動と時間変化を色により示した写 真。

歯科学報 Vol.121,No.3(2021) 225

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3)Ellen RP, Galimanas VB : Spirochetes at the fore- front of periodontal infections. Periodontology 2000:38(2005)13−32.

4)Ruby JD, Charon NW : Effect of temperature and viscosity on the motility of the spirochete Tre- ponema denticola. FEMS Microbiology Letters,

169:251−254,1998.

5)Bian XL, Wang HT, Ning Y, Lee SY, Fenno, JC : Mutagenesis of a novel gene in the prcA-prtP pro- tease locus affects expression of Treponema denti- cola membrane complexes, Infect, Immun,73:1252

−1255,2005.

東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ 226

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