第1学年 国語科学習指導案
指導者 1組 2組
読書活動推進補助教員
1 単元名 むかしのおはなしをたのしむ 『天にのぼったおけやさん』
~きかせよう!ぼく・わたしのだいすきなむかしばなし~
2 目標
3 学習指導要領との関連
C 読むこと(3)「書かれている事柄の順序や場面の様子などに気付いたり,想像を広げたりしなが ら読む能力を身に付けさせるとともに,楽しんで読書しようとする態度を育て る。」
「ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。」
「ウ 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。」
「カ 楽しんだり知識を得たりするために,本や文章を選んで読むこと。」
4 児童の実態 調査 11月25日(火) 調査人数
児童はこれまでに『りすのわすれもの』を通して,登場人物になったつもりで音読を楽しんだ。
また,毎日の音読の宿題を通して,言葉のまとまりを意識しながら読んだり,授業中の音読の際に は,友達に聞こえる声で読んだりすることができるようになった。
しかし,読み方を工夫しているつもりになっていても,場面の雰囲気や言葉のリズムを感じた読 みに繋がっていない児童が見受けられる。音読を通じて,情景を想像し,聞き手側に話の面白さを 伝えられるようにさせていく必要がある。そのために,以下のような調査を行った。
1 単元に関する実態 人数 1組( ) 2組[ ]
(1) 昔話を読んでもらうことは 好きですか。
好き どちらかというと 好き どちらかというと 好きでない 好きでない (23)[20] (4)[7] (1)[1] (1)[1]
(2) 自分で昔話を読むことは 好きですか。
好き どちらかというと 好き どちらかというと 好きでない 好きでない (21)[16] (3)[7] (2)[1] (3)[5]
○親しみを感じながらいろいろな昔話の本を読書したり,音読したりしようとする。
<関心・意欲・態度>
○順序や場面の様子などに気づいたり,想像を広げながら読んだりする能力を身に付けることが できる。 <読むこと>
○昔話の読み聞かせを聞いたり,発表し合ったりすることを通して昔話のおもしろさや,独特の 語り口調や言い回しに親しみを感じることができる。
<伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項>
(3) (2)について そう思う理由
①好きな理由 ②好きでない理由
・話がおもしろいから(15)[16] ・話がおもしろくないから(1)[4]
・昔のことがわかるから (16)[9] ・話が難しいから(2)[4]
・言葉がおもしろいから (7)[10] ・話が長いから(1)[5]
・絵がおもしろいから (12)[10] ・絵が怖いから(2)[1]
(その他)・こわいのがおもしろい。 (その他)・寝るときに思い出してしまうので。
・題名がおもしろい。 ・めんどくさい。
(4)(並行読書をする本が重ならないように選書した)次の昔話を知っていますか。
<1組> <2組>
ももたろう(27) おむすびころりん[27]
さるかに(21) ねずみのすもう[17]
わらしべちょうじゃ(8) 3まいのおふだ[14]
わかがえりの水(7) かもとりごんべえ[13]
たべられたやまんば(6) おだんごころころ[8]
ぶらぶらたろすけ(4) だいくとおにろく[8]
へそもち(4) ばけくらべ[8]
やまなしもぎ(4) ふしぎなたけのこ[6]
だごだごころころ(3) でっかいまめたろう[6]
ききみみずきん(2) へっこきあねさがよめにきて[6]
☆本単元の前に『まのいいりょうし』を読み聞かせ,レディネステストを行った結果は,下記の通り
である。
(1)話の内容を正確にとらえる。(10問)
10問(0)[0] 9問(1)[1] 8問(0)[2] 7問(5)[3]
6問(3)[4] 5問(6)[0] 4問(2)[4] 3問(5)[4]
2問(4)[4] 1問(1)[2] 0問(2)[2]
(2)昔話の独特な語り口調や言い回しがわかる。
わかる(4)[4] わからない(25)[25]
(3)昔話のおもしろさがわかる。
わかる(17)[16] わからない(12)[13]
(4)上手な音読の仕方がわかる。
わかる(10)[9] わからない(19)[20]
2 考察
ほとんどの児童が,昔話を読んでもらうことも自分で読むことも好きだと答えている。数名,読 んでもらうことは好きだが,自分で読むのは好きでないと答えている。そのような児童は,昔話は 話が長く,難しいというイメージを持っているので,昔話はおもしろくないと感じてしまっている ようである。
知っている昔話についての調査では,有名な話はだいたいが知っていることがわかった。並行読 書する本については,ほとんどの児童が知っている本とあまり知られていない本を選ぶことができ た。
レディネステストでは,ほとんどの児童に知られていない『まのいいりょうし』を読書活動推進補 助教員に読み聞かせをしてもらって行った。聞いている様子は話の世界に浸って楽しんでいる様に 見られたが,その直後に内容についてテストすると,事の始まりの理由や何を手に入れたかを覚え ていなかったり,話のおもしろさが書けなかったりする児童が多かった。知っている昔話の中にも,
正しく話を覚えていないものもあると考えられる。昔話の独特な語り口調や言い回しについて,ほ とんどの児童が気づかなかった。本単元を通して昔話の独特な語り口調や言い回しに気づかせ,親 しんでいく必要があると感じた。
上手な音読の仕方については,「、」「。」を空けて読むことや,声の大きさなどを挙げた児童 はいるものの,文章や言葉が音読に関係していることに気づいている児童は数名だった。登場人物 の気持ちや情景がわかる言葉に着目することで,音読の仕方が変わる工夫があることを学習させる ことが大切であると考える。
今後,知らない本に出会う喜び,自分で手にとって読む楽しさ,そして児童が自ら選んだ本を紹 介し合うことで,昔話の楽しさを味わう活動を広げていきたい。
きかせよう! ぼく・わたしのだいすきなむかしばなし 5 指導観
本単元「むかしのおはなしをよむ」で,児童は学習として初めて古典に出会う。昔話とは「むかし,
むかし」で始まり,昔から人々が語り継いできた話である。児童は,これまでに,幼稚園・保育園,
家庭などで読み聞かせをしてもらったり,テレビやDVD,絵本などで目にしたりしている。ここで は,自分から昔話の本を手に取り「誰かに教えたいな」「聞かせたいな」という気持ちがわき起こる ような指導を心がけたい。
本教材『天にのぼったおけやさん』は,主人公が繰り広げる奇想天外な冒険の話である。この話は 児童の好奇心をくすぐり,空想の世界に遊ぶ楽しさを味わわせてくれる。主人公が桶のたがにはじか れて傘屋へ行ったり,雲の上まで飛ばされて「かみなりさん」に出会って雨を降らせたりする。その 時々の気持ちや様子は,1年生児童にとっても楽しみながら読み進められるであろう。
最初の出会いで,教師が情感たっぷりに読み聞かせを行うことで,昔話を読む楽しさをしっかり味 わわせたい。そして「おけやさんのたびのちず」を作り,視覚的に全体の文章構成がわかるようにす る。本時や気に入った場面を音読する際にも,主人公が現在どの場面にいて,どのような気持ちでい
るのかを確認するために有効に活用していきたい。音読を中心にして読み深めていくため,言葉や文 にこだわって自分が想像した様子を伝えるために声の出し方や大きさ,高低などを工夫のコツとして いく。また,グループや学級の友達と意見を交換して広げていきたい。
学習と並行して昔話の本を児童が手に取りやすい場所に置き,昔話の世界へ浸らせたい。その際,
読んだ感想を書き,掲示させていく。感想を書く際には,「○○が,おもしろかった。」で終わらない ように,感想の言葉を例示し,自分の気持ちに合う言葉を選べるようにしていく。
学習の最終目標として,他の学級に「だいすきな本の紹介」をする活動を取り入れる。学級で話し 合い紹介する本6冊を決め,グループに分かれる。その話の一部をペープサートや紙芝居を使いなが ら紹介する。その際,登場人物の心情や情景が伝わるような音読のしかたについて考え,発表できる ようにしていきたい。そして,このような学習を通して,昔話特有の言い回しの良さを味わいながら,
読書する楽しさを感じさせていきたい。
6 仮説とのかかわり
仮説1 読書を取り入れた単元構成の工夫
・教師が選書した昔話を読み聞かせしたり,児童が手にとって読んだりする活動を行うこと によって,昔話の世界に浸らせる。
・「きかせよう ぼくわたしのだいすきなむかしばなし」という目標をもたせることで,自 分の好きなお話を見つけ,いろいろな昔話を読み進めさせる。
・お話のおもしろさを紹介したカードを掲示することで,自分では気がつかなかったおもし ろさに気づかせたり,次に読む本を決めるきっかけにさせたりする。
仮説2 言葉に関わって読む工夫
・昔話独特の語りや言い回しなどに着目して読み方を考えさせていくことで,昔話への親し みやおもしろさを感じさせていく。
・児童にとって難しい言い回しや言葉,情景などを実物や写真,挿絵などを見せながら説明 していくことで,想像を広げて読む手助けにさせる。
仮説3 音読を効果的に取り入れた工夫
・文章構成図である「おけやさんのたびちず」を掲示し視覚的にも理解できるようにする ことで,おけやさんの様子や気持ちを想像しやすくさせ,楽しく音読できるようにする。
・音読し合ったり,読み聞かせし合ったりする活動を多く取り入れていくことで,昔話の 世界を学級・学年の仲間と楽しく共有させていく。
仮説4 評価の工夫
・想像したことや音読の仕方などを話し合うことで,子ども同士が認め合う相互評価の機会 を多くする。
・上手な読み方のコツを明確にし,ふりかえりカードに自己評価させる。
・ワークシートを活用し,昔話のおもしろさについて考えをまとめやすくする。
文章構成図(文章の姿)
7 指導計画(10時間扱い)
過程 学習内容と学習活動 評価 時配
み と お す
( 1)
○単元の見通しをもつ。
○読書活動推進補助教員による本の紹介と読み聞かせ により,いろいろな昔話を知る。
○昔話を読み,おもしろいところを見つけたり,友達に 紹介したい昔話を探したりする。(並行読書)
○『天にのぼったおけやさん』のおもしろいところを カードに書いて発表し合う。
○挿絵をもとに話の流れを読み取り「おけやさんのたび ちず」を作る。
○「お気に入りの昔話を他の 学級の友達へ紹介するとい う課題を理解している。
○話の概略をつかんでいる。
○話のおもしろいところを見 つけている。
1
ふ
か
め
る
(4
)
○(一)(二)段落の登場人物の気持や様子,場面の情 景が伝わるような言葉に注目して,音読の仕方を工夫す る。
○昔話独特の語りや言い回しの表現を知る。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○注目する言葉を見つけるこ とができる。
○自分の想像に合わせた音読 をしている。
1
○(三)段落の登場人物の気持や様子,場面の情景が伝 わるような言葉に注目して,音読の仕方を工夫する。
○昔話独特の語りや言い回しの表現を知る。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○注目する言葉を見つけるこ とができる。
○自分の想像に合わせた音読 をしている。
1 2組 本時
○(四)段落の登場人物の気持や様子,場面の情景が伝 わるような言葉に注目して,音読の仕方を工夫する。
○昔話独特の語りや言い回しの表現を知る。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○注目する言葉を見つけるこ とができる。
○自分の想像に合わせた音読 をしている。
1 かさやさんでのできごとをそうぞうをひろげて,じょうずにおんどくしよう。
天でのできごとをそうぞうをひろげて,じょうずにおんどくしよう。
<単元を貫く言語活動>
きかせよう ぼく・わたしのだいすきなむかしばなし
『天にのぼったおけやさん』のはなしのおもしろいところをみつけよう。
まつの木のてっぺんでのできごとをそうぞうをひろげてきかせよう。
○(一)~(四)の好きな場面を選ぶ。
○グループごとに役割を決めて音読の練習をする。
○学級内で発表会を行う。
○友達の音読を聞き,読み方の良さを伝え合う。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○担当した役割について工夫 して音読をしている。
○友達の発表を聞き,良いと ころを見つけている。
1
ま
と
め
る
・
ひ
ろ
げ
る
( 5
)
○これまで並行読書してきた本の中から,友達に紹介す る本を選び,グループを作る。
○選んだ本をもう一度読み直し,どこがおもしろかった のかについて話し合う。
○友達に紹介する場面を選び,昔話独特の語りや言い回 しに気をつけながら,音読の仕方について考える。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○選んだ場面の音読のしかた について,昔話独特の語り や言い回しに気をつけなが ら考えている。
1
○グループ内で役割を決め,発表の練習をする。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○選んだ場面について,工夫 しながら音読をしている。
2
○学級内で発表会をし,良いところや改善点について話 し合う。
○読書活動推進補助教員による音読の仕方について助 言をしてもらう。
○友達の良いところや改善点 について考えることができ る。
1 1組 本時
○話し合ったことをもとに再度練習する。
○他学級に行って,大好きな昔話の紹介をする。
○自分たちの発表について振り返る。
○読書活動推進補助教員に講評をしてもらう。
○工夫して音読をすることに より,大好きな本の紹介を することができる。
1 すきなばめんをえらび,おんどくはっぴょうかいをしよう。
だいすきなむかしばなしのおんどくのしかたをかんがえよう。
はなしのおもしろさがつたわるように,おんどくのれんしゅうをしよう。
おんどくをききあって,よいところやなおしたほうがよいところをつたえあお う。
「きかせよう ぼく・わたしのだいすきなむかしばなし」はっぴょうかいを しよう。