• Tidak ada hasil yang ditemukan

「エコ・小」活動の課題と対策

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "「エコ・小」活動の課題と対策"

Copied!
9
0
0

Teks penuh

(1)

「エコ・小」活動の課題と対策

1 人当たり排出量 25kg-CO2 の達成

公益社団法人 国際観光施設協会 エコ・小 委員長 佐々山 茂

過去 5 年間のエコ達人村の活動から温泉旅館のエネル ギー利用、CO2 排出量の課題と対策がかなりわかって きた。お客様1人当たり1日に排出する CO2 の平均は 36kg と分析し、それを 25kg 以下で運営するのが適切 であると考えている。

※M-01~09 は環境省の事業で使用したモデル旅館

(1)温泉旅館のエネルギー利用の傾向 1.1 定員稼働率と CO2 排出量

稼働率が高い旅館の方が低い旅館より一人当たり CO2排出量は少ないと考えられるが、図表1に示すよ うに稼働率とCO2排出量との相関関係は見られない。

これは温泉旅館ではエネルギー使用量が有効に管理さ れていないことの証である。宿泊客数の多少に係わら ず設備機器の運転で多量のCO2 が排出されるので、

設備の運用改善でエネルギー(化石燃料・電力)を削 減することがCO2排出量削減のポイントとなる。

図表1定員稼働率と1人当たりCO2排出量分布

1.2 施設の面積と最大需要電力量(デマンド)

図表2に示すようにモデル温泉旅館のデマンド平 均値は38.3w/㎡で,最頻値の30~40w/㎡とほぼ 一致する。デマンド値は空調設備の主な熱源が化石

燃料か電力かによって左右されると思われるが、現 実は過剰なポンプの台数、容量によるところが大き い。

図表2に単位面積当りデマンド値の度数分布

1.3 1人当たり電力使用量の度数分布

図表 3 に1人当りの電力消費量の度数分布を示す。

対象旅館の平均値は 37.1kWh/人であり、最頻値の30

~40kWh/人とほぼ一致する。40kwh/人を超える施設 は3割を超えている。

電力消費量の削減には、設備動力、電灯の削減だけ でなく、施設内の各部門における節電活動が大切であ り、従業員の意識改革が望まれる。

図表3 利用客1人当りの電力消費量の分布

1.4 1人当りの油消費量

図表4 に1人当たり油使用量の度数分布を示す。モ デル旅館の平均値は7.4L/人で最頻値の5~7.5L/人の 上限で、空調設備熱源や低温温泉の昇温で消費される 割合の程度によって異なる。

資料2

(2)

とくに低温温泉の昇温で消費している施設では、浴 場排湯熱回収や浴場営業時間外に浴槽への温泉補給の 停止、入浴客数に応じた補給制御を行うなどの方法で、

消費量を削減する余地を残している施設が多い。

図4 1人当たり油使用量の分布

1.5 ガスの消費に伴う CO2 排出量

図表5にガス消費に伴う1人当りのCO2排出量の 度数分布を示す。

1人当たりの消費量が20kg/人と極端に多い2軒は除 外した35軒の平均値は2.7kg-co2/人となり、最頻値 2.0 kg-co2/人より多い。多くの旅館は厨房での消費に 限定されている。ガス熱源のボイラや冷温水発生機を 設置している旅館は多量のガスを消費するので、両者 は別に分類して検討する必要がある。

図5ガス消費に伴う1人当りのCO2排出量分布

1.6 客室数と CO2 排出量

図表6に客室数毎のCO2排出量の分布図を示す。

明確ではないが相関関係はられるが、100室を超えた あたりからばらつきが大きくなる。

近似式:CO2排出量=20×客室数+500

図表 6 客室数とCO2排出量分布

1.7 暖地と寒地のCO2排出量

モデル旅館を図表7に示すように暖地と寒地に区分 して1人当りCO2排出量を算出した結果を図表7に 示す。総CO2排出量の平均値は暖地で42.7kg- CO2

/人、寒地で43.3kg-CO2/人とほぼ同じである。ガ ス+油の合計値の平均値は暖地で 20.9kg-CO2/人、

寒地で23.6kg-CO2/人と寒地が10%強多い。

一般に冷房負荷は暖地が、暖房負荷は寒地が多くなる が、寒地では暖房時間が長く外気との温度差も冷房よ りも大きく暖房用エネルギー消費量が多くなるので1 人当りのCO2排出量は暖地よりも多くなると思われ る。しかしそれほどの差がないので暖地でのエネルギ ーに無駄が隠されている可能性が高い。

図表7暖地と寒地別の1人当りCO2排出量分布

2

(3)

(2)各種エネルギー利用の問題点 2.1 電気関係の問題点

・デマンドと延べ床面積、入込人員との相関関係は図

表8、図表9に示すように

1、 デマンドは修正人員(kWh/人)よりも延床面積

(kWh/㎡)に依存していると言える

2、 同じように電力量[kWh]は修正人員[人]より も延床面積[kWh]に依存していると言える。

入込人員が減ってもデマンド、電力量はほとんど減 らないし、客数が増えてもほとんど変わらないと言 える。

図表8 延床面積とデマンドの関係

図表9 宿泊人員とデマンドの関係

・ベースデマンドとは循環ポンプなど一日中かかって いる負荷である。図表10にあるように床面積当たり のデマンドは冬季で25~30w/㎡、中間期で21~27 w/㎡、夏季で28から33w/㎡となっている。

ベースデマンド値は年間通して11~13w/㎡程度で M-09の8月は夜間にチラーで蓄熱槽に冷水をためて

いるため20w/㎡と多くなっている。ベースデマンド

はピークデマンドの半分程度あり、24時間負荷のかか っているベースデマンドを下げることが電力量を下げ ることにつながる。ベースデマンドは常時稼働してい るポンプ、業務用冷蔵庫による。図表10のM-05は ポンプ類が少ないためにデマンドが低い。ベースデマ ンドの削減が「エコ・小」につながる。

図表10 床面積当りのデマンドとベースデマンド

・1日のデマンドの変化を特徴的な施設で見る。

冬季、中間期、夏季での1日のデマンド変化をグラフ で示す。日帰りが多い施設では図表11のように8時 から20時までほぼ一定のデマンドを示す

図表11 日帰りが多い施設の季節別デマンド変化

(4)

日帰りが少ない施設では図表12のように午前中と夕 方以降に2つの山を示す。お客がいない昼間に谷が無 いと無駄に電気を使っていることになる。

図表12 日帰りが少ない施設の季節別デマンド変化

・契約デマンドが決まるのは8月のお盆の時期か1月 の正月の三が日の値である。図表12に示すのは8月 の電力使用量である。時間750kwを超えているのは7 日間であり 16 時から 21 時までの間を調整すると

700kwに押さえられることが分かる。

図表13 8月毎日のデマンドデータ

・電力は大変コントロールし易いエネルギーであり、

季節毎、時間毎の使用状況を把握して、計画的に使用 量を決めることで大幅な削減が出来る。デマンド1kw 当たり年間で約 18000 円掛かるので短期間のピーク デマンドで契約することは大変損になる。

電力の使用状況を把握するには動力と電灯に分けて1 時間毎のデータを計測することが有効である。

2.2 ガス関係の問題点

温泉旅館のガス利用は厨房に限定していることが多い。

CO2排出量に占める割合も3~5%程度と低が、プロ パンガスの価格は地域差が大きくエネルギー量に対し

て割高でないか注意が必要である。

2.3 油熱源関係の問題点

熱源関係をバブル前の定員、団体の入込人員に合わ せ容量が過剰になっているケースが目立つ。ボイラが 自動交互運転になっていると、温まったボイラ函体が 冷めるために放熱器となる。1日又は1週間交替の運 用切り替えるべきである。

ボイラなどのメンテナンスが十分でない、真空ヒー ターの燃焼温度が低いなど熱源機器の取り扱い方に問 題があって熱効率が低くなっているケースが多い。カ タログ上の効率が90%あっても運用上の効率が 50%

を切っているケースが多く見受けられる。

熱源関係のエネルギー利用状況を把握するうえで 下記の計測を行って分析すると効果がある。

① 油の補給を毎月決まった日に満タンとして1 か月の油量を把握する

② 給湯と空調関係の油量を知るためにボイラ に給油メーターを付ける。

③ 給湯量を知るために給湯タンクの補給水に メーターを取り付ける。

2.4 温泉関係の問題点

・温泉旅館でエネルギー消費量が多いのは入浴施設、

厨房施設に起因することが多い。

1、 浴槽の温度維持、差し湯、張り込み湯 2、 洗い場廻りの給湯

3、 厨房の給湯、特に洗浄機での運用に問題がある。

4、 十分な量の温泉を確保できないため循環式浴槽を 設置し、低温温泉を加熱して浴槽に供給している。

浴槽容積に対して温泉の量が少なく、浴槽の湯張りに白 湯(水道水の沸し湯)を使用して、多量の化石燃料(油・

ガス)を消費して多量の CO2 を排出している旅館も多い。

団体旅行を対象として大規模な浴槽を設けた結果とし て、加熱負荷が多くなり多量の CO2 を排出する要因とな っている。

・このような状況に対する CO2 削減対策として、下記の 方法を検討する必要がある。

1、源泉温度の有効利用

2、浴槽への温泉補給量の利用者数に応じた制御

4

(5)

4、 排湯熱ヒートポンプ加熱など加熱方法の改善 5、 浴槽からの放熱量の軽減

6、 利用者数に応じた適切な大きさの浴槽

図表14に示すように温泉施設関係の現状を把握し、

温泉の熱、量を計画的に使うことを考える。

図表15に露天風呂に蓋をした状況を示す。左が蓋 をする前でSP1が湯口温度、SP2とSP3が湯の表面

温度で40.1℃から41.3℃を示している。右が蓋をし

た時のサーモグラフィの画像。表面温度がSP1が 24.2℃SP2が26.2℃を示し15℃程度下っている。気 化熱も抑えられ、浴槽の温度維持効果は高い

図表15露天風呂に断熱蓋をして温度測定

2.5 空調関係の問題点

・中規模以上の旅館の空調方式は、冷温水発生機または 電動冷凍機とボイラを熱源としたファンコイルユニ ット中央式空調システムが一般的であり、バブル崩壊 以前の客室稼働率が高い営業状態に向く方式である。

・中央式空調システムを設置している旅館にあっても、

ヒートポンプエアコンを食堂、宴会場など時間を区切 って利用する場所に設置されているところがある。

・一般に、客室にエアコンが導入されるようになったの はバブル崩壊後で、当時のCOP(成績係数=効率)

は3程度の製品が多い。

・現在では個別空調方式がより「エコ・小」であること が認識され、熱源機器が経年劣化により更新の時期に きていることもあり、客室空調をヒートポンプエアコ ンによる個別空調方式に切り替える旅館が増えてい る。小型ヒートポンプエアコンのCOPは概ね5~6 程度と効率が上昇しており、稼働率が低くなっている 現在では、使用する部屋ごとに発停できる個別空調方 式の方がエネルギー消費量が少なくなり、CO2排出 量も削減できる。

・断熱性が不十分で室内環境の維持に多量のエネルギー を消費する結果となっており、断熱性能を上げて空調 負荷を減らし空調方式を見直すなどの改善工事の必 要に迫られている。しかしながら経済的制約のために 着手できない状況であるのが現実である。

・モデル旅館の空調方式を図表16に示す。

年 間 使 用

量 k l 温 泉 量 温 度 温 泉 量 温 度 日 量 ト ン 浴 槽 合 計 t

1 人 当 り 使

用 量 リッ ト ル L / 分 (℃ ) L / 分 (℃ ) 宿 泊 1 人

当 り ト ン 容 量 * 数 量 合 計   t 容 量 * 数 量 合 計   t 容 量 * 数 量 合 計   t 日 浴 槽

回 転 率

2 0 7 3 6 0 1 2 .6 m 3 x 2

+ 3 .3 + 5 .8 m 3 3 4 .3 1 6 .8 m 3 x 2 3 3 .6 客 室 露 天 : 0 .7 m 3 x 3 2 .1 7 0 .0

6 .4 2 5 0 4 8 2 0 7 3 8 4 .0 掛 け 流 し 掛 け 流 し 掛 け 流 し 5 .1

3 2 7 9 4 6 0 ~ 6 3 1 3 5 内 湯 : 2 0 + 2 4 m 3 4 4 .0 露 天 風 呂 : 3 箇 所 1 3 .0 5 7 .0

3 .6 0 .5 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 2 .4

2 1 5 6 0 7 0 8 6 1 0 m 3 x 2 2 0 .0 7 .5 m 3 x2 1 5 .0 客 室 露 天 風 呂 :

0 .7 m 3 x 6 4 .2 3 9 .2

1 2 .8 1 .9 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 掛 け 流 し 2 .2

1 0 5 2 7 3 4 ~ 4 4 3 9 6 .7 m 3 + 6 .0 m 3 1 2 .7 3 .0 m 3 + 3 .0 m 3 6 .0 屋 上 露 天 1 .1 m 3 x 3 3 .3 2 2 .0

6 .1 0 .8 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 1 .8

1 4 3 2 0 2 6 2 9 1 2 m 3 * 2 + 6 .5 m 3 * 2 3 7 .0 0 .7 8 m 3 * 2 + 1 .3 m 3 * 2 4 .2 4 1 .2

6 .5 0 .5 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 0 .7

6 2 0 2 0 0 2 0 3 7 4 1 4 .5 m3+ 1 5 .3 m 3 2 9 .8 5 .0 + 7 .2 + 0 .6 + 0 .6 + 7 .6 +

3 .7 + 6 .2 + 4 .3 m 3 3 5 .2 貸 し 切 り 風 呂 : 2 7 .4 m 3 2 7 .4 9 2 .4

8 .1 7 1 5 .0 5 3 2 9 .7 1 .8 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 4 .1

9 6 井 水 ? 4 .9 m 3 x2 9 .8 2 .4 m 3 x2 4 .8 1 4 .6

7 .1 循 環 ろ 過 循 環 ろ 過 0 .0

組 合 温 泉

7 M - 0 7 5 M - 0 5

6 M - 0 6 3 M - 0 3

4 M - 0 4 1 M - 0 1

地 域 供 給 源 泉 新 自 家 源 泉

2 M - 0 2

旅 館 名 源 泉 浴 槽 の 種 類 、 大 き さ 、 個 所 数

施 設 記 号

内 湯 露 天 風 呂 家 族 風 呂 等

図表14モデル旅館の温泉と浴槽の調査

(6)

図表16 モデル旅館の空調設備概要

(3) 断熱など室内環境改善による効果

東京大学工学系研究科前真之研究室と共同で温泉 旅館における客室の改修前後での室内環境測定を行い、

温熱環境・暖房負荷の違いを評価した。測定日は2014 年1月21,22日で313号室が改修前(ファンコイル)

213号室が改修後(個別ヒートポンプ、断熱改修、ペ アサッシュ)である。

図表17 改修前と改修後の計測点

図表18 313号室の全温度計測結果

図表19 213号室の全温度計測結果

図18では313号室の全温度計測結果、図19では213 号室の全温度計測結果を示す。未改修の313号室では、

暖房器からの吹出し温度・吸込み温度ともに高めに推 移していること、ガラス・サッシの表面温度が室温に 比べて低いこと、水平・垂直方向ともに温度むらが大 きくなっているのに対して、改修した213号室ではエ アコンの発停により小まめな温度調節がなされており、

窓まわりの表面温度や、空間の水平方向・上下方向と もに温度差が小さいことがわかる。

測定の結果をまとめると

1、冬期の計測①では、未改修・改修後それぞれ同様の 平面形状の客室において、快適性を揃えて連続暖房を 行った場合の温度分布・時間推移を計測した。改修後 には温度むらが小さくなっていることが確認された。

また、窓からの単位面積あたりの熱損失も半分程度に 減っていた。

2、冬期の計測②では、計測①とは別の未改修・改修後 それぞれの客室において、快適性を揃えて連続暖房を

ガス ガス ガス ガス

M-01

M-02

M-03

M-04

M-05 木材ボイラ

M-06

M-07

M-08

M-09 蓄熱槽

備考 旅館

パブリック

ファン コイル

ヒート ポンプ エアコン

客 室

冷温水発生機 ボイラ(温水機)

熱 源 水冷

空調機 ファン

コイル

温風暖房器 ヒート

ポンプ エアコン

温風暖房器 電動 冷凍機

6

(7)

行った場合の、暖房投入熱量を計測した。その結果、

改修後の客室では未改修の客室に比べて 2 割程度の負 荷削減が認められた。

結論として個別ヒートポンプエアコンはファンコイル ユニットよりもより少ないエネルギーで均一な温度分 布の環境が得られることが分かった。

ただし断熱、ペアーガラスの採用などエネルギー負荷 を減らすと共に集中管理で使用しない時間帯にスイッ チを切ることが必要である。

(4)快適性を損なわない「エコ・小」の手法

4.1 温泉の質を向上させて CO2 を削減

温泉の利用効率を上げCO2を削減しながら快適性 を向上させた3つのケースを取り上げる

① M-01 は温泉成分が炭酸泉で熱交換器にスケー ルが付きやすい。源泉温度は48℃で冬場には加 温していたが、温泉量の調整、毎日完全換水と運 用面の改善を行い完全掛け流しとした。その結果 ボイラの油代と循環ポンプの電気代が減少した。

★快適性として⇒大浴場、露天風呂が完全掛け流しと なり温泉の質の向上が見られた。

★「エコ・小」効果として⇒12月CO2排出量が対前 年で58トン減少した。源泉掛け流しでボイラの稼 働が減ったことが主な理由である。

② M-03は4日ごとに行う浴槽の清掃・湯張りは全 て給湯(水道水)で行われているため、加熱エネルギ

(重油)と水道水の消費量が非常に多かった。

温泉貯留槽(10m3)を新設し、浴槽の湯張り(4浴槽を 毎日1槽ずつ)を温泉で行い、白湯(沸し湯)による 浴槽の湯張りを中止した。

★快適性として⇒真湯での湯張を止めたことで温泉掛 け流しに近い成分となり温泉の質の向上が見られた。

★「エコ・小」効果として⇒4月~12月の対前年の油 由来のCO2が271トン減少した。

③ M-08 は今まで源泉温度が48℃で年間通じてボ イラで昇温し、且つ加水も行っていた。 外気温度に より各浴槽の容量に合わせて源泉の量を調節して掛け 流しとし、極力ボイラによる昇温を中止した。

★快適性として⇒温泉の質の向上が見られた。アルカ リ性のつるつるした感じが強くなる。温泉は湯温の管 理と同時に温泉の質の管理をすることが大切と感じる。

★「エコ・小」効果として⇒M-08の10,11,12月の 対前年の油由来のCO2が毎月6から7トン減少した。

4.2 気泡浴の送風機を入浴者検知式に改修して CO2 削減 気泡浴の送風機は連続運転であったが、入浴者を検知 して運転する方式に改修した。

★快適性として⇒気泡浴は空気を浴槽に吹き込むため に温度維持に影響がある。検知式で稼働時間を減らす ことは快適性に良いほうに働いく。

★「エコ・小」効果として⇒稼働率により電力使用量 が減るために特に稼働率の低い旅館には有効なシステ ムである。また送風による温度低下が減りボイラで昇 温している場合には油代が節約できる。

4.3 客室の空調をファンコイルから個別ヒートポンプ エアコンに切り替える

⇒快適性があがり且つ CO2 排出量が削減される

4.4 快適性と CO2 削減につながる照明の LED 化と家 電製品の選定。

M-09で客室の改修で省エネと快適性の両立を考え LED照明、電子ヤカン、ベルチェタイプ空冷蔵庫を選 定した。

4.5 設備運用による「エコ・小」の効果

ボイラの交互運転を1日交互もしくは1週間交互運転 に切り替え、1台で連続運転して無駄なボイラからの 放熱を防いだ。 お客様の快適性には全く影響を与え ない取り組みである。

(8)

4.6 「エコ・小」担当者を決めることで快適性と CO2 削減を進める

「エコ・小」担当者を決めることで単なる設備管理か ら、室内環境などの快適性と CO2 削減が同時に達成で きる。

(5)「エコ・小」の成果と課題

平成25年度の環境省のモデル事業では9軒のモデ ル旅館で半年間の「エコ・小」活動を行い合計568 トン-CO2の削減ができた。内訳は電気由来CO2排 出量削減が34%、油が65%、プロパンガスが1%

となっている。

モデル旅館9軒での削減率は8.5%であった。旅 館のCO2排出量の平均値のCランク以上のCO2排出 量の多い旅館では15.8%となり、さらに有効な取 り組みが行われた5件の平均は27.5%に達した。

以上から「エコ・小」活動はかなりの削減効果が期待 できる。

図表20にモデル旅館7~12月の一人当たりCO2 削減の2年比較を示す。

図表20 モデル旅館7~12月の一人当り CO2削減2年比較

なおモデル事業の期間においてお客様アンケートを実 施して「エコ・小」の取り組みがお客様の快適性を損 なわないことを確認している。

(6)旅館の CO2 排出量の平均値と目安値

エコ達人村 23 軒、モデル旅館 9 軒、白骨温泉3軒 のデータから平均値と目安値を求める。それぞれの CO2 排出量を単純平均と加重平均で求める。

図表 21 に一人当り CO2 排出量の単純平均と加重平 均を示す。

図表 21 一人当り CO2 排出量の単純平均と加重平均

旅館の現状での平均値はエコ達人村23軒とモデル 事業9軒の加重平均を平均して36kg-CO2とするが、

今後も常に検証することとする。

旅館のCO2排出量の目安値は平均値の7割とすると 25kg-CO2となる。M-05,M-09は25kg-CO2をクリ アしている。

温泉旅館の一人当たりCO2排出量のランクを図表 22に示す。Cランクが平均値でAランクが目安値とな る。今回M-03は20kg-CO2を下回りSランクを実 現している。快適性を損なうことなく20kg-CO2を 切ることが最終目的である。

2 0 1 2 年 2 0 1 3 年

M- 01 3 3 .6 2 6.6

M- 02 2 7 .4 2 7.7

M- 03 5 2 .8 1 9.2

M- 04 3 4 .0 3 1.9

M- 05 2 2 .2 2 2.7

M- 06 3 5 .9 3 5.9

M- 07 3 5 .3 2 9.3

M- 08 3 4 .6 2 9.9

M- 09 2 2 .5 2 1.7

平均 3 3 .1 2 7.2

1 人当たりCO 2排出量 -kg/人日

電気 ガス CO2排出量kg

CO2-kg/人 CO2-kg/人 CO2-kg/人 CO2-kg/人

単純平均 21.6 4.09 18.2 43.9

加重平均 20.1 4.04 16.0 40.2

単純平均 17.6 1.56 17.7 36.9

加重平均 16.7 1.34 13.7 31.7

単純平均 14.7 0.12 24.9 39.7

加重平均 17.2 0.10 29.2 46.5

エコ達人村 23軒

モデル事業 9軒

白骨温泉 3軒

8

(9)

図表 22 温泉旅館の一人当り CO2 排出量のランク表

k g - C O 2 使 用 量 単 位

電 気 1 1 .0 1 9 .8 k w h

L P G 1 .5 0 .2 m 3

7 .5 2 .8 リッ ト ル

合 計 2 0 . 0

電 気 1 4 .0 2 5 .2 k w h

L P G 1 .5 0 .2 m 3

9 .5 3 .5 リッ ト ル

目 安 値 合 計 2 5 . 0

電 気 1 6 .0 2 8 .8 k w h

L P G 2 .0 0 .3 m 3

1 0 .0 3 .7 リッ ト ル

合 計 2 8 . 0

電 気 2 0 .0 3 6 .0 k w h

L P G 3 .0 0 .5 m 3

1 7 .0 6 .3 リッ ト ル

平 均 値 合 計 4 0 . 0

電 気 2 4 .0 4 3 .2 k w h

L P G 3 .0 0 .5 m 3

2 3 .0 8 .5 リッ ト ル

合 計 5 0 . 0

電 気 2 8 .0 5 0 .5 k w h

L P G 4 .0 0 .6 m 3

2 8 .0 1 0 .4 リッ ト ル

合 計 6 0 . 0

ラ ン ク 評 価 1 人 当 た り C O 2 排 出 量 電 気 ・ ガ ス ・ 油 の 一 人 当 た り 使 用 量 の 目 安

S 「 エ コ ・ 小 」 の 達 人       ~ 2 0k g - C O 2/ 人

A 「 エ コ ・ 小 」 の 模 範 2 0 ~ 2 5k g - C O 2/ 人

B ま だ 無 駄 が あ る 2 5~ 3 0k g - C O 2/ 人

E 設 備 運 営 上 重 大

な 問 題 が あ る      5 0k g - C O 2/ 人 ~

C 無 駄 が あ り 削 減 余

地 が あ る 3 0~ 4 0k g - C O 2/ 人

D 設 備 運 用 に 問 題

が あ る あ り 4 0~ 5 0k g - C O 2/ 人

Referensi

Dokumen terkait

11 実質的関係に着目してグループの範囲を考えておく必要がある 子法人等には、他の法人等の議決権の過半数を自己の計算において所有している法人の他、法人等が 自己の計算において所有している議決権と、出資・人事・資金等において「緊密な関係」があることに より当該法人等の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者等が所有している議決権を合わ

うちの子の ? な言動 ほかにもあります 本が好きなのはいいのだけど、宿題のように 絶対にやるべきことをやらないで読書に熱中 するから、結局あわててやったり、怒られた りするハメになるのに、どうして改めようと しないのか不思議ですね。勉強をするふりを しながら、私に背を向けて本を読んでいるこ とを隠しているつもりなときもあります

生産段階 調理段階 中野さんの研究では塩分の多 い食事がCO2排出量が多いか も?という結果が出ている 高齢者にとって、持続可能かつ、健康へ 配慮したメニューの提案と各メニューの CO2排出量と塩分との関係を調査し、評 価する 目的 中野さんが調べた126品 新たに加えた45品 具体的には・・・ 合計171品のメニューのCO2排出量を調査する 地球温暖化

の問いに答えなさい。 1.最近報道されたニュースを取り上げ、批評文または短篇小説を書きなさい。 2.他者からもらった最も印象深い言葉を取り上げ、「言葉の力」について述べなさい。 (800 字程度) 学芸学部 国際英語学科 英語に限らず、外国語を学ぶことはあなたにとってどんな意味があると思いますか。自分の将来像と結 びつけて書いてください。(1,000

この二つの図から,石油危機以降省エネルギー政策に取り組んできた日本は,欧州,アメ リカと比較して排出削減コストが高いことがわかる.更に図Ⅳ‑4を見て欲しい.これは日・ 米・EU の基準年と 1999 年の排出量実績と,削減目標を示したものである.これを見ると, 日本とアメリカは,温室効果ガスの排出量が増加傾向にあり,EU は基準年から減少傾向に

地域福祉活動計画策定過程における住民参加の方法と課題一加川 組織としては、①策定委員会、②作業部会、③ 事務局(社協職員で構成)、の3つを設けた。① はB区社協会長を筆頭に、B区役所福祉部長、 B区子ども会会長、B区老人クラブ会長など、 区の各種団体の責任者兼社協理事に加え、作業 部会の公募委員(一般公募の住民、後述)で構

11 中国の対外政策と諸外国の対中政策 2019年10月1日、中国は毛沢東による中華人民 共和国中央人民政府の樹立宣言から70周年の節目 を迎えた。それを祝う式典において習近平国家主 席兼中国共産党総書記は、建国100年の前後まで に中華民族が「偉大な復興」を迎える光明がいよ いよ開けていることを改めて強調した。確かに、

要旨 1 研究の背景と目的 1990年の入管法改正以降、いわゆる「不法就労」として中小・零細企業では観光ビザの 期間を超えて就労を行う出稼ぎ外国人が急増していた。このことについて小井土彰宏 2019は、外国人労働者の観点からすると、一般労働を目的に入国する正規のゲートを閉じ てしまったため、政策策定者の意図を超えて新たに労働市場の一部を構成したと述べてい る。