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「水中の医薬品:生態系と人体への悪影響を防ぐ7つの方策」

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「水中の医薬品:生態系と人体への悪影響を防ぐ7つの方策」

Abstract

日本の都市の数カ所の浄水場から、人、家畜、医療機関から排出されて残留したと考えられる 医学品が検出された。医薬品が私たちの身の回りにある水に排出され、飲用水にまで残留してい る状態を改善するためには、事前・事後の両面から、様々な主体が対策を施す必要がある。市民 は、自然治癒力に依存し、健康維持によって医薬品の使用量を減らす事ができる。また、国・地 方自治体レベルでは、環境アセスメントの義務づけと排水監視体制の強化によって将来の水質汚 染を防止するべきである。更に、中央省庁レベルでは、未調査薬品及び地域への調査促進と省庁 間の協力体制を築くことによって迅速に適切で合理的な予防策を考案することができる。最後に、

医薬品が溶け込んだ水をいかに清浄化するかという事後的対応策として、技術者・専門家が、下 水処理の時点で限りなく医薬品を抽出して外環境に流れでないようにする技術を開発すること も求められるだろう。

2007年12月、国内大都市圏の浄水場の水から、数十種類の医薬品が検出された。医薬品 の中には、飲用水にも残留しているものがあることが確認された。原因は、医薬品が人や家畜、

医療機関の排水などから下水を通して環境中へ排出されていることであると推定されている。こ の事態で懸念されることは、第一に、人体への長期的影響である。一方で、研究者によれば、人 体への短期的影響については考えにくい。また、環境省も厚生労働省も直ちに対応が必要な濃度 の医薬品が飲用水に溶け込んでいるわけではないとして、人体への短期的影響を否定している。

他方で、長期的影響については国立保健医療科学院の水道工学部長が懸念しているところである。

人体への毒性をもつ薬品が、長期間を掛けて体内に蓄積されて、人体に何らかの悪影響があるの ではないかという懸念である。第二に、生態系への悪影響が心配されている。医薬品が下水を通 して河川や海に流れ込んだり、湖沼に沈着することにより、生物の成長や増殖を阻害したり、微 生物が薬剤への抵抗力を得たり、ホルモン異常によるオスのメス化が起こったりする可能性があ る。また、新聞記事では明確に述べられていないが、第三の懸念も記事から読みとることができ る。すなわち、これから人体への短期・長期的悪影響を及ぼす類の医薬品が検出される可能性が 残されていることである。記事によれば、今回の調査は大都市圏でのみ行われたもので、他の地 域でどのような現状があるかは確認されていない。また、全ての医薬品についての調査が終了し ているわけではないのである。

このような事態への対応策は、事前的対応と事後的対応に分類できる(第二項、対応策分類表 参照)。まず、事前的対応とは予防策と言い換えてもよく、これから医薬品が外に流れ出ないよ うにするための対策である。この事前的対策は、3つのレベルで行われるべきである。第一に市 民レベルでは、自然治癒力への依存と健康維持によって医薬品の使用量を減らすこと、第二に国 会・内閣・地方自治体レベルでは、環境アセスメントの義務づけと排水監視体制の強化によって 将来の水質汚染を防止すること、第三に中央省庁レベルでは、未調査薬品及び地域への調査促進 と省庁間の協力体制建設によって適切な予防策を考案することである。さらに、即座に医薬品に

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よる水汚染を完全になくすことはできないであろうから、医薬品が溶け込んだ水をいかに清浄化 するかという事後的対応策も考えられなくてはならない。この事後的対策においては、技術者・

専門家が、下水処理の時点で限りなく医薬品を抽出して外環境に流れでないようにする技術を開 発する必要がある。以下では、上記の7つの具体的な対応策を順に説明する。

対応策分類表

動物が生まれながらにしてもつ自然治癒力への依存強化 市民

生活習慣の見直しと健康維持

新薬開発の際の環境アセスメント義務づけ 国会、内閣、地

方自治体 医療機関からの排水の監視体制の強化 厚労省・環境省の意識向上、調査促進  

事 前 的 対応

中央省庁

省庁間セクショナリズムの解消と学際的研究・調査の推進 事 後 的

対応

技術者および専 門家

下水処理技術の高度化

 

第一に、現代市民は、医薬品に頼りすぎる生活を改め自らの自然治癒力を活用して、根本的に 使用する薬の総量を減少させることができる。確かに、薬がなければ治らない病や、健康的な成 人であれば簡単に治るものでも乳幼児や老人がかかると治りにくい病も存在する。そういう場合 は医薬品に頼ってよいだろう。しかし、病やけがに対して免疫力・抵抗力が十分に備わっている 人が簡単に医薬品に頼ることは、せっかくの自分の治癒力を無駄にした医薬品の過使用と言える のではないだろうか。手を包丁で切った、膝をすりむいた、鼻水が出る、喉が痛い、頭痛がする、

便秘であるなどの症状のうち、程度の甚だしいものは薬を要するかも知れないが、おそらく、時 間はかかっても薬を要せずに治るものもあるはずである。例えば、けがをした場合にヨモギを摘 んできて傷口に塗ったり、緑黄色野菜や果物からビタミンを摂取して風邪を治したりすることも 不可能ではない。

  第二に、市民は日頃から健康管理をおこなって、けが・病気になりにくい身体を維持しておく ことによって、医薬品に頼る機会を減らすこともできる。夜遅くまで仕事や勉強をして体調を崩 したり、自分の好きな食べ物ばかり食べて生活習慣病になったりする傾向は、現代日本では非常 に強い。これはおそらく日本社会の構造的な問題もあるだろうが、市民一人一人が健康、食生活、

生活リズムなどに注意を向けることによって少しは緩和されうる問題でもあるだろう。市民レベ ルでは日常生活の見直しによって、医薬品の使用を控える事が最も有効な方策であると思われる。

第三に、国・地方自治体レベルで医薬品管理に関する規制強化として、新聞記事にも記述され ているように、新薬開発時に環境アセスメント(

Environmental Impact Assessment、

以下EIA)

を義務づける必要がある。EIAとは、「開発が環境に与える影響の程度や範囲又その対策につい て、事前に予測・評価をすること」(スーパー大辞林)である。新薬が開発され、それが人間と 人間以外の生物にそれぞれどのような影響があるのか、その影響は悪影響か否か等、ありとあら ゆる可能性を事前に調査し、その調査で良くないと判断された医薬品は使用されるべきではない。

その医薬品がたとえ人間にとってとても有効だったとしても、人間だけに有益な医薬品の利用は、

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多様な生物と地球という一つの家に共存しているという観点から、容易に認められることはでき ないし、認めてはならない。

第四に、新聞記事にあるように、国と地方自治体は、医療機関から医薬品が排出されている状 態を禁じるよう監視体制を強化し、規制強化する必要がある。規制や監視の目が存在しなければ、

ますます医薬品は垂れ流し状態になる。現代医療が様々な薬を開発し、利用している現状下にお いて、ある程度の規制がなくては、水中における医薬品は減じる傾向にならないだろう。

第五に、中央省庁が不完全の調査をできる限り早く行う必要がある。新聞記事によれば、現在 存在する医薬品量が2800種類、そのうち調査が済んで水中で確認されたものは60種類であ り、未だ確認調査が行われていない種類も多数あるようである。また、現時点で調査は大都市圏 でのみ行われたに過ぎず、地方では行われていない。このような調査が未完成の状態で人体への 悪影響はないとうつつを抜かしている中央省庁の尻をたたくことは、より正確な情報と適切な対 応策の発案に繋がると考えられる。

第六に、省庁間でセクショナリズムに対する執着が見られ、環境汚染という学際的な研究や調 査の妨げとなっているため、官僚体制のセクショナリズムを解消することは、間接的に医薬品流 出問題の解決に繋がると予想される。現在の官僚体制では、aという仕事はAという機関が、b という仕事は B という機関が取り扱うというセクショナリズムが強く、a という仕事をB とい う機関・役所に持っていっても、Aに行くように言われ、たらい回しにされるだけである。この ようなセクト主義は、今回の医薬品問題においても見られるようである。事実、医薬品について 扱う省庁は厚生労働省、水質汚染を扱う省庁は環境省となっており、調査はそれぞれ別々に行っ ている。しかし、この問題は、政治・経済・医学・薬学・環境学などの複数要素からなっている 複合的問題であり、解決には学際的アプローチが必要であるから、複数省庁が協力体制を気づく ことが、合理的な調査と対応に結びつくはずである。よって、現在の官僚セクショナリズムを解 消する事は直接的にではないにしろ、医薬品問題へのアプローチとしては間違っていないと思わ れる。

第七に、水汚染がゼロにならない可能性を踏まえ、環境に排出された医薬品を下水処理の段階 で完全に取り除く技術を開発することが求められるだろう。紙面では浄水場では大半の医薬品を 除去分解できる技術の実用化を検討していると述べられているが、生態系の影響を軽減するため には、浄水以前の下水処理の段階における技術開発が必要である。医薬品が水中に混入する過程 の一つである下水に何の対応も行わないことは、生態系への悪影響を確実に引き起こすであろう し、ひょっとすると下水処理の技術を高めることによってしか生態系への悪影響は防ぎ得ないと 言えるかもしれない。

以上のように、医薬品が私たちの身の回りにある水に排出され、飲用水にまで残留している状 態を改善するためには、事前・事後の両面から、様々な主体が対策を施す必要がある。市民レベ ルでは、端から医薬品に頼るのではなく自然治癒力に頼り、また、健康維持によって医薬品の使 用量を減らすことが有効であるだろう。これは、私たちができる最も身近なことでもある。また、

国会・内閣・地方自治体レベルでは、環境アセスメントの義務づけと排水監視体制の強化によっ て将来の水質汚染を防止する必要がある。更に、中央省庁レベルでは、未調査薬品及び地域への 調査促進と省庁間の協力体制を築くことによって迅速に適切で合理的な予防策を考案すること

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ができる。最後に、医薬品が溶け込んだ水をいかに清浄化するかという事後的対応策として、技 術者・専門家が、下水処理の時点で限りなく医薬品を抽出する技術を開発も必要であろう。

参考文献

朝日新聞  2007年12月23日(日)朝刊  第一面

「環境アセスメント」スーパー大辞林

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