• Tidak ada hasil yang ditemukan

カイメン由来の多彩な二次代謝産物と共生微生物の関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "カイメン由来の多彩な二次代謝産物と共生微生物の関係"

Copied!
7
0
0

Teks penuh

(1)

はじめに

海洋生物を対象とする天然物化学研究が盛んになって から,約40年が経つ.研究の初期は,人間活動に重大 な影響を与える海洋生物毒(フグ毒tetrodotoxinや麻ひ 性貝毒saxitoxinなど)が主な研究対象であった.やが て,海藻,カイメン,ホヤ,コケムシなどの海洋生物の なかに,陸上生物とは異なるユニークな化学構造をもっ た二次代謝産物が含まれることが明らかとなり,つい で,抗菌,抗真菌,細胞毒性をはじめとした生物活性物 質が探索の標的になった.さらに,疾病の詳細なメカニ ズムの解明に伴い,その標的分子を対象とした生物医学 的な活性試験がスクリーニングに用いられるようにな り,海洋天然物化学研究は大きく発展した.これまでに 報告された海洋性天然有機化合物は2万を超え,そのう ち上市された海洋天然物由来の化合物は7,臨床試験中 の 化 合 物 は13(第I相 試 験:1,第II相:5,第III相:

7)とされる(1, 2).また,核磁気共鳴 (NMR) や質量分 析 (MS) の発展のおかげで,構造決定の技術は飛躍的 に向上し,現在では,100 

μ

gに満たない有機化合物で も,短時間で化学構造が決定できるようになってい る(3).このようにさまざまな技術の進歩に伴い,生物活 性の評価と構造決定に必要な化合物量のスケールダウン が著しい反面,海洋天然物の供給という長年の問題がい まだ解決できておらず,薬剤開発のための研究を行うう

えでの大きな障壁となっている.その複雑な構造ゆえに 化学合成による大量調製は容易でなく,また,多くの天 然物の生産生物と考えられている共生微生物が難培養性 であるため,一部の培養可能な微生物の代謝産物を除 き,その培養による化合物の生産に関する研究もあまり 進んでいない.最近の海洋天然物の成功例は,上村らに よってカイメン から単離されたha- lichondrinで あ る(4, 5).岸 ら に よ りhalichondrin B (1

の化学合成が達成された(6)  ことで,さまざまな誘導体 の調製が可能となり,その結果,活性を保持したままで 化学安定性を高め,かつ化学構造を単純化した誘導体 E7389 2)(エリブリン)が,2010年に転移性乳がん治 療薬として認可された(7〜9).このようにして,十分な試 料供給が可能になれば,応用への展開が期待できる海洋 天然物は多数あると思われる.近年の目覚ましい遺伝子 解析技術の発展により,生合成研究が急速に発展し,海 洋天然物においても,その複雑な化学構造がどのように して形づくられるのかが,遺伝子レベルで明らかにされ る例が増えてきた.このような生合成研究がトリガーと

セミナー室

海洋生物資源への期待:マリンバイオテクノロジーの現場から–4

カイメン由来の多彩な二次代謝産物と共生微生物の関係

高田健太郎,松永茂樹

東京大学大学院農学生命科学研究科

(2)

なり,試料供給への新たな道が開かれるかもしれない.

本稿では,難培養性の共生微生物が生産する海洋天然物 に焦点を当て,最近の生合成研究の紹介と探索研究にお けるわれわれの取り組みを交えながら,今後の海洋天然 物化学研究の展望について考えたい.

共生微生物が生産する海洋天然物の生合成研究 海洋生物のなかでも,カイメン,ホヤ,コケムシ,ソ フトコーラルなどの海洋無脊椎動物からは,これまでに 数多くの二次代謝産物が報告されている.とりわけ,カ イメンの体内には多種多様な微生物が共生することが知 られ,その体積の35 〜 50%を共生微生物が占める,と いう報告もある(10, 11).陸上微生物由来の化合物との化 学構造の類似性を根拠に,カイメン中の二次代謝産物は これらの共生微生物が生産するのではないか,と考えら れてきた.実験室で培養可能な共生微生物は少なく,特 に複雑な化学構造をもつ天然物を生産する微生物の培養 の成功例は非常に少ない.共生微生物の培養液とカイメ ンの抽出液の両方から単離された顕著な例として,抗菌 性ペプチドandrimid が挙げられる(12, 13) (andrimidは昆 虫,ホヤからも単離されている).その後,非培養によ る実験手法で,brominated biphenylethers(14)  および chlorinated peptide(15) が共生シアノバクテリア 

 により,theopalauamideが 

δ

-プロテオ バクテリアである  Entotheonella palauensis により(16),dysiherbaineはシアノバクテリア

 sp.  によりそれぞれ生産されることが示されてい るが(17),いずれも生合成遺伝子クラスターは発見され ていない.上記以外にもさまざまな海洋天然物に対して 生産生物の同定が試みられてきたが,成功例は多くな い.このように,多くの海洋天然物,特に共生微生物が 生産する天然物に対しては,培養可能な微生物を用いた 生合成研究で使用される技術,すなわち取り込み実験や 変異体の作製が不可能であり,21世紀に入るまで生合 成研究はほとんど進んでいなかった.

共生微生物が生産する海洋天然物の遺伝子レベルでの 生合成研究は,Pielらによるonnamide (3) の生合成研 究(18) に端を発する.2002年,Pielはアオバアリガタハ ネカクシの有毒成分である pederin (4) の生合成遺伝子 クラスターの解析に成功した(19).この研究で得た - ATという特徴的なPKS(ポリケタイド合成酵素)関連 遺伝子の情報を基にして,pederinと類似した化学構造 をもつカイメン由来のonnamideの生合成遺伝子クラス ターをカイメンから発見した.この研究では,難培養性

の微生物を培養することなく,カイメンの微生物画分か らメタゲノムライブラリを構築し, -ATの遺伝子 配列を基にした縮重プライマーによって,目的の生合成 遺伝子クラスターを釣り上げることに成功している(18). アオバアリガタハネカクシに共生する 

  に よ っ て 生 産 さ れ るpederinと 同 様,on- namideおよびその類縁化合物も共生微生物によって生 産されることが示唆された.現に,その後Pielらは別種 カイメンに含まれる類縁化合物であるpsymberin (5) 

も同様に,共生微生物由来であることを示した(20). Pielによる研究を皮切りに,海洋天然物の生合成遺伝 子クラスターが次々と発見され,それと同時に,難培養 性共生微生物の性状も明らかになり始めた.コケムシ より単離されプロテインキナーゼC活 性化物質であるbryostatinは

γ

-プロテオバクテリア

 Endo-bugula sertula(21)  によって生産され,ホ ヤ   から単離されたpatellamideはシ アノバクテリア   由来の生合成遺伝 子クラスターが発見されている(22).また,ホヤ

より単離され,軟組織がんに対する薬 剤として上市されているecteinascidin743は2011年に生 合成遺伝子クラスターが明らかにされ,その生産生物は

γ

-プ ロ テ オ バ ク テ リ ア  Endoecteinascidia  frumentensisで あ っ た(23).さ ら に,didemninは ホ ヤ

より単離された化合物であるが,

2011年に培養可能な 

α

-プロテオバクテリア

によって生産されることが明らかにされ(24),つ づいてその生合成遺伝子クラスターが報告された(25). このように,ホヤやコケムシから単離された海洋天然物 の生産生物が明らかにされる一方で,多種多様な構造の 化合物が報告されているカイメンにおいて,生産生物に 関する情報が少ないのが現状である.今後,ゲノム解析 をはじめとするさまざまな研究手法により,海洋天然物 の真の生産生物が同定されることで,生産生物の培養や 異種発現による化合物生産が可能となり,サンプル供給

(3)

へ新たな道が開けると期待している.

Polytheonamideの生合成研究

メタゲノムライブラリ法を用いた生合成研究は,特に 難培養性微生物の代謝産物を研究するうえで非常に有効 な研究手法で,研究例が増えてきており,時に研究者の 予想を超えた結果をもたらすことがある.その一例とし て2012年に発表された polytheonamide (6) の生合成研 究(26)  を紹介する. Polytheonamideは1994年にわれわ れの研究室においてカイメン   から 細胞毒性物質として単離され,2005年に構造決定が達 成された,48アミノ酸残基から構成される特異な構造 をもつペプチドである(27, 28).多数の非タンパク質構成 アミノ酸を含み,D型とL型のアミノ酸が交互に配列し,

β

-へリックス構造をとり脂質二重膜中でイオンチャネル を形成する,などの特徴をもった海洋天然物である.

2010年,老木らはpolytheonamide Bがイオンチャネル として機能することを明らかにし(29),濱田らにより溶 液中の3次元構造が明らかにされた(30).また同年,井 上らによる全合成が達成されている(31)D型アミノ酸に 加えて非タンパク質構成アミノ酸を多数含むことから,

polytheonamideは 非 リ ボ ソ ー ム ペ プ チ ド 合 成 酵 素 

(NRPS) によって生合成されると予想する研究者が多 かった.しかし,その生合成遺伝子クラスターの発見に より,リボソーム起源であることが明らかにされた.す なわち,前駆体ペプチドがリボソームで合成された後,

ラジカルSAM酵素,SAM依存型メチル基転移酵素,

Fe(II)/

α

-ケトグルタル酸酸化還元酵素,脱水酵素など の翻訳後修飾を受けて生合成されることがPielらにより 示された(26)

カイメンのメタボロミクスと共生微生物

われわれの研究室では,過去30年あまり,日本近海

(浅海,深海を含む)で海洋無脊椎動物を採集し,その 粗抽出液をケミカルライブラリとして海洋天然物の探索 研究に用いてきた.カイメンは比較的採取が容易で,生 物活性スクリーニングで活性を示す試料の割合が高いこ と,および多彩な二次代謝産物が発見されているという 理由から,われわれの海洋生物ライブラリのなかでは特 にカイメンのサンプル数が多く,現在約1,500の抽出物 を所有している.効率的に海洋天然物の探索研究を行 い,かつ,カイメン中の共生微生物に関する情報を得る ことを目的として,カイメン抽出液をLC-MSを用いて 分析している.現在,詳細なデータ解析を行っている最 中であるが,これまでに行った研究例について紹介した い.

1.  カイメン含有化合物プロファイルの作製

メタボロミクス研究は,2000年以降に急速に拡大し た研究手法である.天然物化学分野でも,これまでに植 物や微生物ライブラリを対象とした研究報告例があ

(32, 33),おそらくは海洋天然物化学研究者も独自の

データベースを構築しているものと予想できる.たとえ ば,微生物からの探索研究では,菌のコロニー形態だけ で生産物質を推定するのは難しく,大量培養の後,活性 物質を単離,構造決定したものの既知物質だった,とい うのは頻繁に起きることである.いかに迅速に既知化合 物の生産株を候補から外すかは,効率的な探索研究を進 めるうえで重要であり,このデレプリケーションの一つ の手段としてLC-MS分析を用いている研究例が多い.

幸い,カイメンは,外観である程度の種の推測が可能で あり,主要な含有化合物の存在が予測できる場合もあ る.しかしながらこの予測は,経験と記憶に依存するう

(4)

え,既知化合物は論文に記されにくいため,既知化合物 を別種のカイメンから単離したという情報は入手困難で ある.さらに,深海性のカイメンにおいてはこの予測が 難しい.南西諸島海域の複数の海丘では,水深200 m前 後であるにもかかわらず水温が20℃近くあり,潮の流 れが良いため多種多様なカイメンが生息する.これらの カイメンのなかには特徴的な外観をもつものもいるが,

基本的には色彩情報に乏しく,似たような外観をもつも のが多い.また,ドレッジによる採集の過程で形状が崩 れ,外観だけでは種を判断できないものが数多く採集さ れるため,正確に仕分けをするのは困難である.よっ て,スクリーニングサンプルでは有望な活性を示したに もかかわらず,同じ種として判別されたカイメンを抽出 しても活性を示さないということが少なくない.これら の問題を解決することを目的に,われわれはカイメン抽 出物のLC-MS分析を行い,各抽出液の化合物プロファ イルをデータベース化することで,情報の一元的管理を 企図した.

2.  化合物プロファイルを基にしたカイメンのクラス ター解析

LC-MSデータを有効活用する一つの手段として,含 有化合物を指標にカイメンの識別を行うことにした.す なわち,各抽出液の化合物プロファイル(保持時間,分 子量,相対強度による座標の集合)を基に,含有化合物 の総合的な類似度を計算するクラスター解析を行った.

その一例として,日本各地で採集された 属カ イメンの抽出物を解析した結果を図1に示す.

属カイメンは非常に多様な二次代謝産物を含むことか ら,世界各国で盛んに研究されてきた.われわれの研究 室でも,さまざまな生物活性スクリーニングにおいて,

しばしば有望な活性を示すため,最も研究例の多い試料 である. 属カイメンは含有化合物により,

swinholide (7(34〜36)  を含む種 (Type A), polytheon- amide 6), onnamide 3), aurantoside (8(37)  など多 数の二次代謝産物を含む種 (Type B),  そして,mi- sakinolide 9(38), theonellamide (10(39, 40)  を 含 む 種 

(Type C),  およびそのほかに分けることができる.外 観から 属カイメンであろうことは容易に予想 できるが,その含有化合物に関しては,抽出し活性物質 を単離することで試料がどのタイプであるかを判定して いた.現在では,LC-MS分析データに基づくクラス ター解析により,個々の試料のデータを解析することな く,容易にどのタイプかが判断可能となった.

3.  海洋天然物は想像以上に多様である

2010年,われわれは屋久島近海の海丘である屋久新 曽根(水深約200 m)で採集したカイメン   sp. から,新規細胞毒性ペプチド yakuʼamide (11) を単 離し,その化学構造と生物活性を報告した(41).yakuʼ amideは39種のがん細胞に対して特徴的な毒性プロ ファイルを示すことから,新たな作用機序をもつ細胞毒 性物質である可能性があり,有望な海洋天然物の一つで ある.最近では,このように有望な活性とユニークな化 学構造を併せ持つ新規天然物に巡り合うことが少なく なっており,この   sp. がどのような化合物 プロファイルを示すか興味深かった.解析の結果,

yakuʼamide はLC-MSデータ上でカイメン抽出物の主要 成分として突出した強度のイオンを示しながらも,約 1,500のカイメン抽出物中でyakuʼamideを含むカイメン 図1 属カイメン抽出物のLC-MSデータを用いたク ラスター解析

横軸:試料番号,縦軸:LC-MS解析における各イオンピーク情報

(保持時間,質量数).イオン強度は10段階で表示されている.

Type A の上部のクラスターがswinholide由来のイオン群,Type  B  の中央部にonnamide由来のイオン,Type Cの下部にtheonel- lamide, misakinolideのイオン群が存在する.

(5)

はほかに存在していない.

これまでのデータベースの初期解析の結果では,上記 のようにほかのカイメンとは異なる特徴的なプロファイ ルをもつ試料が多数存在することが明らかになるととも に,分子量の大小を問わず,既知の天然物をはるかにし のぐ数の未知化合物が存在することが明らかになってい る.

4.  微量海洋天然物研究への応用

われわれが行ってきた長年の探索研究で,生物活性を 指標にして活性物質を単離したものの,化合物量が少な く構造決定に至らない例が数多くあった.このような研 究にも今回構築したデータベースは活用できる.目的の 化合物を含むカイメンを含有化合物でクラスター解析す ることにより,見た目は異なる(おそらく種も異なる)

が,同じ化合物を含むカイメンを発見することが可能に なった.これまでに未利用であったカイメン資源を有効

に利用する新たな手段を確立できたと考えている.

5.  化合物データから見る共生微生物プロファイル 含有化合物を基にしたクラスタリングはケミカルタキ ソノミー(化学分類)に似た側面をもつ.しかし,カイ メンに含まれる天然物の多くが共生微生物によって生産 されるであろうことを考慮すると,この三次元で表され る化合物データマップは,カイメンの種には依存しない 共生微生物のプロファイルを表していると考えることが できる.しかも,現在の16S rRNA解析からだけではわ かりえない 二次代謝物を生産する 共生微生物のプロ ファイルとしてとらえることが可能である.現在では,

pyrosequencing技術により,16S rRNAに基づく共生微 生物の多様性を,網羅的に解析することが可能となって いる.カイメンと微生物の共生を考えるうえで,共生微 生物の網羅的解析が重要であることに疑う余地はない が,カイメンメタボロミクスから導かれる共生微生物プ

(6)

ロファイルは,カイメンに含まれる化合物の起源を論じ るうえで重要な情報を提供するものと考えている.残念 ながら,現在では天然物とその生産生物に関する情報が ほとんどないため,各カイメンの化合物データマップが 共生微生物のプロファイルであるとは言い難いが,情報 の蓄積とともにその利用価値が高まることであろう.実 際に,われわれも海洋天然物の生産生物同定を試みてい る.

カイメンメタボロミクスから見た探索研究の現状と 課題

われわれが行っているLC-MS分析では,逆相のC18カ ラムから溶出され,かつESIMSで検出できる,という 限定された化合物群を検出しているにすぎないが,カイ メンの化合物プロファイルを解析していくと,探索研究 の現状と課題が見えてくる.カイメンの抽出液にはさま ざまな構造をもった数多くの化合物が含まれており,優 れたケミカルライブラリであることに間違いはないが,

われわれはいまだにその多様性を十分に活かしきれてい ない.新規の機能性物質の発見が著しく困難な時代と言 われるが,実は未発見の天然物が非常に多く存在してい ることに加え,希少カイメンを材料とするなら,さらな る天然物の多様性を生み出せることが期待できる.今後 の課題はそれらの未知化合物をいかに有効利用するかで ある.カイメンの抽出物は高頻度で細胞毒性物質を示す ため培養細胞を用いた試験系には使いづらく,非特異的 にタンパク質に作用して酵素を失活させる化合物がしば しば含まれるため,酵素阻害活性試験で擬陽性を示すこ とが多い,などのスクリーニングでの問題点が挙げられ てきた.多くの研究者がさまざまな予備分画法(42, 43) を 試みているが,必ずしも芳しい結果が出ているとは言え ない.たとえば,カイメン抽出物をHPLCで96穴プ レートに分注し,それをマザープレートとして細胞毒性 を検討してみると,ほぼすべての画分で細胞毒性を示す サンプルが一定の割合で存在することがわかる.すなわ ち,万能な方法はなく,試料や目的に合わせて工夫を凝 らすことが必要であると感じている.幸いにも,われわ れは所有するカイメンライブラリを用いて,化合物プロ ファイルデータベースを作製することができた.この データをいかにして有効に活用できるか模索中である.

おわりに

近年の生合成研究の発展により,天然物がどのように 形づくられるかが遺伝子レベルで明らかになり,さらに

は遺伝子情報を用いて,異種の宿主で天然物を生産する 技術が確立されつつある.これらの研究の発展により真 の生産生物を培養できなくても,多くの天然,人工化合 物が微生物の培養により生産可能になり,さらには,活 性物質の収量が少なくても,ある程度の構造情報から化 合物生産が可能になるだろう.そのため,機能性物質の 探索研究において,海洋天然物由来の多様なケミカルラ イブラリを利用することは今後も大きな可能性を秘めた アプローチであり続けるだろう.

謝辞:クラスター解析における計算プログラムおよびデータベースは新 潟大学大学院医歯学総合研究科の奥田修二郎博士に作成していただきま した.心より御礼申し上げます.

文献

  1)  A. M. S. Mayer, K. B. Glaser, C. Cuevas, R. S. Jacobs, W. 

Kem,  R.  D.  Little,  J.  M.  McIntosh,  D.  J.  Newman,  B.  C. 

Potts & D. E. Shuster : , 31, 255 

(2010).

  2)  W. H. Gerwick & B. Moore :   , 19, 85 (2012).

  3)  T. F. Molinski : , 27, 321 (2010).

  4)  D. Uemura, K. Takahashi, T. Yamamoto, C. Katayama, J. 

Tanaka,  Y.  Okumura  &  Y.  Hirata : ,  107, 4796 (1985).

  5)  Y. Hirata, D. Uemura : , 58, 701 (1986).

  6)  T. D. Aicher, K. R. Buszek, F. G. Fang, C. J. Forsyth, S. 

H. Jung, Y. Kishi, M. C. Matelich, P. M. Scola, D. M. Spe- ro & S. K. Yoon : , 114, 3162 (1992).

  7)  D.  Stamos,  S.  Sean  &  Y.  Kishi : , 62,  7552 

(1997).

  8)  Y. Wang, G. Habgood, W. Christ, Y. Kishi, B. Littlefield & 

M. Yu : , 10, 1029 (2000).

  9)  G. Kuznetsov, M. J. Towle, H. Cheng, T. Kawamura, K. 

TenDyke, D. Liu, Y. Kishi, M. J. Yu & B. A. Littlefield :   , 64, 5760 (2004).

  10)  S.  E.  Brantley,  T.  F.  Molinski,  C.  M.  Preston  &  E.  F. 

DeLong : , 51, 7667 (1995).

  11)  M.  W.  Taylor,  R.  Radax,  D.  Steger  &  M.  Wagner :   , 71, 295 (2007).

  12)  M. Oclarit, H. Okada, S. Ohta, K. Kaminura, Y. Yamaoka,  T.  Iizuka,  S.  Miyashiro  &  S.  Ikegami : , 78,  7 

(1994).

  13)  A. Fredenhagen, S. Y. Tamura, P. T. M. Kenny, H. Ko- mura, Y. Naya, K. Nakanishi, K. Nishiyama, M. Sugiura 

& H. Kita : , 109, 4409 (1987).

  14)  M. D. Unson, N. D. Holland & D. J. Faulkner : ,  119, 1 (1994).

  15)  P. M. Flatt, J. T. Gautschi, R. W. Thacker, M. Musafija- Girt,  P.  Crews  &  W.  H.  Gerwick : , 147,  761 

(2005).

  16)  C. A. Bewley, N. D. Holland & D. J. Faulkner : , 52, 716 (1996).

  17)  R. Sakai, K. Yoshida, A. Kimura, K. Koike, M. Jimbo, K. 

Koike, A. Kobiyama & H. Kamiya : , 9, 543 

(2009).

  18)  J. Piel, D. Hui, G. Wen, D. Butzke, M. Platzer, N. Fusetani 

& S. Matsunaga : , 101, 16222 

(2004).

  19)  J. Piel : , 99, 14002 (2002).

(7)

  20)  K. M. Fisch, C. Gurgui, N. Heycke, S. A. van der Sar, S. 

A. Anderson, V. L. Webb, S. Taudien, M. Platzer, B. K. 

Rubio,  S.  J.  Robinson,  P.  Crews  &  J.  Piel : , 5, 494 (2009).

  21)  M. Hildebrand, L. E. Waggoner, H. Liu, S. Sudek, S. Al- len, C. Anderson, D. H. Sherman & M. Haygood :

11, 1543 (2004).

  22)  E. W. Schmidt, J. T. Nelson, D. A. Rasko, S. Sudek, J. A. 

Eisen, M. G. Haygood & J. Ravel : , 102, 7315 (2005).

  23)  C. M. Rath, B. Janto, J. Earl, A. Ahmed, F. Z. Hu, L. Hill- er, M. Dahlgren, R. Kreft, F. Yu, J. J. Wolff  :  

6, 1244 (2012).

  24)  M. Tsukimoto, M. Nagaoka, Y. Shishido, J. Fujimoto, F. 

Nishisaka,  S.  Matsumoto,  E.  Harunari,  C.  Imada  &  T. 

Matsuzaki : , 74, 2329 (2011).

  25)  Y.  Xu,  R.  D.  Kersten,  S.  J.  Nam,  L.  Lu,  A.  M.  Al- Suwailem,  H.  Zheng,  W.  Fenical,  P.  C.  Dorrestein,  B.  S. 

Moore  &  P.  Y.  Qian : , 134,  8625 

(2012).

  26)  M. F. Freeman, C. Gurgui, M. J. Helf, B. I. Morinaka, A. 

R.  Uria,  N.  J.  Oldham,  H.  G.  Sahl,  S.  Matsunaga  &  J. 

Piel : , 338, 387 (2012).

  27)  T.  Hamada,  S.  Matsunaga,  G.  Yano  &  N.  Fusetani : , 127, 110 (2005).

  28)  濱田季之:化学と生物,49, 755 (2011).

  29)  M. Iwamoto, H. Shimizu, I. Muramatsu & S. Oiki : , 584, 3995 (2010).

  30)  T. Hamada, S. Matsunaga, M. Fujiwara, K. Fujita, H. Hi- rota,  R.  Schmucki,  P.  Güntert  &  N.  Fusetani :

132, 12941 (2010).

  31)  M. Inoue, N. Shinohara, S. Tanabe, T. Takahashi, K. Oku- ra, H. Itoh, Y. Mizoguchi, M. Iida, N. Lee & S. Matsuoka :  

2, 280 (2010).

  32)  S.  Moco,  R.  J.  Bino,  O.  Vorst,  H.  A.  Verhoeven,  J.  de  Groot,  T.  A.  van  Beek,  J.  Vervoot  &  C.  H.  R.  de  Vos :  

141, 1205 (2006).

  33)  T. Ito, T. Odake, H. Katoh, Y. Yamaguchi & M. Aoki : , 74, 983 (2011).

  34)  S.  Carmely  &  Y.  Kashman : , 26,  511 

(1985).

  35)  M.  Kobayashi,  J.  Tanaka,  T.  Katori,  M.  Matsuura  &  I. 

Kitagawa : , 30, 2963 (1989).

  36)  I. Kitagawa, M. Kobayashi, T. Katori & M. Yamashita :

112, 3710 (1990).

  37)  S. Matsunaga, N. Fusetani, Y. Kato & H. Hirota : , 113, 9690 (1991).

  38)  R. Sakai, T. Higa & Y. Kashman : , 15, 1499 

(1986).

  39)  S. Matsunaga, N. Fusetani, K. Hashimoto & M. Walchli :   , 111, 2582 (1989).

  40)  S.  Matsunaga  &  N.  Fusetani : , 60,  1177 

(1995).

  41)  R. Ueoka, Y. Ise, S. Ohtsuka, S. Okada, T. Yamori & S. 

Matsunaga : , 132, 17692 (2010).

  42)  T. Bugni, B. Richards, L. Bhoite, D. Cimbora, M. K. Har- per & C. M. Ireland : , 71, 1095 (2008).

  43)  G. Lang, N. A. Mayhudin, M. I. Mitova, L. Sun, S. van der  Sar, J. W. Blunt, A. L. J. Cole, G. Ellis, H. Laatsch & M. H. 

G. Munro : , 71, 1595 (2008).

プロフィル

高田健太郎(Kentaro TAKADA)    

<略歴>2004年東京大学大学院農学生命 科 学 研 究 科 修 了/2004 〜 2007年 米 国 国 立がん研究所 (NCI) 博士研究員/2007

〜 2008年理化学研究所基礎科学特別研究 員/2008 〜 2010年 立 命 館 大 学 薬 学 部 助 教/2010年東京大学大学院農学生命科学 研究科助教,現在に至る<研究テーマと抱 負>海洋天然物化学の視点から,新たな生 命現象の発見とその有効利用を目指し研究 を行っています<趣味>水泳,ハイキング 松永 茂樹(Shigeki MATSUNAGA)  

<略歴>1984年東京大学大学院農学系研 究科修了/1984年4月〜1991年1月博士研 究員(東京大学,ハワイ大学,国立がんセ ンター)/1991年2月〜 2004年5月東京大 学農学部,助手,助教授/2004年6月〜東 京大学大学院農学生命科学研究科教授<研 究テーマと抱負「Drugs from the sea」

の実現を夢見て海洋生物から天然物を探し 続けています.美しい構造の化合物との遭 遇の喜びが研究の原動力です<趣味>ス ポーツ,山歩き,おいしいものの飲食,音 楽鑑賞

Referensi

Dokumen terkait

5.廃棄物処理事業者とPRTR PRTR 制度においては廃棄物としての移動量は、その事業者の事業活動に伴う環境への負荷を把 握するためのものとなっている。しかしながら廃棄物による化学物質のリスクを算定するには、処 理施設の特定や処理方法・場所の特定が必要となるが、PRTR 制度にはこれを求めていない。PRTR