令和3年(2021 年)3月
北海道教育庁学校教育局高校教育課 令和2年度(2020 年度)
コミュニティ・スクール実践事例集
~コミュニティ・スクールの導入に向けて~
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< 目 次 >
はじめに ··· 3
1 本事例集の趣旨 ··· 3
2 コミュニティ・スクールとは ··· 3
3 コミュニティ・スクールのメリット・魅力 ··· 4
4 本道におけるコミュニティ・スクール導入の推進 ··· 5
5 コミュニティ・スクールの導入に向けて ··· 5
コミュニティ・スクール導入・取組事例 1 北海道登別青嶺高等学校 ··· 6
2 北海道平取高等学校 ··· 8
3 北海道上富良野高等学校 ··· 10
4 北海道常呂高等学校 ··· 12
5 北海道本別高等学校 ··· 14
6 北海道広尾高等学校 ··· 16
7 北海道大樹高等学校 ··· 18
参考資料 1 コミュニティ・スクールの運営・意識・取組等に関するアンケート(概要) ··· 20
2 コミュニティ・スクールの運営・意識・取組等に関するアンケート(集計結果) ··· 21
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はじめに
1 本事例集の趣旨
道立高等学校における学校運営協議会は、平成 24 年度に別海高等学校に初めて設置 して以来、令和2年度時点で 20 校に設置しています。道教委では、学校運営協議会制 度の理解促進及び取組の充実を図ることを目的に、「コミュニティ・スクール実践事例 集」を作成し、コミュニティ・スクール導入校における実践の周知を図ってきました。
今年度は、導入の経緯や具体的な取組事例に加え、導入校に対して実施したアンケー ト結果等を参考資料として掲載した事例集を作成しましたので、コミュニティ・スクー ル導入に向けた検討をする際の参考として御活用ください。
事例の見方
6ページから 19 ページの事例には次のような項目を掲載しています。
■ コミュニティ・スクール導入の背景と意図
・導入前までの地域との連携状況等はどのようなものであったか。
・どのようなことを期待して導入しようとしたのか。
■ コミュニティ・スクール導入に向けた取組状況
・どのような校内体制を構築したのか、職員等への周知をどう図ったのか。
・学校運営協議会委員を選出するとき、どのように進めたのか。
■ 具体的な取組事例
・教育活動を進めるに当たり、学校運営協議会委員等から、どのような協力を得 られ、どのような成果があったのか。
2 コミュニティ・スクールとは
コミュニティ・スクールとは学校運営協議会1を設置する学校のことであり、学校 と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともに ある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。コミュニティ・スクールでは、
学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進 めていくことができます。
高等学校は、義務教育諸学校とは異なり、生徒の選択により入学する学校種である ため、通学区域が広範囲にわたることに留意する必要があります。しかしながら、広 く地域や社会の参画・協力を促進することは、学校運営の改善につながり、キャリア 教育の推進や学校の魅力化に資するものであり、学校運営協議会の設置は有効です。
1 学校運営協議会とは、学校と地域住民や保護者等が学校運営の基本方針の承認や様々な課題の共有を図るとともに、
学校運営への必要な支援等について協議する場である。
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学校運営協議会の主な役割
・校長が作成する学校運営の基本方針を承認する
・学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる
・教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会 に意見を述べることができる
【出典】文部科学省(平成 29 年)「コミュニティ・スクール 2017 地域とともにある学校づくりを目指して~」
3 コミュニティ・スクールのメリット・魅力
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の仕組みを導入することによる メリットとして、主に次の3つが挙げられます。
① 組織的・継続的な体制の構築=持続可能性
校長や教職員の異動があっても、学校運営協議会によって地域との組織的な連 携・協働体制がそのまま継続できる「持続可能な仕組み」です。
② 当事者意識・役割分担=社会総掛かり
学校運営協議会や熟議の場を通して、子供たちがどのような課題を抱えている のか、地域でどのような子供を育てていくのか、何を実現していくのかという
「目標・ビジョンを共有」できます。
③ 目標・ビジョンを共有した「協働」活動
校長が作成する学校運営の「基本方針の承認」を通して、学校や地域、子供た ちが抱える課題に対して関係者がみな当事者意識をもち、「役割分担をもって連 携・協働による取組」ができます。
【出典】文部科学省(令和元年)「『学校運営協議会』設置の手引き(令和元年改訂版)」
コミュニティ・スクールは、学校運営や学校の課題に対して、広く保護者や地域 住民の皆さんが参画できる仕組みです。当事者として、子どもの教育に対する課題 や目標を共有することで、学校を支援する取組が充実するとともに、関わる全ての 人に様々な魅力が広がっていきます。以下は、それぞれの関わりのある人にとって の魅力の例です。
の目標
共通の 目標 コミュニティ・スクールを導入するまでは… コミュニティ・スクールを導入すると…
地域 学校
地域 学校
積極的な 積極的な 取組
取組
相互補完 地域と学校が
同じ目標に 向かっていける
地域 学校
地域の 目標
学校の 目標
“受け身”での取組 積極的な 取組 積極的な
取組
共有されていない目標 目標の大きなズレ
の目標
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① 子供にとっての魅力
・子供たちの学びや体験活動が充実します。
・自己肯定感や他人を思いやる心が育ちます。
・地域の担い手としての自覚が高まります。
・防犯・防災等の対策によって安心・安全な生活ができます。
② 教職員にとっての魅力
・地域の人々の理解と協力を得た学校運営や「社会に開かれた教育課程」の実現 が可能となります。
・地域人材を活用した教育活動が充実します。
・地域の協力により子供と向き合う時間が確保できます。
③ 保護者にとっての魅力
・学校や地域に対する理解が深まり、家庭教育との相乗効果が生まれます。
・地域の中で子供たちが育てられているという安心感があります。
・保護者同士や地域の人々との人間関係が構築できます。
④ 地域の人々にとっての魅力
・経験を生かすことで生きがいや自己有用感につながります。
・学校が社会的つながり、地域のよりどころとなります。
・学校を核とした地域ネットワークが形成され、地域の課題解決につながります。
・地域の防犯・防災体制等の構築ができます。
【出典】文部科学省(令和元年)「『学校運営協議会』設置の手引き(令和元年改訂版)」
4 本道におけるコミュニティ・スクール導入の推進
道教委では、地域創生の観点からも、地域と連携・協働し、生徒から選ばれる魅 力ある高校づくりを推進する必要があると考え、その参考となる資料として、令和 2年(2020 年)12 月に、「地域創生に向けた高校魅力化の手引~高校と地域の連 携・協働を進めるために~」を作成しました。
本手引では主な取組期間を令和2年度(2020 年度)から令和4年度(2022 年 度)としており、コミュニティ・スクールに関しては、全道の道立高等学校におい て、次の取組を行うことを想定しています。
特例校 小規模校 職業学科 左記以外 コミュニティ・スクールの導入/
連携組織(コンソーシアム)の整備 ◎ ◎ ◇ ◇
◎:取り組む、◇:努める、▲:地域や学校の実態を踏まえて検討する
※特例校:地域連携特例校、小規模校:第1学年3学級以下の学校、職業学科:第1 学年4学級以上の職業学科設置校
5 コミュニティ・スクールの導入に向けて
次ページから、令和2年度にコミュニティ・スクールを導入した学校における導 入に至る経緯及び具体的な教育活動等の事例のほか、既導入校に対して実施したアン ケートの集計結果を掲載していますので、導入を検討する際の参考にしてください。