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ストーマ・看護実践能力・マニュアル - 山口大学

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Academic year: 2025

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ストーマ看護実践能力尺度を用いた看護実践能力の把握とマニュアルの有用性

    キーワード:ストーマ・看護実践能力・マニュアル

      1病棟5階西

田村祥子 長田佳奈 末次美央 松本祥一(1病棟3階東) 西村淑乃

1.はじめに

 人工肛門造設術後の患者のストーマケアは、まず看護師が主体となって行い、患者の離 床や理解の状況を考えながら徐々に患者がセルフケアを確立できることを目標に看護介入 を行う。しかし、ストーマ看護の経験が少ない病棟看護師からは、自分のケアや指導が正 しいのか自信がもてないという意見が多く聞かれていた。先行研究では、看護師の技術の 提供は、患者の手技の習得に重大な影響を及ぼすため、看護師の手技の統一化を図ったこ

とは有効であった1)という報告がある。そこで、看護師の経験年数に関わらず人工肛門造 設術後の患者に対して的確なケア、統一した看護介入が行えるようマニュアルを作成し、

その有用性を検討したので報告する。

皿.方法

1.期間:平成21年6月〜平成21年10月

2.対象:平成21年6月時点で1病棟5階西に勤務し、ストーマ看護の経験のある看護師      25名

3.方法

(1)調査①:対象者に対して、道廣らのストーマ看護実践能力尺度2)を用いた質問紙   調査(表1)を行った。また、ストーマケアで困っていることについて自由記載でき   る項目を追加した。

   ストーマ看護実践能力尺度は24の質問項目で構成されており、「実施」、「アセスメ   ント」、「ストーマケア技術」、「計画立案」、「人権擁護」、「評価」の6領域に分類され   る。回答は「0点:思わない」、「1点:あまり思わない」、「2点:少しそう思う」、「3   点:そう思う」の4段階評定とし、領域毎に点数化した。

(2)(1)の調査をもとにマニュアルを作成した。

(3)調査②:平成21年7月から3ヶ月間、マニュアルを使用した後、再度ストーマ看護   実践能力尺度を用いた調査を行った。なお、マニュアルの活用状況、利点と改善点に   ついて自由記載できる項目を追加した。

(4)調査結果について各領域の平均値を求め、各領域でのマニュアル使用前後の差を検証   するためにt検定を行い、p=0.05以下を統計学的に有意差ありとした。

4.倫理的配慮

 対象者には、調査用紙の冒頭に調査への参加は任意であること、調査の目的、調査デー タの取り扱い方などについて提示し、記入後の調査用紙の提出をもって研究に同意したと 判断することを明記した。なお、研究開始にあたっては山口大学医学部附属病院医薬品等 治験・臨床研究等審査委員会の承認を得た。

(2)

表1 ストーマ看護実践能力尺度(24項目)内容

1.私はオストメイトのための福祉サービスを患者・家族に紹介できる

2.必要であれば、私は患者にオストメイトの集いに参加することをすすめることができる 実施 3.必要であれば、私は、ストーマ外来や訪問看護師や在宅医療施設と連絡をとるこ

とができる

4.私は障害年金制度について説明できる

5.私は患者がストーマ造設をどのように受け止めているかアセスメントすることができる 6.私はストーマ造設した患者の心理面に起こりやすいストレス・葛藤を予測することができる アセスメント

7.私は患者の状態からどのような家族の支援が必要か判断することができる 8.私は人工肛門造設術直後のストーマ合併症の併発を予測することができる

9.私はストーマの大きさにあった面板の穴を切ることができる 10.私はストーマ周囲の皮膚を清潔に保つことができる

ストーマケア

  技術 11.私はストーマを計測することができる

12.私は装具を除去するにあたって面板を愛護的にはがすことができる 13.私はストーマ患者の心理的変化に応じて計画を変更することができる 14.私はストーマ患者の身体的変化に応じて計画を変更することができる 計画立案 15.私は社会復帰後の生活をゴールとした計画をたてることができる

16.私はストーマ患者にとって何を優先すべきか決定することができる 17.私は常に患者の権利の擁護、人権の尊重に心がけた看護を実施している 18.私は常に患者のプライバシーを護ることができる

人権擁護 19.私は患者のセルフケアについて、好ましい成果を誉めたり、共に喜ぶことができる

20.私は患者がボディーイメージの変化によって心理的な危機状態に陥った場合、心   理的なケアをすることができる

21.私は患者のゴールを定め、期日までに達成できたかどうかを評価することができる 22.私は達成できなかった問題の解決策を見直すことができる

評価 23.私はゴールが達成できないときは、なぜ達成できなかったのか、その問題点を明   らかにすることができる

24.私は自分のアセスメントが適切であったかどうかを評価することができる

皿.結果

 ストーマ看護実践能力尺度を用いた質問紙調査の回収率は調査①、②ともに100%であ った。対象者の看護師経験年数は平均6.86年(±7.73)、消化器外科経験年数は平均2.84

年(±1.55)であった。

 調査①、②のストーマ看護実践能力の平均値を領域別に算出した結果である(図1)。

調査①では「実施」1.47点、「アセスメント」1.93点、「ストーマケア技術」2.64点、「計 画立案」1.89点、「人権擁護」2.16点、「評価」1.91点であった。調査②では「実施」1.71 点、「アセスメント」2.07点、「ストーマケア技術」2.58点、「計画立案」2.17点、「人権 1雍護i」2.35点、「評価」2.09点となった。

(3)

アセスメント ストーマケア

 枝術

 計菌i立i案

  0.00        1.00        2.00        3.00

図1:ストーマ看護実践能力尺度を用いた嗣査

口調査①

●調i査②

★pく0.05  (点)

 (n=25)

 領域ごとにt検定(p〈0.05)を行ったところ、「実施」p≒0.040、「アセスメント」p≒

0.121、「ストーマケア技術」p≒0.310、「計画立案」p≒0.027、「人権擁護」p≒0.044、「評 価」p≒0.091となり、「実施」、「計画立案」、「人権擁i護」の3領域で有意差を認めた(図1)。

 ストーマケアで困っていることについては、「障害年金制度の内容を詳しく知らないの で紹介できない」、「面板を変えるタイミングがわからない」、「多種類ある製品の中で患者

さんにとって1番いいものを選択できているのか分からない」、「どんなパウチがどういう 特性があり、どう選択していいのか分からない」、「患者さんに適切なアドバイスができて いるのか不安」、「トラブルに対応しきれない」などの意見が挙げられた。

 研究期間中の看護師のマニュアルの活用状況の結果である(図2)。マニュアルを活用し ていたと回答した看護師は22名(88%)、活用していなかったと回答した看護師は3名

(12%)であった。

活用していない

 3名(12覧)

活用した

22・名(88嚇

 マニュアルの利点としては「図や写真があり、カラフルで見やすい」、「パウチ選択につ いて詳細に書かれていた」、「患者の病状や経過に合わせて作られている」などの意見があ った。 改善点には「基本的な方法が一目で分かるものがあればいい」、「文字が多く、どこ を見たらいいか分かりにくかった」などがあり、改善点よりも利点の方が多く挙げられた

(4)

表2 マニュアルの利点、改善点

〈マニュアルの利点〉 〈マニュアルの改善点〉

たくさんの情報が載っている 図入りでわかりやすい

スタンダードな方法とかパウチ(第一選択、術 直後からどのように移行すればよいかなど)が もう少し一目でわかるものがあればいいと

思う

トラブル時の対応について書いてある所 患者に直接見せるには難しいかもしれません ストーマ選択の図、手順の図が入っていて

わかりやすい

文字が多く、ページをめくってどこをどういう 風にみたらよいかわかりにくかった

とても見やすい。会社によって種類分けしてあって 使いやすい

図や写真があって見やすかった パウチ選択するのに参考になると思う 見やすいところが良い

どこを調べればよいかわからなかったので、必要な時 に必要な知識を得ることができるのでよかった 患者の病状や経過に合わせたつくりになっていて わかりやすい

IV.考察

 まず、マニュアル使用前後のストーマ看護実践能力尺度を用いた調査結果で、マニュア ル使用後に看護実践能力の平均値が有意に上昇した3領域について考察する。

 「実施」はマニュアル使用前の調査①において、平均点が1.47と極めて低い点数だっ た。「実施」では社会保障制度にっいての知識が問われており、担当看護師でなければ関わ ることが少ない。そのため、意識的に学習しなければなかなか知識が深まらず、苦手な分 野になり易いと推測された。社会福祉制度はストーマと一生付き合っていく患者にとって 重要な資源であるため、入院中からも情報提供を行えるよう、病棟看護師は知識を深める 必要がある。そこで、マニュアルでは医療者向けの参考書ではなく、患者向けのパンフレ ットからわかりやすい資料を引用した。易しい表現が多いため読みやすく、看護師の苦手 意識の軽減につながったと考えられる。

 「計画立案」では、術前から術後、患者の社会復帰までを想定し、患者の状態に応じて 適時計画を変更する能力が必要であると考えられる。看護師は異常の早期発見と対処、ま た、患者の全体像をアセスメントするために高い情報収集能力が求められる。経験を重ね る中で習得できる内容もあるため、マニュアルには図やカラー写真を多く用いたり、様々 なケースのわかりやすい資料を引用した。マニュアルを使用することによって看護師は、

必要な時に必要な知識を得ることができると感じており、患者の病状や経過にあった計画 立案は、的確なケアの提供や看護介入の統一に有効であるといえる。

 有意差を認めたのは以上の2領域に加えて、「人権擁護」の領域だった。ストーマを造 設する患者は排泄の障害を受け、ボディーイメージの変化から自尊心の低下を起こしやす

(5)

い。そのため看護師はプライバシーの保護に細心の注意を払い、看護ケアの提供方法や環 境づくりに配慮する必要があると考えられる。今回の調査で看護師は、質問項目に回答す ることで改めて患者の人権擁護に対して振り返る機会を持ち、それが意識付けとなり、実 践につながったのではないかと推測する。

 次に、有意差を認めなかった3領域について考察する。「アセスメント」では、主に患 者や家族の心理的変化を読み取り、ストーマ受容までの思いに寄り添うことが求められて いる。「評価」では、患者が目標を達成できているか、時期までに達成できていなければそ の要因や対策を考えることができているかが問われている。いずれも患者に継続的に関わ る必要があり、担当看護師の経験回数も得点の上昇に作用すると推測する。したがって、

今後は、カンファレンスの充実とマニュアルの修正を行う必要があると考える。カンファ レンスでは、担当看護師を中心に情報提供を行い、患者目標やケアの方向性を話し合い、

統一した看護介入を目指す。そして、カンファレンスの記録を患者が特定できないような 形でマニュアルの中に残していく。過去のさまざまな症例や看護を振り返る機会を持つこ

とは、経験の浅い看護師のレベルアップにつながると考える。

 「ストーマケア技術」においては、マニュアル使用後に得点の上昇を認めなかったが、

マニュアル使用の有無に関わらず高得点だった。これは、直接ケアに必須の基礎技術であ るため、他の領域に比べ看護実践回数が多く、知識を得る機会が多いためと考えられる。

 以上のことから、改善点はあるものの今回作成したマニュアルは有用であると言える。

看護師は多忙な業務の中で必要な情報を的確に得られるマニュアルを望んでいる。今後は、

調査結果を参考に、情報の整理を行うなどマニュアルを修正し、ストーマ看護の実践に役 立てたい。

V.結論

1.マニュアルを作成し、ストーマ看護実践能力尺度を用いてその有用性を検討した。

2.「実施」、「計画立案」、「人権i擁護」の3領域において有意差が認められ、マニュアルは   看護実践に有用であると言えた。

3.経験年数に関わらず、看護師が安心して同じレベルの看護を提供するためには今後も   マニュアルを修正していく必要がある。

引用・参考文献

1)岡田麗子,鈴木直子,加藤とき子:ストーマ管理の早期自立への指導の検討,名鉄医   報,48,p77−80,2006.

2)道廣睦子,小野ツルコ,村上生美ら他:ストーマ看護実践能力尺度の開発,岡山県立   大学保健福祉学部紀要,11(1),p21−30,2004.

3)佐藤貴子,宮崎玲美,下園つかさら他:ストーマケアの指導開始時期の検討 ムーア   の回復過程・コステロの5段階を用いた分析から,日本看護学会論文集:成人看護1,

  37, p44−46, 2007.

4)八尾早希子,久保比富美:ストーマ看護i実践能力尺度を用いたストーマ看護実践能力   の把握とその関連因子の検討 ストーマ装具交換経験回数と受け持ち看護師経験の

(6)

5)黒瀬慶子,橋本奈津子,森知佐子:ストーマ装具交換時の身体的負担を調査して   ストーマ装具交換時の体位と心拍数の変化から考えられること,STOMA:Wound&

 Continence, 13(1), P25−27, 2006.

6)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会 編:ストーマリハビリテーション   実践と理論,金原出版株式会社,2006.

7)徳永恵子 監修:クリニカル・ナースBOOK 最新ストーマケアマニュアル 術前オリ   エンテーションから社会復帰に向けてのケアまで,株式会社医学芸術社,2001.

8)日本ET/WOC協会 編:ストーマケア エキスパートの実践と技術,株式会社照林社,

  2007.

Referensi

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